2018年12月24日月曜日

Nakdan

Nakdan

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https://nakdan.dicta.org.il/

*ヘブライ語の単語や文章を打ち込むと、母音記号を自動的につけてくれるオンラインツール

2018年12月17日月曜日

ユダヤ・イスラエル研究第32号(2018年)

『ユダヤ・イスラエル研究』
第32号(2018年12月)

目次
〈論文〉
長塚 織人「エリヤ・カルモナの自叙伝のトリックスター的特性について」1
天野 優「イラク系ユダヤ人作家から見たファルフード」17
古矢 晋一「フランクル『夜と霧』における「群衆の精神病理学」について」30
牧野 素子「ウンベルト・エーコ『プラハの墓地』出版の背景と問題提起」43

〈シンポジウム 現代イスラエルの課題〉
鶴見 太郎(解題)59
金城 美幸「委任統治下パレスチナにおける「民族対立」の創出の背景」60
立山 良司「福音派ロビーの台頭」77

〈翻訳〉
重松 尚「『セクマディエニス』における杉原千畝インタヴュー記事」88

〈学会参加記〉
宇田川 彩「第8回ラテンアメリカ・ユダヤ学会参加記」95

〈書評〉
志田 雅宏:大澤耕史著『金の子牛像事件の解釈史』100
長塚 織人:Julia Philips Cohen, Becoming Ottomans 104
西村 木綿:Kamil Kijek, Dzieci modernizmu 107
北 美幸:池田有日子著『ユダヤ人問題からパレスチナ問題へ』111
鈴木 重周:イヴァン・ジャブロンカ著(田所光男訳)『私にはいなかった祖父母の歴史』115
内田 樹:アヴィシャイ・マルガリート著(森達也他訳)『品位ある社会』121

〈新刊紹介〉
嶋田 英晴:Mark R. Cohen, Maimonides and the Merchants 123
堀 邦維:ソール・ベロー著(鈴木元子訳)『ラヴェルスタイン』125

〈追悼文〉
市川 裕:追悼 宮澤正典先生126

〈報告要旨〉
第14回学術大会報告要旨128

〈英文要旨〉130

2018年12月12日水曜日

いま宗教に向きあう(全4巻)

いま宗教に向きあう 全4巻 岩波書店 2018年

第1巻 現代日本の宗教事情〈国内編I〉
責任編集 堀江宗正
巻頭言  島薗 進
序論 変わり続ける宗教/無宗教  堀江宗正

一 岐路に立つ伝統宗教
【争点1】伝統回帰? それとも地方消滅?
第1章 個人化する葬送──墓と寺の後継者問題 村上興匡
第2章 地域社会と神社・祭り──人口減少と地域再生の中で 黒崎浩行

二 新宗教の現在
【争点2】オウム真理教事件後,新宗教は衰退したのか?
第3章 民衆宗教としての新宗教 福嶋信吉/堀江宗正
第4章 模索する新新宗教──聖地と墓地をめぐって 松岡秀明

三 現代人のスピリチュアリティ
【争点3】スピリチュアル・ブームは一過性のものだったのか?
第5章 死後はどう語られているか──スピリチュアリズム的死生観の台頭 堀江宗正
第6章 スピリチュアリティといのちの教育 弓山達也
第7章 現代日本社会での傾聴のにない手たち──医療・福祉・心理分野のスピリチュアルケア 葛西賢太

四 在留外国人と宗教
【争点4】日本人は他宗教に寛容なのか?
第8章 韓国人ニューカマーとキリスト教会の変容──多文化共生の拠点へ 李 賢京
第9章 滞日ブラジル人の急増と宗教的なコミュニティの展開──カトリック教会の場合 星野 壮
第10章 滞日ムスリムと日本の地域社会 沼尻正之/三木 英
(争点執筆・堀江宗正)


第2巻 隠される宗教、顕れる宗教〈国内編II〉
責任編集 西村 明
序論 (ポスト)世俗化論と日本社会 西村 明

一 「政教分離」のポリティックス
【争点1】「国家神道」は復活しているのか?
第1章 宗教が政治に関わるということ 塚田穂高
第2章 召還される「国家神道」──保守政治・宗教右派・象徴天皇の交錯 奥山倫明
第3章 錯綜する慰霊空間──ポスト戦後的状況のなかで 西村 明
第4章 宗教判例の戦後と現在 住家正芳

二 宗教の「公益性」をめぐって
【争点2】金儲け? それとも無私の奉仕?
第5章 大震災後の宗教者による社会貢献と「心のケア」の誕生 高橋 原
第6章 僧侶による“脱”社会活動──自死対策の現場から 小川有閑
第7章 宗教法人の公益性──二つの法人制度の比較から 竹内喜生
第8章 日本におけるキリスト教フェミニズムとその公益性 ミラ・ゾンターク

三 見えない宗教,見せる宗教
【争点3】宗教のメディア露出は、宗教の衰退なのか?
第9章 日本文化論の中の宗教/無宗教 星野靖二
第10章 宗教の社会活動と公共放送──臨床宗教師のテレビ表出を中心に 榎本香織
第11章 心理宗教テクニックと現代日本社会 小池 靖
第12章 ケア・宗教・世俗化における言説とその語り方をめぐって──何が顕れ、何が隠されるのか 古澤有峰
(争点執筆・西村 明)


第3巻 世俗化後のグローバル宗教事情〈世界編I〉
責任編集 藤原聖子
序論 二〇世紀から二一世紀への流れ 藤原聖子
【争点1】 結局、宗教は衰退したのか、していないのか?

一 伝統的宗教の復興/変容
【争点2】イスラームはテロを生む宗教なのか?
第1章 日常生活のイスラーム化──イスラームの政治化に続くもの 八木久美子
第2章 インドネシアの医療とイスラーム復興──再創造された「預言者の医学」 嶋田弘之
第3章 聖と俗の混紡──現代イスラエルにおけるユダヤ教の諸相 志田雅宏
第4章 悪魔祓い騒動からレジオナール運動まで──ルーマニア社会の変動と連続性 新免光比呂
第5章 ロシアにおける伝統宗教の変容──ソ連時代の継承と新しい展開 井上まどか
第6章 気功にみる中国宗教の復興と変容 宮田義矢

二 新宗教運動・スピリチュアリティの現在
【争点3】オルタナティヴか、体制順応か?
第7章 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の歴史と現状──韓国宗教史からの検討 古田富建
第8章 「ゲルマン的ネオ・ペイガン」は何に対抗しているのか──ドイツの「ゲルマン的ノイ・ハイデントゥム」から考える 久保田 浩
第9章 児童文学の中の魔女像の変容とジェンダー 大澤千恵子
第10章 創造論、新無神論、フィクション宗教──非制度的宗教の新展開 谷内 悠

三 グローバル化とダイバーシティ
【争点4】グローバル化は宗教の多様化か、一元化か?
第11章 プロテスタントの爆発的拡大から半世紀──ラテンアメリカにおける宗教地図の変容 大久保教宏
第12章 アメリカの「伝統」の新たな挑戦──多様な宗教・非宗教の共存 佐藤清子
第13章 「超スマート社会」の宗教──電脳化は何をヴァージョンアップするのか 藤原聖子
(争点執筆・藤原聖子)


第4巻 政治化する宗教、宗教化する政治〈世界編II〉
責任編集 池澤 優
序論 公共圏と宗教のせめぎあい

一 ナショナリズムと宗教
【争点】政教関係の多様性
第1章 「セキュラリズム」の用い方―タイムズ・オブ・インディアに見る語彙の変遷 冨澤かな
第2章 上座仏教とナショナリズム―国家主導の宗教的ナショナリズム 矢野秀武
第3章 ポジティブなナショナリズムへの展望―抱合的ボスニア・ナショナリズムの可能性 立田由紀恵
第4章 「解放」後韓国の宗教とナショナリズム―キリスト教を中心に 川瀬貴也

二 世俗・人権・宗教
【争点】公共圏自体の宗教性
第5章 欧州人権裁判所におけるヴェールと十字架―イスラームに向き合う世俗的ヨーロッパのキリスト教的な系譜 伊達聖伸
第6章 イスラーム・ジェンダー論の行方―行動する女性たちへ 塩尻和子
第7章 イタリアの新たな「世俗性」 江川純一
第8章 スカーフにみるポスト・コロニアルの政治と宗教 澤江史子
第9章 「宗教の自由」をめぐるアメリカの分断状況―国内の論争と外交政策 ジョリオン・トーマス

三 宗教の公共化
【争点】公共圏に対する宗教の戦略の諸類型
第10章 見えない宗教の力―現代の生命倫理・環境倫理言説の宗教性 池澤 優
第11章 宗教の社会貢献―宗教的利他主義の実践と共生社会の模索 稲場圭信
第12章 公共圏における宗教の社会参加―世界最大の仏教NGO・慈済会の挑戦と試練 金子 昭
第13章 市民社会と生命現象―弱さと暴力に向き合う場としての〈ラルシュ〉共同体運動 寺戸淳子
(争点執筆 池澤 優)

2018年12月8日土曜日

宗教史学研究所 第68回研究会

宗教史学研究所 第68回研究会

日時: 2019年1月26日(土)13:00-18:00
場所: 東洋英和女学院大学 大学院205教室

プログラム
12:30 受付開始

13:00-14:30
発表1 田口博子(白百合女子大学)
「ものをめぐる物語―D. W. ウィニコットの「移行対象」理論について」
【概要】
 イギリスの児童精神分析科医 D. W. ウィニコットは、創造性を芸術作品の制作や研究と関連付けるのみならず、「人生は生きるに値する」という気持ちと定義する。そしてその起源を乳児期の心的発達段階に求めた。ウィニコットによれば、対象を主観的に認識する段階から客観的に認識する段階への推移が、生後 4、5 カ月ごろに始まる。この段階で生じる「移行対象」(幼いこどもが持ち歩くぬいぐるみなど)や「移行現象」(お気に入りのメロディーなど)の本質は、決して客観的に解決することはできないパラドックスである。このような内的体験と外的対象についての体験が重なるところに「中間領域」が成立する。中間領域は「遊ぶこと」によって表象され、生涯にわたって人間の精神生活の重要な場を占めるという。
 『遊ぶことと現実』(1971)の序論では、精神分析以外の営為も中間領域に対峙してきたことが指摘され、とりわけ哲学では「間主観性」、神学においては「実体変化」に関する論争に集約される。今回の発表では「移行対象」を端緒として、ひととひとの関連(間主観性)と、ひとと超越的なもののかかわり(実体変化)がどのような接点を持ちうるのか、他者を他者として認識することがなぜ絶対者の定立につながるのかを考察したい。

14:30-14:40 休憩

14:40-16:10 
発表2 冨澤かな(静岡県立大学)
人と物をこえて―二次元メディアが描く(無-)媒介の世界
【概要】
 宗教の多様な役割の中で、人と人、物、世界の関係を示し、時にその間の壁をこえて取り結ぶ「媒介」としてのそれの重要性は、ここ数年の本研究会の蓄積からも見て取れよう。では、宗教学の対象が既存宗教の枠組みを超え、代替宗教やさまざまな「スピリチュアリティ」のあらわれへと拡大する現在、特に日本で、そういった「媒介」の物語がどこで多く生産・受容されているかを考えた場合、アニメ、マンガ、ゲームなどの重要性に着目せざるを得ない。これらのポップカルチャーの宗教性については様々に指摘がなされ、研究も広がっているが、しかし、たとえば神・霊・聖職者・妖怪・輪廻などの宗教的な要素の指摘をこえて、その「宗教性」を論じることは簡単ではなく、方法論が模索されている段階である。その難しさの認識の上で本発表は、宗教的モチーフへの着目から少し距離を取り、異なる存在の接続・変容を重要なテーマとする作品に着目したい。具体的には、アニメを中心に、ウェブ上のユーザー評価を参照しつつ、「擬人化」と、特に「人間と世界の変容」の二つのテーマに焦点をあてる。正直なところ、ここから宗教史学としてどのような分析ができるのか、見通しはたっていない。しかし少なくとも、「人、物、世界の媒介」を語るアニメ作品を何らかの基準で抽出し、宗教史研究者間で共有することで、ポップカルチャーの宗教性という曖昧なテーマに、一つの視角を得る可能性があるものと期待したい。

16:10-16:20 参加者自己紹介
16:20-16:30 休憩

16:30-18:00
発表3 池澤 優(東京大学)
戦国秦漢の墓葬における死者と死後世界の表象―墓・随葬品という媒体
【概要】
 墓という媒体は、どの時代、どの文化でも、一定程度は死者と死後世界を表象するであろう。但し、墓は死後にかかわる観念の全てを表すわけではない。というのは、墓は死者に対する儀礼行為の一環であり、死者がその儀礼行為に不満を抱いたら元も子もないため、何よりも死者を満足させるための表象にならざるを得ないからである。ただ、逆に言えば、死者を満足させるという指向性の中に死後に関する一定のイメージを読み取ることもできることになる。本発表では、戦国秦漢時代の中国に題材をとり、墓葬の構造、画像、壁画、随葬品がいかなる死者と死後世界を表しているのかを論じる。

2018年11月6日火曜日

ジュディス・バトラー氏講演会

ジュディス・バトラー氏講演会

2018年12月6日(木)13:30~(13:00会場)
明治大学駿河台キャンパス
グローバルフロント1階 グローバルホール
使用言語:英語(通訳あり)
「ある哲学的道程—スピノザの存続」
A Philisophical Itinerary: Spinoza's Persistence
(要申込:下記ポスター参照)

2018年12月11日(火)15:30-17:00
明治大学駿河台キャンパス1F リバティホール
使用言語:英語(通訳あり)
*原則として講演開始後は入場不可
「非暴力と個人主義批判」
Non-Violence and the Critique of Individualism




2018年11月5日月曜日

日本ユダヤ学会 関西例会

日本ユダヤ学会
関西例会

日時 12月1日(土)14時~17時30分
会場 神戸女学院大学 文学館1階L-8教室 (門戸厄神駅から徒歩10分、正門から徒歩5分)


河村兼二郎 会員
「サアディアとダヴィド・ベン・ザッカイの論争」
10世紀バビロニアのスーラにある学塾の長(ガオン)、サアディア・ベン・ヨセフ・アル‐ファイユーミー(882-942)と捕囚民の長(レシュ・ガルータ)、ダヴィド・ベン・ザッカイ(在位917-940)の論争について報告する。この「大論争」が当時のユダヤ教徒の社会に与えた衝撃と歴史的位置付けについて考察したい。

竹原有吾 会員
「18~19世紀ベルリンのユダヤ教徒の経済活動と国民経済の形成」
18~19世紀にベルリンのユダヤ教徒が「工場主(ファブリカント)」や商人、銀行家などとして経済的に活躍するようになった歴史を辿っていく。そして彼らがプロイセン王国の経済発展の一翼を担うまでになった要因を探っていく。

2018年10月27日土曜日

中世哲学会 第67回総会・大会

中世哲学会
第67回総会・大会

【日程】:2018年11月10日(土)・11日(日)
【場所】:聖心女子大学 4号館/聖心グローバルプラザ

1日目(11月10日)
9:30ー10:20
アダム・タカハシ(東洋大学)
「アヴェロエス「知性単一説」とその批判:再考」
司会:小村 優太(早稲田大学)

10:20ー11:10
芝元 航平(上智大学)
「トマス・アクィナスの「第三の道」における必然性の問題」
司会:松根 伸治(南山大学)

11:10ー12:00
志田 雅宏(日本学術振興会)
「中世ユダヤ教におけるキリスト教論駁と福音書翻訳──ヤコブ・ベン・ルーベン『主の戦い』──
司会:矢内 義顕(早稲田大学)

12:00ー13:00
昼休・評議会(4号館3階4-3教室)

13:10ー14:00
松澤 裕樹(大谷大学)
「クヴェードリンブルクのヨルダンのラテン語説教におけるエックハルトの影響」
司会:長町 裕司(上智大学)

14:00ー14:50
袴田 玲(岡山大学)
「トマス・アクィナス説教 18「地は芽生えさせよ (Germinet Terra)」 におけるマリア論とその可能性」
司会:井上 淳(南山大学)

14:50ー15:40
野邊 晴陽(東京大学)
「トマス・アクィナスにおける「善」の基礎づけについて」
司会:荻原 理(東北大学)

15:40ー15:50
休憩

15:50ー16:40
須藤 英幸(同志社大学)
「人間は uti の対象か frui の対象か──アウグスティヌスにおける隣人愛の思想──」
司会:菊地 伸二(名古屋柳城短期大学)

16:40ー17:30
波多野 瞭(ストラスブール大学)
「秘跡の霊印と権能に対する認識を巡る 13 世紀中葉の議論──ボナヴェントゥラと初期トマスを中心に──」
司会:松村 良祐(藤女子大学)

17:30ー18:20
矢内 義顕(早稲田大学)
【シンポジウム特別報告】中世における原罪論の展開──アンセルムスからトマス・アクィナスへ──
司会:出村 みや子(東北学院大学)

18:40ー20:40
懇親会(4号館1階カフェ・ジャスミン)


2日目(11月11日)

9:30ー10:20
千葉 惠(北海道大学)
「アンセルムスの神の存在論的論証──啓示神学と自然神学を媒介する「理解」──」
司会:山内 志朗(慶應義塾大学)

10:20ー11:10
小川 量子(立正大学)
「ドゥンス・スコトゥスにおける自由と正義」
司会:辻内 宣博(早稲田大学)

11:10ー12:00
若松 功一郎(早稲田大学)
「エックハルトにおける存在 (esse) と知性認識 (intelligere) との関係──非トマス主義的知性論の伝統を踏まえて──」
司会:川添 信介(京都大学)

12:00ー13:00
昼休・編集委員会(4号館3階4-3教室)

13:10ー14:00
関沢 和泉(東日本国際大学)
「文法学は子供の如く、論理学は大人の如く、そして音楽は。──ロジャー・ベーコンにおける人間の自然本性と言語、音楽──」
司会:岩熊 幸男(福井県立大学)

14:05ー14:55
総会

15:00ー18:00
第67回中世哲学会シンポジウム
中世における原罪論の諸相──ラテン中世における展開──
司会:鶴岡 賀雄(南山大学)
【提題】
山口 雅広(龍谷大学)
「トマス・アクィナスの原罪論──彼のキリスト教的人間観の一面──」
【提題】
辻内 宣博(早稲田大学)
「神の自由意志の絶対性──オッカムのウィリアムにおける原罪論から──」
【提題】
佐藤 直子(上智大学)
「ヒルデガルトの視る「原罪」──Sciviasを中心に──」

2018年10月22日月曜日

2018年度聖書講座『ユダヤ教とキリスト教』

2018年度 聖書講座
『ユダヤ教とキリスト教』
共催:カトリック東京大司教区 上智大学キリスト教文化研究所

2018年11月17日(土)
場所:上智大学 中央図書館 9階 921会議室
聴講券:一般1000円、学生800円
発売日:2018年10月19日(金)~
発売所:聖イグナチオ教会案内所(月曜休み)または上智大学キリスト教文化研究所(土日祝休み)

10:20-10:30
挨拶
竹内 修一(上智大学教授)

10:30-11:30
「イエスの時代の言語生活—イエスは何語を使ったか—」
高橋 洋成(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所特任研究員)
(内容)
通説では「イエス・キリストはアラム語を話した」とされますが、はっきりした証拠はありません。新約聖書にわずかに残されているイエスの言葉も、アラム語なのかヘブライ語なのか曖昧なものばかりです。そこで、本講座はイエス時代の言語状況を整理しながら、この問題を考えてみます。まず、当時のパレスチナは西方の国際語であるギリシア語と、東方の国際語であるアラム語の交差する地域でした。また、ヘブライ語も書き言葉としてだけでなく、話し言葉として使われていたことが判明しています。さらに、地域ごとに一つの言語が使われていたというより、複数の言語が場面に応じて「使い分け」されていた形跡があります――このような現象を言語学ではダイグロシア(二言語使い分け)と言います。以上のような状況を踏まえながら、イエスは何語を使ったか、ひいては、聖書記者はどんな言葉を使ったのかを、当時の言語生活に思いを馳せながら概観してみましょう。

13:00-14:00
「中世ユダヤ教世界におけるイエス—聖書解釈と民間伝承—」
志田 雅宏(日本学術振興会特別研究員)
(内容)
中世のユダヤ人たちは、E・ルナンら近代の「史的イエス」の探究とは異なる仕方で「人間イエス」を描いた。それは主にキリスト教との宗教論争のなかで、キリスト教徒、あるいはキリスト教徒聖書を読み、対抗的な言説を創り出すことを目的とするものであった。本発表では、そのユダヤ版イエス描写をふたつの文学ジャンルから取り上げる。ひとつは聖書解釈であり、ヘブライ語聖書/旧約聖書にイエス・キリストの預言を見出すキリスト教神学者に対して、ユダヤ人の聖書注釈家たちがどのような批判的応答をおこなったのかを、中世ユダヤ教の代表的なキリスト教論駁書から検討する。もうひとつは民間伝承であり、新約聖書の福音書におけるイエスの生涯と活動を大胆に読みかえた、『トルドート・イェシュ』というユダヤ版イエス物語を紹介する。これらの事例を通じて、中世ユダヤ教における、キリスト教との論争という文脈での聖書の読みについて考察する。

14:15-15:15
「ホロコースト後のユダヤ人とキリスト教徒」
武井 彩佳(学習院女子大学教授)
(内容)
キリスト教会とナチズムの関係についてはよく知られているだろう。ドイツではヒトラーに迎合する教会体制さえ存在したこと、教皇ピウス12世がユダヤ人虐殺を強く非難しなかったことなどが指摘されてきた。しかし、ホロコーストの後に、一般のキリスト教徒とユダヤ人の間にどのような問題があったのかはあまり知られていない。本講座では、ホロコーストゆえに生じた諸問題を、具体例とともに見てゆく。例えば、迫害を逃れるためにユダヤ教からキリスト教に改宗した者は、戦後どのように扱われたのか。また、カトリック圏でよく見られたケースだが。キリスト教徒の家庭で匿われ、洗礼を受けた子供の返還が裁判で争われている。逆に、キリスト教徒の側からは、ユダヤ人との和解はいかに試みられたのだろうか。ホロコーストにおける加害者は大半がキリスト教徒だったことを思うと、この問題を避けて通ることはできないだろう。

15:45-16:45
シンポジウム
司会:竹内 修一

上智大学キリスト教文化研究所ウェブサイト(トップページ)
http://dept.sophia.ac.jp/is/icc/


これまでの聖書講座
http://dept.sophia.ac.jp/is/icc/lecture2/



2018年10月18日木曜日

公開講座:市川裕「古代ユダヤ教の贖罪と悔い改め——心の内と儀礼」

公開講座
市川裕(東京大学教授)
「古代ユダヤ教の贖罪と悔い改め—心の内と儀礼」

【日時】2018年10月31日(水)16:45-18:15
【会場】 同志社大学今出川キャンパス 至誠館3階会議室
    *京都市営地下鉄烏丸線「今出川駅」下車 3番出口より徒歩3分

※事前申込不要、入場無料
※日本語講演
【主催】日本聖書学研究所
【共催】日本旧約学会
    同志社大学一神教学際研究センター (CISMOR)


同日開催
日本旧約学会
公開シンポジウム
「旧約聖書と古代オリエント世界」

【日時】2018年10月31日(水)13:20-16:30
【会場】 同志社大学今出川キャンパス 至誠館3階会議室
*事前申込不要、入場無料

13:20-14:00
長谷川修一(立教大学准教授)
「古代オリエント世界における近年の発見と旧約聖書」

14:00-14:40
中田一郎(中央大学名誉教授)
「メソポタミアの預言文書ーマリ預言文書を中心に」

14:40-15:20
月本昭男(上智大学特任教授)
「父祖物語と古代オリエントの法慣習」

15:40-16:30
全体会議



2018年10月17日水曜日

BOOK The Cambridge History of Judaism, Volume 6, The Middle Ages: The Christian World

The Cambridge History of Judaism
Volume 6, The Middle Ages: The Christian World
Edited by Robert Chazan (New York University)
Cambridge: Cambridge University Press, 2018

Contents
Introduction
by Robert Chazan

Part I - Jews in the Medieval Christian World

Chapter 1 - The Prior Church Legacy
by Robert Chazan
Chapter 2 - Medieval Church Doctrines and Politics
by Anna Sapir Abulafia
Chapter 3 - Mutual Perceptions and Attitudes
by David Berger
Chapter 4 - Byzantium
by Nicholas De Lange
Chapter 5 - Italy
by David Abulafia & Robert Bonfil
Chapter 6 - The Iberian Peninsula
by Yom Tov Assis & Mark Meyerson
Chapter 7 - Southern France
by Ram Ben-Shalom
Chapter 8 - Northwestern Europe
by Robert Chazan
Chapter 9 - Germany
by Alfred Haverkamp
Chapter 10 - Northeastern Europe
by Nora Berend

Part II - Social and Institutional History
Chapter 11 - The Sources
by Ephraim Shoham-Steiner
Chapter 12 - Demography and Migrations
by Michael Toch
Chapter 13 - Economic Activities
by Michael Toch
Chapter 14 - Communal and Religious Organization
by Jeffrey Woolf
Chapter 15 - Schools and Education
by Ephraim Kanarfogel
Chapter 16 - Annual Cycle and Life Cycle
by Elisheva Baumgarten
Chapter 17 - The Family
by Elisheva Baumgarten

Part III - Spiritual and Intellectual History
Chapter 18 - The Sources
by Daniel J. Lasker
Chapter 19 - Languages and Translations
by David M. Bunis & James T. Robinson
Chapter 20 - Book Production
by Malachi Beit-Arie
Chapter 21 - Bible Studies
by Martin Lockshin
Chapter 22 - Talmudic Studies
by Ephraim Kanarfogel
Chapter 23 - Jewish Law
by Alyssa M. Gray
Chapter 24 - Liturgy and Piyut
by Stefan C. Reif & Elisabeth Hollender
Chapter 25 - Philosophy
by Mauro Zonta
Chapter 26 - Science and Medicine
by Gad Freudenthal
Chapter 27 - Mysticism
by Elliot R. Wolfson
Chapter 28 - Belles-Lettres
by Jonathan P. Decter
Chapter 29 - Polemics
by Daniel J. Lasker
Chapter 30 - Historiography
by Eva Haverkamp
Chapter 31 - Material Culture and Art
by Katrin Kogman-Appel

Suggested Readings
Index

Book Description
Volume 6 examines the history of Judaism during the second half of the Middle Ages. Through the first half of the Middle Ages, the Jewish communities of western Christendom lagged well behind those of eastern Christendom and the even more impressive Jewries of the Islamic world. As Western Christendom began its remarkable surge forward in the eleventh century, this progress had an impact on the Jewish minority as well. The older Jewries of southern Europe grew and became more productive in every sense. Even more strikingly, a new set of Jewries were created across northern Europe, when this undeveloped area was strengthened demographically, economically, militarily, and culturally. From the smallest and weakest of the world's Jewish centers in the year 1000, the Jewish communities of western Christendom emerged - despite considerable obstacles - as the world's dominant Jewish center by the end of the Middle Ages. This demographic, economic, cultural, and spiritual dominance was maintained down into modernity.

Website of the Cambridge History of Judaism
https://www.cambridge.org/core/books/cambridge-history-of-judaism/3407B39B6C4F921F2FA8C265032A415B

Published in the Cambridge History of Judaism Series
Volume 1, Introduction: The Persian Period
Volume 2, The Hellenistic Age
Volume 3, The Early Roman Period
Volume 4, The Late Roman-Rabbinic Period
Volume 6, The Christian World
Volume 7, The Early Modern World, 1500-1815
Volume 8, The Modern World, 1815-2000

2018年10月16日火曜日

第2回京都ユダヤ思想学会関東大会

第2回 京都ユダヤ思想学会関東大会

2018年10月27日(土) 9:30-17:15
慶應義塾大学日吉キャンパス・来往舎

1) 聖書翻訳合評会(9:30-12:00)
堀川敏寛著『聖書翻訳者ブーバー』(新教出版社)評者:田島卓(国際基督教大学)
加藤哲平著『ヒエロニュムスの聖書翻訳』(教文館)評者:新免貢(宮城学院女子大学)

2) ジェラール・ベンスーサン特別講演(13:30-15:00)
「野生の、盲目の、無際限の存在」シェリング論(フランス語/日本語:日本語訳配布、一部通訳有)

3)ゲオルク・ジンメル没後100周年記念シンポジウム(15:15-17:15)
小野文生(同志社大学)「生と社会をめぐる〈かたち〉と〈あいだ〉の思想——ブーバーとジンメル」
合田正人(明治大学)「ジンメルにおける貨幣と社会」
廳 茂(神戸大学)「ユダヤ人としてのゲオルク・ジンメル問題」
深澤英隆(一橋大学)「脱伝統の可能性と不可能性——ジンメル宗教論の諸相」

主催:京都ユダヤ思想学会
後援:慶應義塾大学教養研究センター

公式HP
https://sites.google.com/site/kyotojewish/



シンポジウム「ソ連・東欧のホロコースト」

シンポジウム
ソ連・東欧のホロコースト

2018年10月28日(日) 午前9時30分開場
会場 早稲田大学戸山キャンパス36号館6階 681教室 (10時〜18時)

シンポジウム・プログラム
1) 10:00~12:30 「ソ連におけるホロコースト」(日本語による報告)

1 重松尚(東京大学)
リトアニア人行動主義戦線の反ユダヤ主義—ブロニース・ライラの思想と活動
2 野村真理(金沢大学)
ミンスク・ゲットーの抵抗運動—成果と限界
3 髙尾千津子(東京医科歯科大学)
ウクライナ・ユダヤ民族地区の絶滅—独ソ戦期の<隣人の証言>

  休憩 
2) 13:30~18:00   The Holocaust in Eastern Europe (英語による報告)

1- The Holocaust and its Aftermath in Poland

・Katarzyna Person (Jewish Historical Institute in Warsaw, Poland)
Acculturated Jews during the Holocaust and Postwar Polish-Jewish relations

・Haruka Miyazaki(Hokkaido University of Education, Hakodate)
Nationalism and Catholic Images in Afterwar Poland:

Discussant: Taku Shinohara (Tokyo University of Foreign Studies)
Chair: Ayaka Takei (Gakushuin Women’s College)

2- The Holocaust and Genocide

・Anton Weiss-Wendt  (Center for the Study of the Holocaust and Religious Minorities, Oslo, Norway)
Mass Murder by Design: The Nazi Treatment of Jews and Roma Compared

・Takumi Ide (Rikkyo University)
Persecution of Roma in the Slovak State: Comparison with the Case of Jews

Discussant: Hiromi Komori (Waseda University)
Chair: Taro Tsurumi (University of Tokyo)

主催 科研基盤(B)「ソ連・東欧におけるホロコーストの比較研究」
共催 日本ユダヤ学会・東欧史研究会






2018年9月25日火曜日

日本ユダヤ学会 第15回学術大会

日本ユダヤ学会
第15回学術大会

日時 10月27日(土) 12:30~15:30
会場 学習院女子大学 7号館737教室  副都心線西早稲田駅より徒歩5分

<学術大会プログラム>
12:30-12:35
学術大会開催のご挨拶 (本学会理事長 市川裕)

12:35-13:05
1 李美奈(東京大学大学院)
「異教徒共通法から自然法へ 17世紀ヴェネツィアにおける変化の一段階」
17世紀ヴェネツィアのラビ、シモーネ・ルッツァートは『ユダヤ人の社会的立場についての議論』において、ユダヤ教を2つの側面に分け、ユダヤ教の特殊な儀礼を自発的にユダヤ人のみに守られる法、普遍的な倫理についてはユダヤ人が積極的に異教徒と共有する法とした。ただし社会の個人を結びつける絆としては前者が優先される。本発表ではユダヤ教の伝統にある異教徒との共通の戒律と、キリスト教社会で発達した自然法の流れとから、この思想を近代初期の歴史に位置付けることを試みる(司会:牧野素子会員)
13:05-13:20  質疑応答

13:20-13:50
2 向井 直己 (京都大学特定研究員)
「レオポルト・ツンツと初期ユダヤ学の(諸)展望」
2018年は、レオポルト・ツンツの『ラビ文献について』公刊から200年を数える節目の年にあたる。これを機として、毀誉褒貶著しい初期ユダヤ学(Wissenschaft des Judentum)の取り組みについて、改めて考える機会を設けたい。ベルリンの「文化・学術協会」やツンツのユダヤ学構想に重心を置きつつも、ユダヤ文化の研究が知的産業として成立する(1840年代〜)以前の研究者たちの知的挑戦を概観しつつ、地域的・文化的多様性に配慮し、彼らが展望し得たユダヤ文化の姿、それが惹起した対立についてパノラマ的な見取り図を提示することが、本発表での目標である。(司会:大内宏一会員)
13:50-14:05 質疑応答

14:05-14:20 休憩

14:20-14:50
3 天野優(同志社大学大学院)
「20世紀初頭イラクのユダヤ系知識人とアラビア語文芸誌」
イギリス委任統治期を経て一定の独立を果たしたイラクでは、ユダヤ系を含む多様な宗教的背景を持つ西洋式教育を受けた中流階級の知識人らが、より包括的かつ世俗的な社会の実現を目指し議論していた。本発表では、20年代から30年代にかけてユダヤ系知識人らによって正則アラビア語で書かれた文芸誌及びその編集出版において重要な役割を果たしたユダヤ人、アンワル・シャーウール(1904-1984)を取り上げ、当時イラクのユダヤコミュニティで見られた多様なアイデンティティの萌芽の一側面を提示する。(司会:鶴見太郎会員)
14:50-15:05  質疑応答

15:05-15:35
4 村井華代(共立女子大学文芸学部)
「ハビマ、ブーバー、『ユダヤ的ドラマ』」
2018年は、現在イスラエル国立劇場となっている劇団「ハビマ」創立100年に当たる。モスクワで旗揚げの後、1926年に世界ツアーに出発したころ、ハビマのレパートリーは『ディブック』などユダヤ世界を描いた数篇しかなかった。彼らが非ユダヤ劇を上演するようになったのはツアー中の1930年、シェイクスピア『十二夜』においてだったが、これには新生ヘブライ語劇場が選ぶべき道についてのマルティン・ブーバーのヴィジョンが深く関係している。
本発表では、ブーバーがパレスチナの新たな「ユダヤ的ドラマ」をいかに想定したか、近年テルアビブ大学演劇アーカイブで発見された資料を基に考察する。(司会:母袋夏生)
15:35-15:50 質疑応答

・・・・学術大会後、ヨナタン・メイール氏講演会が開催されます・・・

ヨナタン・メイール氏講演会(対談形式)
日時:2018年10月27日 16:15~18:00
会場:学習院女子大学 7号館734教室
ヘブライ語通訳及びディスカッサント:山本伸一氏
 (講演は両先生の対談形式で、ヘブライ語と日本語で行われます)

講演題目:The Significance of the Sabbatian Movement: G. Scholem’s Unpublished Lecture

講演概要:History of the Sabbatian Movement was the first attempt by one of the giants of scholarship on Jewish mysticism, Gershom Scholem (1897-1982), to present a comprehensive picture of Sabbatianism as a single narrative. The book, edited by Schinichi Yamamoto and Jonatan Meir,  is based on the series of lectures given at the Hebrew University during 1939-1940, which are of special importance in that they laid the foundation for all of Scholem’s research in the years to come, including his extensive monograph Sabbatai Sevi: the mystical Messiah, 1626-1676, first published in 1957. What follows is a sketch of the massive History of the Sabbatian Movement, over which Gershom Scholem toiled his whole life. The lectures are presented here for the first time based on the original manuscript.
We will talk about the importance of Scholem's Lectures and about the state of research this days.

 17:45~18:00 自由討論


ヨナタン・メイール
ヨナタン・メイール Jonatan Meir。ベングリオン大学(ネゲブ)教授。近代ユダヤ思想を専門とし、東欧ユダヤ史、ユダヤ神秘主義、ユダヤ啓蒙主義、現代カバラーなど幅広い研究を行う。最近の著書に、『想像のハシディズム:ヨセフ・パールによる反ハシディズム文学』(2013)、『文学におけるハシディズム:ミハエル・レヴィ・ロドキンソンの生涯と作品』(2016)、『エルサレムのカバリスト団体:1896-1948』(2016)などがある。


2018年9月21日金曜日

【中止決定!】公開シンポジウム:宗教的実践知の獲得・伝授と教育

【9/28更新 中止決定! 台風接近のため】

公開シンポジウム
宗教的実践知の獲得・伝授と教育

2018年9月30日(日) 13時ー18時
東京大学本郷キャンパス
国際学術総合研究棟 文学部3番大教室

13:00-13:10
趣旨説明 市川裕(東京大学教授)

13:10-13:55
土居由美(東京大学博士研究員)
「古代ギリシャ・ローマ世界における教育とキリスト教—「女性と初期キリスト教」を手掛かりとしてー」

14:05-14:50
上村静(尚絅学院大学教授)
「古代ユダヤ教における学びー聖典制定とその教育ー」

15:10-15:55
中西恭子(東京大学博士研究員)
「古代末期の宗教的実践知としての修徳思想ーキリスト教と女性の場合ー」

16:05-16:50
嶋田英晴(國學院大學非常勤講師)
「中世イスラーム下のユダヤにおける初等教育」

17:00-18:00
質疑応答

予約不要・入場無料・一般来聴者歓迎



2018年7月20日金曜日

日本ユダヤ学会例会 志田雅宏「ナフマニデス(1194ー1270)とキリスト教世界」

日本ユダヤ学会
例会


日時 2018年9月29日(土) 15:00-18:00
会場  学習院女子大学2号館235教室
報告者 志田 雅宏(日本学術振興会特別研究員)
論題 「ナフマニデス(1194-1270)とキリスト教世界」

概要 13世紀カタルーニャのユダヤ人学者ナフマニデス(モシェ・ベン・ナフマン)と、彼の聖書解釈について報告する。とりわけ、キリスト教やキリスト教徒についての描写、また実際のキリスト教徒との宗教論争を通じて、ナフマニデスが当時のキリスト教世界とどう向きあっていたのかというテーマを考察したい。

日本ユダヤ学会公式サイト

Symposium (Hebrew University & CISMOR Doshisha University) Judaism in Modern Era-Interpretative Studies of Ancient and Current Texts

同志社大学一神教学際研究センターとエルサレム・ヘブライ大学人文科学部は、共催で第3回ユダヤ研究シンポジウムを開催します。

日時:2018年8月19日(日)8:30-18:00
場所:エルサレム・ヘブライ大学
テーマ:"Judaism in Modern Era-Interpretative Studies of Ancient and Current Texts"

CISMOR公式サイト
http://www.cismor.jp/jp/lectures/judaism-in-modern-era-interpretative-studies-of-ancient-and-current-texts/

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【プログラム】
8:30-8:40 Opening words – Ada Taggar-Cohen, Director of CISMOR
Greetings by Prof. Uzi Rebhun, Vice Dean of the Humanities

■Chair: Zev W. Harvey
8:40-9:10 Paul Mendes-Flohr, “Jewish Studies in Historical Perspective”
9:10-9:40 Kotaro Hiraoka, “Martin Buber’s Reception of Hassidism”
9:40-10:10 Fumio Ono, “Religious Anarchism and Bipolarity in the Thought of Martin Buber”
10:10-10:40 Masato Goda, “On Spinoza’s ‘Abrégé de grammaire hébraïque’”
10:40-10:50 Break

■Chair: Paul Mendes-Flohr
10:50-11:20 Joel Swanson, “Speech and Silence: Two Modern Readings of Psalm 115”
11:20-11:50 Tetsu Kitamura, “The Lack of ‘Zion’ in the Book of Ezekiel”
11:50-12:20 Ada Taggar-Cohen, “Religious prohibitions in the Bible and Hittite Cultures: What does “Holiness” mean in Both Cultures?”
12:20-13:30 Lunch Break

■Chair: Kotaro Hiraoka
13:30-14:00 Zev W. Harvey, “Maimonides and Bialik on Spoken Hebrew”
14:00-14:30 Anri Ishiguro, “Progress and Ambiguities: Kaufmann Kohler’s Vision for Jewish Women and Zionism during the Transitional Period of the Reform Movement”
14:30-15:00 Yu Amano, “Western Influence on Jewish Intellectuals in Iraq”
15:00-15:10 Break

■Chair: Fumio Ono
15:10-15:40 Tzvi Schoenberg, “Language and Ordinary Experience in Early Hasidism: Preliminary Remarks”
15:40-16:10 Ori Werdiger, “Secularism According to two 20th Century Jewish Mystics: A. I. Kook’s and Léon Askenazi’s Explications of a Talmudic Tale narrating the Rabbinic Victory Over Idolatry”
16:10-16:40 Moses Lapin, “What is Medieval Political Philosophy? Our Averroes and Averroes’ Plato”
16:40-17:10 Orr Scharf, “Hermann Cohen's Reading of the Sinai Revelation: Between Observance and Remembrance”
17:10-17:40 David Cohen, “A World Founded on Chesed; the Source and Content of the Ethical-Halachic Life”
17:40-17:50 Closing Remarks

18:30 – Dinner


CISMORセミナー&ワークショップ Emanuel Tov, The Biblical Dead Sea Scrolls as Representing Variety in Judaism and Early Christianity

【第16回CISMORセミナー&ワークショップ開催のお知らせ】

以下のとおり第16回CISMORセミナー&ワークショップを開催いたします。

日時:2018年10月6日(土)13:30-17:30
場所:同志社大学今出川キャンパス 至誠館3階会議室
講師:エマニュエル・トーヴ(エルサレム・ヘブライ大学聖書学科・名誉教授)
テーマ:The Biblical Dead Sea Scrolls as Representing Variety in Judaism and Early Christianity

[プログラム]

■セミナー
13:30 - 13:35 挨拶     CISMORセンター長
13:35 - 14:20 講義     エマニュエル・トーヴ
14:20 - 15:00 質疑応答

■ワークショップ 15:30 - 17:30
【発表者】
加藤哲平/大澤香/北村徹/大澤耕史

CISMOR公式サイト
http://www.cismor.jp/jp/lectures/the-biblical-dead-sea-scrolls-as-representing-variety-in-judaism-and-early-christianity/

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The 16th CISMOR Seminar

Date: October 6, 2018
Time: 13:30-17:30
Venue: Meeting room, 3rd floor, Shisei-kan, Imadegawa Campus
Lecturer: Emanuel Tov (Judah Leib Magnes Professor, Emeritus Department of Bibile, Hebrew University of Jerusalem)
Theme:The Biblical Dead Sea Scrolls as Representing Variety in Judaism and Early Christianity

[Program]
■Seminar
13:30 - 13:35 Opening Remarks  Director of CISMOR
13:35 - 14:20 Lecture       Emanuel Tov
14:20 - 15:00 Discussion6

■Workshop 15:30 - 17:30
Presentations regarding the Dead Sea Scrolls by young scholars

Dr. Teppei Kato “Ancient Chronography on Abraham's Departure from Haran: Rewritten Scriptures, Josephus, Rabbinic Literature, and Jerome”
Dr. Kaori Ozawa “Angels in Dead Sea Scrolls”
Dr. Tetsu Kitamura “Ezekiel in the Dead Sea Scrolls”
Dr. Koji Osawa “Dead Sea Scrolls and Other Biblical Interpretations concerning the Golden Calf Story”

※Language: English only, No interpretation


2018年7月13日金曜日

ユダヤ式ライフコーチング

ユダヤ式ライフコーチング
講師Tsvi Sadan(佐々木嗣也)氏 エルサレム在住

ホームページ
http://jewishlifecoaching.net/
「はじめに」より
本日開設したこのウェブサイトに併設したこのブログでは、ユダヤ式ライフコーチングを日本(語話者)の皆様にももっと知っていただくために、その理論と実践、それを支える(ハシディズム流)ユダヤ式心理学、それらの基礎となるユダヤ流人生の知恵などを週替わりで少しずつご紹介していく予定です。年月を重ねると共に、ブログが全体としてユダヤ式ライフコーチングに関する日本語による連想的データバンクのようなものにでも発展して行くことができればと願っております。ゆくゆくは、このブログを元にしてユダヤ式ライフコーチングについての啓蒙書・実用書として日本語でまとめあげることができれば、さらに願ったり叶ったりです。

佐々木氏によるブログ
http://jewishlifecoaching.net/blog/

The XIth Congress of the EAJS 2018 Krakow

The XIth Congress of the European Association for Jewish Studies 
the Institute of Jewish Studies, Jagiellonian University, Kraków
15-19 July 2018

Top page of the Congress (in the Official Website of EAJS)
http://www.eajs2018.uj.edu.pl/en

Programme
http://www.eajs2018.uj.edu.pl/en_US/programme

2018年6月21日木曜日

NEWSLETTER: KAKEHASHI Project 2018, Visiting Program to Boston and New York by Japanese Jewish Studies Researchers

NEWSLETTER

KAKEHASHI Project 2018
Visiting Program to Boston and New York by Japanese Jewish Studies Researchers, 18-24, March 2018

Newsletter (PDF, 8 pages, in English)

See also: Newsletter on Kakehashi Project 2019 (update:2019/08/14)
http://alderekhhaemet.blogspot.com/2019/08/newsletter-kakehashi-project-2019.html








2018年6月15日金曜日

京都ユダヤ思想学会第11回学術大会

京都ユダヤ思想学会
第11回学術大会

日時:2018年6月23・24日
会場:同志社大学烏丸キャンパス志高館 SK112 教室

公開シンポジウム
■シンポジウム企画趣旨
「ヘルマン・コーエンにおけるユダヤ教――倫理・政治・科学」

合田正人(第11回学術大会シンポジウム企画者/本学会会長)
2018年は、ドイツで活躍した二人のユダヤ人哲学者の没後100年にあたる。ヘルマン・コーエン(Hermann Cohen)とゲオルク・ジンメル(Georg Simmel)である。京都ユダヤ思想学会ではぜひともこれら二人の哲学者をめぐるシンポジウムを開催したいと考えているが、2018年6月23日開催予定の学術大会ではヘルマン・コーエンをまず取り上げる。
コーエンはアンハルト=ベルンブルク侯国のコースヴィヒに1842年7月14日にシナゴーグの先唱者の息子として生まれた。幼少期からブレスラフの神学校でラビになるための学習を開始するが、ラビになるという計画を放棄して、ブレスラウ大学およびベルリン大学で哲学を学び、1865年にハレ大学で博士号を取得。1876年から1912年までマールブルク大学で教鞭を執り、マールブルク学派と呼ばれる新カント派の学派の生みの親となった。退官後はベルリンの「ユダヤ教学高等学院」(Hochschule für die Wissenschaft des Judentums)でユダヤ教を講じた。
西田幾多郎や田辺元の著述を見ると、明治末期から大正前半にかけてコーエンがこれら日本の哲学者たちにとって極めて重要な存在であったことが分かる。だが、現象学の興隆と共にコーエンは忘却されていった。ジル・ドゥルーズ『差異と反復』(1968年)での微分の哲学をめぐる考察、1988年ジャック・デリダがエルサレムで行った講演Interpretatios at war : Kant, the Jews, the Germanに触発されて、近年、コーエンを語る若干の論者が現れたとはいえ、コーエンという哲学者の全体像に迫る研究者はまだ本邦にはなく、また、『ユダヤ教論考』全三巻(Jüdische Schriften, 1924)、『ユダヤ教を典拠とした理性の宗教』(Religion der Vernunft aus den Quellen des Judentums, 1919)の邦訳もまだ存在しない(後者については本学会員の村岡晋一氏による翻訳が進行中である)。このような状況のなかで、本シンポジウムでは、6名の発表者によっていわば多面体としてコーエンを捉え、それぞれの視点から、過去の哲学者としてではなく未発掘の哲学者としてコーエンを甦らせることをめざす。
Wissennschaft des Judentumsと呼ばれる学的運動が1820年代に始まったことはよく知られているが、それと併行して、「ユダヤ人問題」をめぐるバウアー、ヘス、マルクスらの考察が展開され、スピノザの弟子を自認するヘスの場合、それはシオニズムに行き着くことになる。まず、このような多重の動きとコーエンはどのように係わったのか。コーエンは一貫して反スピノザ、反シオニズムを唱え、ドイツとユダヤとの相乗的共生の可能性を信じ、「共にある人間」(Mitmenschen)という観念をもって倫理的社会主義とも言うべき立場を主張したが、それはどのようなものだったのか。
このようなコーエンの姿勢と彼のカント解釈はどのように関係しているのか。このカント解釈は微分ないし無限小分析となぜつながったのか。「ユダヤ教は宗教でさえない」と断じたカントの教説が、コーエンにあって「理性の宗教」としてのユダヤ教解釈に貢献したのはどのようにしてなのか。20世紀のドイツ・フランスでのユダヤ教ルネサンスとも呼びうる現象は、いずれもコーエンの思想との対話から生まれたと言っても決して過言ではない。フランツ・ローゼンツヴァイクは、レオ・シュトラウスは、そしてエマニュエル・レヴィナスはコーエンのうちに何を見たのか。また、どこでコーエンと袂を分かったのか。
これら数々の問いが交錯するなかで、ヘルマン・コーエンの生ける遺産が参加者各人のなかに様々な波紋を作り出すことを願うばかりである。

■大会プログラム
6 月23 日(土)
9:50 受付開始

【個人研究発表】
10:10-10:50 研究発表①「ゴーレム創造の歴史的変遷」
発表者:松浦翔子(京都府立大学他非常勤講師)
司会:向井直己(京都大学特定研究員)

10:50-11:30 研究発表②「日本軍政下の上海にユダヤ絶滅計画は存在したか(続)」
発表者:菅野賢治(東京理科大学)
司会:細見和之(京都大学) 

11:30-13:00 休憩(昼食)

【シンポジウム】「ヘルマン・コーエンにおけるユダヤ教――倫理・政治・科学」
13:00-13:50 会長基調講演「ヘルマン・コーエンのユダヤ教理解とその波紋」
合田正人(明治大学)19, 20世紀フランス・ドイツ思想、近代ユダヤ思想史
13:50-14:00  質疑応答
14:00-14:10  休憩

14:10-14:30 コメント①「「回帰」は現代の苦境を超えゆく処方箋たり得るか?」
石崎嘉彦(摂南大学名誉教授)政治哲学
14:30-14:50 コメント②「人間の哲学的発見 ―コーエンとローゼンツヴァイク―」
佐藤貴史(北海学園大学)ドイツ・ユダヤ思想史
14:50-15:10 コメント③「若きコーエンの哲学的出発点 ―『カントの経験の理論』以前の心理学的研究のもつ意味」
後藤正英(佐賀大学)思想史、宗教学
15:10-15:30 コメント④「京大田辺文庫における二冊のPrinzipについて」
林晋(京都大学)歴史学(思想史)、歴史社会学
15:30-15:50 コメント⑤「『ユダヤ教の源泉からの理性の宗教』における「理性の宗教」とは?」
村岡晋一(中央大学)ドイツ・ユダヤ思想、ドイツ観念論
15:50-16:05  小休憩
16:05-17:00  討議と質疑応答

17:05-17:50  総会
18:15      懇親会(芙蓉園:烏丸今出川の交差点から西に約20メートル)

6 月24 日(日)
9:50 受付開始

【個人研究発表】
10:10-10:50 研究発表③「ヘブライ語聖書における貯水穴בורの埋葬地としての役割」
発表者:新井雅貴(同志社大学神学研究科博士後期課程)
司会:勝村弘也(神戸松蔭女子学院大学名誉教授)

10:50-11:30 研究発表④「民話のなかのナフマニデス:神の名前の使い手」
発表者:志田雅宏(日本学術振興会特別研究員)
司会:平岡光太郎(同志社大学) 

11:30-13:00  休憩

13:00-13:40 研究発表⑤「ユダヤ教とキリスト教の自己認識とその境界 ―古代末期のシリアを中心に―」
発表者:大澤耕史(中京大学)
司会:手島勲矢(日本学術会議連携会員)

13:40-14:20 研究発表⑥「レヴィナスにおける彼性と主体の関係ならざる関係 ―ロジェ・ラポルトによる解釈との関連」
発表者:犬飼智仁(明治大学大学院文学研究科仏文専攻博士後期課程)
司会:藤岡俊博(滋賀大学)

14:20-15:00 研究発表⑦「構想される無限とその痕跡 ―カント『判断力批判』のデリダによる読解から」
発表者:長坂真澄(群馬県立女子大学)
司会:合田正人(明治大学)

京都ユダヤ思想学会公式ホームページ
https://sites.google.com/site/kyotojewish/



2018年5月23日水曜日

合評会:加藤哲平『ヒエロニュムスの聖書翻訳』・大澤耕史『金の子牛像事件の解釈史』

科学研究費補助金助成研究(基盤A)
「ユダヤ文献」の構成の領域横断的研究

加藤哲平『ヒエロニュムスの聖書翻訳』
+大澤耕史『金の子牛像事件の解釈史』合評会
(*6/12「科研プロジェクトからのコメント」に原稿(PDF)のリンクを貼りました)


「古代ユダヤ/キリスト教の伝承混交」のご案内

 律法の妥当性をめぐって、あるいはイエスの神性をめぐって、原理的な対立を孕む古代のユダヤ教とキリスト教――その指導者たちは、実際に人々を教え導こうとするとき、その対立をどこまで維持しえたでしょうか。
 この度、科研費助成研究「『ユダヤ文献』の構成の領域横断的研究」では、古代ユダヤ/キリスト教の曖昧な境界をつぶさにたどる加藤哲平氏、大澤耕史氏の近刊を取り上げつつ、様々な専門分野から評者を招いて合評会を催し、ヴァラエティに富んだ古代のオリエント世界を捉えなおす機会にしたいと考えています。
 当日は(株)教文館の協力により、関連書籍の展示販売も開催する予定です。参加費は無料、申し込みは不要です。皆様のお越しをお待ちしております。

 日時:2018年6月9日 14:00-18:00
 場所:東京大学本郷キャンパス
    国際学術総合研究棟 1F 文学部3番大教室
    (https://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_07_j.html)
 プログラム:
  第一部:加藤哲平『ヒエロニュムスの聖書翻訳』(教文館2018)
   著者による内容紹介
   コメント:戸田 聡 (北海道大学准教授)
        飯郷 友康 (東京大学非常勤講師)
  第二部:大澤耕史 『金の子牛像事件の解釈史』(教文館2018)
   著者による内容紹介
   コメント:武藤 慎一 (大東文化大学教授)
        阿部 望 (獨協大学非常勤講師)
  第三部:全体討論
   科研プロジェクトからのレスポンス(リンク先はPDF原稿)
   志田 雅宏 (日本学術振興会特別研究員(PD))
   全体討論

  (※各部の間に10分程度の休憩を挟みます。)

【著者略歴】
■加藤哲平:
 1984年生まれ。2013年同志社大学大学院博士後期課程退学。同年よりHebew Union College大学院博士課程。M.Phil. in Jewish Studies (Hebrew Union College,
2017)、神学博士(同志社大学、2017)。エルサレム・ヘブライ大学ロスバーグ国際校客員研究員、Xavier University(Cincinanati, OH)人文科学部非常勤講師を経て、現在、日本学術振興会特別研究員(PD)・同志社大学神学部嘱託講師。
 主要論文に”Jerome's Understanding of Old Testament Quotations in the New Testament," Vigiliae Christianae 67 (2013): 289-315; "Greek or Hebrew? Augustine and Jerome on Biblical Translation," in Studia Patristica 98: St Augustine and His Opponents, ed. Markus Vinzent (Leuven: Peeters, 2017), 109-19. 等。
■大澤耕史
 1984年埼玉県生まれ。2013年京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。人間・環境学博士(京都大学、2016)。エルサレム・ヘブライ大学ロスバーグ国際校客員研究員、日本学術振興会特別研究員、同海外特別研究員を経て、現在、中京大学国際教養学部助教。
 主要論文に“The Interpretations of the Golden Calf Story in Exodus 32 and a
New Possibility: A Comparison of Judaism with Syriac Christianity,” Proceedings of the 8th CISMOR Conference of Jewish Studies (2015), 86-94;”Jannes and Jambres: The Role and Meaning of Their Traditions in Judaism,” Frankfurter Judaistische Beitraege, vol. 37 (2012), pp. 55-73等。



2018年5月18日金曜日

講演会「ユダヤ啓蒙思想とメンデルスゾーン」(S・ファイナー、M・ゴットリープ)

「ユダヤ啓蒙思想とメンデルスゾーン」
―シュムエル・ファイナー氏、ミヒァ・ゴットリープ氏講演会 

「ユダヤ啓蒙思想とメンデルスゾーン」をテーマに、シュムエル・ファイナー氏(バルイラン大学教授、エルサレム・レオベック研究所所長)とミヒャ・ゴットリープ氏(ニューヨーク大学准教授)を招いて、下記の講演会を開催します。ファイナー氏はハスカラー研究で世界的に著名な学者であり、ゴットリープ氏はモーゼス・メンデルスゾーンや近代ユダヤ思想に関する中堅世代を代表する研究者です。皆さまのご来場をお待ちしております。

東京講演会 
日時:2018年7月1日(日) 13時30分~16時50分  
会場:東京大学(本郷キャンパス) 文学部3番大教室(国際学術総合研究練)
※赤門の近くの建物になります。

ファイナー氏講演
「ユダヤの伝統への挑戦 -18世紀ヨーロッパにおける楽しみ、文化変容、世俗化」Shmuel Feiner
Challenging Jewish Tradition: Pleasures, Acculturation and Secularization in 18th Century Europe
コメンテーター:向井直己(京都大学)

ゴットリープ氏講演
「モーゼス・メンデルスゾーンの現代性 ―マイノリティにとっての教訓」
Michah Gottlieb
Moses Mendelssohn Today: Lessons for Minorities
コメンテーター:市川裕(東京大学)

司会:後藤正英(佐賀大学) 通訳:ギブソン松井佳子(神田外語大)


京都講演会
日時:2018年7月8日(日) 13時30分~16時50分 
会場:同志社大学(烏丸キャンパス) 志高館1階SK118
※ 今出川キャンパスから今出川通沿いに少し北上したところにあります。

ゴットリープ氏講演
「モーゼス・メンデルスゾーン ―神話、歴史、宗教的寛容を求めるユダヤ教徒の闘い」
Shmuel Feiner
Moses Mendelssohn: The Myth, the History, and the Jewish Battle for Religious Tolerance  
コメンテーター:後藤正英(佐賀大学)

ゴットリープ氏講演
ドイツのユダヤ哲学が辿った二つの道:モーゼス・メンデルスゾーンとフランツ・ローゼンツヴァイク
Michah Gottlieb
Two Paths of German Jewish Philosophy: Moses Mendelssohn and Franz Rosenzweig
コメンテーター:細見和之(京都大学)

司会:小野文生(同志社大学) 通訳:ギブソン松井佳子(神田外語大)


使用言語は英語、講演原稿は日本語訳を配布、質疑応答は通訳が付きます。

主催:科研費・基盤研究(C)「モデレート啓蒙主義の再考―メンデルスゾーンにおける啓蒙と宗教の両立可能性」(代表者:後藤正英)
共催(東京講演会);東京大学人文社会系研究科 市川裕研究室、日本ユダヤ学会
共催(京都講演会):京都ユダヤ思想学会


2018年5月7日月曜日

宗教史学研究所第67回研究会

宗教史学研究所
第67回研究会

日時:2018年6月30日(土) 13:00-18:00
場所:東洋英和女学院大学大学院201教室

12:30 受付開始

13:00-14:30 発表1 細田あや子(新潟大学)
「メソポタミアの儀礼で用いられる小像」
<概要> 文献資料と考古学資料から、前 1 千年紀、新アッシリア時代の王の宮殿や個人住宅の基礎部分に神や動物などの小像が埋められていたことが知られている。それらは建物の入り口や門の下に埋められており、なかには「悪よ、退け」「福よ、来たれ」といった文言が刻まれているものがある。このようなことからこれらの小像は、外部からの悪、疾病、敵などが室内に侵入しないようにする防御の意味や、家内安全を祈願する働きをもっていたと考えられる。これらの小像は、アーシプという職能者により、粘土やタマリスクの木などを用いて作られた。メソポタミアにおいて、アーシプの機能は儀礼の執行や病気治しなどさまざまな分野に及ぶ。そのアーシプの働きの一つとして、本発表では、アミュレット(護符)の制作とそれに関する儀礼を取り上げる。アーシプが制作した像がいかにして、人間から悪や疾患を遠ざけ、家の安泰を導く役目を持っていたか、建築内部と外部との境界をどのように仕切っていたのか、儀礼のコンテクストに着目して考察する。神々や、犬や蛇の動物、あるいは混成動物などの Mischwesen をかたどった小像の種類や分類にも注目する。

14:30-14:40 休憩

14:40-16:10 発表2 宮嶋 俊一(北海道大学)
「現代における物的宗教論をめぐって」
<概要> 宗教の物質性に着目した研究が盛んである。マシュー・エンゲルケはその論考において「あらゆる宗教は物質宗教である。あらゆる宗教は、物質性を伴った媒介(メディア)との関連において理解されなければならない。そこには必然的に、宗教的な事物、行為、言語の考察が含まれるが、それらはあっという間に視界や音声から消え去り、雲散霧消するとしても、やはり物質的であるのだ」と述べている。また、ブリュノ・ラトゥールは、物神崇拝について次のように論じている。近代人は物神崇拝(フェティシズム)を批判してきたが、それは被製作性(人間性、内在性)と聖性(神性、超越性)が矛盾すると考えられてきたからだ。しかし、製作と超越は矛盾しないし、近代人もまた超越的なものを大量に製作しているのだ、と。古典的な宗教現象学もやはり事物の宗教性に着目してきた。物質の持つ宗教性をエリアーデは聖と俗の弁証法という形で説明し、ハイラーは同心円的方法においてそれを宗教の対象世界と呼んだ。本発表ではそうした古典的な宗教現象学の成果と今日の物質宗教論を比較し、その意義や可能性について考察を加えたい。

16:10-16:20 参加者自己紹介

16:20-16:30 休憩

16:30-18:00 発表3 林 淳(愛知学院大学)
「近代仏教史における「媒介者」―仏教的知識人の登場―」
<概要> 21世紀になり、近代仏教の研究が、一つのブームになった。近代仏教をテーマにした書籍や論文が多く出されて、近代仏教にかかわるシンポジウムやパネルが、日本宗教学会などで目立つようになった。本発表は、そうした成果をふまえ、近代仏教を総体的に理解することを試みたい。私は「仏教的知識人」という用語を造語し、近代以前の仏教と近代以後の仏教の相違点を論じたいと考える。それでは、仏教的知識人とは誰か。前近代では、僧侶は、書籍を読み、文字を書くことができる知識人層であった。彼らの知識の源泉は、漢文で書かれた経論や漢籍にあった。近代の仏教的知識人は、浄土真宗の寺院に生まれたり、一度は出家したりしながらも、僧侶の伝統的な生き方を選択せず、西洋の言語や学術を修得し、教育、学術、言論などの分野で活躍した。彼らは、僧侶とは異なる方法で仏教を語ることができた。彼らの特徴は、政治、教育、言論などの諸領域と仏教界との「媒介者」であったところにある。近代仏教史は、こうした媒介的な知識人を必要としていたと見ることはできる。

2018年5月4日金曜日

日本ユダヤ学会公開シンポジウム「古代後期のユダヤ教研究の諸相:3つの視点から」

日本ユダヤ学会公開シンポジウム
「古代後期のユダヤ教研究の諸相:3つの視点から」

日時:2018年5月26日(土)14:00-17:50
会場:学習院女子大学 2号館 237教室

14:00-14:10 開会のあいさつ:市川裕(東京大学教授)

14:10-14:50 上村静(尚絅学院大学教授)
「クムランと死海文書:神殿時代末期のユダヤ社会の同時代史的視点から」
バビロン捕囚を経て神殿再建とモーセ五書の成立があり、ユダヤ教が再確立されたかに見えたが、ヘレニズム時代に入り、ユダヤ教内部は分裂の様相を高めていく。そうした中から生まれてきたのがクムラン共同体であり、彼らの存在を露わにしたのが20世紀最大の考古学的発見と言われる死海文書である。本シンポジウムでは、死海文書の大まかな内容とその古代ユダヤ研究における意義について論ずる。

15:00-15:40 市川裕(東京大学教授)
「神殿とシナゴーグ:ラビ・ユダヤ教への宗教史的視点から」
2016年8月、イスラエル北部ガリラヤ地方の遺跡テル・レヘシュで、日本の発掘隊により発見された西暦1世紀のシナゴーグ遺構の宗教史的意義を考える。エルサレム第二神殿時代末期に、ユダヤ社会が神殿儀礼以外にどのような宗教的要素を備えた文化を形成していたかを明らかにして、神殿崩壊後のラビ・ユダヤ教共同体への展開を宗教史的にたどって、文化の連続性と断続の問題を論じる。

15:50-16:10 休憩

16:10-16:50 中西恭子(東京大学研究員)
「ローマ帝国とユダヤ教:古代ローマ史の視点から」
キリスト教の公認宗教化以後、ローマ帝国の宗教政策は親キリスト教的傾向を深めてゆく。この状況のなかでキリスト教ではない宗教はいかに生き延びたのだろうか。本シンポジウムでは、古代末期のローマ帝国における非キリスト教徒のおかれた状況を紹介し、法典史料にみられる非キリスト教徒対策立法のなかの対ユダヤ人立法の内容とその宗教史的意義について考察する。

16:50-17:50 全体討議

2018年2月21日水曜日

シンポジウム:イスラエル新出土シナゴーグから一神教の宗教史を見直す

シンポジウム
イスラエル新出土シナゴーグから一神教の宗教史を見直す

2018年3月2日(金)13:00-18:00
東京大学本郷キャンパス 法文1号館 113教室
(東京メトロ 丸の内線 本郷三丁目駅/南北線 東大前駅下車 徒歩7分)

発表
13:00-13:45 市川 裕 (東京大学教授)
 神殿時代のイスラエルの地のシナゴーグの意義

13:45-14:30 土居 由美 (東京大学研究員)
 原始キリスト教徒はどの程度にユダヤ教徒だったか

14:45-15:30 勝又 悦子 (同志社大学准教授)
 古代パレスチナのシナゴーグ指導者層
  ―ラビ文献のシナゴーグ美術を通して―

15:30-16:15 中西 恭子 (東京大学研究員)
 帝政後期ローマの「一神教的異教徒」たち
  ―「ローマ帝国のキリスト教化」を生きのびるユダヤ教徒―

コメント
16:30-16:45 江添 誠 (慶応義塾大学非常勤講師)
16:45-17:00 佐藤 研 (立教大学名誉教授)

17:00-18:00
 総合討論


2018年2月18日日曜日

シンポジウム:『クザリ』

公開シンポジウム
『クザリ』
――文学・哲学的創造とその伝承――

 初期中世、コーカサスを中心に一大勢力を誇ったハザール王国と、その王侯のユダヤ教への改宗譚は、とりわけアーサー・ケストラーの『第一三支族』の出版(1976)以降、よく知られるようになりました。先行研究を利用しつつ、彼が小説という形で大衆に提示したロマンティックなイメージ――「アシュケナージ・ユダヤの起源としてのハザール王国」は、幾たびとなく情緒を孕んだ論争の火種となってきました。
 一方で、ユダヤ文献における伝統的なハザール王国のイメージを代表するのは、イェフダ・ハレヴィ(c. 1075 - 1141)の『侮られた宗教についての論駁と論証の書』――通称『クザリの書』です。異教の王とその臣下のユダヤ教への改宗の物語は、ここでは異教に、異端に、そして哲学に対するラビ・ユダヤ教の伝統の立場表明という枠組みを通じて新しく語りなおされ、批判も孕みつつ、ユダヤ社会を越えて読み継がれていきます。
 今回のシンポジウムでは、この書物の内実について改めて振り返るとともに、それが伝承され、後代のユダヤ文献を形作っていく過程を追跡したいと考えております。
皆様のご来場をお待ちしております。
(※参加費無料・事前申し込み不要です。)

日時: 2018年3月10日(土) 13:00-18:00
場所: 東京大学 法文一号館219教室
     (http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_01_j.html)

プログラム:
13:00-13:15 趣旨説明
13:15-14:00 根本 豪 (エルサレム・ヘブライ大学修士課程)
「理性の前の宗教 クザリとその射程」

14:00-14:45 飯郷 友康 (東京大学非常勤講師)
「近世におけるクザリ受容の一例」
  ―――(休憩)―――

15:00-15:45 長塚 織人 (東京大学博士課程)
「ユダヤスペイン語文学における対話と弁証――アブラハム・カポンの親スペイン的小品を例に」

15:45-16:05 コメント① 山城 貢司(日本学術振興会特別研究員PD)
16:05-16:25 コメント② 向井 直己(京都大学特定研究員)
  ―――(休憩)―――

16:45-17:45 全体討論



2018年2月13日火曜日

公開講演会「ポスト=トラウマ時代:イスラエルと日本」

東海大学文明研究所・公開講演会

ポスト=トラウマ時代:イスラエルと日本

ヨハイ・アタリア(イスラエル、テル=ハイ・カレッジ上級講師)
通訳・解説 山城貢司(日本学術振興会特別研究員PD/東京大学)

2018年3月27日15:30-17:20
東海大学湘南校舎 19号館3階307室(ミーティングルーム4)

講演要旨
本講演の第一部では、今日我々が生きている社会を「ポスト=トラウマ的社会」と定義できるかどうか明らかにしたい。この論点の検討において、日本とイスラエルは、決定的な位置を占めていると思われる。「アウシュヴィッツ」と「ヒロシマ」−−それが起きたことで、「人間」の概念が意味を失ってしまった「出来事」−−は、各々独自の仕方で、文化の中のブラックホールを形成している。続いて講演の第二部では、「行動化」と「徹底操作」という二つの基礎概念に焦点を定め、イスラエルと日本が、それぞれ似て非なる仕方で、第二次世界大戦の顚末とどのように向き合っているかを見定めたい。イスラエルが、究極の生贄という意識状態の中で「身動きが取れなくなっている」一方、日本は、加害者であったと同時に犠牲者でもあった過去の記憶とのより複合的な対話を続けている。
(*講演は英語で行われ、セクションごとに日本語での要約が補足されます)

講師紹介
ヨハイ・アタリア(Yochai Ataria)
テル=ハイ・カレッジ上級講師、オープン・ユニバーシティ研究員。トラウマに関する理論的・経験的・哲学的論文多数。複数の編著あり。近著に、The Structural Trauma of Western Culture (Palgrave Macmillan, 2017)。また、Body Disownership in Complex Post-Traumatic Stress Disorder が来年刊行予定。




2018年1月15日月曜日

Vladimir Levin氏講演会「東欧におけるシナゴーグ:建築を超えて」

Vladimir Levin氏講演会
「東欧におけるシナゴーグ:建築を超えて」開催のお知らせ

日時:2月12日(月・祝)15:00-18:00
場所:東京大学駒場Ⅰキャンパス2号館3階308会議室
(目黒区駒場3-8-1)

このたび、エルサレム・ヘブライ大学ユダヤ芸術センターより、
ヴラディーミル・レヴィン氏をお招きし、
ロシア東欧地域におけるシナゴーグに関するご講演をいただきます。
レヴィン氏は20世紀初頭のロシア帝国における、
宗教勢力を含むユダヤ政治に関する研究で
博士号(ヘブライ大学)を取得されており、当該地域の歴史的文脈の中で、
ユダヤ教における物理的中心であるにもかかわらず、
ほとんど研究がないシナゴーグに関してお話しいただきます。
使用言語は英語ですが、質疑応答時には簡単な通訳が可能です。


2018年1月14日日曜日

宗教史学研究所第66回研究会

宗教史学研究所
第66回研究会

日時: 2018 年 1 月 20 日(土) 13:00-18:00
場所: 東洋英和女学院大学大学院201 教室
(港区六本木 5-14-40、国際文化会館向かい側)、

プログラム

12:30 受付開始
13:00-14:30
 発表1 土井 裕人(筑波大学人文社会系助教)
「プロクロスにおける「媒介するモノ」としての魂の乗り物」
<概要>
「媒介するモノ」について考える場合、「モノ」と「モノならざるもの」をめぐって長く探究を続けてきた西洋哲学に目を向ける意味があるのは言を俟たないだろう。とりわけプラトンやその系譜に属する思想において、知的対象たるモノならざるものと感覚対象たるモノとの架橋がいかになされるかは、極めて重要な問題として長年議論されてきた。
本発表が取り上げる西洋古代哲学末期の新プラトン主義者プロクロス(412-485)において、こうした問題について興味深い一局面を見ることができる。イアンブリコス(245-325)以降の新プラトン主義においてはプラトン以来の「神に似ること」というテーマの宗教的実践が具体化していくが、その際に問題になったのが物体と非物体の境界にあって両者をつなぐ「魂の乗り物」である。実はこれはキリスト教思想において有名な「プネウマ」(新プラトン主義の文脈では「霊」の意味ではなく古代ギリシア語の原義に即した「気息」)でもあり、拙稿「西洋古代の宗教思想と「スピリチュアリティ」の問題」(鶴岡賀雄・深澤英隆(編)『スピリチュアリティの宗教史』下巻、2012 年に収録)でも取り上げている。
本発表では、この魂の乗り物について「媒介するモノ」として再考を試みる。特に、諸天体を視野に入れた「祈り」とそれによる浄化という具体的な諸実践が、「媒介するモノ」としての魂の乗り物に焦点を結んでいくことに注目してみたい。

14:30-14:40 休憩

14:40-16:10
発表2 藤原 達也(東洋英和女学院大学非常勤講師)
「祇園精舎の図像学―buddhabhâva「ブッダの存在」の媒介としての仏像と仏寺空間」
<概要>
2015 年 J. クリブの古銭学論文により最古の仏像はビーマラーン舎利容器のそれとほぼ確定したが、クリブ自身は気づいていない。2012 年の拙稿は最初期仏像が「従三十三天降下」場面で宝階の上に立つ仏陀の姿であったはずだと論じたが、まさしくビーマラーンの仏像がそうであり、仏像誕生の原理に関する見解を再 提示したい。ガンダーラではまた、仏塔や仏像を擁する僧たちの居住空間としての仏寺も誕生した。それら仏寺が祇園精舎を理念モデルとして造られたという発表者の仮説にとり、近年公刊カナガナハッリの無仏像時代の仏教図像群は大きな援けとなる。誕生時の仏像が「祇園」のどの「精舎」に置かれたのかを手掛りに、仏典の言う「ブッダの存在」の媒介としての仏像と仏寺を考える。

16:10-16:20 参加者自己紹介

16:20-16:30 休憩

16:30-18:00
発表3 津城 寛文(筑波大学教授)
「和歌の宗教学―2つのポリティックスと2つのメディテーション」
<概要>
「和歌は真言陀羅尼」という名言は、室町時代の僧・心敬が、「仏道歌道一如」「歌道はひとへに禅定修行の道」「和歌は隠遁の源、菩提をすすむる直路」など、先人のさまざまな歌論をとりまとめた上で、「本より歌道は我が国の陀羅尼なり」と断言したもののスローガン化である。さらに早くは俊成が「天台小止観」に基づく「空仮中」の三諦の思想によって、和歌の「形而上学的なストラクチャ」を定式化したことが、歌人による最初の「仏道・歌道一如」の自覚として指摘される。またのちの茶=禅の達人は、「茶の本心」「無一物の境界」を、これらの「歌の心」と等しいものと考えた。しかし、「歌の心」が、禅的な境地だけに限られるわけではない。折口信夫・釈迢空の歌論は鎮魂説に基づいており、それによれば「万葉集は鎮魂歌集」とされる。しかしこの「鎮魂」には、古代的な言霊思想によるものと、「瞑想的」等々といわれる、かなり異質な二つの意味がある。ここでは和歌を、(一)政治的儀礼、(二)政治的呪術、(三)瞑想的自然観照、(四)仏教的真理実践、(五)詩学プロパーの 5 つに、論じ分けてみたい。

2018年1月8日月曜日

シンポジウム「ユダヤ共同体とその指導者たち——古代から中世へ——」

シンポジウム
ユダヤ共同体とその指導者たち―古代から中世へ―

2018年1月21日(日)13:00-18:00
東京大学本郷キャンパス法文1号館113教室

13:00-13:15
趣旨説明 市川裕(東京大学教授)

13:15-14:00
「古代ユダヤ共同体における指導体制の変化」
上村静(尚絅学院大学教授)

14:10-14:55
「中世イスラーム支配下のユダヤ共同体の変遷 10-11世紀」
嶋田英晴(國學院大學非常勤講師)

14:55-15:10
コメント 高井啓介(東京大学大学院人文社会系研究科研究員)

15:40-16:50
Maimonides and Jewish Communities in Cairo-Fustat and the Relationship with Islamic Authorities
(マイモニデスとカイロ・フスタートのユダヤ人共同体、およびイスラーム政権との関わり)
Amir Ashur アミール・アシュール(ベングリオン大学上級研究員)

16:50-17:10
コメント 亀谷学(弘前大学講師)

17:30-18:00
全体討論