東海大学文明研究所・公開講演会
ポスト=トラウマ時代:イスラエルと日本
ヨハイ・アタリア(イスラエル、テル=ハイ・カレッジ上級講師)
通訳・解説 山城貢司(日本学術振興会特別研究員PD/東京大学)
2018年3月27日15:30-17:20
東海大学湘南校舎 19号館3階307室(ミーティングルーム4)
講演要旨
本講演の第一部では、今日我々が生きている社会を「ポスト=トラウマ的社会」と定義できるかどうか明らかにしたい。この論点の検討において、日本とイスラエルは、決定的な位置を占めていると思われる。「アウシュヴィッツ」と「ヒロシマ」−−それが起きたことで、「人間」の概念が意味を失ってしまった「出来事」−−は、各々独自の仕方で、文化の中のブラックホールを形成している。続いて講演の第二部では、「行動化」と「徹底操作」という二つの基礎概念に焦点を定め、イスラエルと日本が、それぞれ似て非なる仕方で、第二次世界大戦の顚末とどのように向き合っているかを見定めたい。イスラエルが、究極の生贄という意識状態の中で「身動きが取れなくなっている」一方、日本は、加害者であったと同時に犠牲者でもあった過去の記憶とのより複合的な対話を続けている。
(*講演は英語で行われ、セクションごとに日本語での要約が補足されます)
講師紹介
ヨハイ・アタリア(Yochai Ataria)
テル=ハイ・カレッジ上級講師、オープン・ユニバーシティ研究員。トラウマに関する理論的・経験的・哲学的論文多数。複数の編著あり。近著に、The Structural Trauma of Western Culture (Palgrave Macmillan, 2017)。また、Body Disownership in Complex Post-Traumatic Stress Disorder が来年刊行予定。