ラベル 学術大会 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 学術大会 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2026年2月17日火曜日

第34回西日本ドイツ現代史学会シンポジウム(日本ユダヤ学会共催)

 第34回西日本ドイツ現代史学会

プログラム

【日時】2026年3月28日(土)・29日(日)
【会場】九州大学西新プラザ大会議室(福岡市早良区西新2-16-23)、ならびにZoom
【参加費】無料

第1日目:3月28日(土)

シンポジウム「ナチズム・シオニズム・ユダヤ人―境界と越境」

共催:日本ユダヤ学会、2022〜2025年度科研プロジェクト「都市の中のグローバル・コロニアリズム—住環境の史的変遷にみる二重の不平等と移入民」(研究課題番号22H00708、研究代表者:水野博子)

 13:00-13:05 開会挨拶・諸注意

 13:05-13:10 趣旨説明:今井宏昌(九州大学)

 13:10-13:50 第一報告:長田浩彰(広島大学)

 13:50-14:30 第二報告:穐山洋子(同志社大学)

 14:30-15:10 第三報告:水野博子(明治大学)

 15:10-15:30 休憩

 15:30-15:50 コメント1:鶴見太郎(東京大学)

 15:50-16:10 コメント2:野村真理(金沢大学名誉教授)

 16:10-16:40 リプライ

 16:40-17:10 総合討論

 17:10-17:25 総会

 18:00-20:00 懇親会(対面のみ)


第2日目:3月29日(日)

個別報告(発表40分/質疑応答10分)

 09:30-10:20 第一報告:野中 諒(九州大学)

 「第一次世界大戦後アルザス・ロレーヌにおける傷病兵支援」

  司会:衣笠太朗(神戸大学)

 10:20-11:10 第二報告:峯沙智也(東京大学)

 「帝政期以前のドイツにおける職能代表構想」

  司会:飯田洋介(駒澤大学)

 11:10-12:00 第三報告:大津留厚(神戸大学名誉教授)

 「ヴァーグナ難民収容所を生きる」

  司会:今井宏昌(九州大学)

 12:00-12:10 閉会挨拶

 12:30-15:30 エクスカーション(対面のみ/途中参加・離脱自由)

  ※ 昼食も兼ねます

【参加申込】2026年3月22日(日)締切
下記のいずれかのウェブサイトからフォームで登録
日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/2026/02/11/2026springmeeting/

西日本ドイツ現代史学会ウェブサイト
https://gendaishigakkai2013.hatenablog.com/entry/2026/01/17/023536


2025年11月22日土曜日

日本ユダヤ学会第22回学術大会

日時:2025年11月30日(日) 14:30~17:00 

場所:zoom(*URLは会員および非会員の申込者のみに告知)

非会員の参加方法は学会ウェブサイトに記載
https://jewishstudiesjp.org/2025/11/21/conference2025/

プログラム

14:30 開会のあいさつ

14:35~15:20 志田雅宏(静岡県立大学)
強制改宗と論争文学―プロファイト・ドゥランとハイーム・イブン・ムーサを例に

本発表では、1391年以降のスペイン・ユダヤ社会におけるキリスト教への大勢の強制改宗のなかで、ユダヤ人による反キリスト教論争文学がどのような役割をはたしたかを考察する。具体的には、1390年代のプロファイト・ドゥランによる著作(『汝の父祖のごとくであるなかれ』および『異教徒の恥辱』)と、1456年のハイーム・イブン・ムーサによる著作(『盾と槍』)を比較する。この比較によって、改宗者に対するユダヤ社会の認識の変化やキリスト教を論駁する目的、論争家たちのキリスト教観およびユダヤ教観などを検討する。

(※研究発表は発表30分+質疑応答15分。以下同)

15:25~16:10 保井啓志(同志社大学)
ラヴ・クックにおける動物倫理と菜食主義の解釈

アブラハム・イツハク・ハコヘン・クック(ラヴ・クック)はユダヤ教ラビの立場から1900年代という早い時期から菜食主義と動物倫理の擁護を訴えた人物であり、その論考は、後年に『菜食主義と平和のヴィジョン』としてまとめられている。本報告では、この書籍をもとに、ラヴ・クックの思想において、動物倫理や菜食主義がユダヤ教の範囲内でどのように解釈されていたのかを、その世俗的な動物倫理との対比を踏まえながら論じたい。

16:15~17:00 コヘン シラ(同志社大学)
ヘブライ文学と日本文学におけるキリスト教と暴力:S.Y.アグノンと芥川龍之介を例として

20世紀初頭、ヘブライ文学と日本文学は西洋文化と文学の影響のもとで発展していった。しかし、そのような文化的影響はそう単純に受け入れられていたわけでは無い。その中で、ヘブライ文学と日本文学両方にキリスト教を暴力的に描写する作品が見られていた。1943年、当時ヘブライ文学の第一人者であったS.Y.アグノンが吸血鬼的なキリスト教女性がユダヤ人の行ション人を殺そうとする「貴婦人と行商人」という短編小説を発表した。また、1917年から1927年にかけて、小説家芥川龍之介は日本のキリシタン時代(1549年〜1644年)を舞台とする短編小説、いわゆるキリシタン物を数十編発表した。そのうちの多くの作品はキリスト教徒の弾圧を題材とし、キリスト教を消極的に描写している。この二人の小説家のこのようなキリスト教の描写にはどういう意図があったのか。この発表では、アグノンと芥川がキリスト教とそれぞれユダヤ人及び日本人との歴史的な関係を暴力を軸として捉え直すこと度、自らの時代の西洋に対する不安を表現していたと論じ、さらに、このことが当時の文学情勢について何を示してくれるのかを問う。

2025年6月6日金曜日

京都ユダヤ思想学会2025年度第18回学術大会

京都ユダヤ思想学会2025年度第18回学術大会
「記憶・夢・預言―20世紀初頭の心理学とユダヤ思想の交差―」

日程:2025年6月28日(土) 
開催形態:対面(同志社大学今出川キャンパス良心館203教室)とオンライン
(どちらの参加の場合でも申し込みが必要です)

プログラム: 9:30 受付開始(対面会場開場およびZoom開室)

【個人研究発表】(10:00−12:00)

 10:00-10:40 研究発表①
「工学者にして芸術パトロン、ヤコフ・カガン=シャブシャイとそのユダヤ美術館構想について」
発表者:吉野 斉志(関西大学)
司会:圀府寺 司(大阪大学)

 10:40-11:20 研究発表②
「サタン像の変遷―ユダヤ・キリスト教における「悪」の役割について―」
発表者:大澤 耕史(中京大学)
司会:勝又 悦子(同志社大学)

 11:20-12:00 研究発表③
「存在のカテゴリーとしての「ユダヤ的実存」―レヴィナスのローゼンツヴァイク読解に寄せて」
発表者:佐藤 香織(富山大学)
司会:渡名喜 庸哲(立教大学文学部教授)


【シンポジウム】(13:00−17:10)

「記憶・夢・預言 ―20世紀初頭の心理学とユダヤ思想の交差―」

 13:00-13:05
趣旨説明  北村 徹(同志社大学) 

 13:05-13:45 基調講演 森岡 正芳(立命館大学)
「言語・記憶・他者 ―ユダヤのエートスからもう一つの心理学へ」

 13:45-14:15 発題① 堀村 志をり(元・東京大学大学院)
「「凝縮」概念から読み解くヴィゴツキー理論―内言論および遊び論を中心に」

 14:15-14:45 発題②    長田 陽一(京都光華女子大学)
「消滅をめぐる言葉 ―フロイトとツェラン―」

 (休憩15分)

 15:00-15:30 発題③    佐藤 貴史(北海学園大学)
「ユダヤ思想と「民族心理学」の成立」

 15:30-16:00  発題④    手島 勲矢(京都ユダヤ思想学会会長)
「預言者の1人称と自意識―ユダヤの文法伝統から考える「霊魂」と「心」」

 (休憩10分)

 16:10-17:10 質疑応答

【総会】(17:30−18:00)

【懇親会】(18:30−20:30)

詳細および申し込み方法については学会のウェブサイトに記載されています。
https://sites.google.com/site/kyotojewish/o-zhirase?authuser=0

2024年10月6日日曜日

日本ユダヤ学会第21回学術大会

日本ユダヤ学会第21回学術大会

日時:2024年10月26日(土) 10:25~17:30 
場所:東京大学本郷キャンパス法文1号館113教室
〒113-0033 東京都文京区本郷7丁目3−1

ハイブリッド形式での開催
詳細は日本ユダヤ学会ホームページにて
https://jewishstudiesjp.org/2024/09/29/conference2024/

プログラム

10:25 開会のあいさつ

10:30~11:15 嶋田英晴(同志社大学)

ユダヤの商業ネットワークと『ラシュート(管轄)』の関わり~ブンダール家の事例から~

ゲニザ文書の書簡と先行研究から、12世紀前半の地中海とインド洋で活動するユダヤ商人達とネットワークを有していた、アデンを拠点とした豪商ブンダール家を中心に、バビロニアのレシュ・ガルータ(捕囚民の長)、エジプトにおけるパレスチナ系イェシヴァのガオン、そしてエジプトのナギッド(ユダヤの長)との関りを明らかにする。これによりユダヤの商業ネットワークとラシュートの関わりについて具体的に解明する。

(※研究発表は発表30分+質疑応答15分。以下同)


11:20~12:05 蓼沼理絵子

R.Bahyaの「食卓」-パンの祝福と世界の秩序

サラゴサのR.Bahya ben Asher(1255-1340)の『シュルハン・シェル・アルバ(四脚の食卓)』は、その名のとおり「食」から道徳と倫理を説く。荒れ野に降ったマナや過越し祭のマツァを含め、パンはすべての食事と生活の基本であり、卓上の食事と作法は世界の秩序を表す。ゆえに、定められた食事は正しい知識の摂取であり、救済の約束につながる。このパンの祝福と表象から、R.Bahyaの説く「食卓」とその世界観を考察する。

12:05~13:30 休憩

13:30~14:15 大澤耕史(中京大学)

ヘブライ語聖書から新約聖書までの呼称とその実体:「ユダヤ人」とその周辺

ヘブライ語聖書の中で「ユダヤ人」を示す言葉は複数存在する(ユダヤ人、ヘブライ人、イスラエルの民等)。本報告ではそれらの呼称と実体を踏まえた上で、聖書外典偽典を経て新約聖書に至るまでの間に、それらの呼称と実体がどのように変化したかを明らかにすることを試みる。特に、話者/著者がキリスト教徒に変わるに際し、神との契約の正統性をめぐる争いの中での変遷に着目したい。


14:20~15:05 李美奈(東京大学大学院)

17世紀理性主義者に対する反駁に見る、モデナの儀礼と法に関する思想

発表者はレオネ・モデナ(1571-1648)『ヘブライ人の儀礼の歴史』(1638)の歴史的な影響力を鑑み、モデナのユダヤ法や儀礼に関する思想を研究している。本発表ではハンブルクのウリエル・ダ・コスタがヴェネツィアのラビに当てた質問状に対するモデナのレスポンサ『盾と大楯』(1616)を用いて、口伝トーラーや戒律の実践に関するダ・コスタとモデナの見解の違いを分析し、モデナのユダヤ法に対する思想を明らかにすることを試みる。


15:10~15:55 加藤哲平(九州大学)

ラビ・オカモト:日本人最初のラビの生涯と思想

本発表は、ラビ・オカモトこと岡本宏(おかもと・ひろし、1926-1981)の生涯と思想を、現存する資料から明らかにするものである。岡本は、戦時中は帝国海軍兵学校にて訓練を受けた軍人であったが、戦後日本の思想的混乱に抗するかのように、永遠の真理をユダヤ教に求めた。米国ヒブル・ユニオン・カレッジにてラビの資格を取得した岡本は、ラビとしての活動の傍ら、英国および米国で、タルグムの研究や比較宗教の教育にも従事した。本発表は、この「日本人最初のラビ」に関する最初の報告である。


15:55~16:15 休憩


16:15~17:30 講演:Jonathan Meir(Ben Gurion University of the Negev)

Historiography, Hasidism, and Forgery: The Case of the Kherson Geniza (On the Historiography of Habad and the Early Hasidic Movement)

In 1918, with the end of the First World War, rumours spread that a huge collection of original writings by the founder of Hasidism, Israel Baal Shem Tov, his disciples, and their followers had been discovered in Kherson. This was major news, as very few known texts by him exist—only a few letters. What prevents modern scholars from uncovering the mystery of these texts’ authenticity? Why are Hasidim still not ready to present these documents to the wider public? What is the significance of these letters in the history of Hasidism?

The lecture aims to highlight the uniqueness of Habad historiography as a case study of historical document forgery, the reinforcement of internal Hasidic consciousness, and the attempts to create a Hasidic modern literary channel in response to the secular neo-Hasidic literature of the early 20th century.

(※本講演はヘブライ語でおこなわれます。英文要旨が付きます)


講演者紹介

Jonatan Meir is a full Professor in the Goldstein-Goren Department of Jewish Thought at Ben-Gurion University of the Negev, and a Member of the Israel Academy of Sciences and Humanities. He serves as a JSPS fellow for 2024-2025 at the University of Tokyo.

Meir has composed seven monographs, edited various anthologies, produced several critical editions, and published over 100 articles. Among the books he has written or edited are included –Imagined Hasidism: The Anti-Hasidic Writings of Joseph Perl (Mossad Bialik, 2014); Joseph Perl, Sefer Megale Temirin, annotated edition in 2 volumes (Mossad Bialik, 2014); Kabbalistic Circles in Jerusalem, 1896-1948 (Brill, Aries Book Series, 2016); Literary Hasidism: The Life and Works of Michael Levi Rodkinson (Syracuse University Press, 2016); Habad Hasidism: History, Theology and Image (Zalman Shazar Press, 2016); Gershom Scholem, History of the Sabbatian Movement (Schocken, 2018); Gershom Scholem and the Research of Sabbatianism (Schocken Institute, 2021); Three Lectures on Bratslav Hasidism, Schocken Institute 2024); Three Lectures on Habad Hasidism (Schocken Institute 2024); Wrestling with the Esoteric: Three Lectures on Yehuda Leib Ashlag and 20th Century Kabbalah (Schocken Institute 2024)

2024年5月28日火曜日

京都ユダヤ思想学会第17回学術大会

京都ユダヤ思想学会第17回学術大会

日時: 2024年6月22日(土)
会場: 同志社大学今出川キャンパス良心館107教室(RY107)およびオンライン(Zoom)

【参加方法】  
参加を希望される方は下記登録フォームから登録をお願いします(登録締切は6月17日(月))。
https://docs.google.com/forms/d/1hu9MtnnjKz-E7VH2FDCuG9OCMQGIaTNLYkQchOJz_ug/edit

ご参加に必要な情報(オンライン参加のURLなど)は、6月20日(木)以降、ご登録いただいたメールアドレスにお知らせいたします。
6月21日(金)17:00までにメールが届いていない場合は、お手数ですが、事務局(hebraicaveritas@gmail.com)までご連絡ください。
なお、総会を除き、非会員の方も参加可能です。

【スケジュール】

 9:00 受付開始(対面会場開場およびZoom開室)

【個人研究発表】(9:10−12:30)

9:10- 9:50 研究発表①
「デリダのレヴィナス論「暴力と形而上学」の再考:ドゥンス・スコトゥスの存在の一義性を背景に」
発表者:長坂 真澄(早稲田大学)
司会:馬場 智一(長野県立大学)

9:50-10:30 研究発表②
「聖書~第二神殿時代までの呼称から考える「ユダヤ人」」
発表者:大澤 耕史(中京大学)
司会:津田 謙治(京都大学大学院文学研究科教授)

10:30-11:10 研究発表③
「初期フロムにおけるユダヤ教についての思索 ―『ユダヤ教の律法』を中心に」 
発表者:五反田 純(京都大学大学院)
司会:佐藤 貴史(北海学園大学)

11:10-11:50 研究発表④ 
「ブーバーとベングリオンによる「理想的な地」の理解―聖書注解を中心に―」
発表者:平岡 光太郎(同志社大学)
司会:小野 文生(同志社大学)

11:50−12:30 研究発表⑤ 
「エリヤ・レヴィータからゼバスティアン・ミュンスターへの書簡(1531年)の和訳及びその背景と考察
発表者:御堂 大師(無所属)
司会:手島 勲矢(無所属)

【シンポジウム】(13:30−17:15)

「シャガールとイディッシュ文化」

13:30-13:50 導入   
吉野 斉志(関西大学)「聖書とユダヤを描いた画家シャガール」

13:50-14:30 発題① 
圀府寺 司(大阪大学)「「ユダヤ人」近代画家としてのシャガールの特異性」

  (休憩)

14:40-15:20 発題② 
樋上 千寿(NPO法人イディッシュ文化振興協会)「アンスキーの『ディブック』と、シャガールの「ユダヤ劇場壁画」」

15:20-16:00 発題③
細見 和之(京都大学)「シュテットルにおけるハシディズム―マルティン・ブーバー『ラビ・ナフマンの物語』から―」

 (休憩)

16:15-17:15 質疑応答

【シンポジウム】 「シャガールとイディッシュ文化」
吉野 斉志(シンポジウム企画担当/関西大学非常勤講師)
マルク・シャガール(1887-1985)は20世紀でもっとも有名なユダヤ人画家の一人であり、大衆的にも高い人気がある。聖書に由来する主題や東欧ユダヤ人の伝統文化を描いたその作品は、しばしば聖書やユダヤに関する書籍の挿画にも使われてきた。
しかし、シャガール作品のユダヤ文化的背景は、よく知られているとは言えない。実際、ロシアのヴィテブスク(現ベラルーシ)でイディッシュ語を母語とするユダヤ人の家庭に生まれてロシア語で公教育を受け、ユダヤの伝統に反して画家となり、フランスで活躍した彼のアイデンティティ自体が、一筋縄ではいかないものである。ましてや、これらの言語と東欧ユダヤ文化までも踏まえて作品を解釈できる研究者が少なかったのも、無理からぬことと言えるだろう。
とはいえそんな中でも、シャガールの作品がイディッシュ語の諺やミドラッシュを踏まえていることを指摘した Amichai-Maisels の研究は、一般向けの美術書などでも断片的ながら引用されており、2003年には Benjamin Harshav によるシャガールの著述・書簡(多くは原文イディッシュ語)の英訳および解説が刊行されている。日本でも2011年に圀府寺司編『ああ、誰がシャガールを理解したでしょうか?』が出版されたのは、大きな一歩であった。
本シンポジウムでは3名の研究者を招いて、シャガールの作品理解を進める予定である。まずは近年の研究によって明らかになってきたシャガール作品の背景と欧米の美術界におけるシャガール像の形成について圀府寺司氏(大阪大学名誉教授)が、ついでクレズマー音楽とシャガール作品の関係について、樋上千寿氏(NPO法人イディッシュ文化振興協会)が論じる。最後にシャガール作品そのものからは離れて、マルティン・ブーバーの『ラビ・ナフマンの物語』に見られるシュテットルとハシディズムの描写を細見和之氏(京都大学)が論じる。




2023年10月4日水曜日

日本ユダヤ学会第20回学術大会

日本ユダヤ学会第20回学術大会

日時:2023年10月28日(土) 13:00~17:05 

形式:ハイブリッド形式

場所:東京大学本郷キャンパス法文1号館113教室
(〒113-0033 東京都文京区本郷7丁目3−1)

非会員の方でオンライン参加を希望される場合は、事前申し込みが必要です。
申込は下記のフォームからお願いいたします。
第20回学術大会申込フォーム
*対面参加を希望される場合は、事前申し込みは不要です。

13:00~13:05 開会のご挨拶

13:05~13:35 
犬塚悠太(東京大学大学院)
「宗教シオニズム思想における国家像と『民主主義』」

2022年の選挙結果に伴う一連の政治的混乱はユダヤ民族による「民主主義」をめぐる対立の様相を呈している。その中で宗教シオニズムに連なる陣営は司法の権限を弱める「司法改革」によって「民主主義」が守られると主張している。本発表では宗教シオニストの人々がどのようにイスラエル国家やその政体について神学的に理解してきたのかを歴史的に確認し、その変遷を考察することで彼らの思想や現在イスラエルで起こっている現象をより正確に捉えることを目標とする。
13:35~13:50 質疑応答

13:50~14:20
天野優(日本学術振興会)
「20世紀前半イラクのユダヤ・コミュニティとパレスチナ/エレツ・イスラエル:その位置づけの変遷に着目して」

本報告は、イラクのユダヤ・コミュニティにおけるパレスチナ/エレツ・イスラエルの位置づけが20世紀以降どのように変化したのか、同時期のヘブライ語/アラビア語新聞に見られる関連記事などを取り上げ、考察するものである。近年の研究動向を紹介するとともに、パレスチナ/エレツ・イスラエルとの関係にシオニズムがもたらした影響に留意しつつ歴史的・社会的背景を整理し、その変遷の一端を明らかにしたい。
14:20~14:35 質疑応答

14:35~15:05 
アンドリュー・オバーグ(高知県立大学)
「ホセア書12章4-5節:四つの現象学的な読み方」

ホセア書12章4-5節に二つの神を表す神話(theophany)の言及があり(参照:創世記28章10-22節、32章25-29節)、両方ともはヤコブとの関係です。その上にベース・エールで神はヤコブと話をすることも述べています。殆どの英語訳(日本語訳もそう)は七十人訳聖書のあと5節bβの最後に「彼」を使っておりが、ヘブライ語には「我ら」が書いてあります。この発表で先程代名詞の違いから節の意味を考える為にハイデッガーの解釈学的な現象学の「prestructure」を使い、四つの観点から分析します:汎神論的な「我ら」(panentheistic “us”)、異神論的な「我ら」(henotheistic “us”)、公共的な「我ら」(communal “us”)、とアイデンティティ主義「我ら」(identitarian “us”)。
15:05~15:20 質疑応答

15:20~15:35 休憩

15:35~16:05 
李美奈(東京大学大学院)
「17世紀レオネ・モデナの『獅子は吠える』における『戒律の理由』(Ta’amei haMitzvot)論」

17世紀ヴェネツィアのラビ、レオネ・モデナ(1571−1648)は、人間知性によってトーラーや儀礼の内容を完全に理解できると考える一方で、カバラーへの反駁書Ari Nohem(獅子は吠える)においては、戒律の意味や理由については人間知性では理解し得ないとする。モデナの思想における信仰と理性の関係についてより明らかにするために、本発表ではユダヤ社会で展開されてきた「戒律の理由」論とモデナのAri Nohemの議論とを比較し、モデナの思想の特徴を洗い出すことを試みる。
16:05~16:20 質疑応答

16:20-16:50 
大澤耕史(中京大学)
「聖書解釈に見る自他認識――古代末期のユダヤ教とシリア・キリスト教の比較から――」

本発表では、主にタナイーム期・アモライーム期のユダヤ人と、同時代の初期シリア教父(アフラハト)が、ユダヤ人とその他の人々をどのように区別してきたかの一端を、ヘブライ語聖書の「ゴイ」という語の解釈から明らかにすることを試みる。それによって、古代末期のユダヤ人と(シリア地域の)キリスト教徒たちが自他をどのように区別していたのかの解明の一助となることを目指す。
16:50~17:05 質疑応答

2023年5月7日日曜日

京都ユダヤ思想学会第16回学術大会(2023年度)

 京都ユダヤ思想学会第16回学術大会

日時:2023年6月24日(土)
会場:同志社大学今出川キャンパス良心館地下1教室(RY地1)およびオンライン(Zoom)
要事前申込(対面・オンライン参加問わず)
申込フォーム
https://docs.google.com/forms/d/1YwklrQdn3VDBXZ3vm2lg3GO3y_oka1atsoOBeDFg694/edit

9:30 受付開始

【個人研究発表】(10:00−12:00)

10:00-10:40 研究発表①「機能主義は唯物論か?パトナムと心身論」
発表者:吉野 斉志(関西大学)
司会:長坂 真澄(早稲田大学)

10:40-11:20 研究発表②「ヒューマニズムによる人間形成(Bildung)の課題―M. ブーバーのユダヤ民族教育論を手がかりに」
発表者:三木 春紀(慶應義塾大学大学院)
司会:田中 直美(福山市立大学)

11:20-12:00 研究発表③「ヨセフ・B・ソロヴェイチクの哲学 ―『ハラハー的人間』から『孤独な信仰者』へ―」
発表者:志田 雅宏(東京大学)
司会:合田 正人(明治大学)

  (休憩)

【シンポジウム】(13:00−17:00)「人称と沈黙: ブーバーとロジャーズから」

第1部 13:00-14:40  司会:平岡 光太郎(同志社大学)
13:00-13:05 挨拶・趣旨説明など 手島 勲矢(シンポジウム企画者)

13:05-13:45 提題① 森岡 正芳 (立命館大学)
「人称と沈黙:ブーバーとロジャーズ「対話」再考」

13:45-14:15 提題② 堀川 敏寛(東洋英和女子学院大学)
「『我と汝』テキストを読み直す」

14:15-14:40 提題③ 手島 勲矢(京都大学)
「ヘブライ語文法の対話:ディクドゥークから考える三人称の存在と沈黙」

(休憩)

第2部 15:00-17:00  司会:平岡 光太郎・手島 勲矢
15:00-15:30 提題④ 平尾 昌宏(立命館大学)
「ブーバーと〈日本語からの哲学〉」

15:30-16:00 提題⑤ 武藤 慎一(大東文化大学)
「シリア・キリスト教から見た『我と汝』」

(休憩)

16:00-17:00 パネリストとフロアの座談会(質疑応答)

シンポジウム「人称と沈黙:ブーバーとロジャーズの「語り」を読み直す」

概要:2023年はブーバーの記念碑的著作『我と汝(Ich und Du)』(1923年)の発刊から100年目になる。『我と汝』は、当時の色々な具体的な社会や政治の対立が、著者の意識の中で、複合的に重なり合って生まれたテキストと想像されるが、第二次大戦後(1957年)、カウンセリング心理学の提唱者カール・ロジャーズは、その『我と汝』の考え方に深く共鳴して、ブーバーに公開の対話を呼びかける(ロブ・アンダーソン著『ブーバー・ロジャーズ対話』2007)。ブーバーは、その呼びかけに最初は乗り気でなかった。それは、大衆化した「対話」概念に、ある種の反発を抱いていたためでもあり、加えて「黙するに時あり、語るに時あり」(コヘレト3:7)と考えるヘブライズムの影響もあるだろう。ユダヤにとって語りと沈黙は、表裏一体でもある。その点をアンドレ・ネエル(『言葉の捕囚』The exile of the Word, from the silence of the Bible to the silence of Auschwitz1981)は、アウシュビッツを語ることが足りないと批判する若いユダヤ世代に対して、聖書の「沈黙」の思考で応答した。

 ブーバーの「我-汝」「我-それ」の根元語は、二者の対話の言語である前に、個人の中にある言語の、文法的な人称を踏まえた、二重構造としても捉えることができる。それはアラブの人々の沈黙の上で成り立つ欧米オリエンタリズムの「対話」の偽善性を批判するエドワード・サイードの人称の感受性(我々と彼らの区別)にも通じる「我」の意識を前提とした構造でもある。対話は、向き合う当事者たちの一人称と二人称の「声」ばかりで成立していない。奪われ抹殺された過去の人々や、圧政下の声を出せない人々の「沈黙」の三人称の声もそこに含まれる。そして「沈黙」は互いの声に耳を傾け合う対話のその時にもある。目前に見つめる「あなた」がいて、その存在の沈黙に向かって応じる言葉が見つからず「黙」してしまう「私」がいる。今、100年を経て、ブーバーとロジャーズの対話に再び向きあって、ユダヤの文脈を超えた「我と汝」の、その哲学的な「語り」の普遍的な意義を、皆で再検討してみたいと思う。(シンポジウム企画担当:手島勲矢)

京都ユダヤ思想学会ウェブサイト(各報告要旨あり)
https://sites.google.com/site/kyotojewish/o-zhirase?authuser=0

2022年9月27日火曜日

日本ユダヤ学会第19回学術大会

 日本ユダヤ学会第19回学術大会

日時:2022年10月30日(日) 13:00~16:25
形態:オンライン(URLは会員に送付済み)

13:00~13:05 開会の挨拶(市川理事長)

13:05~13:35  平田文子(埼玉工業大学)
「Joseph Simon の教育観:フランス第三共和政下のユダヤ史の取扱いを踏まえて」

フランス第三共和政下の世俗学校計画においては、「ユダヤ史」(聖書の「聖なる歴史」)を教育課程に入れるか否かは難しい問題であった。当時の初等教育局長のビュイッソンは、フランス国民の共通の記憶としての「聖なる歴史」の重要性を主張し、ユダヤ史を特別な宗教的後光や選民思想を取り除いた歴史的史実として子どもたちに教えることを提案していた。本発表においては、当時のユダヤ史の取り扱いに関するビュイッソンの施策を踏まえて19世紀に活躍したラビ・ジョゼフ・シモンのユダヤ教育史について、述べる。
(司会:市川裕)
13:35~13:50 質疑応答

13:50~14:20  田村円(共立女子大学(兼任講師))
「ドイツ=ユダヤ共生をめぐるホロコースト後の議論――アルゲマイネ紙(在独ユダヤ人一般週刊新聞)における戦後初期の言論を中心に――」

本報告は「ドイツ=ユダヤ共生」をめぐって、ホロコースト後のユダヤ人世界ではいかなる議論が行われたのか、その当事者であるドイツ・ユダヤ人の戦後初期の言論に着目し、考察するものである。その際、ドイツに留まった者だけでなく、世界各国に在住するドイツ出身のユダヤ人が寄稿したアルゲマイネ紙に掲載された、解放以後のドイツ=ユダヤ共生に関する論説や記事を中心に取り上げる。
(司会:鶴見太郎)
14:20~14:35 質疑応答

14:35~14:50 休憩

14:50~15:20 石井田恵 (同志社大学大学院)
「メシアニック・ジュダイズムの歴史的展開と意義ーーキリスト教シオニズムとの関係を手掛かりに」

メシアニック・ジュダイズム研究は、世界的に見れば一定の蓄積があるが、運動の歴史を体系的に扱った研究の数は限られる。メシアニック・ジュダイズムがキリスト教シオニズムから受けた影響については、これまでも指摘されてきた。一方で、メシアニック・ジューが近年、キリスト教シオニストに与えている影響はあまり注目されていない。本発表では同運動の意義について、キリスト教シオニズムとの関係に注目して運動の歴史を俯瞰することで、明らかにしたい。
(司会:アダ・タガー・コヘン)
15:20~15:35 質疑応答

15:35-16:05  菅野和也ソロモン(京都大学大学院)
「現代カライ派ユダヤ教の実態:エルサレム、ラムレ、カイロでの現地調査に基づいて」

本発表は、2022年夏季にエルサレムとラムレのカライ派共同体、およびカイロのユダヤ地区で行った現地調査に基づき、カライ派ユダヤ教について考察する。カライ派研究においては、中世に書かれた書物の文献研究が主な手法である。そこで本報告では、8世紀のバビロニアに始まり、現代にまで続く宗派として検討することで、現代カライ派の視点から、カライ派とは何であるのか、ラビ派との違いはどこにあるのかを探求する。本発表では写真や動画を用いながら、その実態を具体的に提示したい。
(司会:志田雅宏)
16:05~16:20 質疑応答

16:20~16:25 閉会の挨拶(市川理事長)

日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/2022/09/27/conference2022/

2022年6月8日水曜日

京都ユダヤ思想学会第15回学術大会(オンラインのみ)

 京都ユダヤ思想学会第15回学術大会

公開シンポジウム
文法、カバラー、詩
― ヨーロッパ・ルネサンス期の言語思想とユダヤ ―
〜古のことばの深みへと迫る若き情熱の時代を読み解く〜

日時: 2022 年 6 月 25 日(土)
会場: 同志社大学今出川キャンパス至誠館 32 教室
およびオンライン(Zoom)
【6/22更新:開催形態がオンラインのみに変更されました!】

【個人研究発表】(9:20ー12:00)*参加費500円がかかります。
【シンポジウム】(13:00−16:45)*参加費無料です。

*申し込みは締め切りました。

個人研究発表

9:20-10:00
松葉 類(同志社大学)
「レヴィナスにおける「国家」の概念化 ―「自由と命令」における政治的な問い」

司会:藤岡 俊博(東京大学)

 本発表はエマニュエル・レヴィナスの一九五〇年代初頭の思索において、「国家」が概念化される仕方について論じる。一九五三年の論考「自由と命令」でレヴィナスは、プラトンの『国家』を参照しながら、自由を保障する国家の必要性を説いている。自由な行為にとって、圧政による妨害とそれに対する服従の内面化は避けがたく、あらかじめ自己の外に命令を設けなければならない。この自由の条件となる命令は、プラトンのいう「正義の国家」と重ね合わされ、政治的には成文法や制度という形態をとる。しかし、こうして打ち立てられた命令は非人称的なものであり、そのつど更新されていく意志の自由を疎外する別の圧政となってしまう。ここで自由の条件となった命令が、他者たちとの関係における「言説に先立つ言説」に基づく限り、この成文法は圧政とは異なる仕方で主体に働きかける。つまり、レヴィナスは、他者との関係に基づく限りで、圧政を阻止するために政治的形態あるいはプラトンのいう「国家」を要請している。
 他方、広い意味での戦争がもたらすのも、主体の自由を妨害する圧政である。戦争において主体の自由にみずからの自由を暴力的に対置するのは、「顔をもたない」他者、敵として「集団となった他者」である。この他者と主体は、「顔」のように正面からではなく、つねに斜めから出会うことになる。
 ここで検討されるべきは、主体に対していままさに暴力的に対立するこの他者に対して、かの政治的形態がいかにして働くかという問いである。さらにこの政治的な問いが、レヴィナスのユダヤ的著作においても切迫した形で問われていることが示されなければならない。以上のことによって、主著『全体性と無限』への思索の途上におけるレヴィナスの政治思想の射程が明らかとなるであろう。

10:00-10:40
長坂 真澄(早稲田大学)
 「不動の動者と作用因としての神 ―ハイデガーの技術論のデリダによる読解から」
司会:丸山 空大(東京外国語大学)

 1975-76 年講義『理論と実践』においてデリダは、ハイデガーが講演「技術への問い」および「科学と省察」(ともに 1953 年)で展開するアリストテレス読解をやや詳細に辿る。そこでデリダは、ハイデガーの或る奇妙な主張に注意を促している。ハイデガーによれば、アリストテレスが「アイティオン(αίτιον)」と呼んでいたものは「責めを負うもの」を意味していたが、ラテン語(causa)へと翻訳されるに伴い、作用因(causa efficiens)の観念へと転じてしまったと言う。
 この主張がデリダの注意を引くのは、アリストテレスが問題の箇所で作用因(始動因)についても明確に語っているからにほかならない。なぜハイデガーはこのような奇妙な主張をしているのだろうか。
 デリダ自身はこの問いを開いたままにしているが、我々は、後期シェリングのアリストテレス読解へと迂回することで、この問いに答える一つの道を提示することを試みる。
 シェリングは『啓示の哲学』序論において、アリストテレス『形而上学』に登場する「不動の動者」は「愛される者」すなわち目的因であり作用因ではないとした上で、アリストテレスの神論をキリスト教へと接合させようとした中世哲学の苦難について語っている。実際、トマス・アクィナス『神学大全』における神の存在論証においては、アリストテレスの神の存在証明と似て非なる論証が、作用因からなる因果系列を用いて展開されている。このような哲学史観を背景とするなら、上述のハイデガーの議論が意味をなしてくる。
 ハイデガーは、アイティオンからカウサへの意味の転化を、テクネーという語の意味の転化と連動的に論じている。というのも、テクネーの語もまた、真理への通路の意から、目的のための手段、或る結果を引き起こすための作用因の意へと転じるからである。
 本発表では、まずアリストテレス、トマス・アクィナスの論証を振り返った後、シェリングによるアリストテレス読解を吟味し、以上を背景として、ハイデガーの論じる技術と形而上学(存在神学)との結びつきを、デリダの視点も踏まえつつ明らかにしたい。

10:40-11:20
新井 雅貴(同志社大学大学院博士課程)
「イザヤ書 14 章における死者崇拝批判 :19 節のמקברך השלכת の解釈を中心に」

司会:岩嵜 大悟(古代オリエント博物館)

 イザヤ書 14:9 に現れる「レファイーム(רפאים「(とは、神格化された王家の祖先を指すウガリト語、「ラパウマ(rapaʾūma)」を念頭においたヘブライ語である。昨年度の発表では、この詩文が、神格化にかかわるこのヘブライ語にあえて言及し、それを神と対比させることによって、死者がもつ力を凌駕する神の強さを描こうとした点を指摘した。本年度はここに崇拝の場としての墓という観点を加え、イザヤ書 14 章 4b–21節に焦点をあてて、古代オリエント世界では一般的であった死者崇拝がどのような手法で批判されているか考察を深める。
 18 節は、王家の死者が本来、墓に丁重に埋葬されることを説明し、19 節は、この詩文で批判されている王だけがその例外であることを主張している。19 節のמקברך השלכת は、前置詞מןの解釈によって、①移動の起点「〜から」→墓から掘り出される、②非接近「〜から離れて」→埋葬されずに墓の外に遺棄される、③否定辞「〜なしで」→墓が作られずに遺棄される、という 3 つの意味で理解されてきた。本研究はここに、④理由「〜のゆえに」の可能性を提示したい。
 王の埋葬の否定においては、その王が神の言葉に従わず、神に反抗したという、神に対する王の罪が批判される(エレミヤ書 22:17–19、列王記上 14:13)。13–14 節は、この王が神のようになろうと画策していたことを述べている。死者崇拝とは、死者の神格化であり、それは YHWH 崇拝に対立する行為とみなされた。つまり、神格化された死者は YHWH に対立する存在である。これらをふまえると、この王の埋葬の否定の背景には、自らが崇拝される場として墓を用意したことが示唆される。
 このように、この詩文は、古代オリエント世界で死者が神格化されていた点を認め、それを YHWH に敵対する罪であると主張することによって、崇拝の場としての墓の重要性を否定しようとしたと結論づけられる。

11:20-12:00
田中 直美(福山市立大学)
「不在のものとの関係による共同体の変革 ―F. ローゼンツヴァイクの翻訳論におけるユダヤ人とドイツ人の対話の試み」
司会:堀川 敏寛(東洋英和女学院大学)

 本発表では F. ローゼンツヴァイク(Franz Rosenzweig, 1886-1929)の聖書翻訳についての考察を手がかりに、同化が進む当時のドイツ社会において彼がユダヤ人とドイツ人の対話をどのように実現しようと試みていたのかを明らかにする。
 聖書の翻訳作業は 1925 年に M. ブーバーがカトリック系出版社ランベルト・シュナイダーから新たなドイツ語訳を依頼された際に、ローゼンツヴァイクとの共訳を条件に引き受けたことで開始された。彼らは(1)ドイツの同化ユダヤ人、(2)新約に対する旧約として聖書を理解してきたキリスト教徒、(3)もはや聖書の言葉に向かって自分の生を向けずにそれを読んでいる今日の人々の三者を読者の対象として考えていた(堀川敏寛『聖書翻訳者ブーバー』新教出版社、2018 年, 一一一)。それゆえ、堀川によれば彼らの翻訳聖書は「実定的宗教の信者に限定されるものではない」。というのも、「ブーバーの考える宗教性のなかにある「汝の語りかけ」を、世間一般の人たちに受け入れてもらいたいという願いが彼らにあった」からである(堀川, 一一一)。
 だが、彼らが聖書翻訳で目指したのは民族や宗教を問わず全人類に「汝の語りかけ」を響かせることだけだったのだろうか。特に自由ユダヤ学舎での教育実践や 1927 年の時点で みずからが「『救済の星』(1921)からは総じて隔たってはいない」(GSⅠ-2, 1169)と述べている『救済の星』におけるユダヤ民族の特殊性を考慮すれば、少なくともローゼンツヴァイクの翻訳の試みにおいては、共同体としてのユダヤ民族の変革も目指されていたのではないだろうか。
 したがって、本発表では次の 3 点を検討することによってローゼンツヴァイクがユダヤ民族の共同体の形成と、ユダヤ人とドイツ人の対話をどのように考えていたのかを明らかにしたい。(1)『救済の星』におけるユダヤ民族の特殊性。(2) 「聖書とルター」(1926) で述べられる「翻訳することは、二人の主人に仕えること」(GSⅢ, 749/三五三)という事態と「言語はただ〈ひとつ〉しかない」(GSⅢ, 769/三八七)という事態はいかに結びついているのか。(3) また、「語ることはすべて翻訳すること」(GSⅢ, 749,771/三五四、三九二)と述べられるが、実際の対話の場面での語りと原典を他言語へと変容させる翻訳はどのように関係しているのか。


公開シンポジウム

「文法、カバラー、詩―ヨーロッパ・ルネサンス期の言語思想とユダヤ」

13:00-13:05 趣旨説明 伊藤 玄吾(同志社大学)

13:05-13:55 基調講演 手島 勲矢(京都ユダヤ思想学会会長)
 「ヘブライ語文法とユダヤ神秘主義: ユダヤ思想史から考える両者の関係」

(13:55-14:10 休憩)

14:10-14:40 発題① 根占 献一(星槎大学)
 「フィチーノとジョヴァンニ・ピーコ ―ロレンツォ・イル・マニフィコ時代のヘブライ思想」

14:40-15:10 発題② 久保田 静香(日本女子大学)
 「ペトルス・ラムスの「方法」と文法改革:16-17 世紀に普及したヘブライ語文法書との関連において」

15:10-15:40 発題③ 伊藤 玄吾(同志社大学)
 「ヘブライ語とルネサンス詩学 ―Tehillim と Psalmi」

(15:40-15:55 休憩)

15:55-16:45 質疑応答

【シンポジウム】
「文法、カバラー、詩 ―ヨーロッパ・ルネサンス期の言語思想とユダヤ」
〜古のことばの深みへと迫る若き情熱の時代を読み解く〜

伊藤 玄吾 《シンポジウム企画担当》
15 世紀後半以降の西欧世界において、ヘブライ語やアラム語学習が非ユダヤ教知識層の間にも広がり、ユダヤ教関連の多様な文献が原語のままに読まれる機会も増えていった。それまでギリシア語・ラテン語という古典語を中心に言語について思考していた西欧の学者たちは、ヘブライ語という異質な言語と正面から向き合うことを通して旧来の言語概念の再考を迫られるようになった。この新たな問題意識は、当時の思想界における重要な課題であった神秘主義、古典語と各地域の俗語の優越をめぐる論争、さらには詩的言語についての議論などとも密接に結びついてルネサンス期の思想・文化の動向に大きな刺激を与え続けた。今回のシンポジウムでは、ヘブライ語研究およびユダヤ教関連文献の広がりがルネサンス期の西欧の思想にもたらした様々な地殻変動を、文法・カバラー・詩という視点から捉えてみたい。はじめに、京都ユダヤ思想学会の手島勲矢会長による基調講演において、ユダヤ教の文脈における言語研究と神秘主義の緊密な関係性を古代から近代初期まで辿り、主要な問題群とその思想史上の意義を明らかにする。さらにそうした問題群が、ルネサンス期ヨーロッパ特有の文脈においてどのような熱狂もしくは抵抗を惹き起こし、新たな知の醸成へと向かうのかを、主としてイタリアとフランスを専門とする3名の研究者が論じていく。最初に、15 世紀後半から16 世紀にかけてのヨーロッパ思想界のヘブライズムを考える上で重要な鍵となるフィチーノとピーコ・デッラ・ミランドラについて、イタリア・ルネサンス思想研究を専門とする根占献一氏(星槎大学)が、次に 16 世紀中期以降 17 世紀に至る学問改革の大きな起点となったフランスのペトルス・ラムスとその影響下に編まれたマルティニウスのヘブライ語文法について、フランス16・17 世紀思想研究を専門とする久保田静香氏(日本女子大学)が、さらにヘブライ語をめぐる言語的考察の進展が詩的言語の理解をいかに深め、聖書解釈のみならず各国語への翻訳・翻案の実践においてどのような影響を及ぼしていったかについてフランス・ルネサンス文学研究を専門とする伊藤玄吾(同志社大学)が論じる。


基調講演 「ヘブライ語文法とユダヤ神秘主義: ユダヤ思想史から考える両者の関係」
手島 勲矢(京都ユダヤ思想学会 会長)

15 世紀フマニスト(ピコ、ロイヒリン)がヘブライ語に強い興味をもっていたことは良く知られているが、彼らのヘブライ語学習への動機の一つにユダヤ神秘主義(ゾハルなど)文献を読むことにあったという時、その後の 16 世紀の宗教改革期のクリスチャン・ヘブライストたちの文法ニーズとは幾分異なるという印象を持つ。本講演は、ユダヤ思想史の中で「カバラー קבלה」「ディクドゥーク דקדוק「と呼ばれる神秘主義と文法の概念が結びつく文献の事例サンプルを、ユダヤの古代・中世・近世の著作より集め、ヘブライ語文法とユダヤ神秘主義の関係について考察・議論する。
 G・ショーレムによれば、ユダヤ神秘主義の伝統は、神からの直接啓示を受ける預言者の時代が終わり、聖典タナッハ(ヘブライ語聖書)の解釈を引き受ける賢者の存在が前提にあるという。その点で、近代人が神秘主義と名づける内容をユダヤ神秘主義者たちが「カバラー」と呼んだ事実は興味深い。なぜならカバラー(伝承)という呼称は、マソラ学者(アハロン・ベン・アシェルたち)にとって、タナッハ(律法、預言者、諸書)中の「預言者」の部を意味するものであり、またアブラハム・イブン・エズラ(12 世紀文法学者)もトーラー解釈に不可欠なものがマソラ学者の伝統であると同時に、その伝統には神秘主義者の伝承も含まれることを暗示する。
 ユダヤ神秘主義者はトーラー解釈の困難箇所を「秘密 סוד「または「不思議 רז「と呼ぶが、この伝統はダニエルが不思議な夢や文字を解読して予知能力を示した記事にも通じるものであり、フィロン・ヨセフスも古代のエッセネ派(またはテラペウタイ)が聖典テキストの瞑想を通じて預言・予知を追求していたと記録している。また古代ユダヤ教のヨベル書、中世のクザリの伝承においても、ヘブライ語は神の言語(神とアダムが語り合った言語)の伝統を受け継いでいるものと信じられ、父祖アブラハムはヘブライ語(エベルの言語)を天使から、またはエベルから直々に学んだと信じられている。
 具体的には「預言」「文法」「詩文」をキーワードにして、古代はフィロン・ヨセフス、ゲオニーム時代は『セフェル・イェツィラー』また『ディクドゥケイ・テアミーム』、中世はイブン・エズラ、マイモニデス、ユダ・ハレヴィまたアルハリージの著作から関連箇所を集め、ユダヤ神秘主義とヘブライ語文法の関係の痕跡の分析を試みたい。特に、入り口としして 16 世紀イタリアのアザリヤ・デ・ロッシが述べる「文字は身体、母音記号は魂」の思想は −17 世紀のスピノザ文法にも出てくる− 神秘主義の聖典『セフェル・ハゾハル』『セフェル・ハバヒール』にも確認できるモチーフでもある。本講演では、聖書ヘブライ語の文法学者が依拠するティベリア式の母音記号またマソラ学者の文字数への拘りは、単なる写字生的な聖書原典の保護努力というだけでなく、預言を求める古代の神秘主義にもルーツがあるのでは?という可能性の、初学的議論を始めてみたい。


発題① 「フィチーノとジョヴァンニ・ピーコ ―ロレンツォ・イル・マニフィコ時代のヘブライ思想」
根占 献一(星槎大学 講師)

 中世文化と対比してルネサンス文化を見れば、イタリア・ルネサンスの人文主義とラテン的伝統との深化は発展的なものとして、また同人文主義とギリシア的伝統との強化は特徴的なものとして捉えられてきた。前者に関しては、ラテン的中世に知られていなかった古代文献の数々が指摘できるであろうし、知られていたとしてもより完全な形で認識できるようになったということがあるであろう。後者に関しては、プラトンとプラトン主義が盛んな思想として 15世紀に現れるし、アリストテレス注釈や新たなアリストテレス『詩学』がもたらした文化が近代に大きな影響を及ぼすことになる。
 これら両伝統に較べれば、ヘブライ思想とイタリア・ルネサンスとの関係は十分に注目されてきたとは言い難い。特に「異教」の地日本ではそのように映ずる。芸術を中心とするルネサンスに高い関心が払われる割には、哲学や宗教思想の分野、特にヘブライ思想になると、一般的にはまだまだ未知のままに留まっている観がある。
 この方面になれば、先ずはジョヴァンニ・ピーコ・デッラ・ミランドラ(1463‐1494)の名が浮かぶ。「人間の尊厳についての演説」で知られる哲学者である。この演説は私が知る限り、三様の異なる和訳があり、日本でも相当の関心が払われてきた。また、その尊厳論の内容はルネサンス思想の精髄と、ヤーコプ・ブルクハルトの書き著した古典、『イタリア・ルネサンスの文化』以来、好んで引用され、強調されてきた。他方で、専門家の間では、当時のユダヤの知識人との深い交流により、ピーコは特異なキリスト教的カバラ主義者であり、カバラ思想の先駆的な理解者であると受け止められてきた。イタリアでは変わらず関心の高い哲学者であり、同時代人の医者ピエル・レオーネ・ダ・スポレートとの関係が近年話題になり、新たな理解が進んでいる。
 これに対して、マルシリオ・フィチーノ(1433‐1499)はプラトン主義者として知られ、近年、特に英語圏では研究対象のブームとなり、研究書も数多く現われた。特に、米国ルネサンス学会では毎年、フィチーノに関する発表が大々的に行われて、彼の人気のほどを示している。そのような状況下ではあるが、彼とヘブライ思想との関係に主たる関心が向かうことは少なかったし、同一圏内にいた彼とピーコの思想的相違がこうして指摘されることもあった。確かにこの点に差異はあるものの、フィチーノの『キリスト教論』などの典拠上の読みが深まり、プラトン主義者に窺われるヘブライ的伝統にも注目が集まり始めている。この機に、幾らかなりともフィチーノ認識が改まるようにしたい。
 本発表は以上のように予備的かつ概略的ではあるが、特に 15 世紀後半、フィレンツェのロレンツォ・デ・メディチ時代におけるヘブライ思想の局面を示すことにより、ルネサンス文化が一段と豊穣に映じたら、と願う次第である。


発題② 「ペトルス・ラムスの「方法」と文法改革: 16-17 世紀に普及したヘブライ語文法書との関連において」
久保田 静香(日本女子大学 准教授)

 16 世紀フランスの人文主義者ペトルス・ラムス(Petrus Ramus, 1515-1572)は、過激な反アリストテレス主義の立場から、中世以来の自由学芸科目、なかでも三科(trivium : grammatica, rhetorica, dialectica)の改革にとりくんだ人物として知られる。そこで本発表ではまず、ラムスの学芸改革において「文法学」と「弁証術(=論理学)」が近接する学として捉えられていること、そして、「弁証術」と「修辞学」の体系の組み直しが、アリストテレス以来の弁論術(古典レトリック)のフレームに準拠しているさまを整理する。そしてこの学芸改革を敢行するにあたって前面に打ち出された「方法(methodus)」および「自然・本性(natura)」重視の思想とはいかなるものであるかを、ラムスのテクストのなかに探る。
 ラムスの学芸改革は、1555 年に「弁証術」と「修辞学」が一定の完成をみたのちに、「文法学」の整備へと向かう。1559 年に刊行された『ラテン語文法全四巻(Grammaticae libri quatuor)』をベースに、翌 1560年には早くも『ギリシア語文法(Grammatica graeca)』 が編まれ、この二大古典語の文法体系の骨格を利用して、1562 年および 1572 年に『フランス語文法(Gramere / Grammaire)』が上梓される。これらの文法書はいずれも「語形論(etymologia)」と「統辞論(syntaxis)」の二本柱から成っているという特徴がある。この二部構成をそのまま敷き写しにしたかのようにして、16 世紀後半にラムス主義思想の信奉者ペトルス・マルティニウス(Petrus Martinius, ca. 1530-1594)によって『ヘブライ語文法(Grammaticae hebraeae, 1567)が世に問われた。このマルティニウスの文法書はその後 17 世紀初めにかけて、オランダをはじめとするプロテスタント諸国で好評を博すこととなる。なおラムス自身、晩年に本格的な聖書研究にとりくむためにヘブライ語の学習にとりかかっていたことが知られている。以上の事例と考察をつうじ、16-17 世紀のヨーロッパにおけるヘブライ語文法書の普及にラムス主義思想が関与していたことの理由の一端に迫ることを目指す。


発題③ 「ヘブライ語とルネサンス詩学 −Tehillim と Psalmi」
伊藤 玄吾(同志社大学 グローバル地域文化学部 准教授)

 西洋ルネサンス期において、詩は狭い意味での文芸世界にとどまらず、学問や宗教はもちろんのこと、政治とも深く関わるものであり、公共的かつ実践的な性格を持つものでもあった。またそれゆえに、詩の言語とはいかなるものであり、神と個としての人間と共同体をどのように結びつけるものなのかといった考察は、旧秩序の揺らぎを経験しつつあったこの時代特有の緊張感の中で進められた。
 ルネサンス期の詩的言語をめぐる議論において特筆すべきことは、古代ギリシア・ラテン語世界における詩的言語の考察の伝統と、アラビア語世界との関わりの中で形成されてきた中世ユダヤ世界の詩的言語の考察の伝統が出会っただけでなく、さらにはそれらがヨーロッパの諸国語(諸地域語)による詩作の運動とも結びついて、理論と実践が結びつく形で考察が深められていったことである。とりわけイタリアの地においては、ユダヤ教徒の学者・詩人においても、キリスト教徒の学者・詩人においてもこの 3 つの流れを踏まえて詩を論じることがなされ始めた。そこで重要なのは、詩的言語の考察が、ヘブライ語という言語と文字の特異性をめぐる文法学者たちの議論そして聖書解釈の方法をめぐる議論と密接に結びついて展開していることであり、さらには、この時代に本格的に始まる聖書の各国語への翻訳・翻案という実践的な課題とも結びついて展開している点である。本発表では、ユダヤ教において Tehillim、キリスト教の文脈において Psalmi の名で呼ばれてきた「詩篇」テクストの詩的性格の理解をめぐって 16 世紀のイタリアおよびフランスで展開された主要な議論を辿ってみたい。




2021年10月1日金曜日

日本ユダヤ学会第18回学術大会

日本ユダヤ学会第18回学術大会

プログラム

日時:2021年10月31日(日)13:00~16:10
会場:zoomあるいは学習院女子大学

13:00~13:05 開会の挨拶(市川理事長)

13:05~13:35 長塚織人(東京大学大学院総合文化研究科)
「現代におけるユダヤスペイン語(ラディーノ語)の言語および文献研究の展望とその可能性(の中心)——「言語の死」を越えるデジタル・コミュニティの形成を目指して」

本発表は近現代までのユダヤスペイン語(ラディーノ語/ジュデズモ語)の言語学的・文献学的な展望と、その新たな可能性について考察する。ユダヤスペイン語は様々な理由から研究に困難を抱え、話者の言語的同化傾向も強く、「言語の死」の一例となると言われてきた。しかし近年インターネットの発達とデジタルアーカイブ化を通じ、その研究・文化活動が本格化している。本発表はユダヤスペイン語の特徴とセファルディの現況についても概観し、その研究に関する問題を提起し、更なる可能性に向けて考察を行いたい。(司会:武井彩佳)

13:35~13:50 質疑応答

13:50~14:20 保井啓志(東京大学大学院総合文化研究科)
「シオニズムにおける動物性と動物の形象:マックス・ノルダウの近代化論を中心に」

西ヨーロッパの反ユダヤ主義においては、ユダヤ人は、蛇や害虫など、しばしば非人間の動物と喩えられてきたが、シオニズムにおいてこのような動物の表象とユダヤ人の交差性はいかに克服されるものとして位置付けられていたのだろうか。本報告では、初期のシオニストの一人であるマックス・ノルダウやショアーにおける言説を取り上げ、動物性及び動物の形象が、いかにシオニズムを正当化する比喩として用いられてきたかの歴史的変遷について考察する。(司会:鶴見太郎)

14:20~14:35 質疑応答

14:35~14:40 休憩

14:40~15:10 犬塚悠太(東京大学大学院人文社会系研究科)
「エリ・サダンの思想:現代の宗教シオニズムとその特徴」

本発表は「メヒナ」(イスラエル国において兵役前の青年教育を行う教育機関)を設立したエリ・サダンに注目し、彼の思想の特徴を示すものである。彼を取り上げる理由は、「メヒナ」の卒業生の多くがイスラエル国防軍の将校になっていること(社会的影響力の強さ)、加えて彼が「宗教シオニズムの父」とされるアブラハム・クックにより設立された「メルカズ・ハラヴ・イェシヴァ」において学んだこと(宗教シオニズムの思想系譜に連なる)が挙げられる。彼の思想が宗教シオニズムの系譜の中にいかに位置づけられるか、あるいは軍隊や国家といったアクターをどのように捉えているのかという点を軸に、現代の宗教シオニズム思想の特徴を明らかにする。(司会:志田雅宏)

15:10~15:25 質疑応答

15:25-15:55 河合竜太 (同志社大学大学院文学研究科博士後期課程)
「ユダヤ体操連盟(1903-1921)の創設と展開――トランスナショナルな側面に注目して―」

19 世紀後半以降、ヨーロッパではユダヤ系団体の国際的組織網の形成が進展した。国際 的な組織としては、これまでユダヤ人難民の支援を目的とした慈善組織が注目されてきた。 それに対して本報告は、20 世紀初頭に創設された国際組織ユダヤ体操連盟を対象とする。 体操とスポーツの普及を目的とした当連盟は、中欧・東欧諸国において居住者の身体の健康 の改善を目的としていた。当連盟の事例は、同化と解放後のヨーロッパ社会に居住したユダヤ人の間で形成される国境を越えた連帯について、理解を深めることに貢献するであろう。(司会:高尾千津子)

15:55~16:10 質疑応答

日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/2021/10/01/conference2021/

2020年10月21日水曜日

日本ユダヤ学会第17回学術大会開催(オンライン)

 日本ユダヤ学会第17回学術大会
日時:2020年11月15日(日)13:20~17:00
会場:zoomによるオンライン開催

第17回学術大会プログラム
13:20~13:30 学術大会開催のあいさつ (学会理事長:市川裕)


13:30~14:00 菅野和也ソロモン(京都大学大学院)
「ユダヤ・アラビア語形成期におけるカライ派の役割: サロモン・ベン・イェロハムによる詩篇翻訳および註解から」

概要:ユダヤ・アラビア語文化の様相を語るうえでカライ派の存在は欠かせない。ヘブライ語原典を重んじた同派は9世紀後半から11世期中頃にかけてパレスチナで活動した。ラバン派ユダヤ教との論争のなかで、彼らはヘブライ語の研究だけでなく、アラビア語による翻訳と註解に注力し、ユダヤ・アラビア語文学の確立に寄与している。本発表は、サアディア・ガオンと同時代のサロモン・B・イェロハムによる詩篇翻訳と註解を通して、ユダヤ・アラビア語の形成期におけるカライ派の役割を考察する。

14:00~14:15 質疑応答


14:15~14:45 平田文子(埼玉工業大学)
「第三共和制の世俗学校計画とデュルケームのユダヤ教思想:世俗性と宗教性の狭間で」

概要:フランス社会学の祖とされるエミール・デュルケームは、フランスの公教育制度成立期に世俗道徳論を確立した人物である。そのため彼の道徳教育論は長い間、「宗教に依らない道徳論」として紹介されてきた。しかし、私は、彼の著作の殆どがユダヤ教思想を基盤としていると考えている。特にユダヤ教に見られる現実主義的・世俗主義的な宗教観が、政教分離による公教育制度成立を目指す第三共和制の施策と一致して、デュルケームが「世俗道徳論」を確立する役に選ばれたと考えている。本発表ではユダヤ教を棄てたと論じられてきたデュルケームが、実はプライベートにおいてはユダヤ教徒として生きぬいた証となる資料を提示し、彼の世俗道徳論が第三共和制の教育改革を担ったルイ・リアールやフェルディナンド・ビュイッソンの思想と一致した社会的・思想的背景を述べる。

14:45~15:00 質疑応答


15:00~15:10 休憩

特別報告 現在のヨーロッパ社会(ポーランドとドイツ)とユダヤ人 
15:10~15:15 司会・問題提起(鶴見太郎、東京大学)

15:15~15:55 宮崎悠(北海道教育大学)
「国民民主党の反ユダヤ主義は共有されていたのか:I.J.パデレフスキの思想からの検討」

15:55~16:30 大内宏一(早稲田大学)
「ドイツのユダヤ教徒組織の現在──ウェブ情報に基づいて」

16:30~17:00 自由討論

申込方法は日本ユダヤ学会ホームページ参照のこと
https://jewishstudiesjp.org/2020/10/20/conference2020/

2020年8月21日金曜日

日本ユダヤ学会2020年第17回学術大会発表者募集

 日本ユダヤ学会2020年第17回学術大会

発表者募集

2020年11月15日(日)に第17回学術大会を開催いたします。

*今回はzoomによるオンラインでの大会となります。


発表ご希望の方は、仮題と200字程度の要旨を9月30日(水)までにayaka.takei(アットマーク)gakushuin.ac.jp(武井)宛にメールで送るか(件名に「学術大会発表希望」と記してください)、学会事務局宛にハガキで郵送してください。

発表時間は発表者数によりますが、25分~30分の予定です。発表をお願いするかどうかの決定は理事会にご一任いただき、結果は10月10日までにお知らせいたします。

非会員の方も会員のご紹介があれば発表できますので、お心当たりの方がいらっしゃればお声をかけてくださるようお願いいたします。

学会ホームページ
https://jewishstudiesjp.org/2020/08/21/annual_conference_2020/

2019年9月30日月曜日

日本ユダヤ学会第16回学術大会

日本ユダヤ学会
第16回学術大会

日時 10月26日(土) 14:00~18:00
会場 学習院女子大学 2号館222教室 

<学術大会プログラム>
14:00-14:05
学術大会開催のあいさつ (学会理事長:市川裕)

14:05-14:35
①大澤耕史(中京大学)
「古代世界のユダヤ教の境界意識――『異教徒』『背教者』を中心に」
現代世界の「ユダヤ人」を考える際に、国籍や出身地、宗教性の度合いなどで様々な区別がなされることは、もはや周知の事実であろう。しかし古代世界で考えてみると、もちろん資料的制約が大きいという前提はあるものの、「ユダヤ人」というくくりで広大な地域の様々な人々を安易に同一視しているのが実情ではないだろうか。本報告はこの疑問点から出発し、古代世界のユダヤ教文献の中で、何が「ユダヤ人」とそれ以外をわけているのかを単語レベルで分析する。まずは「ユダヤ人」内部の自己認識において、彼らの境界意識の一端の解明を試みるものである。(司会:上村静会員)
14:35-14:50 質疑応答

14:50-15:20
②袁浩春(東京大学大学院)
「モーセをめぐるユダヤの聖書解釈——―出エジプト記2章11、12節を中心に」
今日のユダヤ教は、二重トーラーへの理解と解釈に対するモーセの最高の権威性を認め、「モシェ、ラビヌー(われらの師であるモーセ)」という表現と共に、二重トーラーの最初の教師という位置付けで、ユダヤ教内部に定着させた。しかし、出エジプト記から始まったモーセの生涯、そして彼が引き起こした数々の奇跡など、これらのすべての出来事を法解釈(ハラハー)に帰結することができない。故に、法以外の部分(アガダー)を参照し、「モシェ、ラビヌー」という表現の形成経緯の一面を補いたい。(司会:上村静会員)
15:20-15:35 質疑応答

15:35-16:05
③神田愛子(同志社大学大学院)
「人の創造物語から見たマイモニデスにおける質料と形相の概念」
マイモニデスは『迷える者の手引き』第二部30章において、創世記2章の人間の創造物語に言及し、男と女は同時に創造され、別個であると同時に一体であると主張している。彼は『手引き』第三部8章で、人間の男女の不可分性を質料と形相の不可分性から説明し、『手引き』第一部17章では、プラトン主義者が質料を女性とし、形相を男性と称していると述べている。本発表では、マイモニデスの質料と形相の概念を、『手引き』第二部30章を中心とした、彼の人間創造の理解に基づいて考察する。(司会:市川裕会員)
16:05-16:20 質疑応答

16:20-16:30 休憩

16:30-17:00
④青木良華(東京大学大学院)
「ヴォロジン・イェシヴァ考察――ミトナグディーム揺籃の場」
19世紀初頭に当時のリトアニアの町ヴォロジンに創設されたイェシヴァには、東欧だけでなく欧米各地から数多くの優秀なユダヤ人の若者が集まり、彼らは日々トーラーやタルムードなどの聖典学習に没頭した。本発表では、ミトナグディームと呼ばれるユダヤ教正統派の繁栄の象徴とも言えるこのイェシヴァについて、その背景となる歴史や思想とともに紹介する。どのような歴史的展開を辿ったのか、学生たちがどのような教育を受けていたのかなどについて主に発表する予定である。(司会:鶴見太郎会員)
17:00-17:15 質疑応答

17:15-17:45
⑤平岡光太郎(同志社大学一神教学際研究センター)
「マルティン・ブーバーとゲルショム・ショーレムによる聖性についての論争――ハスィディズム理解を中心に」
本発表では、20世紀の代表的なユダヤ思想家の1人であるマルティン・ブーバー(Martin Buber, 1878-1965)とユダヤ神秘主義研究の大家であるゲルショム・ショーレム(Gershom Scholem, 1897-1982)のあいだに見られる「聖性」に関する立場の違いを、18世紀中頃に起きたハスィディズム(ユダヤ敬虔主義)理解を中心に、明らかにすることを試みる。(司会:鶴見太郎会員)
17:45-18:00 質疑応答

2019年5月30日木曜日

京都ユダヤ思想学会第12回学術大会(2019)

京都ユダヤ思想学会
2019年度第12回学術大会

日時: 2019年6月29日(土)
会場: 同志社大学(烏丸キャンパス)志高館SK118教室

大会プログラム
9:10 受付開始

【個人研究発表】9:40−12:20
9:40-10:20 研究発表①
 「人工知能と人間的思考 ―ゴーレムの現代的継承者はどこまで人間に近付けるか―」
発表者:吉野 斉志(京都大学非常勤研究員)
司会:小原 克博(同志社大学神学部)

10:20-11:00 研究発表②
「詩篇88編における多様な死者表現とその意義」
発表者:新井 雅貴(同志社大学神学研究科博士後期課程)
司会:岩嵜 大悟(古代オリエント博物館共同研究員) 

11:00-11:40 研究発表③
「上海無国籍避難民指定居住区(「上海ゲットー」)の設置過程―實吉敏郎海軍大佐の未発表文書をもとに―」
発表者:菅野 賢治(東京理科大学)
司会:向井 直己(京都大学特定研究員)

11:40−12:20 研究発表④
「マイモニデスにおける自由意志の概念」
発表者:神田 愛子(同志社大学神学研究科博士後期課程)
司会:志田 雅宏(早稲田大学招聘研究員)

12:20−13:30 昼食

【シンポジウム】
「タルグムの世界 ―聖書翻訳とユダヤの伝統―」
13:30−13:40 司会挨拶:加藤 哲平(日本学術振興会特別研究員PD)
13:40−14:40 基調講演:勝又 悦子(同志社大学)
(休憩:14:40-15:00)
15:00−16:00 コメント:阿部 望(獨協大学)、飯郷 友康(東京大学)、大澤 耕史(中京大学)   
16:00−17:00 質疑応答

17:10−18:00   総会
18:15−           懇親会



<シンポジウム趣旨>   加藤 哲平(日本学術振興会PD/シンポジウム企画担当)
 2017年には「新改訳2017」(新日本聖書刊行会)が、2018年には「聖書協会共同訳」(日本聖書協会)が刊行され、にわかに「聖書翻訳」への関心が高まっている。聖書というあまりにも人口に膾炙した宗教文学を、いかにして新しく翻訳することができるのか。これは困難かつチャレンジングな問いである。この問いに答えるために、たとえば「聖書協会共同訳」は、「スコポス理論」という新しい翻訳理論に基づいて翻訳するという方針を取った。つまり、意訳・逐語訳といった従来の二項対立にとらわれずに、読者対象と目的(=スコポス)に合わせた翻訳を作成することで、教会での礼拝にふさわしい聖書を目指したわけである。
 このように最新の翻訳理論を駆使するという方針は、もちろん有効である。しかしながら、聖書は古来よりさまざまな言語に翻訳されることで多くの読者を獲得してきた歴史がある。そうした伝統に目を向けることは、聖書翻訳に新たな視点を与えてくれるのではないだろうか。前3世紀にエルサレムから招聘された72人の長老たちがアレクサンドリアでわずか72日間でギリシア語に訳したとされる「七十人訳」、その七十人訳に飽き足らなくなったユダヤ人たちがよりヘブライ語テクストに近づけようとして作成したギリシア語訳の「アクィラ訳」「シュンマコス訳」「テオドティオン訳」、そしてベツレヘムの聖書学者ヒエロニュムスがギリシア教父やユダヤ賢者の解釈を学びながら16年かけてラテン語に訳した「ウルガータ」など、ヘブライ語聖書の古代語訳だけでもいくつもの伝統がある。
 これら古代語訳の中で、とりわけ重要であるにもかかわらず、わが国ではほとんど知られていないのがアラム語訳の「タルグム」である。ヘブライ語原典に寄り添い、ときに逸脱しながら聖書の意味を解き明かしてきたタルグムには、ラビ伝承によれば、書記エズラの律法朗読(ネヘミヤ記8章)以来の長い伝統があるとされている。しかもひとくちにタルグムといっても、公認版として比較的原文に忠実な「オンケロス」や「ヨナタン」から、ミドラッシュのように自由闊達にスピンオフを繰り返す「偽ヨナタン」まで多様性に富んでいる。また1956年にスペインの文献学者アレハンドロ・ディエズ・マチョがヴァチカン図書館で発見した「ネオフィティ」の衝撃は、まさに聖書学史上の一大事件だった。
 京都ユダヤ思想学会は、聖書翻訳への関心が高まっているまさに今このときに、タルグムというユダヤの豊穣な世界を多くの人に知っていただきたいと考える。このような問題意識に基づき、基調講演者としてタルグムとラビ文学をご専門とする勝又悦子氏(同志社大学)を、またコメンテーターとして阿部望氏(獨協大学)、飯郷友康氏(東京大学)、大澤耕史氏(中京大学)をお迎えする。聖書を翻訳するとはどのような行為なのか。聖書学やユダヤ学のみならず、宗教学、哲学、古典学、翻訳学といった広いフィールドに開か
れたこの問いを、今こそ考えてみたい。

京都ユダヤ思想学会ウェブサイト

2019年5月16日木曜日

西洋中世学会第11回大会

西洋中世学会
第11回大会
大阪市立大学 杉本キャンパス

2019年6月22日(土)
13:00~13:15 特別展示解説講演(田中記念館 ・ 講堂)
八木健治(羊皮紙工房)「ユダヤの羊皮紙とその周辺」

自由論題報告13:30~17:30(田中記念館 ・ 講堂)
13:30 下園 知弥(西南学院大学) 司会:阿部 善彦 (立教大学)
愛による神化 -クレルヴォーのベルナルドゥスにおける deificatio概念とその源泉

14:15 井上 果歩(サウサンプトン大学大学院)司会:吉川文 (東京学芸大学)
「長い13世紀」におけるコンドゥクトゥス

15:15 野邊 晴陽(東京大学大学院) 司会:山口 雅広 (龍谷大学)
トマス・アクィナス『十戒講話』と、そこでの法(lex)の理解について

16:00 市川 佳世子(慶應義塾大学) 司会:金原 由紀子 (尚美学園大学)
12-13世紀における「聖母戴冠」図像の起源と普及の政治的背景

16:45 桑原 夏子(日本学術振興会) 司会:谷古宇 尚 (北海道大学)
タッデオ・ディ・バルトロ作、ピサ、サン・フランチェスコ聖堂サルディ礼拝堂《聖母のよみがえり》の制作背景

17:50 ユダヤ音楽演奏(田中記念館 ・ 講堂)
東欧ユダヤ人のクレズマー音楽
 -伝統的な結婚式の音楽とアメリカ移民期の音楽

特別展示 シンポジウム連動企画(田中記念館2階 会議室)
22日(土)15:00~17:00/23日(日)9:00~17:00
「ユダヤ教とユダヤ人に関する書物展示」
八木 健治/羊皮紙工房

2019年6月23日(日)
ポスター・セッション(高原記念館1階 学友ホール)

23日(日)9:00~10:45

シンポジウム 「中世のユダヤ人―時空の彼方に―」
11:00~16:30(田中記念館 ・ 講堂)

コーディネーター・司会: 佐々木 博光 (大阪府立大学)
趣旨説明 佐々木 博光 (大阪府立大学)

報告
11:10 志田 雅宏(早稲田大学)
神の名前の使い手 -中世ユダヤ教民間伝承におけるキリスト教世界への対抗物語-

11:40 黒岩 三恵(立教大学) 
中世ユダヤ写本の彩色 -独自性・キリスト教社会との共存・迫害の視点から-

12:10~13:30 昼食

13:30 嶋田 英晴(國學院大學)
ゲオーニーム末のイスラーム圏のユダヤ教徒の動向

14:00 三代 真理子(東京藝術大学)
中世のユダヤ礼拝音楽とクレズマー音楽-旋律の旋法的特徴にみられる両音楽の関連性-

14:30 関 哲行(流通経済大学)
中近世スペインのユダヤ人とコンベルソ

15:15 全体討論

西洋中世学会ホームページ
(大会申し込み情報、報告要旨等あり)



2018年10月27日土曜日

中世哲学会 第67回総会・大会

中世哲学会
第67回総会・大会

【日程】:2018年11月10日(土)・11日(日)
【場所】:聖心女子大学 4号館/聖心グローバルプラザ

1日目(11月10日)
9:30ー10:20
アダム・タカハシ(東洋大学)
「アヴェロエス「知性単一説」とその批判:再考」
司会:小村 優太(早稲田大学)

10:20ー11:10
芝元 航平(上智大学)
「トマス・アクィナスの「第三の道」における必然性の問題」
司会:松根 伸治(南山大学)

11:10ー12:00
志田 雅宏(日本学術振興会)
「中世ユダヤ教におけるキリスト教論駁と福音書翻訳──ヤコブ・ベン・ルーベン『主の戦い』──
司会:矢内 義顕(早稲田大学)

12:00ー13:00
昼休・評議会(4号館3階4-3教室)

13:10ー14:00
松澤 裕樹(大谷大学)
「クヴェードリンブルクのヨルダンのラテン語説教におけるエックハルトの影響」
司会:長町 裕司(上智大学)

14:00ー14:50
袴田 玲(岡山大学)
「トマス・アクィナス説教 18「地は芽生えさせよ (Germinet Terra)」 におけるマリア論とその可能性」
司会:井上 淳(南山大学)

14:50ー15:40
野邊 晴陽(東京大学)
「トマス・アクィナスにおける「善」の基礎づけについて」
司会:荻原 理(東北大学)

15:40ー15:50
休憩

15:50ー16:40
須藤 英幸(同志社大学)
「人間は uti の対象か frui の対象か──アウグスティヌスにおける隣人愛の思想──」
司会:菊地 伸二(名古屋柳城短期大学)

16:40ー17:30
波多野 瞭(ストラスブール大学)
「秘跡の霊印と権能に対する認識を巡る 13 世紀中葉の議論──ボナヴェントゥラと初期トマスを中心に──」
司会:松村 良祐(藤女子大学)

17:30ー18:20
矢内 義顕(早稲田大学)
【シンポジウム特別報告】中世における原罪論の展開──アンセルムスからトマス・アクィナスへ──
司会:出村 みや子(東北学院大学)

18:40ー20:40
懇親会(4号館1階カフェ・ジャスミン)


2日目(11月11日)

9:30ー10:20
千葉 惠(北海道大学)
「アンセルムスの神の存在論的論証──啓示神学と自然神学を媒介する「理解」──」
司会:山内 志朗(慶應義塾大学)

10:20ー11:10
小川 量子(立正大学)
「ドゥンス・スコトゥスにおける自由と正義」
司会:辻内 宣博(早稲田大学)

11:10ー12:00
若松 功一郎(早稲田大学)
「エックハルトにおける存在 (esse) と知性認識 (intelligere) との関係──非トマス主義的知性論の伝統を踏まえて──」
司会:川添 信介(京都大学)

12:00ー13:00
昼休・編集委員会(4号館3階4-3教室)

13:10ー14:00
関沢 和泉(東日本国際大学)
「文法学は子供の如く、論理学は大人の如く、そして音楽は。──ロジャー・ベーコンにおける人間の自然本性と言語、音楽──」
司会:岩熊 幸男(福井県立大学)

14:05ー14:55
総会

15:00ー18:00
第67回中世哲学会シンポジウム
中世における原罪論の諸相──ラテン中世における展開──
司会:鶴岡 賀雄(南山大学)
【提題】
山口 雅広(龍谷大学)
「トマス・アクィナスの原罪論──彼のキリスト教的人間観の一面──」
【提題】
辻内 宣博(早稲田大学)
「神の自由意志の絶対性──オッカムのウィリアムにおける原罪論から──」
【提題】
佐藤 直子(上智大学)
「ヒルデガルトの視る「原罪」──Sciviasを中心に──」

2018年10月16日火曜日

第2回京都ユダヤ思想学会関東大会

第2回 京都ユダヤ思想学会関東大会

2018年10月27日(土) 9:30-17:15
慶應義塾大学日吉キャンパス・来往舎

1) 聖書翻訳合評会(9:30-12:00)
堀川敏寛著『聖書翻訳者ブーバー』(新教出版社)評者:田島卓(国際基督教大学)
加藤哲平著『ヒエロニュムスの聖書翻訳』(教文館)評者:新免貢(宮城学院女子大学)

2) ジェラール・ベンスーサン特別講演(13:30-15:00)
「野生の、盲目の、無際限の存在」シェリング論(フランス語/日本語:日本語訳配布、一部通訳有)

3)ゲオルク・ジンメル没後100周年記念シンポジウム(15:15-17:15)
小野文生(同志社大学)「生と社会をめぐる〈かたち〉と〈あいだ〉の思想——ブーバーとジンメル」
合田正人(明治大学)「ジンメルにおける貨幣と社会」
廳 茂(神戸大学)「ユダヤ人としてのゲオルク・ジンメル問題」
深澤英隆(一橋大学)「脱伝統の可能性と不可能性——ジンメル宗教論の諸相」

主催:京都ユダヤ思想学会
後援:慶應義塾大学教養研究センター

公式HP
https://sites.google.com/site/kyotojewish/



2018年9月25日火曜日

日本ユダヤ学会 第15回学術大会

日本ユダヤ学会
第15回学術大会

日時 10月27日(土) 12:30~15:30
会場 学習院女子大学 7号館737教室  副都心線西早稲田駅より徒歩5分

<学術大会プログラム>
12:30-12:35
学術大会開催のご挨拶 (本学会理事長 市川裕)

12:35-13:05
1 李美奈(東京大学大学院)
「異教徒共通法から自然法へ 17世紀ヴェネツィアにおける変化の一段階」
17世紀ヴェネツィアのラビ、シモーネ・ルッツァートは『ユダヤ人の社会的立場についての議論』において、ユダヤ教を2つの側面に分け、ユダヤ教の特殊な儀礼を自発的にユダヤ人のみに守られる法、普遍的な倫理についてはユダヤ人が積極的に異教徒と共有する法とした。ただし社会の個人を結びつける絆としては前者が優先される。本発表ではユダヤ教の伝統にある異教徒との共通の戒律と、キリスト教社会で発達した自然法の流れとから、この思想を近代初期の歴史に位置付けることを試みる(司会:牧野素子会員)
13:05-13:20  質疑応答

13:20-13:50
2 向井 直己 (京都大学特定研究員)
「レオポルト・ツンツと初期ユダヤ学の(諸)展望」
2018年は、レオポルト・ツンツの『ラビ文献について』公刊から200年を数える節目の年にあたる。これを機として、毀誉褒貶著しい初期ユダヤ学(Wissenschaft des Judentum)の取り組みについて、改めて考える機会を設けたい。ベルリンの「文化・学術協会」やツンツのユダヤ学構想に重心を置きつつも、ユダヤ文化の研究が知的産業として成立する(1840年代〜)以前の研究者たちの知的挑戦を概観しつつ、地域的・文化的多様性に配慮し、彼らが展望し得たユダヤ文化の姿、それが惹起した対立についてパノラマ的な見取り図を提示することが、本発表での目標である。(司会:大内宏一会員)
13:50-14:05 質疑応答

14:05-14:20 休憩

14:20-14:50
3 天野優(同志社大学大学院)
「20世紀初頭イラクのユダヤ系知識人とアラビア語文芸誌」
イギリス委任統治期を経て一定の独立を果たしたイラクでは、ユダヤ系を含む多様な宗教的背景を持つ西洋式教育を受けた中流階級の知識人らが、より包括的かつ世俗的な社会の実現を目指し議論していた。本発表では、20年代から30年代にかけてユダヤ系知識人らによって正則アラビア語で書かれた文芸誌及びその編集出版において重要な役割を果たしたユダヤ人、アンワル・シャーウール(1904-1984)を取り上げ、当時イラクのユダヤコミュニティで見られた多様なアイデンティティの萌芽の一側面を提示する。(司会:鶴見太郎会員)
14:50-15:05  質疑応答

15:05-15:35
4 村井華代(共立女子大学文芸学部)
「ハビマ、ブーバー、『ユダヤ的ドラマ』」
2018年は、現在イスラエル国立劇場となっている劇団「ハビマ」創立100年に当たる。モスクワで旗揚げの後、1926年に世界ツアーに出発したころ、ハビマのレパートリーは『ディブック』などユダヤ世界を描いた数篇しかなかった。彼らが非ユダヤ劇を上演するようになったのはツアー中の1930年、シェイクスピア『十二夜』においてだったが、これには新生ヘブライ語劇場が選ぶべき道についてのマルティン・ブーバーのヴィジョンが深く関係している。
本発表では、ブーバーがパレスチナの新たな「ユダヤ的ドラマ」をいかに想定したか、近年テルアビブ大学演劇アーカイブで発見された資料を基に考察する。(司会:母袋夏生)
15:35-15:50 質疑応答

・・・・学術大会後、ヨナタン・メイール氏講演会が開催されます・・・

ヨナタン・メイール氏講演会(対談形式)
日時:2018年10月27日 16:15~18:00
会場:学習院女子大学 7号館734教室
ヘブライ語通訳及びディスカッサント:山本伸一氏
 (講演は両先生の対談形式で、ヘブライ語と日本語で行われます)

講演題目:The Significance of the Sabbatian Movement: G. Scholem’s Unpublished Lecture

講演概要:History of the Sabbatian Movement was the first attempt by one of the giants of scholarship on Jewish mysticism, Gershom Scholem (1897-1982), to present a comprehensive picture of Sabbatianism as a single narrative. The book, edited by Schinichi Yamamoto and Jonatan Meir,  is based on the series of lectures given at the Hebrew University during 1939-1940, which are of special importance in that they laid the foundation for all of Scholem’s research in the years to come, including his extensive monograph Sabbatai Sevi: the mystical Messiah, 1626-1676, first published in 1957. What follows is a sketch of the massive History of the Sabbatian Movement, over which Gershom Scholem toiled his whole life. The lectures are presented here for the first time based on the original manuscript.
We will talk about the importance of Scholem's Lectures and about the state of research this days.

 17:45~18:00 自由討論


ヨナタン・メイール
ヨナタン・メイール Jonatan Meir。ベングリオン大学(ネゲブ)教授。近代ユダヤ思想を専門とし、東欧ユダヤ史、ユダヤ神秘主義、ユダヤ啓蒙主義、現代カバラーなど幅広い研究を行う。最近の著書に、『想像のハシディズム:ヨセフ・パールによる反ハシディズム文学』(2013)、『文学におけるハシディズム:ミハエル・レヴィ・ロドキンソンの生涯と作品』(2016)、『エルサレムのカバリスト団体:1896-1948』(2016)などがある。


2018年6月15日金曜日

京都ユダヤ思想学会第11回学術大会

京都ユダヤ思想学会
第11回学術大会

日時:2018年6月23・24日
会場:同志社大学烏丸キャンパス志高館 SK112 教室

公開シンポジウム
■シンポジウム企画趣旨
「ヘルマン・コーエンにおけるユダヤ教――倫理・政治・科学」

合田正人(第11回学術大会シンポジウム企画者/本学会会長)
2018年は、ドイツで活躍した二人のユダヤ人哲学者の没後100年にあたる。ヘルマン・コーエン(Hermann Cohen)とゲオルク・ジンメル(Georg Simmel)である。京都ユダヤ思想学会ではぜひともこれら二人の哲学者をめぐるシンポジウムを開催したいと考えているが、2018年6月23日開催予定の学術大会ではヘルマン・コーエンをまず取り上げる。
コーエンはアンハルト=ベルンブルク侯国のコースヴィヒに1842年7月14日にシナゴーグの先唱者の息子として生まれた。幼少期からブレスラフの神学校でラビになるための学習を開始するが、ラビになるという計画を放棄して、ブレスラウ大学およびベルリン大学で哲学を学び、1865年にハレ大学で博士号を取得。1876年から1912年までマールブルク大学で教鞭を執り、マールブルク学派と呼ばれる新カント派の学派の生みの親となった。退官後はベルリンの「ユダヤ教学高等学院」(Hochschule für die Wissenschaft des Judentums)でユダヤ教を講じた。
西田幾多郎や田辺元の著述を見ると、明治末期から大正前半にかけてコーエンがこれら日本の哲学者たちにとって極めて重要な存在であったことが分かる。だが、現象学の興隆と共にコーエンは忘却されていった。ジル・ドゥルーズ『差異と反復』(1968年)での微分の哲学をめぐる考察、1988年ジャック・デリダがエルサレムで行った講演Interpretatios at war : Kant, the Jews, the Germanに触発されて、近年、コーエンを語る若干の論者が現れたとはいえ、コーエンという哲学者の全体像に迫る研究者はまだ本邦にはなく、また、『ユダヤ教論考』全三巻(Jüdische Schriften, 1924)、『ユダヤ教を典拠とした理性の宗教』(Religion der Vernunft aus den Quellen des Judentums, 1919)の邦訳もまだ存在しない(後者については本学会員の村岡晋一氏による翻訳が進行中である)。このような状況のなかで、本シンポジウムでは、6名の発表者によっていわば多面体としてコーエンを捉え、それぞれの視点から、過去の哲学者としてではなく未発掘の哲学者としてコーエンを甦らせることをめざす。
Wissennschaft des Judentumsと呼ばれる学的運動が1820年代に始まったことはよく知られているが、それと併行して、「ユダヤ人問題」をめぐるバウアー、ヘス、マルクスらの考察が展開され、スピノザの弟子を自認するヘスの場合、それはシオニズムに行き着くことになる。まず、このような多重の動きとコーエンはどのように係わったのか。コーエンは一貫して反スピノザ、反シオニズムを唱え、ドイツとユダヤとの相乗的共生の可能性を信じ、「共にある人間」(Mitmenschen)という観念をもって倫理的社会主義とも言うべき立場を主張したが、それはどのようなものだったのか。
このようなコーエンの姿勢と彼のカント解釈はどのように関係しているのか。このカント解釈は微分ないし無限小分析となぜつながったのか。「ユダヤ教は宗教でさえない」と断じたカントの教説が、コーエンにあって「理性の宗教」としてのユダヤ教解釈に貢献したのはどのようにしてなのか。20世紀のドイツ・フランスでのユダヤ教ルネサンスとも呼びうる現象は、いずれもコーエンの思想との対話から生まれたと言っても決して過言ではない。フランツ・ローゼンツヴァイクは、レオ・シュトラウスは、そしてエマニュエル・レヴィナスはコーエンのうちに何を見たのか。また、どこでコーエンと袂を分かったのか。
これら数々の問いが交錯するなかで、ヘルマン・コーエンの生ける遺産が参加者各人のなかに様々な波紋を作り出すことを願うばかりである。

■大会プログラム
6 月23 日(土)
9:50 受付開始

【個人研究発表】
10:10-10:50 研究発表①「ゴーレム創造の歴史的変遷」
発表者:松浦翔子(京都府立大学他非常勤講師)
司会:向井直己(京都大学特定研究員)

10:50-11:30 研究発表②「日本軍政下の上海にユダヤ絶滅計画は存在したか(続)」
発表者:菅野賢治(東京理科大学)
司会:細見和之(京都大学) 

11:30-13:00 休憩(昼食)

【シンポジウム】「ヘルマン・コーエンにおけるユダヤ教――倫理・政治・科学」
13:00-13:50 会長基調講演「ヘルマン・コーエンのユダヤ教理解とその波紋」
合田正人(明治大学)19, 20世紀フランス・ドイツ思想、近代ユダヤ思想史
13:50-14:00  質疑応答
14:00-14:10  休憩

14:10-14:30 コメント①「「回帰」は現代の苦境を超えゆく処方箋たり得るか?」
石崎嘉彦(摂南大学名誉教授)政治哲学
14:30-14:50 コメント②「人間の哲学的発見 ―コーエンとローゼンツヴァイク―」
佐藤貴史(北海学園大学)ドイツ・ユダヤ思想史
14:50-15:10 コメント③「若きコーエンの哲学的出発点 ―『カントの経験の理論』以前の心理学的研究のもつ意味」
後藤正英(佐賀大学)思想史、宗教学
15:10-15:30 コメント④「京大田辺文庫における二冊のPrinzipについて」
林晋(京都大学)歴史学(思想史)、歴史社会学
15:30-15:50 コメント⑤「『ユダヤ教の源泉からの理性の宗教』における「理性の宗教」とは?」
村岡晋一(中央大学)ドイツ・ユダヤ思想、ドイツ観念論
15:50-16:05  小休憩
16:05-17:00  討議と質疑応答

17:05-17:50  総会
18:15      懇親会(芙蓉園:烏丸今出川の交差点から西に約20メートル)

6 月24 日(日)
9:50 受付開始

【個人研究発表】
10:10-10:50 研究発表③「ヘブライ語聖書における貯水穴בורの埋葬地としての役割」
発表者:新井雅貴(同志社大学神学研究科博士後期課程)
司会:勝村弘也(神戸松蔭女子学院大学名誉教授)

10:50-11:30 研究発表④「民話のなかのナフマニデス:神の名前の使い手」
発表者:志田雅宏(日本学術振興会特別研究員)
司会:平岡光太郎(同志社大学) 

11:30-13:00  休憩

13:00-13:40 研究発表⑤「ユダヤ教とキリスト教の自己認識とその境界 ―古代末期のシリアを中心に―」
発表者:大澤耕史(中京大学)
司会:手島勲矢(日本学術会議連携会員)

13:40-14:20 研究発表⑥「レヴィナスにおける彼性と主体の関係ならざる関係 ―ロジェ・ラポルトによる解釈との関連」
発表者:犬飼智仁(明治大学大学院文学研究科仏文専攻博士後期課程)
司会:藤岡俊博(滋賀大学)

14:20-15:00 研究発表⑦「構想される無限とその痕跡 ―カント『判断力批判』のデリダによる読解から」
発表者:長坂真澄(群馬県立女子大学)
司会:合田正人(明治大学)

京都ユダヤ思想学会公式ホームページ
https://sites.google.com/site/kyotojewish/



2017年10月11日水曜日

日本ユダヤ学会第14回学術大会

日本ユダヤ学会
第14回学術大会

プログラム

日時 10月28日(土) 14:00~17:30
会場 学習院女子大学 2号館237教室

14:00~14:30
藤田教子(東京大学大学院人文社会系欧米系文化研究専攻博士課程)
「フランツ・カフカの〈もう一人のアブラハム〉」

「僕はもう一人のアブラハムを考えることができるように思う」。ジャック・デリダは自らに「ユダヤ人であること」を問う考察をこの一文から始める。それはフランツ・カフカが友人へ送った手紙からの抜粋であった。アブラハムに関する言説は両者を神とのつながりへと導く。しかし両者が念頭に置いているのは神のみではない。両者にとって必然的に現れる「もう一人のアブラハム」とは何か。デリダと比較しつつ、カフカのアブラハムを再考したい。(司会:北彰)

14:30-14:45  質疑応答

14:45~15:15 
牧野素子(桜美林大学、外務省研修所)
「ウンベルト・エーコ『プラハの墓地』にみる問題提起とその背景」

イタリアの記号学者で作家の ウンベルト・エーコは、2010年に第6作目となる小説『プラハの墓地』(2010年)を出版した。その中核にあるのは20世紀最大のユダヤ人虐殺の原因を作ったと云われる偽書『シオン賢者の議定書』(以下『議定書』とする)が成立する過程である。『議定書』に関しては、エーコは第2作目の小説『フーコーの振り子』(1988年)や連載している週刊誌のコラム、ハーヴァード大学での連続講義などでも言及してきた。そこには近現代史に対するエーコの問題提起がある。その問題と、エーコが執拗にこの問題を追い続けてきた背景について明らかにする。(司会:母袋夏生)

15:15-15:30 質疑応答

15:30~15:50 休憩

15:50~16:20 
石黑安里(同志社大学研究開発推進機構及び神学部特別任用助教)
「アメリカにおける改革派ユダヤ教の形成とシオニズムへの接近:カウフマン・コーラーからステファン・S・ワイズまで」

本発表は、アメリカにおける改革派ユダヤ教の形成過程を通して、改革派ユダヤ教がシオニズムへと接近していった背景を考察する。具体的には、カウフマン・コーラー(Kaufmann Kohler, 1843-1926)とステファン・S・ワイズ(Stephen Samuel Wise, 1874-1949)に焦点を当てることで、ユダヤ教改革派の変容を概観し、ユダヤ教改革派によるシオニズム運動への接近が、ユダヤ教のアメリカ化の一つの結果であったことを明らかにする。(司会:武井彩佳)

16:20-16:35  質疑応答

16:35~17:05 
二井彬緒(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)
「H・アーレントのバイナショナリズムと〈住まい〉の思想的関係性」

近年、現代思想においてバイナショナリズムが再評価の傾向にある。ここで注目すべきは、近年のバイナショナリズム再評価は必ずハンナ・アーレントの思想がその下敷きとして、言及される点である。本発表では、1940 年代後半のシオニズム批判の論考を中心に、アーレントのバイナショナリズム論によって実現される空間(国家という「住まい」)の思想を体系的に考察する。その上で、彼女のバイナショナリズムが目指した空間はどのように思考されていたか、また、バイナショナリズムが持つ思想的可能性を論じる。(司会:大内宏一)

17:05-17:20 質疑応答

17:50~20:00 懇親会