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2026年2月17日火曜日

第34回西日本ドイツ現代史学会シンポジウム(日本ユダヤ学会共催)

 第34回西日本ドイツ現代史学会

プログラム

【日時】2026年3月28日(土)・29日(日)
【会場】九州大学西新プラザ大会議室(福岡市早良区西新2-16-23)、ならびにZoom
【参加費】無料

第1日目:3月28日(土)

シンポジウム「ナチズム・シオニズム・ユダヤ人―境界と越境」

共催:日本ユダヤ学会、2022〜2025年度科研プロジェクト「都市の中のグローバル・コロニアリズム—住環境の史的変遷にみる二重の不平等と移入民」(研究課題番号22H00708、研究代表者:水野博子)

 13:00-13:05 開会挨拶・諸注意

 13:05-13:10 趣旨説明:今井宏昌(九州大学)

 13:10-13:50 第一報告:長田浩彰(広島大学)

 13:50-14:30 第二報告:穐山洋子(同志社大学)

 14:30-15:10 第三報告:水野博子(明治大学)

 15:10-15:30 休憩

 15:30-15:50 コメント1:鶴見太郎(東京大学)

 15:50-16:10 コメント2:野村真理(金沢大学名誉教授)

 16:10-16:40 リプライ

 16:40-17:10 総合討論

 17:10-17:25 総会

 18:00-20:00 懇親会(対面のみ)


第2日目:3月29日(日)

個別報告(発表40分/質疑応答10分)

 09:30-10:20 第一報告:野中 諒(九州大学)

 「第一次世界大戦後アルザス・ロレーヌにおける傷病兵支援」

  司会:衣笠太朗(神戸大学)

 10:20-11:10 第二報告:峯沙智也(東京大学)

 「帝政期以前のドイツにおける職能代表構想」

  司会:飯田洋介(駒澤大学)

 11:10-12:00 第三報告:大津留厚(神戸大学名誉教授)

 「ヴァーグナ難民収容所を生きる」

  司会:今井宏昌(九州大学)

 12:00-12:10 閉会挨拶

 12:30-15:30 エクスカーション(対面のみ/途中参加・離脱自由)

  ※ 昼食も兼ねます

【参加申込】2026年3月22日(日)締切
下記のいずれかのウェブサイトからフォームで登録
日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/2026/02/11/2026springmeeting/

西日本ドイツ現代史学会ウェブサイト
https://gendaishigakkai2013.hatenablog.com/entry/2026/01/17/023536


2025年8月23日土曜日

日本ユダヤ学会2025年度シンポジウム

 YIVOユダヤ研究所設立100周年記念シンポジウム

2025年10月4日(土)13:00~17:00
場所:東京理科大学 神楽坂キャンパス
主催:日本ユダヤ学会
協力:Martynas Mažvydasリトアニア国立図書館、リトアニア文化研究所、駐日リトアニア大使館

開催方法:対面・オンライン併用。オンラインでのご参加をご希望の方は下記のフォームからお申し込みください。
https://x.gd/GPPLm

使用言語:特別講演・質疑応答のみ英語(通訳なし。ペーパーの事前共有あり)。
その他は日本語。

趣旨:

現在、ニューヨークに拠点をおくYIVOユダヤ研究所(YIVO Institute for Jewish Research)は、1925年にヴィリニュス(当時ポーランド領ヴィルノ)で設立された、中東欧イディッシュ語圏のユダヤ人社会ならびに同地にルーツをもつ世界各地のユダヤ人コミュニティにかんする研究機関です。イディッシュ語やヘブライ語のみならず多言語の史資料を集積し、研究対象とされる地域も中東欧、ロシア、南北アメリカなど多地域にわたります。YIVOの可能性は、ユダヤ研究のみならず、ユダヤ人を内包する地域社会の研究へも開かれているといえます。

本シンポジウムは、YIVO設立100周年を記念し、草創期から第二次世界大戦中の危機の時代、そして現代までのYIVOの歴史を振り返ります。特別講演者として、Martynas Mažvydasリトアニア国立図書館よりララ・レンペルティエネ博士をお招きし、これまで知られることの少なかったリトアニア現地の文脈からYIVOの歴史の一端をご講演いただきます。

ユダヤ研究者はもちろんのこと、YIVOが射程とする諸地域にご関心をお持ちの方々の幅広いご参加を歓迎いたします。

講演者の招待においては駐日リトアニア大使館の多大な協力を得ました。記して感謝申し上げます。

13:00–13:05 開会の辞・趣旨説明:市川裕(本会理事長・東京大学名誉教授)

13:05–13:35 西村木綿(名古屋外国語大学講師)
「YIVOは何を目指したか――設立から両大戦間期まで」

13:35–14:35 特別講演:ララ・レンペルティエネ(リトアニア国立図書館ユダヤ研究センター、博士)
「最終章――ソ連占領期リトアニアにおけるYIVO(1940〜1941年)」 

14:35–14:45 休憩

14:45–15:15 高尾千津子(元東京医科歯科大学教授)
「ニューヨークのYIVOとソ連ユダヤ史関係史料」

15:15–16:00 コメント:重松尚(日本学術振興会特別研究員CPD、ヴィータウタス・マグヌス大学提携准教授)・青木良華(本会会員)・荒井敬史(本会会員、博士)

16:00–16:15 休憩

16:15–17:00 コメントへの応答・質疑応答

【特別講演要旨】

ララ・レンペルティエネ「最終章――ソ連占領期リトアニアにおけるYIVO(1940〜1941年)」

1925年にヴィリニュスに設立されたYIVO研究所と、現在、YIVO Institute for Jewish Researchとしてニューヨークにおいて続くその歴史、そして所蔵される史料の運命については、多くの論文、書籍、回想、辞典で、また、近年ではいくつかのモノグラフにおいて論じられている。しかしYIVOをめぐる主題は尽きるには程遠い。それはYIVOの文化的達成の広大さのみならず、現在もなお、YIVOと密接な結びつきのある新しい文書が発見され続けていることによる。最近ではYIVOに関連する数千ページにわたる文書がヴィリニュスのいくつかの研究所で再発見された。

本報告が焦点を当てるのは、しかし、長年にわたりアクセス自体は可能だった文書である。これらはYIVOについての我々の知識を相当に押し広げるものであるが、これまでの研究において十分に活用されてこなかった。その文書の大半は現在リトアニアにあり、主にリトアニア国立文書館に保管されている。これらは1940年から41年にかけて、すなわちヴィリニュスがソ連の支配下にあった時期のYIVO研究所と関連する文書であり、ナチ占領下で略奪・破壊される直前のYIVOの組織構造、所蔵文書の内容、博物館、図書館の状態を理解するのにきわめて重要である。これらの史料はまた、当時、YIVOが公式には閉館されなかったものの、新統治者〔ソ連〕のもとで停滞し、その間、積極的な展開をわずかにしか遂げなかったことを示している。

これらの史料は完全にアクセス可能ではあったが、国外の研究者によってめったに利用されてこなかった。言語の障壁はさることながら、地域的な障壁もその理由である。すなわち、リトアニアのソヴィエト化についての研究においては、通例、ユダヤ人の研究所の運命は議論されず、その関心はもっぱらリトアニア人やリトアニア人の研究所に置かれていたのである。

 近年、このような史料がリトアニア国立図書館のジュダイカ・コレクションにおいて発見されている。これらは実に数十年の間知られておらず、YIVOの史料集積にかなりの付け加えをなすものである。


Lara Lempert, “The Last Chapter: YIVO in the Years of the First Soviet Occupation of Lithuania (1940-1941)”

Summary:

The history of the YIVO Institute established in Vilnius in 1925 and now continuing its activities in New York as YIVO Institute for Jewish Research, as well as the fate of its collections, has been discussed in many articles, book chapters, memoirs, encyclopaedias and, most recently, several monographs. However, the subject is far from exhausted, and not only because of the vastness of the cultural achievement of YIVO, but also because new documents pertinent to YIVO are continuously being discovered or come to the fore. Speaking of the former group, several thousands of pages of YIVO-related materials were recently rediscovered in several institutions in Vilnius. In this presentation, however, I will focus on documents that were accessible for years, but not sufficiently presented in the scholarship, although they would substantially add to our knowledge of YIVO. The documents that are mostly in Lithuanian and preserved mainly in the Lithuanian National State Archives, are related to the YIVO Institute in 1940 and 1941 – the year when Vilnius came under the Soviet jurisdiction. They are extremely important, supplying the last glimpse on the state of the YIVO structure, the content of its archival collections, the museums and the library immediately before the Nazi occupation and the plundering and looting that accompanied it. At the same time, these documents demonstrate how, although not closed officially, the institute stagnated under the new regime, and only a couple of positive developments happened during this period.

Even though these documents have been fully accessible, foreign researchers seldom use them because of the linguistic obstacle, and the local ones – because in their research of sovietisation of Lithuania they are usually not engaged in discussing the fate of Jewish institutions, being predominantly concerned by the Lithuanian ones and the Lithuanians.

Recently, more of such documents were found in the Judaica collection of the Lithuanian National Library. These were, indeed, not known for decades and make a substantial addition to this corpus.


JSJS symposium commemorating centenary of YIVO

In partnership with:

Martynas Mažvydas National Library of Lithuania, Lithuanian Culture Institute, Embassy of Lithuania in Japan

October 4, 2025, Sat. 13:00~17:00 at Kagura Zaka Campus, Tokyo University of Science.


Aims and scope:

YIVO Institute for Jewish Research, established in Vilnius in 1925 (Wilno in Poland at that time) and now located in New York, is a research institute on East European Jewish civilization holding the largest collection of materials on it. Collections in YIVO’s archives and library are multilingual encompassing not only Yiddish and Hebrew but also languages used in the countries where Jewish communities were/are.

This symposium, celebrating the centenary of YIVO, traces its history from the beginning through the most critical period of WWII to the contemporary era. It also reconsiders the possibility of YIVO to expand the research scope to include regional studies beyond just Jewish studies. Dr. Lara Lempertienė, invited as a special guest from Judaica Research Center, Department of Documentary Heritage at Martynas Mažvydas National Library of Lithuania in Vilnius, will talk on a less known chapter of YIVO in the local Lithuanian historical context.

We welcome both researchers on Jewish studies and those who are interested in countries that YIVO’s collection relates to.

We express our deepest gratitude for cooperation of Embassy of Lithuania in Japan in inviting Dr. Lara Lempertienė.


13:00–13:05 Opening remarks by Hiroshi Ichikawa(President of JSJS)

13:05–13:35 Yuu Nishimura(Lecturer at Nagoya University of Foreign Studies)

“The early history of YIVO and its achievement: from the beginning to 1939”  

13:35–14:35 Lara Lempertienė (Judaica Research Center, Department of Documentary Heritage at Martynas Mažvydas National Library of Lithuania in Vilnius)

Special Lecture:“The Last Chapter: YIVO in the Years of the First Soviet Occupation of Lithuania (1940-1941)”

14:35–14:45 Short break

14:45–15:15 Takao Chizuko (Former Prof. of Tokyo Medical and Dental University)

“YIVO in New York and its documents on Soviet Jewry”

15:15–16:00 Comments by Hisashi Shigematsu (Research Fellow-CPD, JSPS. Partnership Associate Professor, Vytautas Magnus University), Ryoka Aoki (JSJS), and Keishi Arai (JSJS/Dr.) 

16:00–16:15 Short break

16:15–17:00 General discussion

2025年2月16日日曜日

Lecture and Symposium: Pawel Maciejko, Jonatan Meir, and Shinichi Yamamoto

東京大学宗教学研究室 講演会およびシンポジウム
The University of Tokyo, Department of Religious Studies Lecture and Symposium

2025 年 3 月 6 日(木)
March 6th, 2025

東京大学本郷キャンパス法文 1 号館 217 教室
Room 217, Faculty of Law & Letters Bldg.1, Hongo Campus, The University of Tokyo

使用言語:英語
Language: English

10:00-12:00 講演 Lecture

Prof. Pawel Maciejko (Johns Hopkins University)
“A Portrait of the Kabbalist as a Young Man: on Kabbalah and Giacomo Casanova”

パヴェル・マチェイコ(ジョンズ・ホプキンス大学)
「ひとりの若者としてのカバリストの肖像:カバラーとジャコモ・カサノヴァについて」


14:00-17:00 シンポジウム Symposium

A New Perspective on the Conversion of Sabbatai Zevi
「シャブタイ・ツヴィの改宗についての新たな視座」

報告者(Lecturers)

山本伸一(東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了)
Dr. Shinichi Yamamoto (Ph.D. Graduate School of Humanities and Sociology, The University of Tokyo)

ヨナタン・メイール(ベングリオン大学)
Prof. Jonatan Meir (Ben-Gurion University of the Negev)

パヴェル・マチェイコ(ジョンズ・ホプキンス大学)
Prof. Pawel Maciejko (Johns Hopkins University)

司会(Chair):
志田雅宏(東京大学)
Dr. Masahiro Shida (The University of Tokyo)

主催:東京大学宗教学研究室

共催:科学研究費助成事業(若手研究)「中世西欧キリスト教世界のユダヤ教文献にみられる宗教観についての研究」(23K12019、研究代表者:志田雅宏)



2024年6月11日火曜日

日本ユダヤ学会2024年度公開シンポジウム『内側からのイスラエルとパレスチナ』

 日本ユダヤ学会2024年度公開シンポジウム

『内側からのイスラエルとパレスチナ』

日時:2024年7月7日(日)
会場:東京大学駒場キャンパス21KOMCEE West3階K303
・zoomによるハイブリッド形式での開催となります。

*学会の会員以外の方で公開シンポジウムの参加をご希望の方は事前申込が必要です。
学会のホームページにある申込フォームから申し込んでください
https://jewishstudiesjp.org/2024/06/10/2024symposium/

【プログラム】

14:00-10 開会の辞(市川裕理事長)

14:10-50 犬塚悠太(東京大学大学院)
「イスラエル国におけるユダヤ教の諸相:分岐する宗教シオニズムを事例に」

宗教はさまざまな側面から社会・政治的な問題と関わるがイスラエルにおいてもそれは例外ではない。今日のイスラエルにおいては「宗教化」という現象が生じているとされ、軍隊、教育をはじめとした社会の諸側面で宗教の影響が強まってきているほか、2022年の選挙による宗教政党の台頭と司法改革、それに伴う国内の分断という点でも宗教はますます重要なテーマとなってきている。他方でイスラエルにおけるユダヤ教は複雑な状況にあり、一口に宗教と言っても複数の方向へと分岐している。本法国では現代のイスラエル社会における正統派ユダヤ教がどのように人々を分断したり結びつける作用を果たしているのか、そしてそれはどういった歴史的展開を持っているのかを示す事例として、超正統派に近づく宗教シオニズムと、世俗派との積極的な協働を目指す宗教シオニズムという二つの方向性について論じる。(質疑応答10分)

休憩10分 (15:00-10)

15:10-50 保井啓志(人間文化研究機構人間文化研究創発センター研究員/同志社大学研究開発推進機構学術研究員)
「動物論から見るイスラエル社会の諸相」

ガラント国防相の「人間動物」発言に代表されるように、とりわけ10月7日以降のイスラエル社会では、人間と動物の関係が再び政治の表舞台に立っている。この人間と動物の関係を対象にした研究は動物論あるいは批判的動物研究という名で近年日本でも紹介され注目を集めてきた。これらの研究領域は、動物の権利運動、菜食主義の実践、人間-動物間関係や「人間性」の持つ意味など広範な射程を含むものである。そのため、パレスチナ問題をめぐって人間性や権利、倫理性が複雑に絡み合うイスラエルの現在の社会的状況を理解するのに、動物論の果たすべき役割は大きい。本報告では近年の動物論の議論を追いながら、①動物の権利運動の展開、②倫理的な優位性、③人間性とテロリズムの三点を取り上げる。そして人間と動物に関する事柄がどのようにイスラエルの植民地主義とナショナリズムにつながってきたのかを論じることで、イスラエル社会の諸相を明らかにしたい。(質疑応答10分)

休憩10分 (16:00-10)

16:10-50 南部真喜子(東京外国語大学総合国際学研究院特別研究員)
「エルサレムのパレスチナ人コミュニティにおける逮捕と拘禁」

本報告では、占領下エルサレムのパレスチナ人コミュニティ(東エルサレム)における、イスラエル当局による若者の逮捕や拘禁がもたらす影響について考えてみたい。1967年の併合以来、東エルサレムはイスラエルの行政管轄下にある。実際には、イスラエルの入植・植民地政策によって、コミュニティの維持をはじめとする日常のあらゆる生活空間に支配の侵食が進んでいる。若者の逮捕や拘禁は、「セキュリティ維持」の名目以上に、パレスチナ人社会を弱体化するひとつの手段として捉えられるだろう。ここでは、投獄の体験が、「子どもでいること」や「大人になること」といった個人の生のあり方にどのような影響を及ぼしているのか、友人関係や家族関係にどのような差異を生み出しているのか、そしてそれらを乗り越えようとする言説や動きについて検討したい。(質疑応答10分)

休憩10分 (17:00-10)

17:10-50 全体討論


2024年5月28日火曜日

京都ユダヤ思想学会第17回学術大会

京都ユダヤ思想学会第17回学術大会

日時: 2024年6月22日(土)
会場: 同志社大学今出川キャンパス良心館107教室(RY107)およびオンライン(Zoom)

【参加方法】  
参加を希望される方は下記登録フォームから登録をお願いします(登録締切は6月17日(月))。
https://docs.google.com/forms/d/1hu9MtnnjKz-E7VH2FDCuG9OCMQGIaTNLYkQchOJz_ug/edit

ご参加に必要な情報(オンライン参加のURLなど)は、6月20日(木)以降、ご登録いただいたメールアドレスにお知らせいたします。
6月21日(金)17:00までにメールが届いていない場合は、お手数ですが、事務局(hebraicaveritas@gmail.com)までご連絡ください。
なお、総会を除き、非会員の方も参加可能です。

【スケジュール】

 9:00 受付開始(対面会場開場およびZoom開室)

【個人研究発表】(9:10−12:30)

9:10- 9:50 研究発表①
「デリダのレヴィナス論「暴力と形而上学」の再考:ドゥンス・スコトゥスの存在の一義性を背景に」
発表者:長坂 真澄(早稲田大学)
司会:馬場 智一(長野県立大学)

9:50-10:30 研究発表②
「聖書~第二神殿時代までの呼称から考える「ユダヤ人」」
発表者:大澤 耕史(中京大学)
司会:津田 謙治(京都大学大学院文学研究科教授)

10:30-11:10 研究発表③
「初期フロムにおけるユダヤ教についての思索 ―『ユダヤ教の律法』を中心に」 
発表者:五反田 純(京都大学大学院)
司会:佐藤 貴史(北海学園大学)

11:10-11:50 研究発表④ 
「ブーバーとベングリオンによる「理想的な地」の理解―聖書注解を中心に―」
発表者:平岡 光太郎(同志社大学)
司会:小野 文生(同志社大学)

11:50−12:30 研究発表⑤ 
「エリヤ・レヴィータからゼバスティアン・ミュンスターへの書簡(1531年)の和訳及びその背景と考察
発表者:御堂 大師(無所属)
司会:手島 勲矢(無所属)

【シンポジウム】(13:30−17:15)

「シャガールとイディッシュ文化」

13:30-13:50 導入   
吉野 斉志(関西大学)「聖書とユダヤを描いた画家シャガール」

13:50-14:30 発題① 
圀府寺 司(大阪大学)「「ユダヤ人」近代画家としてのシャガールの特異性」

  (休憩)

14:40-15:20 発題② 
樋上 千寿(NPO法人イディッシュ文化振興協会)「アンスキーの『ディブック』と、シャガールの「ユダヤ劇場壁画」」

15:20-16:00 発題③
細見 和之(京都大学)「シュテットルにおけるハシディズム―マルティン・ブーバー『ラビ・ナフマンの物語』から―」

 (休憩)

16:15-17:15 質疑応答

【シンポジウム】 「シャガールとイディッシュ文化」
吉野 斉志(シンポジウム企画担当/関西大学非常勤講師)
マルク・シャガール(1887-1985)は20世紀でもっとも有名なユダヤ人画家の一人であり、大衆的にも高い人気がある。聖書に由来する主題や東欧ユダヤ人の伝統文化を描いたその作品は、しばしば聖書やユダヤに関する書籍の挿画にも使われてきた。
しかし、シャガール作品のユダヤ文化的背景は、よく知られているとは言えない。実際、ロシアのヴィテブスク(現ベラルーシ)でイディッシュ語を母語とするユダヤ人の家庭に生まれてロシア語で公教育を受け、ユダヤの伝統に反して画家となり、フランスで活躍した彼のアイデンティティ自体が、一筋縄ではいかないものである。ましてや、これらの言語と東欧ユダヤ文化までも踏まえて作品を解釈できる研究者が少なかったのも、無理からぬことと言えるだろう。
とはいえそんな中でも、シャガールの作品がイディッシュ語の諺やミドラッシュを踏まえていることを指摘した Amichai-Maisels の研究は、一般向けの美術書などでも断片的ながら引用されており、2003年には Benjamin Harshav によるシャガールの著述・書簡(多くは原文イディッシュ語)の英訳および解説が刊行されている。日本でも2011年に圀府寺司編『ああ、誰がシャガールを理解したでしょうか?』が出版されたのは、大きな一歩であった。
本シンポジウムでは3名の研究者を招いて、シャガールの作品理解を進める予定である。まずは近年の研究によって明らかになってきたシャガール作品の背景と欧米の美術界におけるシャガール像の形成について圀府寺司氏(大阪大学名誉教授)が、ついでクレズマー音楽とシャガール作品の関係について、樋上千寿氏(NPO法人イディッシュ文化振興協会)が論じる。最後にシャガール作品そのものからは離れて、マルティン・ブーバーの『ラビ・ナフマンの物語』に見られるシュテットルとハシディズムの描写を細見和之氏(京都大学)が論じる。




2024年2月2日金曜日

シンポジウム『タハケモニ』および中世ヘブライ・アラブ物語文学

シンポジウム

『タハケモニ』および中世ヘブライ・アラブ物語文学


シンポジウム概要

本シンポジウムは、ヘブライ語やアラビア語で書かれた中世物語文学の世界へと皆様を招待するものです。中世ヘブライ文学の傑作であるイェフダ・アルハリーズィ『タハケモニ』、もう一つのアラビアン・ナイトとも呼ばれる『百一夜物語』、そしてアラブ・イスラーム社会に伝わる至高の純愛物語『バヤードとリヤード』など、中東一神教文明から生み出されたさまざまな優れたヘブライ・アラブ物語文学があります。その豊饒な世界を、ヘブライ文学の勝又直也氏(京都大学)と飯郷友康氏(東京大学)が、またアラブ文学の鷲見朗子氏(京都ノートルダム女子大学)とハイサム・マフムード・シャルカーウィ氏(ジャヌーブ・アルワーディ大学/エジプト)、アフマド・ゼイネッディーン氏(アル・アズハル大学/エジプト)が、さまざまな角度から紹介します。それも個々の作品の紹介に留まらず、比較文学・文化論の観点から、ヘブライ語世界とアラビア語世界の文学的・宗教的・社会的な影響関係にまで足を踏み入れることを本シンポジウムは目指しています。各発表者による提題の後には、参加者の皆様との全体討議の時間も設けられますので、ぜひ奮ってご参加ください。

開催日時・場所
2024年3月16日(土)13:00-16:40
東京大学本郷キャンパス法文一号館215教室

実施方法
ハイブリッド形式:対面およびzoomによるオンラインでの実施

申し込み先
いずれの方法で参加される場合でも、下記のGoogleフォームからお申し込みください。
https://forms.gle/8onaekSh978jfUTA9 

タイムスケジュール
司会:大澤耕史(中京大学)

13:00-13:10 趣旨説明、講演者紹介

第一部
13:10-14:10 基調講演
勝又直也(京都大学)
『タハケモニ』:マイノリティ作家によるヘブライ語復興運動

14:10-14:25 コメント
飯郷友康(東京大学)

14:25-14:40 休憩

第二部
14:40-15:10 報告1
鷲見朗子(京都ノートルダム女子大学)
「『百一夜物語』所収の「七人の大臣の物語」」

*本報告は英語でおこなわれます
Akiko Sumi, Kyoto Notre Dame University
The Story of the Seven Viziers in The Hundred and One Nights

15:10-15:40 報告2
ハイサム・マフムード・シャルカーウィ(ジャヌーブ・アルワーディ大学/エジプト)
アフマド・ゼイネッディーン(アル・アズハル大学/エジプト)
アラブの純愛物語『バヤードとリヤード』:時代、場所、重要性

*ハイサム氏の報告は英語でおこなわれます。
アフマド氏の報告はアラビア語でおこなわれ、日本語の全訳を配布いたします。
Haitham M. Sharqawy, South Valley University
Ahmed Zain Eddin, Al-Azhar University
Bayad wa-Riyad: An Arabic Love Story – Time, Place, Importance”

15:40-16:40 質疑応答

主催
日本学術振興会科学研究費助成事業
「総合的な聖書の「語り直し」学-古代から現代のユダヤ文学における発展とその学際性」
基盤研究(A)研究課題/領域番号:21H04347 研究代表者:勝又直也(京都大学)

共催
日本学術振興会科学研究費助成事業
「百一夜物語におけるミサンドリー:「王子と七人の大臣の物語」のジェンダー論的分析」
基盤研究(C)研究課題/領域番号:23K00470 研究代表者:鷲見朗子(京都ノートルダム女子大学)

連絡先
大澤耕史(中京大学)
k-osawa(アットマーク)lets.chukyo-u.ac.jp 
*アットマークを@に変更してください。




2023年6月17日土曜日

日本ユダヤ学会2023年度シンポジウム

 日本ユダヤ学会2023年度シンポジウム

「東欧ユダヤ史研究の過去と現在」

日時:2023年7月1日(土)14:00~17:50
会場:Zoomによるオンライン開催

14:00~14:10 開会の挨拶:市川裕(東京大学名誉教授)

14:10~14:50 安齋篤人(東京大学大学院)
「戦間期ガリツィア・ユダヤ人の都市近郊農業とエスニック・マーケティング戦略」

 本報告は,戦間期のガリツィア地方におけるユダヤ人の都市近郊農業を扱う。近代に至るまで、ヨーロッパのユダヤ人は法的差別のために土地の購入を禁じられ、農業から疎外されていた。中東欧地域において例外的にユダヤ人の農業が発展したのが、19世紀後半から20世紀半ばにかけてハプスブルク帝国及びポーランド第二共和国の支配下にあったガリツィアである。同地域では、19世紀中盤の法的解放の後にユダヤ人が土地を購入し、都市近郊農業という新しい農業ビジネスを展開した。特に戦間期にはユダヤ人の食事規定(コシェル)を満たす乳製品が都市部で販売されると共に、パレスチナなど海外市場への輸出も試みられた。本報告ではこうしたユダヤ農業の特徴を、ポーランド第二共和国におけるガリツィアや諸地域の戦災復興と都市化、国際的な資金支援、固有の食習慣を維持する民族的・宗教的マイノリティを対象としたユダヤ人農家のエスニック・マーケティング戦略の3つの観点から分析する。(質疑応答10分)

14:50~15:00 休憩 (10分)

15:00~15:40 西村木綿(名古屋外国語大学)
「誰が、なぜ、『ポーランドのユダヤ史』を書くのか」

歴史的ポーランドのユダヤ人についての近代的な歴史研究は、19世紀末よりポーランドのユダヤ人自身の手で開始された。WWII後、研究の中心はイスラエルと米国に移るが、他方で1980年代以降のポーランドでは、主要大学を拠点に非ユダヤ系ポーランド人によるユダヤ史研究が盛んに行われている。本報告では、それぞれの時期にどのような動機がポーランド・ユダヤ史研究を促したか、また、戦前と戦後で担い手が変わる中で、研究にどのような変化があったのかを考察する。(質疑応答10分)

15:50~16:00 休憩 (10分)

16:00~16:40 重松尚(日本学術振興会)
「リトアニアのユダヤ人に関する歴史叙述の変遷」

リトアニアの歴史を語る上でユダヤ人の存在は欠かすことができない。しかし、従来のリトアニアの歴史叙述においては、民族的リトアニア人を主体とする歴史叙述のなかでユダヤ人についてはほとんど触れられてこなかった。21世紀に入ると、リトアニアが欧州統合を進めていく上で多文化主義が重視されるようになり、これに伴いリトアニア・ユダヤ人の歴史も再認識されるようになってきている。本発表では、リトアニアにおける主要な歴史書においてユダヤ人に関する歴史叙述がどのように変遷してきたのか、その背景となる政治的動向も含めて論じる。(質疑応答10分)

16:50~17:50 全体討議

日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/2023/06/06/2023symposium/

2022年11月16日水曜日

シンポジウム「現代における宗教信仰復興を問う」

 島薗進編集 叢書刊行記念シンポジウム

「現代における宗教信仰復興を問う」

東京会場:東京ジャーミィ(代々木上原)
2022年11月27日(日)13:00-16:30

京都会場:同志社大学良心館
2023年1月22日(日)13:00-16:30

会場参加については予約不要(無料)
zoom参加については要事前登録(無料。方法はHPに記載)

登壇者

岡田真水 岡山県妙興寺住職(仏教)

加藤眞三 慶応義塾大学名誉教授(大本)

鎌田東二 京都大学名誉教授(神道)

小原克博 同志社大学教授(キリスト教)

島薗 進 東京大学名誉教授

原 敬子 上智大学准教授(キリスト教)

堀江宗正 東京大学教授

水谷 周 日本宗教信仰復興会議代表理事(イスラーム)

弓山達也 東京工業大学教授

東京会場 1.ポスト・グローバリズムと多文化共生

 グローバリズムはもろくも崩れて、今やそれを越えた時代が眺望されている。ただしそのあらましも、まだ定かではない。そんな中、確かに言えることは、逆に対置される多様化であり、多元化が軸になるであろうことである。いわば価値観の中央集権化ではなく、地方分権化であり、個別化である。それは世界各地のさまざまな諸要素を活性化させるかもしれない。そしてその際、宗教はどのような位置を占めることになるのか。各地や各状況に対応した宗教信仰が活躍するのであろうか、あるいは多様な思想が飛び交うことになるのであろうか。さらにそういった動向はより広く、文化全般の動向とどのように絡み合うのであろうか。闊達な議論と展望を示す討論が期待される。

日時:2022年11月27日(日)13:00~16:30
場所:東京ジャーミィ(代々木上原)
13:00 開会、黙祷(進行 水谷周)
13:03 クルアーン朗読、挨拶(イマーム・チナル師)
13:10 島薗進編集長、佐藤今朝夫国書刊行会社長挨拶
13:20 討論開始(司会 弓山達也)
シンポジスト 加藤眞三、島薗進、原敬子、堀江宗正
15:00 休憩、礼拝
15:20 再開
コメント(鎌田東二、水谷周)
16:30 閉会 

京都会場 2.危機の時代における文化の継承と創造

 「京都」は1000年以上の長期にわたる日本の都で、そこでは常に「伝統」と「流行」が緊張感を持ってせめぎ合ってきた。しかし、明治維新後、日本の首都が「東京」に移って、東京がめまぐるしい「近代」を体現する年になったのに対して、京都は過去の歴史文化を保持してきた日本文化の砦のように見なされてきた。だが、実はそこにも「近代」の新しい波が押し寄せ、最古と最新がぶつかり合いながらダイナミックな生成を生み出していた。京都という都市を舞台に展開されてきた危機とその打開の創造を多角的な論者の視点から検討してみたい。また、その議論を通じて、広く現代社会における宗教をめぐる課題についてもアプローチしていきたい。

日時:日時:2023年1月22日(日)13:00~16:30
場所:同志社大学 良心館内
13:00 開会、黙祷(進行 加藤眞三)
13:03 聖書朗読及び祈祷(小原克博)、法螺貝奉奏(鎌田東二)
13:10 島薗進編集長、割田剛雄国書サービス社社長挨拶
13:20 討論開始(司会 小原克博)
シンポジスト 岡田真水、鎌田東二、水谷周、弓山達也
15:00 休憩
15:20 再開
コメント(島薗進、加藤眞三)
16:30 法螺貝奉奏(鎌田東二)、閉会

主催:一般社団法人日本宗教信仰復興会議
https://www.hukkoukaigi.or.jp/

2022年6月8日水曜日

京都ユダヤ思想学会第15回学術大会(オンラインのみ)

 京都ユダヤ思想学会第15回学術大会

公開シンポジウム
文法、カバラー、詩
― ヨーロッパ・ルネサンス期の言語思想とユダヤ ―
〜古のことばの深みへと迫る若き情熱の時代を読み解く〜

日時: 2022 年 6 月 25 日(土)
会場: 同志社大学今出川キャンパス至誠館 32 教室
およびオンライン(Zoom)
【6/22更新:開催形態がオンラインのみに変更されました!】

【個人研究発表】(9:20ー12:00)*参加費500円がかかります。
【シンポジウム】(13:00−16:45)*参加費無料です。

*申し込みは締め切りました。

個人研究発表

9:20-10:00
松葉 類(同志社大学)
「レヴィナスにおける「国家」の概念化 ―「自由と命令」における政治的な問い」

司会:藤岡 俊博(東京大学)

 本発表はエマニュエル・レヴィナスの一九五〇年代初頭の思索において、「国家」が概念化される仕方について論じる。一九五三年の論考「自由と命令」でレヴィナスは、プラトンの『国家』を参照しながら、自由を保障する国家の必要性を説いている。自由な行為にとって、圧政による妨害とそれに対する服従の内面化は避けがたく、あらかじめ自己の外に命令を設けなければならない。この自由の条件となる命令は、プラトンのいう「正義の国家」と重ね合わされ、政治的には成文法や制度という形態をとる。しかし、こうして打ち立てられた命令は非人称的なものであり、そのつど更新されていく意志の自由を疎外する別の圧政となってしまう。ここで自由の条件となった命令が、他者たちとの関係における「言説に先立つ言説」に基づく限り、この成文法は圧政とは異なる仕方で主体に働きかける。つまり、レヴィナスは、他者との関係に基づく限りで、圧政を阻止するために政治的形態あるいはプラトンのいう「国家」を要請している。
 他方、広い意味での戦争がもたらすのも、主体の自由を妨害する圧政である。戦争において主体の自由にみずからの自由を暴力的に対置するのは、「顔をもたない」他者、敵として「集団となった他者」である。この他者と主体は、「顔」のように正面からではなく、つねに斜めから出会うことになる。
 ここで検討されるべきは、主体に対していままさに暴力的に対立するこの他者に対して、かの政治的形態がいかにして働くかという問いである。さらにこの政治的な問いが、レヴィナスのユダヤ的著作においても切迫した形で問われていることが示されなければならない。以上のことによって、主著『全体性と無限』への思索の途上におけるレヴィナスの政治思想の射程が明らかとなるであろう。

10:00-10:40
長坂 真澄(早稲田大学)
 「不動の動者と作用因としての神 ―ハイデガーの技術論のデリダによる読解から」
司会:丸山 空大(東京外国語大学)

 1975-76 年講義『理論と実践』においてデリダは、ハイデガーが講演「技術への問い」および「科学と省察」(ともに 1953 年)で展開するアリストテレス読解をやや詳細に辿る。そこでデリダは、ハイデガーの或る奇妙な主張に注意を促している。ハイデガーによれば、アリストテレスが「アイティオン(αίτιον)」と呼んでいたものは「責めを負うもの」を意味していたが、ラテン語(causa)へと翻訳されるに伴い、作用因(causa efficiens)の観念へと転じてしまったと言う。
 この主張がデリダの注意を引くのは、アリストテレスが問題の箇所で作用因(始動因)についても明確に語っているからにほかならない。なぜハイデガーはこのような奇妙な主張をしているのだろうか。
 デリダ自身はこの問いを開いたままにしているが、我々は、後期シェリングのアリストテレス読解へと迂回することで、この問いに答える一つの道を提示することを試みる。
 シェリングは『啓示の哲学』序論において、アリストテレス『形而上学』に登場する「不動の動者」は「愛される者」すなわち目的因であり作用因ではないとした上で、アリストテレスの神論をキリスト教へと接合させようとした中世哲学の苦難について語っている。実際、トマス・アクィナス『神学大全』における神の存在論証においては、アリストテレスの神の存在証明と似て非なる論証が、作用因からなる因果系列を用いて展開されている。このような哲学史観を背景とするなら、上述のハイデガーの議論が意味をなしてくる。
 ハイデガーは、アイティオンからカウサへの意味の転化を、テクネーという語の意味の転化と連動的に論じている。というのも、テクネーの語もまた、真理への通路の意から、目的のための手段、或る結果を引き起こすための作用因の意へと転じるからである。
 本発表では、まずアリストテレス、トマス・アクィナスの論証を振り返った後、シェリングによるアリストテレス読解を吟味し、以上を背景として、ハイデガーの論じる技術と形而上学(存在神学)との結びつきを、デリダの視点も踏まえつつ明らかにしたい。

10:40-11:20
新井 雅貴(同志社大学大学院博士課程)
「イザヤ書 14 章における死者崇拝批判 :19 節のמקברך השלכת の解釈を中心に」

司会:岩嵜 大悟(古代オリエント博物館)

 イザヤ書 14:9 に現れる「レファイーム(רפאים「(とは、神格化された王家の祖先を指すウガリト語、「ラパウマ(rapaʾūma)」を念頭においたヘブライ語である。昨年度の発表では、この詩文が、神格化にかかわるこのヘブライ語にあえて言及し、それを神と対比させることによって、死者がもつ力を凌駕する神の強さを描こうとした点を指摘した。本年度はここに崇拝の場としての墓という観点を加え、イザヤ書 14 章 4b–21節に焦点をあてて、古代オリエント世界では一般的であった死者崇拝がどのような手法で批判されているか考察を深める。
 18 節は、王家の死者が本来、墓に丁重に埋葬されることを説明し、19 節は、この詩文で批判されている王だけがその例外であることを主張している。19 節のמקברך השלכת は、前置詞מןの解釈によって、①移動の起点「〜から」→墓から掘り出される、②非接近「〜から離れて」→埋葬されずに墓の外に遺棄される、③否定辞「〜なしで」→墓が作られずに遺棄される、という 3 つの意味で理解されてきた。本研究はここに、④理由「〜のゆえに」の可能性を提示したい。
 王の埋葬の否定においては、その王が神の言葉に従わず、神に反抗したという、神に対する王の罪が批判される(エレミヤ書 22:17–19、列王記上 14:13)。13–14 節は、この王が神のようになろうと画策していたことを述べている。死者崇拝とは、死者の神格化であり、それは YHWH 崇拝に対立する行為とみなされた。つまり、神格化された死者は YHWH に対立する存在である。これらをふまえると、この王の埋葬の否定の背景には、自らが崇拝される場として墓を用意したことが示唆される。
 このように、この詩文は、古代オリエント世界で死者が神格化されていた点を認め、それを YHWH に敵対する罪であると主張することによって、崇拝の場としての墓の重要性を否定しようとしたと結論づけられる。

11:20-12:00
田中 直美(福山市立大学)
「不在のものとの関係による共同体の変革 ―F. ローゼンツヴァイクの翻訳論におけるユダヤ人とドイツ人の対話の試み」
司会:堀川 敏寛(東洋英和女学院大学)

 本発表では F. ローゼンツヴァイク(Franz Rosenzweig, 1886-1929)の聖書翻訳についての考察を手がかりに、同化が進む当時のドイツ社会において彼がユダヤ人とドイツ人の対話をどのように実現しようと試みていたのかを明らかにする。
 聖書の翻訳作業は 1925 年に M. ブーバーがカトリック系出版社ランベルト・シュナイダーから新たなドイツ語訳を依頼された際に、ローゼンツヴァイクとの共訳を条件に引き受けたことで開始された。彼らは(1)ドイツの同化ユダヤ人、(2)新約に対する旧約として聖書を理解してきたキリスト教徒、(3)もはや聖書の言葉に向かって自分の生を向けずにそれを読んでいる今日の人々の三者を読者の対象として考えていた(堀川敏寛『聖書翻訳者ブーバー』新教出版社、2018 年, 一一一)。それゆえ、堀川によれば彼らの翻訳聖書は「実定的宗教の信者に限定されるものではない」。というのも、「ブーバーの考える宗教性のなかにある「汝の語りかけ」を、世間一般の人たちに受け入れてもらいたいという願いが彼らにあった」からである(堀川, 一一一)。
 だが、彼らが聖書翻訳で目指したのは民族や宗教を問わず全人類に「汝の語りかけ」を響かせることだけだったのだろうか。特に自由ユダヤ学舎での教育実践や 1927 年の時点で みずからが「『救済の星』(1921)からは総じて隔たってはいない」(GSⅠ-2, 1169)と述べている『救済の星』におけるユダヤ民族の特殊性を考慮すれば、少なくともローゼンツヴァイクの翻訳の試みにおいては、共同体としてのユダヤ民族の変革も目指されていたのではないだろうか。
 したがって、本発表では次の 3 点を検討することによってローゼンツヴァイクがユダヤ民族の共同体の形成と、ユダヤ人とドイツ人の対話をどのように考えていたのかを明らかにしたい。(1)『救済の星』におけるユダヤ民族の特殊性。(2) 「聖書とルター」(1926) で述べられる「翻訳することは、二人の主人に仕えること」(GSⅢ, 749/三五三)という事態と「言語はただ〈ひとつ〉しかない」(GSⅢ, 769/三八七)という事態はいかに結びついているのか。(3) また、「語ることはすべて翻訳すること」(GSⅢ, 749,771/三五四、三九二)と述べられるが、実際の対話の場面での語りと原典を他言語へと変容させる翻訳はどのように関係しているのか。


公開シンポジウム

「文法、カバラー、詩―ヨーロッパ・ルネサンス期の言語思想とユダヤ」

13:00-13:05 趣旨説明 伊藤 玄吾(同志社大学)

13:05-13:55 基調講演 手島 勲矢(京都ユダヤ思想学会会長)
 「ヘブライ語文法とユダヤ神秘主義: ユダヤ思想史から考える両者の関係」

(13:55-14:10 休憩)

14:10-14:40 発題① 根占 献一(星槎大学)
 「フィチーノとジョヴァンニ・ピーコ ―ロレンツォ・イル・マニフィコ時代のヘブライ思想」

14:40-15:10 発題② 久保田 静香(日本女子大学)
 「ペトルス・ラムスの「方法」と文法改革:16-17 世紀に普及したヘブライ語文法書との関連において」

15:10-15:40 発題③ 伊藤 玄吾(同志社大学)
 「ヘブライ語とルネサンス詩学 ―Tehillim と Psalmi」

(15:40-15:55 休憩)

15:55-16:45 質疑応答

【シンポジウム】
「文法、カバラー、詩 ―ヨーロッパ・ルネサンス期の言語思想とユダヤ」
〜古のことばの深みへと迫る若き情熱の時代を読み解く〜

伊藤 玄吾 《シンポジウム企画担当》
15 世紀後半以降の西欧世界において、ヘブライ語やアラム語学習が非ユダヤ教知識層の間にも広がり、ユダヤ教関連の多様な文献が原語のままに読まれる機会も増えていった。それまでギリシア語・ラテン語という古典語を中心に言語について思考していた西欧の学者たちは、ヘブライ語という異質な言語と正面から向き合うことを通して旧来の言語概念の再考を迫られるようになった。この新たな問題意識は、当時の思想界における重要な課題であった神秘主義、古典語と各地域の俗語の優越をめぐる論争、さらには詩的言語についての議論などとも密接に結びついてルネサンス期の思想・文化の動向に大きな刺激を与え続けた。今回のシンポジウムでは、ヘブライ語研究およびユダヤ教関連文献の広がりがルネサンス期の西欧の思想にもたらした様々な地殻変動を、文法・カバラー・詩という視点から捉えてみたい。はじめに、京都ユダヤ思想学会の手島勲矢会長による基調講演において、ユダヤ教の文脈における言語研究と神秘主義の緊密な関係性を古代から近代初期まで辿り、主要な問題群とその思想史上の意義を明らかにする。さらにそうした問題群が、ルネサンス期ヨーロッパ特有の文脈においてどのような熱狂もしくは抵抗を惹き起こし、新たな知の醸成へと向かうのかを、主としてイタリアとフランスを専門とする3名の研究者が論じていく。最初に、15 世紀後半から16 世紀にかけてのヨーロッパ思想界のヘブライズムを考える上で重要な鍵となるフィチーノとピーコ・デッラ・ミランドラについて、イタリア・ルネサンス思想研究を専門とする根占献一氏(星槎大学)が、次に 16 世紀中期以降 17 世紀に至る学問改革の大きな起点となったフランスのペトルス・ラムスとその影響下に編まれたマルティニウスのヘブライ語文法について、フランス16・17 世紀思想研究を専門とする久保田静香氏(日本女子大学)が、さらにヘブライ語をめぐる言語的考察の進展が詩的言語の理解をいかに深め、聖書解釈のみならず各国語への翻訳・翻案の実践においてどのような影響を及ぼしていったかについてフランス・ルネサンス文学研究を専門とする伊藤玄吾(同志社大学)が論じる。


基調講演 「ヘブライ語文法とユダヤ神秘主義: ユダヤ思想史から考える両者の関係」
手島 勲矢(京都ユダヤ思想学会 会長)

15 世紀フマニスト(ピコ、ロイヒリン)がヘブライ語に強い興味をもっていたことは良く知られているが、彼らのヘブライ語学習への動機の一つにユダヤ神秘主義(ゾハルなど)文献を読むことにあったという時、その後の 16 世紀の宗教改革期のクリスチャン・ヘブライストたちの文法ニーズとは幾分異なるという印象を持つ。本講演は、ユダヤ思想史の中で「カバラー קבלה」「ディクドゥーク דקדוק「と呼ばれる神秘主義と文法の概念が結びつく文献の事例サンプルを、ユダヤの古代・中世・近世の著作より集め、ヘブライ語文法とユダヤ神秘主義の関係について考察・議論する。
 G・ショーレムによれば、ユダヤ神秘主義の伝統は、神からの直接啓示を受ける預言者の時代が終わり、聖典タナッハ(ヘブライ語聖書)の解釈を引き受ける賢者の存在が前提にあるという。その点で、近代人が神秘主義と名づける内容をユダヤ神秘主義者たちが「カバラー」と呼んだ事実は興味深い。なぜならカバラー(伝承)という呼称は、マソラ学者(アハロン・ベン・アシェルたち)にとって、タナッハ(律法、預言者、諸書)中の「預言者」の部を意味するものであり、またアブラハム・イブン・エズラ(12 世紀文法学者)もトーラー解釈に不可欠なものがマソラ学者の伝統であると同時に、その伝統には神秘主義者の伝承も含まれることを暗示する。
 ユダヤ神秘主義者はトーラー解釈の困難箇所を「秘密 סוד「または「不思議 רז「と呼ぶが、この伝統はダニエルが不思議な夢や文字を解読して予知能力を示した記事にも通じるものであり、フィロン・ヨセフスも古代のエッセネ派(またはテラペウタイ)が聖典テキストの瞑想を通じて預言・予知を追求していたと記録している。また古代ユダヤ教のヨベル書、中世のクザリの伝承においても、ヘブライ語は神の言語(神とアダムが語り合った言語)の伝統を受け継いでいるものと信じられ、父祖アブラハムはヘブライ語(エベルの言語)を天使から、またはエベルから直々に学んだと信じられている。
 具体的には「預言」「文法」「詩文」をキーワードにして、古代はフィロン・ヨセフス、ゲオニーム時代は『セフェル・イェツィラー』また『ディクドゥケイ・テアミーム』、中世はイブン・エズラ、マイモニデス、ユダ・ハレヴィまたアルハリージの著作から関連箇所を集め、ユダヤ神秘主義とヘブライ語文法の関係の痕跡の分析を試みたい。特に、入り口としして 16 世紀イタリアのアザリヤ・デ・ロッシが述べる「文字は身体、母音記号は魂」の思想は −17 世紀のスピノザ文法にも出てくる− 神秘主義の聖典『セフェル・ハゾハル』『セフェル・ハバヒール』にも確認できるモチーフでもある。本講演では、聖書ヘブライ語の文法学者が依拠するティベリア式の母音記号またマソラ学者の文字数への拘りは、単なる写字生的な聖書原典の保護努力というだけでなく、預言を求める古代の神秘主義にもルーツがあるのでは?という可能性の、初学的議論を始めてみたい。


発題① 「フィチーノとジョヴァンニ・ピーコ ―ロレンツォ・イル・マニフィコ時代のヘブライ思想」
根占 献一(星槎大学 講師)

 中世文化と対比してルネサンス文化を見れば、イタリア・ルネサンスの人文主義とラテン的伝統との深化は発展的なものとして、また同人文主義とギリシア的伝統との強化は特徴的なものとして捉えられてきた。前者に関しては、ラテン的中世に知られていなかった古代文献の数々が指摘できるであろうし、知られていたとしてもより完全な形で認識できるようになったということがあるであろう。後者に関しては、プラトンとプラトン主義が盛んな思想として 15世紀に現れるし、アリストテレス注釈や新たなアリストテレス『詩学』がもたらした文化が近代に大きな影響を及ぼすことになる。
 これら両伝統に較べれば、ヘブライ思想とイタリア・ルネサンスとの関係は十分に注目されてきたとは言い難い。特に「異教」の地日本ではそのように映ずる。芸術を中心とするルネサンスに高い関心が払われる割には、哲学や宗教思想の分野、特にヘブライ思想になると、一般的にはまだまだ未知のままに留まっている観がある。
 この方面になれば、先ずはジョヴァンニ・ピーコ・デッラ・ミランドラ(1463‐1494)の名が浮かぶ。「人間の尊厳についての演説」で知られる哲学者である。この演説は私が知る限り、三様の異なる和訳があり、日本でも相当の関心が払われてきた。また、その尊厳論の内容はルネサンス思想の精髄と、ヤーコプ・ブルクハルトの書き著した古典、『イタリア・ルネサンスの文化』以来、好んで引用され、強調されてきた。他方で、専門家の間では、当時のユダヤの知識人との深い交流により、ピーコは特異なキリスト教的カバラ主義者であり、カバラ思想の先駆的な理解者であると受け止められてきた。イタリアでは変わらず関心の高い哲学者であり、同時代人の医者ピエル・レオーネ・ダ・スポレートとの関係が近年話題になり、新たな理解が進んでいる。
 これに対して、マルシリオ・フィチーノ(1433‐1499)はプラトン主義者として知られ、近年、特に英語圏では研究対象のブームとなり、研究書も数多く現われた。特に、米国ルネサンス学会では毎年、フィチーノに関する発表が大々的に行われて、彼の人気のほどを示している。そのような状況下ではあるが、彼とヘブライ思想との関係に主たる関心が向かうことは少なかったし、同一圏内にいた彼とピーコの思想的相違がこうして指摘されることもあった。確かにこの点に差異はあるものの、フィチーノの『キリスト教論』などの典拠上の読みが深まり、プラトン主義者に窺われるヘブライ的伝統にも注目が集まり始めている。この機に、幾らかなりともフィチーノ認識が改まるようにしたい。
 本発表は以上のように予備的かつ概略的ではあるが、特に 15 世紀後半、フィレンツェのロレンツォ・デ・メディチ時代におけるヘブライ思想の局面を示すことにより、ルネサンス文化が一段と豊穣に映じたら、と願う次第である。


発題② 「ペトルス・ラムスの「方法」と文法改革: 16-17 世紀に普及したヘブライ語文法書との関連において」
久保田 静香(日本女子大学 准教授)

 16 世紀フランスの人文主義者ペトルス・ラムス(Petrus Ramus, 1515-1572)は、過激な反アリストテレス主義の立場から、中世以来の自由学芸科目、なかでも三科(trivium : grammatica, rhetorica, dialectica)の改革にとりくんだ人物として知られる。そこで本発表ではまず、ラムスの学芸改革において「文法学」と「弁証術(=論理学)」が近接する学として捉えられていること、そして、「弁証術」と「修辞学」の体系の組み直しが、アリストテレス以来の弁論術(古典レトリック)のフレームに準拠しているさまを整理する。そしてこの学芸改革を敢行するにあたって前面に打ち出された「方法(methodus)」および「自然・本性(natura)」重視の思想とはいかなるものであるかを、ラムスのテクストのなかに探る。
 ラムスの学芸改革は、1555 年に「弁証術」と「修辞学」が一定の完成をみたのちに、「文法学」の整備へと向かう。1559 年に刊行された『ラテン語文法全四巻(Grammaticae libri quatuor)』をベースに、翌 1560年には早くも『ギリシア語文法(Grammatica graeca)』 が編まれ、この二大古典語の文法体系の骨格を利用して、1562 年および 1572 年に『フランス語文法(Gramere / Grammaire)』が上梓される。これらの文法書はいずれも「語形論(etymologia)」と「統辞論(syntaxis)」の二本柱から成っているという特徴がある。この二部構成をそのまま敷き写しにしたかのようにして、16 世紀後半にラムス主義思想の信奉者ペトルス・マルティニウス(Petrus Martinius, ca. 1530-1594)によって『ヘブライ語文法(Grammaticae hebraeae, 1567)が世に問われた。このマルティニウスの文法書はその後 17 世紀初めにかけて、オランダをはじめとするプロテスタント諸国で好評を博すこととなる。なおラムス自身、晩年に本格的な聖書研究にとりくむためにヘブライ語の学習にとりかかっていたことが知られている。以上の事例と考察をつうじ、16-17 世紀のヨーロッパにおけるヘブライ語文法書の普及にラムス主義思想が関与していたことの理由の一端に迫ることを目指す。


発題③ 「ヘブライ語とルネサンス詩学 −Tehillim と Psalmi」
伊藤 玄吾(同志社大学 グローバル地域文化学部 准教授)

 西洋ルネサンス期において、詩は狭い意味での文芸世界にとどまらず、学問や宗教はもちろんのこと、政治とも深く関わるものであり、公共的かつ実践的な性格を持つものでもあった。またそれゆえに、詩の言語とはいかなるものであり、神と個としての人間と共同体をどのように結びつけるものなのかといった考察は、旧秩序の揺らぎを経験しつつあったこの時代特有の緊張感の中で進められた。
 ルネサンス期の詩的言語をめぐる議論において特筆すべきことは、古代ギリシア・ラテン語世界における詩的言語の考察の伝統と、アラビア語世界との関わりの中で形成されてきた中世ユダヤ世界の詩的言語の考察の伝統が出会っただけでなく、さらにはそれらがヨーロッパの諸国語(諸地域語)による詩作の運動とも結びついて、理論と実践が結びつく形で考察が深められていったことである。とりわけイタリアの地においては、ユダヤ教徒の学者・詩人においても、キリスト教徒の学者・詩人においてもこの 3 つの流れを踏まえて詩を論じることがなされ始めた。そこで重要なのは、詩的言語の考察が、ヘブライ語という言語と文字の特異性をめぐる文法学者たちの議論そして聖書解釈の方法をめぐる議論と密接に結びついて展開していることであり、さらには、この時代に本格的に始まる聖書の各国語への翻訳・翻案という実践的な課題とも結びついて展開している点である。本発表では、ユダヤ教において Tehillim、キリスト教の文脈において Psalmi の名で呼ばれてきた「詩篇」テクストの詩的性格の理解をめぐって 16 世紀のイタリアおよびフランスで展開された主要な議論を辿ってみたい。




2022年6月2日木曜日

2022年度日本ユダヤ学会公開シンポジウム

 日本ユダヤ学会

2022年度公開シンポジウム

『アメリカとユダヤ人-21世紀からの検証』

日時:2022年7月3日(日) 13:00~17:30

ハイブリッド形式にて実施

会場:学習院女子大学 2号館235教室
(ZoomのURLは会員に送付済み)

14:00-14:10 開会の辞(市川会長)

14:10-14:50 近藤佑樹 氏(滋賀県立大学)
「リンドバーグ大統領とフィリップ少年 ーThe Plot Against Americaから読み解く現代アメリカの姿」

現代アメリカにおける代表的な作家フィリップ・ロスが2004年に発表したThePlot Against Americaは、第二次世界大戦参戦前のアメリカにおいて、ルーズベルトではなく、単独で大西洋横断を達成したリンドバーグが1940年に大統領となるという設定の下、フィリップ少年のファミリーヒストリーが思わぬ展開を迎える物語である。本発表では、裏の顔を持つリンドバーグ大統領がもたらす恐怖や脅威を巡る描写に注目した上で、フィリップ少年の行動がもたらす影響の問題や、それを描く小説家ロスの問題について議論し、そこから浮かび上がる現代アメリカの姿について一考したい。(質疑応答10分)

15:00-15:40 堀邦維 会員(日本大学)
「ゲットーからアメリカへ」

ゲットーという非アメリカ的世界から、アメリカ文化の中枢へ参入していったユダヤ移民の歴史と現在を考える。とくに、ユダヤ人の進出の著しかった知識人社会と大衆文化に光を当てる。(質疑応答10分)

休憩10分 (15:50-16:00)

16:00-16:40 北美幸 会員(北九州市立大学)
「アメリカ黒人とユダヤ人:被差別経験の交差性と公民権運動への参加」

アメリカ黒人とユダヤ人は、ともにマイノリティとして歴史的に差別された経験を持つ一方、もっぱら差別ー被差別の関係にある白人と黒人であることから、連帯感と親近感を抱きつつも反発するという微妙な関係を培ってきたといわれる。1950年代後半以降、アメリカ・ユダヤ人は、公民権運動あるいは黒人の権利獲得に対して比類なき積極的姿勢を見せてきたが、積極的である度合いや参加の動機等は、実はさまざまであった。本報告では、北部に住むユダヤ人と南部ユダヤ人の違い、セキュラー(世俗的)であった学生の参加者、労働運動との関わり等にもに着目しながら、多文化社会であるアメリカにおけるユダヤ人と黒人の関係を公民権運動期を中心に見てみたい。(質疑応答10分)

16:50-17:30 全体討論

日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/2022/06/02/2022symposium/

2021年6月17日木曜日

日本ユダヤ学会公開シンポジウム「コロナ禍のユダヤ人社会」

日本ユダヤ学会公開シンポジウム

「コロナ禍のユダヤ人社会」

日時:2021年7月4日(日)14:00-17:30

開催方法:オンライン(zoom)

14:00-14:10 開会の辞(市川会長)

14:10-14:55 アダ・タガー・コヘン(同志社大学)

“Judaism in time of COVID-19: why couldn’t Ultra-orthodox Jews comply with the pandemic restrictions?”「コロナ禍のユダヤ教:超正統派ユダヤ人はなぜ感染防止対策に従うことが出来なかったのか」

本報告では、ユダヤ教における超正統派(Ultra-Orthodoxy)の創出の歴史を簡潔に描写し、近代化された世界とこの共同体がどのように邂逅したのかについて、その主要な論点を説明する。その邂逅は、彼らがひとつの世界観を構築する要因となった。その世界観とは、ホロコースト以後、ヨーロッパの失われたユダヤ人共同体を再建すべく、宗教的な献身とたくさんの子どもを産むことを奨励したラビたちによって指導された閉鎖的な共同体をその中心とするものであった。また、報告の後半では、昨年から今年の前半にかけて、イスラエルのユダヤ教超正統派の共同体がパンデミックに対してどのように反応したのかを見てゆく。*本報告のみ英語にておこなわれる(日本語訳原稿付き)(質疑応答15分)


14:55-15:40 天野優(日本学術振興会特別研究員PD)

「パシュケヴィル(張り紙)から垣間見る超正統派社会とパンデミック」

本報告では、パンデミックが収束に向かいつつあるエルサレムの様子を伝えるとともに、携帯電話やパソコンといった現代技術を忌避する超正統派社会の情報伝達媒体として、未だ重要な役割を果たしているパシュケヴィル(張り紙)を取り上げる。超正統派が多く暮らす地区で2021年2月以降に収集したパシュケヴィルを例に、パンデミックとその影響がどのように言及されているのかを提示したい。(質疑応答15分)

休憩10分 (15:40–15:50)


15:50-16:35 志田雅宏(東京大学)

「コロナ禍での宗教生活:オンライン・レスポンサを中心に」

ユダヤ教世界では、規範(ハラハー)にもとづいた生活を実践するための制度としてレスポンサ(回答書簡)がある。信仰者のさまざまな質問にラビたちが法的見解を示すことで生活を指導するレスポンサは中世以来の伝統的な制度であり、コロナ禍においてもオンライン・レスポンサとして重要な役割をはたしている。本報告ではいくつかの重要な主題についてのレスポンサを紹介し、現在のユダヤ教世界における宗教生活上の問題意識の所在や、「災い」や「生命」に対するとらえ方などを明らかにしていきたい。(質疑応答15分)


16:35–17:30 全体討論

*当シンポジウムは無料です。

*非会員の方は事前申し込みが必要です。申込方法については日本ユダヤ学会ホームページにてご確認ください。

https://jewishstudiesjp.org/2021/06/16/20210704symposium/

2021年6月2日水曜日

京都ユダヤ思想学会2021年度公開シンポジウム「誰が「ユダヤ人」とされてきたか ―自意識と他者のまなざしから―」

 京都ユダヤ思想学会2021年度公開シンポジウム

「誰が「ユダヤ人」とされてきたか ―自意識と他者のまなざしから―」

日時:2021年6月19日(土)13:00-17:00
zoomによるオンライン開催(無料・要事前予約)

大澤 耕史《シンポジウム企画担当/司会》

本学会は名称に「ユダヤ」を掲げ、思想のみならず様々な「ユダヤ的」なものを対象とした研究を推進してきました。しかしこれまでに、学会として正面から「ユダヤ」とは何かという問いを発したことはなかったように思います。もちろん、このある意味で大きすぎる問いに対しては、古来より様々な立場や角度から無数の答えが出されてきました。それらを簡単にさらうだけでも大変な作業であり、半日のシンポジウムで終わるほどの量でもありません。そこで本シンポジウムでは、それ以降の時代の議論の立脚点になるような、古代世界に焦点を絞り分析を進めていこうと思います。その中でも「ユダヤ人」自身の定義や意識のみならず、他者から見た自分たちと「ユダヤ人」との境界およびその周縁部にも着目し、導入的な発表に続いて津田謙治氏、櫻井丈氏、山城貢司氏にそれぞれのご専門の見地からご発表をいただきます。

スケジュール

13:00-13:30
趣旨説明と議論の導入「ヘブライ語聖書~第二神殿時代における「ユダヤ人」」
大澤 耕史(中京大学教養教育研究院助教)

本シンポジウムの導入として、ヘブライ語聖書から第二神殿時代までの「ユダヤ人」描写を抽出して分析を行う。現在のような、居住地に因らない集団を指す「ユダヤ人(יהודי)」という名称が比較的新しいもので、ヘブライ語聖書の時代から広く用いられていたわけではないという点はそれなりに知られていると思われる。そこで本報告ではまず、ヘブライ語聖書から「ユダヤ人」のみならず「ヘブライ人(עברי)」や「イスラエル(ישראל)」といった名称を抽出し、それらの意味の違いやそれぞれの使用法などを考察する。続いて、聖書の外典偽典や第二神殿時代のユダヤ人著作家たちの作品内で「ユダヤ人」がどう定義・表記されているかを概観し、ヘブライ語聖書における用法との違いや変遷を分析する。それらの作業によって、現代のユダヤ人について考える際にも参考となるような、「ユダヤ人」理解のための土台を築きたい。

13:30-14:10
発題①「二、三世紀の教父文献に見られる「ユダヤ人」像:同一の神と相違する信仰」
津田 謙治(京都大学大学院文学研究科准教授)

この発表では、ユスティノス『ユダヤ人トリュフォンとの対話』やテルトゥリアヌス『ユダヤ人反駁』などを含む、二世紀半ばから三世紀前半にかけて著された複数の教父文献における、聖書、律法、そして救済者などに関わる議論を手掛かりとして、教父たちの描き出す「ユダヤ人」像を分析する。正典化された文書を未だもたないキリスト教徒が、独自の信仰と教理を確立しようと模索するにあたって、近接領域において共同体をもつ「ユダヤ人」とどのように対峙し、彼らとの相違点をどのように明確化しようと試みたかに焦点を当てたい。

14:10-14:50
発題② 「「新生児」としての改宗者:バビロニア・タルムードにみる民族的出自擬制としてのラビ・ユダヤ教改宗法規再考」
櫻井 丈(帝京科学大学教育人間科学部講師)

本発表では、第一に、バビロニア・タルムードにおいて体系化された「改宗者は新生児として見なされる」(גר שנתגייר כקטן שנולד דמי)という法概念についての考察に焦点を当て、ラビ・ユダヤ教における改宗法規(גיור)とは「異邦人」の民族的出自を「ユダヤ人」のそれへと擬制する法的装置であることを実証する。第二に、同タルムードにおける改宗に関わる法的議論から、ラビ・ユダヤ教が想起するユダヤ民族のアイデンティティの構造とその特徴を露わにすることによって、同民族共同体の民族性を規定する境界線は歴史的、社会的情勢の変化の要請によって常に変化し、又再構築されることを明らかにする。こうした一連の考察から古代後期におけるラビ・ユダヤ教の規定するユダヤ民族性とは流動的且つ可変的な文化的構築物であることを提起したい。

14:50-15:30
発題③「諸種属・異邦人・セクト主義者:古代ユダヤ教におけるminim概念の再考に向けて」
山城 貢司(東京大学先端科学技術研究センター特任研究員)

セクト主義者を意味する一連のヘブライ語語彙の中でも、minimは一種独特の響きを帯びている。ヘブライ語聖書中の使用例からも明らかなように、minの原義は「種・属」であり、したがって同語の複数形であるminimをあえて直訳すると「諸種属」となるだろう。では、セクト主義者を指示する隠語としてのminimの用法は一体いつどのようにして始まったのか?その淵源は何か?そしてそれはいかなる歴史的=神学的背景を前提としているのか?本発表は、minimの意味論的分析を通じて、これらの問いに答えようとする試みである。

15:30-15:40
休憩

15:40-17:00
質疑応答

■大会参加にあたって
オンライン開催(zoom)のため、事前申し込みが必要となります。
詳細は京都ユダヤ思想学会のウェブサイトにてご確認ください。
https://sites.google.com/site/kyotojewish/



2021年2月28日日曜日

イスラエル・ウィーク@東大駒場リサーチキャンパス(2021年3月1日ー5日)&Guy G. Stroumsa教授講演

東京大学先端科学技術研究センター・創発戦略オープンラボ(Roles)主催
イスラエル・ウィーク@東大駒場リサーチキャンパス

Dates: 2021年 3月1日(月) 〜3月5日(金)
Venue: オンライン Online via Zoom (URL will be sent to registered participants)
Language: English  一部日本語同時通訳あり (#1, #2, #4, #5)
Registration: 入場無料、事前申込制

「イスラエル・ウィーク@東大駒場リサーチキャンパス」の連続ウェビナーでは、イスラエルの外交、デジタルトランスフォーメーション (DX) の時代におけるセキュリティ、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 対策とデジタルヘルス・エコシステム、STEM教育、科学とデザイン、宗教などに関する多種多様なテーマを取り上げ、これらに関する最近の動向と今後の展開、また、日・イスラエル関係への影響について参加者の皆様とともに考えてまいります。様々な分野での第一線で活躍する研究者や専門家からのアイデアやインスピレーションを共有するとともに、協働の可能性を模索する機会の場を提供することを目指します 。

 Israel Week @UTokyo Komaba Research Campus is organized by ROLES (RCAST Open Laboratory for Emergence Strategies) in cooperation with IIS (the Institute for Industrial Science) of the University of Tokyo and supported by the Embassy of Israel in Japan.

1. Online International Symposium #1:
Israeli Normalization with Gulf and North Africa Arab States
イスラエルと湾岸諸国・北アフリカのアラブ諸国による国交正常化
Date: Monday, March 1, 2021 *日本語同時通訳有り
Time: 16:00-18:00 JST (9:00-11:00 IST (UTC+2))
詳細情報はこちら
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/event/12

2. Online International Symposium #2:
STEM & STEAM Education: The First Step Toward International Collaboration
STEM&STEAM教育:国際協働に向けて
Date: Tuesday, March 2, 2021  *日本語同時通訳有り
Time: 16:00-17:30 JST (9:00-10:30 IST (UTC+2))
詳細情報はこちら
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/event/8

3. Online International Symposium #3:
SCIENCE inspires DESIGN inspires SCIENCE: Mechanism of Emergence 
科学とデザインから考える創発の仕組み
Date: Wednesday, March 3, 2021
Time: 16:00-18:00 JST (9:00-11:00 IST (UTC+2))
詳細情報はこちら
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/event/9

4. Online International Symposium #4:
Emergency Preparedness and Digital Health Innovation Ecosystems: Countering COVID-19
緊急事態への準備とデジタルヘルス・エコシステム: COVID-19への対応を中心に
Date: Wednesday, March 3, 2021 *日本語同時通訳有り
Time: 18:30-20:00 JST (11:30-13:00 IST (UTC+2))
詳細情報はこちら
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/event/10

5. Online International Symposium #5:
Managing Security Risks of Digital Transformation and Emerging Technologies
デジタルトランスフォーメーションと重要・新興技術に関するセキュリティリスク
Date: Thursday, March 4, 2021 *日本語同時通訳有り
Time: 16:00-17:30 JST (9:00-10:30 IST (UTC+2))
詳細情報はこちら
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/event/11


6. Online Special Lecture:
The Comparative Study of the Abrahamic Religions: Heuristic Gains and Cognitive Pitfalls (by Prof. Guy G. Stroumsa)
特別講演「アブラハム一神教の比較研究:ヒューリスティックな利得と認知的陥穽」(ギイ・ストロムザ教授)
Date: Friday, March 5, 2021
Time: 16:00-17:30 JST (9:00-10:30 IST (UTC+2))
ユダヤ教・キリスト教・イスラーム教などは「アブラハムの宗教」としての連続性や類縁性を持っています(これを日本では一般に「セム的一神教」と総称していますが、この呼称・概念には近年に西欧では疑義も出ており、「アブラハムの宗教」はこれを置き換える概念とも言えます)。それらの宗教やコミュニティの間の相互関係は、近代のアラブ・イスラエル紛争の文脈では、同族間の敵対関係の神話的根源や象徴として扱われことがありましたが、近年は、宗教間対話の文脈や、イスラエルとアラブ諸国との国交正常化の文脈で、親和性の根拠として言及されることも多くなりました。このように大きな政治性を秘めた「アブラハムの宗教」という概念は、どのように形成され、研究されてきたか。一神教思想研究の第一人者であるギイ・ストロムザ教授に特別講演をお願いします。
(講演は英語。同時通訳なし)
詳細情報はこちら
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/event/7

イスラエル・ウィーク全体の詳細情報はRolesの公式ウェブサイトより
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/news/1


2021年2月16日火曜日

「モノとアイデアの古代宗教世界 シンポジウム第II部」

 「モノとアイデアの古代宗教世界 シンポジウム第II部」

日時:2021年2月28日(日)14:00~17:00 
(Zoom によるオンライン・シンポジウム)

趣旨説明:市川裕(東京大学名誉教授)*時間配分未定

発題:
上村静(尚絅学院大学教授)
「ガリラヤのユダヤ化とその諸相―ハスモン時代からミシュナ時代まで」

山野貴彦(聖公会神学院専任教員)
「紀元後1世紀のガリラヤとユダヤにおけるシナゴーグ共同体の形成」

江添 誠(神奈川大学外国語学部非常勤講師)
「バル・コホバの乱前後のガリラヤ湖周辺都市の社会状況」

発題者によるディスカッション
司会:中西恭子(東京大学人文社会系研究科研究員)

(主催団体)科学研究費研究助成金基盤研究A(海外学術調査)
「イスラエル国ガリラヤ地方の新出土シナゴーグ資料に基づく一神教の宗教史再構築」
(代表:市川裕)

2020年8月9日日曜日

京都ユダヤ思想学会第13回学術大会公開シンポジウム「中世ユダヤ教聖書解釈の諸相」

京都ユダヤ思想学会第13回学術大会(オンライン)

公開シンポジウム

「中世ユダヤ教聖書解釈の諸相 —キリスト教世界とその周辺—」

今年のシンポジウムでは、キリスト教世界の文化と対峙する中世ユダヤ教におけるさまざまな聖書解釈の営みに注目し、五名の登壇者による提題をおこない、みなさまとともに議論を進めていきたいと考えております。聖書学習や宗教論争、典礼詩やユダヤ教思想など、その聖書解釈の機会は多岐にわたり、そのつど聖書の言葉はユダヤ教世界に新たな息吹をもたらしてきました。シンポジウムでは大澤耕史会員による司会のもと、手島勲矢会員、加藤哲平会員、志田に加えて、勝又直也氏(京都大学)と李美奈氏(東京大学大学院)をお招きし、それぞれの専門分野から五つの提題をおこないます。その後、参加者のみなさまとの全体討議によって論点を明らかにし、彩り豊かなユダヤ教聖書解釈の諸相をともに描いていきたいと思っております。ご参加をお待ちしております。       

日時:2020年9月13日(日)

会場:オンライン(Zoom)

参加方法:学会ホームページあるいはポスターを参照のこと

学会ホームページはこちら

■大会プログラム 

9:15 Zoom受付開始

【個人研究発表】 (9:30−11:30)

9:30-10:10 研究発表① 司会:平岡 光太郎(同志社大学嘱託講師)

発表者:菅野 賢治(東京理科大学教授) 

 「上海無国籍避難民指定居住区の運営実態―實吉敏郎海軍大佐の未発表文書をもとに―」

10:10-10:50  研究発表② 司会:渡名喜 庸哲(立教大学准教授)

発表者:吉野 斉志(京都大学非常勤研究員)  

「パトナムとベルクソンの時間論 ―相対性理論をめぐって―」

10:50-11:30  研究発表③ 司会:後藤 正英(佐賀大学准教授)

発表者:福山 弘泰(京都ユダヤ思想学会会員)

「ラヴ・アブラハム・イツハク・ハ=コーヘン・クック研究における『八文集』(שמונה קבצים)の意義について」

 11:30−13:00   休憩


【シンポジウム】 13:00-17:00

「中世ユダヤ教聖書解釈の諸相:キリスト教世界とその周辺」

 司会:大澤耕史(中京大学助教)


13:00−15:30  提題   

 提題① 志田雅宏(東京大学講師)

「聖書解釈の広がりと深み ——中世キリスト教文化との対話のなかで——」           

 本報告では、中世キリスト教世界におけるユダヤ人のさまざまな聖書解釈の営みを取り上げる。ユダヤ人とキリスト教徒は、ときに聖書の正しい意味をめぐってキリスト教徒たちと論争をおこない、ときに聖書の「ヘブライ的真理」(Hebraica Veritas)を求める知的探究のなかでともに聖書テクストを学んだ。また、聖書に描かれた族長たちの物語や預言は、ユダヤ人にとって、ときにキリスト教世界の起源や運命についてほのめかすものであり、ときに彼ら自身が体験した迫害や暴力を乗り越えていくための慰めを与えるものでもあった。また、キリスト教世界のユダヤ知識人や思想家たちは、聖書テクストの深みへと潜っていき、カバラーや哲学の思索を存分に展開した。そうした思想は、聖書の言葉に新たな光を当てるだけでなく、ユダヤ教の日常的な宗教実践のひとつひとつに生き生きとした風を吹き込むものでもあった。
 本報告の目的は、キリスト教世界のユダヤ教聖書解釈というテーマの導入として、全体の枠組みとなるものを提供することである。キリスト教徒たちの社会において、ユダヤ人は「共生と対抗」という生のあり方を自分たちに課した。ラビ・ユダヤ教の教典タルムードにはしばしば強烈な反キリスト教的言説がみられるが、中世のユダヤ人法学者たちはそれを同時代の現実に合わせて解釈しなおし、共生の道を切り拓いた。その一方で、民衆による暴動や宗教論争に巻き込まれたときには、ユダヤ人はキリスト教文化への対抗によって、自分たちのアイデンティティと生命を守らなければならなかった。この「共生と対抗」という生のなかで、聖書を読むという営みもまた、きわめて大きな意義を持ったのである。
 報告では、中世キリスト教世界のさまざまなユダヤ人学者・思想家たち——ラシやヤコブ・ベン・ルーベン、ナフマニデス、ハスダイ・クレスカスらとなるであろう——のテクストを手がかりに、彼らの聖書解釈の営みにみられるキリスト教文化との対話の作法を明らかにしていきたい。


提題② 勝又直也(京都大学准教授)

「ピユートにおける聖書解釈」

 ピユートとは、安息日や祭日におけるシナゴーグでの礼拝の際に詠まれるヘブライ語の典礼詩であり、古代末期から中世にかけて、中東やヨーロッパのユダヤ共同体において、パイタンと呼ばれる典礼詩人らによって盛んに創作されてきた文学ジャンルである。イェシヴァーでのタルムードの学びを中心とするラビ・ユダヤ教の伝統では、シナゴーグにやってくる大衆に向けて詠われたピユートは、必ずしも権威のある文学ジャンルとはみなされていなかった(ピユート、パイタンという言葉自体が、ポイエテースというギリシャ語からの借用語であることから、ラビの側からの蔑称である可能性もある)。しかし、19世紀末のカイロ・ゲニザ文書の発見からもわかるように、当時のユダヤ共同体においては、いわゆるラビ文献の範疇にとどまらない、柔軟で活発な創作活動が数多く行われており、ピユートはその重要な構成要素であったのだ。
 ピユートは、アミダーやクリヤット・シェマといった、ユダヤ教における義務の祈りの枠組みの中で謡われることから、扱わなければならない内容があらかじめ決められている。例えば、クリヤット・シェマの祈りの中で謡われたヨツェルというジャンルの詩の第二ピユートでは、天使について言及しなければならない。それと同時に、パイタンは、そのピユートが詠われる日の特殊性も詩の中に入れようとした。それは他でもない、毎週の安息日や祭日において朗読されるトーラー(モーセ五書)やハフタラー(預言書など)の箇所である。古代末期のパレスチナでは、トーラーをセデルと呼ばれる部分に細かく分け、3年半ほどで読み終えたが、後にはバビロニアの伝統が支配的になり、トーラーをパラシャーと呼ばれるより大きな部分に分け、一年間で読み終えた。例えば、アミダーの祈りの中で謡われたクドゥシュタというジャンルの詩においては、第一ピユートと第二ピユートでその週のパラシャーが、第三ピユートでその週のハフタラーが引用されている。
 このように、ピユートとは、1)祈りの枠組みで要求される内容と、2)トーラーやハフタラー朗読の内容とを大胆に融合させる試みであり、一般のユダヤ人に向けて毎週提供された、新鮮で大衆的な(時に娯楽としての)聖書解釈という側面がある。さらに、時代や場所に応じて、3)ビザンツ、イスラーム、キリスト教といったマジョリティ文化の影響も垣間見ることもできる。本報告では、ゲニザ写本の解読に基づいたテキストを具体例として用いながら、1)~3)のダイナミックな関係性について紹介したい。


提題③ 加藤哲平(日本学術振興会特別研究員)

「迷える者たちの翻訳者 ——中世ユダヤ教聖書解釈におけるヒエロニュムス——」

 中世のユダヤ教聖書解釈者たちがキリスト教徒と宗教論争をするに際し、切り崩すべき牙城は「ウルガータ聖書」に他ならなかった。ウルガータ聖書とは、古代末期のラテン教父ヒエロニュムスによる翻訳を基礎として成立したキリスト教会のラテン語訳聖書のことである。アドリア海近くで生まれ、長じてはローマに遊んだヒエロニュムスは、回心体験を経て東方諸国を遍歴したあと、遂にはベツレヘムで聖書研究に挺身し、膨大な聖書注解書をものす傍ら、古ラテン語訳福音書の改訂とヘブライ語原典に基づく旧約聖書の翻訳を完成させた。ヒエロニュムスの死後、「普及版(ウルガータ・エディツィオ)」と呼ばれるようになったこの翻訳聖書は、中世を通じてキリスト教会の聖典として大きな権威を持つようになった。こうした権威に基づき、中世のキリスト教徒たちは聖書に関してユダヤ教徒と論争する場合、このラテン語訳聖書の記述をしばしば引き合いに出した。これに対しユダヤ側は、その翻訳を吟味して誤りを指摘することで、論争相手に対するこの上なく強力な反論材料を見出そうとしたのだった。本発表では、ウルガータ聖書やヒエロニュムスに言及している中世のユダヤ教聖書解釈者たちを取り上げ、彼の翻訳や解釈をどのように論争に利用したかを検証する。具体的には、ラシュバム、アブラハム・イブン・エズラ、ダヴィッド・キムヒ、ナフマニデス、著者未詳の『セフェル・ニツァホン・ヤシャン』、ヨセフ・アルボ、イツハク・アバルバネル、エリアス・レヴィタ、アザリヤ・デイ・ロッシ、トロキのイツハク・ベン・アブラハムらの著作を扱う。彼らは、一方では、ヒエロニュムスをキリスト教の代表者、すなわち「迷える者たちの翻訳者」と呼んで蔑み、その翻訳や解釈の誤りを取り上げて激しく攻撃した。しかし他方では、彼のユダヤ教聖書解釈への造詣の深さを称えつつ、彼をあたかもユダヤ教の代表者であるかのように見なすことで、むしろその主張に耳を貸そうとしない他のキリスト者たちを批判することもあった。発表の中では、フィロンやアウグスティヌスなど、ヒエロニュムス以外のギリシア・ラテン世界の聖書研究に関する釈義家たちの言及についても紹介したい。


提題④ 手島勲矢(関西大学非常勤講師)

「マソラー再評価をめぐる16-17世紀の聖書理解の新展開」

 16世紀にはフマニスムスと宗教改革の二つの精神の顔がある。その二つの知的な潮流が17世紀に向けて一つの大きな流れ、とりわけ聖書解釈の意識変化となって、ルターの「聖書のみ」のスローガンを生み、それまでの社会や文化の価値観を根底から覆すことになるのだが、その世界観の変化は、キリスト教会内だけに限定されるものではなく、ユダヤ教社会にも影響が及んでいて、事実、『メオール・エイナイム』(1573年)の著者アザリア・デ・ロッシは教会の聖書(七十人訳)についてヘブライ語で同胞たちにも紹介するーその事実にユダヤ教徒とキリスト教徒の距離の近さは確認される。
 このような16世紀の聖書解釈の意識変化を後押ししたものの一つが、ダニエル・ボンベルグによるユダヤ・ヘブライ書籍の出版事業である。そのヴェネチアでなされた出版事業は、まさにフマニスムスと宗教改革の精神を両方合わせたような事業であり、とりわけヤコブ・ベン・ハイムのラビ聖書(1525年)は、マソラーの伝統の厚みを広くヨーロッパのキリスト教徒に知らしめる一方で、ユダヤ人読者も数字の章立てなど教会の聖書伝統をはじめて意識させられることになる。またエリヤ・レヴィータのヘブライ語文法及びマソラー入門書『マソレット・ハマソレット』(1538年)は、キリスト教徒が関心を持つユダヤ教の母音記号とアクセント記号のモーセ起源に対する考察も行っていて、それは、ある意味、ヘブライ語で書かれた初めてのマソラー批判の萌芽といえる。その後、アザリア・デ・ロッシは、そのレヴィータの見解に対して、ラビの聖書解釈とは一致しないマソラーのアクセント伝統の側面に注目して、歴史的な思考の反論を試みている。
 なぜこのようなマソラー批判がこの時期にユダヤ教側に生まれたのかの説明として、エリヤ・レヴィータ、アザリア・デ・ロッシ、またヤコブ・ベン・ハイム、いずれもユダヤ教徒とキリスト教徒の両方に共有されるべき、歴史知見を土台にした新しい聖書理解を模索していた点は注目に値する。三人が始めた歴史としてのマソラーの理解は、ある意味で、それまでのユダヤの解釈伝統への挑戦でもあって、したがって、それぞれの文脈の中で同胞からの厳しい批判にもさらされる。このような16世紀のユダヤ学者の聖書理解は、それ以前の理解と比べて何か違うのか?新しい印刷時代の聖書解釈のニューノーマルの輪郭を考えてみたい。


提題⑤ 李美奈(東京大学大学院博士課程)

「宗教改革とヴェネツィアのユダヤ人 ——レオネ・モデナの聖書解釈——」

 近世イタリアでは、宗教改革の波が押し寄せるなかで、伝統的なキリスト教の権威が激しく揺さぶられた。それと同時に、キリスト教徒の学者たちのあいだでユダヤ教への関心が高まり、ヘブライ語やヘブライ語聖書テクスト、ユダヤ教思想を学ぶヘブライストたちが現れた。彼らはユダヤ教のなかに、同時代のキリスト教から失われてしまった本来の教えが守られていると考えたのである。そして、こうしたキリスト教世界の変化は、同時代のイタリアにおけるユダヤ教の聖書解釈にも影響をおよぼした。本報告では、その重要な事例として、17世紀のヴェネツィアのラビ、レオネ・モデナによるキリスト教反駁書『盾と剣』(Magen ve-Herev)を取り上げてみたい。本作品において、モデナはキリスト教の諸教義の誤りを指摘すべく聖書解釈を展開するが、その方法は、ユダヤ教の伝統を引き継ぎつつも、同時代のキリスト教世界の知的関心を反映したものであった。
 モデナは主に、聖書を理性的に読むことを主張する。この場合の理性は科学的な思考というよりももっと素朴なもので、一般人にも想像が可能なことである。比喩的な解釈や難解な哲学的思考を通さずに理解できなければ信仰に誤りが生じるとする彼の主張は、聖職者を通した聖書理解ではなく直接一般信者が聖書を読み理解することを目指した宗教改革者たちの信念に通じるものがある。他方で、カバラーを通してキリスト教の真理を発見しようとするクリスチャン・ヘブライストらに反して、モデナ自身は神秘的な解釈も否定し、あくまで字義的な読み方にこだわる。カバラー支持者はゲマトリアなどを利用して聖書の本文からは隠れた「本来的な」解釈を引き出そうと試みたが、モデナの目には、その方法はラビ・ユダヤ教の伝統を脅かす危険性を孕むものと映ったからである。
 さらにモデナは、原罪や三位一体に反論する際に、パオロ・サルピやピエトロ・ガラティノらキリスト教神学者による論争を根拠として引用する。モデナは、ユダヤ教から本来の教えを引き出そうとするヘブライストらの動きに同調し、自ら積極的に関わっているように思われる。ただし、クリスチャン・ヘブライストが、ユダヤ教をキリスト教の原型として位置づけ、キリスト教の「本来の」姿をそこに見出そうとするのに対して、モデナはその「ユダヤ教的な」原型とその後のキリスト教のあいだの乖離を強調する。モデナはイエスの奇跡や言行を否定せず、むしろ福音書を熱心なユダヤ教指導者の記録と捉え、その記述がキリスト教教義と離れていることを示す。
 モデナがキリスト教への反論として聖書を読むとき、彼の念頭に置かれていたのは、同時代のキリスト教世界の改革者たちのユダヤ教観であった。改革者たちは、教会批判と結びつくかたちで、ユダヤ教をキリスト教の源泉として再評価し、二つの宗教を接近させることを試みた。モデナは彼らの知的関心に影響を受けつつも、むしろそこからキリスト教への批判を展開し、聖書解釈を通じて、ユダヤ教とキリスト教の間に新たな境界線を引く作業を行なったと言えよう。 


15:40-17:00   質疑応答

(シンポジウム企画担当:志田雅宏)


2020年1月25日土曜日

(2/26更新 このシンポジウムは中止となりました!)シンポジウム「モノとアイデアの古代宗教世界」

(2/26更新
このシンポジウムは中止無期延期となりました! 新しい開催日はあらためてお知らせいたします)

「イスラエル国ガリラヤ地方の新出土シナゴーグ資料に基づく一神教の宗教史再構築」最終シンポジウム
モノとアイデアの古代宗教世界
―新出土シナゴーグをめぐる宗教研究の新たな試み―

日時:2020年3月1日13:00~18:00
場所:東京大学本郷キャンパス法文二号館一番大教室

プログラム
13:00–13:15趣旨説明
市川裕(本科研プロジェクト代表者、東京大学名誉教授)

13:15–15:15
第一部 食と宗教の古代宗教比較文化論
司会:土居由美(東京大学大学院人文社会系研究科研究員)
発題者
葛西康徳(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
「古代ギリシア宗教と動物犠牲――問題は解決されたのか?」
勝又悦子(同志社大学神学部准教授)
「異教徒との接点としての食」
牧野久実(鎌倉女子大学教育学部教授)
「土器資料に見る食の変容~フタと容器の関係から」
発題者によるディスカッション

15:45–17:45
第二部 新発見シナゴーグから見るイエス時代のユダヤ教
司会:中西恭子(東京大学大学院人文社会系研究科研究員)
発題者
上村静(尚絅学院大学総合人間科学部教授)
「ガリラヤのユダヤ化とその諸相――ハスモン時代からミシュナ時代まで」
山野貴彦(立教大学文学部非常勤講師)
「紀元後1世紀のガリラヤとユダヤにおけるシナゴーグ共同体の形成」
江添誠(神奈川大学外国語学部非常勤講師)
「バル・コホバの乱(第二次ユダヤ戦争)における砦~その立地と戦略~」
発題者によるディスカッション


2019年9月15日日曜日

シンポジウム:生きられた古代宗教 Lived Ancient Religion

国際シンポジウム International Symposium
生きられた古代宗教 Lived Ancient Religion

2019年9月21-22日
東京大学本郷キャンパス法文1号館113番教室
Room 113, Faculty of Laws & Letters Building 1, Hongo Campus, University of Tokyo, 2019.09.21-22

2019.09.21 (Sat) 13:30-17:15
シンポジウム「生きられた古代宗教」
Symposium: Lived Ancient Religion

13:30-13:45
趣旨説明 中西恭子(東京大学)
Introduction: Kyoko Nakanishi (University of Tokyo)

13:30-14:45
イェルク・リュプケ(エアフルト大学)
「生きられた古代宗教」
Jörg Rüpke (Erfurt University)
Lived Ancient Religion

15:00-16:00
イスクラ・ゲンチェーヴァ(レイクランド大学ジャパン)
「果敢なる勇気:イェルク・リュプケ教授と歴史上の宗教との対話」
Iskra Gencheva (Lakeland University Japan)
Daring to Dare: Professor Jörg Rüpke and his Dialogues with the Religions of the Historical Past

16:15-17:15
「生きられた古代宗教」理論へのコメント
土居由美(東京大学)・嶋田英晴(國學院大學)・中西恭子(東京大学)
Short Comments on Lived Ancient Religion Theory
Yumi Doi (University of Tokyo), Hideharu Shimada (Kokugakuin University), Kyoko Nakanishi (University of Tokyo)

2019.09.22 (Sun) 13:30-17:00
イェルク・リュプケ教授講演会「生きられた古代宗教」
Professor Jörg Rüpke: Lectures on Lived Ancient Religion

13:30-13:45
趣旨説明 市川裕(東京大学)
Introduction: Hiroshi Ichikawa (University of Tokyo)

13:45-14:45
講演①「宗教的エージェンシー」
Lecture 1: Religious Agency

15:00-16:00
講演②「歴史的視座から見た古代地中海世界の都市宗教と都市」
Lecture 2: Urban Religion and the City in Historical Perspective

16:15-17:00
総合討論 Discussion

主催:科学研究費研究助成金基盤研究A
「イスラエル国ガリラヤ地方の新出土シナゴーグ資料に基づく一神教の宗教史再構築」(代表者:市川裕)


2019年5月30日木曜日

京都ユダヤ思想学会第12回学術大会(2019)

京都ユダヤ思想学会
2019年度第12回学術大会

日時: 2019年6月29日(土)
会場: 同志社大学(烏丸キャンパス)志高館SK118教室

大会プログラム
9:10 受付開始

【個人研究発表】9:40−12:20
9:40-10:20 研究発表①
 「人工知能と人間的思考 ―ゴーレムの現代的継承者はどこまで人間に近付けるか―」
発表者:吉野 斉志(京都大学非常勤研究員)
司会:小原 克博(同志社大学神学部)

10:20-11:00 研究発表②
「詩篇88編における多様な死者表現とその意義」
発表者:新井 雅貴(同志社大学神学研究科博士後期課程)
司会:岩嵜 大悟(古代オリエント博物館共同研究員) 

11:00-11:40 研究発表③
「上海無国籍避難民指定居住区(「上海ゲットー」)の設置過程―實吉敏郎海軍大佐の未発表文書をもとに―」
発表者:菅野 賢治(東京理科大学)
司会:向井 直己(京都大学特定研究員)

11:40−12:20 研究発表④
「マイモニデスにおける自由意志の概念」
発表者:神田 愛子(同志社大学神学研究科博士後期課程)
司会:志田 雅宏(早稲田大学招聘研究員)

12:20−13:30 昼食

【シンポジウム】
「タルグムの世界 ―聖書翻訳とユダヤの伝統―」
13:30−13:40 司会挨拶:加藤 哲平(日本学術振興会特別研究員PD)
13:40−14:40 基調講演:勝又 悦子(同志社大学)
(休憩:14:40-15:00)
15:00−16:00 コメント:阿部 望(獨協大学)、飯郷 友康(東京大学)、大澤 耕史(中京大学)   
16:00−17:00 質疑応答

17:10−18:00   総会
18:15−           懇親会



<シンポジウム趣旨>   加藤 哲平(日本学術振興会PD/シンポジウム企画担当)
 2017年には「新改訳2017」(新日本聖書刊行会)が、2018年には「聖書協会共同訳」(日本聖書協会)が刊行され、にわかに「聖書翻訳」への関心が高まっている。聖書というあまりにも人口に膾炙した宗教文学を、いかにして新しく翻訳することができるのか。これは困難かつチャレンジングな問いである。この問いに答えるために、たとえば「聖書協会共同訳」は、「スコポス理論」という新しい翻訳理論に基づいて翻訳するという方針を取った。つまり、意訳・逐語訳といった従来の二項対立にとらわれずに、読者対象と目的(=スコポス)に合わせた翻訳を作成することで、教会での礼拝にふさわしい聖書を目指したわけである。
 このように最新の翻訳理論を駆使するという方針は、もちろん有効である。しかしながら、聖書は古来よりさまざまな言語に翻訳されることで多くの読者を獲得してきた歴史がある。そうした伝統に目を向けることは、聖書翻訳に新たな視点を与えてくれるのではないだろうか。前3世紀にエルサレムから招聘された72人の長老たちがアレクサンドリアでわずか72日間でギリシア語に訳したとされる「七十人訳」、その七十人訳に飽き足らなくなったユダヤ人たちがよりヘブライ語テクストに近づけようとして作成したギリシア語訳の「アクィラ訳」「シュンマコス訳」「テオドティオン訳」、そしてベツレヘムの聖書学者ヒエロニュムスがギリシア教父やユダヤ賢者の解釈を学びながら16年かけてラテン語に訳した「ウルガータ」など、ヘブライ語聖書の古代語訳だけでもいくつもの伝統がある。
 これら古代語訳の中で、とりわけ重要であるにもかかわらず、わが国ではほとんど知られていないのがアラム語訳の「タルグム」である。ヘブライ語原典に寄り添い、ときに逸脱しながら聖書の意味を解き明かしてきたタルグムには、ラビ伝承によれば、書記エズラの律法朗読(ネヘミヤ記8章)以来の長い伝統があるとされている。しかもひとくちにタルグムといっても、公認版として比較的原文に忠実な「オンケロス」や「ヨナタン」から、ミドラッシュのように自由闊達にスピンオフを繰り返す「偽ヨナタン」まで多様性に富んでいる。また1956年にスペインの文献学者アレハンドロ・ディエズ・マチョがヴァチカン図書館で発見した「ネオフィティ」の衝撃は、まさに聖書学史上の一大事件だった。
 京都ユダヤ思想学会は、聖書翻訳への関心が高まっているまさに今このときに、タルグムというユダヤの豊穣な世界を多くの人に知っていただきたいと考える。このような問題意識に基づき、基調講演者としてタルグムとラビ文学をご専門とする勝又悦子氏(同志社大学)を、またコメンテーターとして阿部望氏(獨協大学)、飯郷友康氏(東京大学)、大澤耕史氏(中京大学)をお迎えする。聖書を翻訳するとはどのような行為なのか。聖書学やユダヤ学のみならず、宗教学、哲学、古典学、翻訳学といった広いフィールドに開か
れたこの問いを、今こそ考えてみたい。

京都ユダヤ思想学会ウェブサイト

2019年5月16日木曜日

西洋中世学会第11回大会

西洋中世学会
第11回大会
大阪市立大学 杉本キャンパス

2019年6月22日(土)
13:00~13:15 特別展示解説講演(田中記念館 ・ 講堂)
八木健治(羊皮紙工房)「ユダヤの羊皮紙とその周辺」

自由論題報告13:30~17:30(田中記念館 ・ 講堂)
13:30 下園 知弥(西南学院大学) 司会:阿部 善彦 (立教大学)
愛による神化 -クレルヴォーのベルナルドゥスにおける deificatio概念とその源泉

14:15 井上 果歩(サウサンプトン大学大学院)司会:吉川文 (東京学芸大学)
「長い13世紀」におけるコンドゥクトゥス

15:15 野邊 晴陽(東京大学大学院) 司会:山口 雅広 (龍谷大学)
トマス・アクィナス『十戒講話』と、そこでの法(lex)の理解について

16:00 市川 佳世子(慶應義塾大学) 司会:金原 由紀子 (尚美学園大学)
12-13世紀における「聖母戴冠」図像の起源と普及の政治的背景

16:45 桑原 夏子(日本学術振興会) 司会:谷古宇 尚 (北海道大学)
タッデオ・ディ・バルトロ作、ピサ、サン・フランチェスコ聖堂サルディ礼拝堂《聖母のよみがえり》の制作背景

17:50 ユダヤ音楽演奏(田中記念館 ・ 講堂)
東欧ユダヤ人のクレズマー音楽
 -伝統的な結婚式の音楽とアメリカ移民期の音楽

特別展示 シンポジウム連動企画(田中記念館2階 会議室)
22日(土)15:00~17:00/23日(日)9:00~17:00
「ユダヤ教とユダヤ人に関する書物展示」
八木 健治/羊皮紙工房

2019年6月23日(日)
ポスター・セッション(高原記念館1階 学友ホール)

23日(日)9:00~10:45

シンポジウム 「中世のユダヤ人―時空の彼方に―」
11:00~16:30(田中記念館 ・ 講堂)

コーディネーター・司会: 佐々木 博光 (大阪府立大学)
趣旨説明 佐々木 博光 (大阪府立大学)

報告
11:10 志田 雅宏(早稲田大学)
神の名前の使い手 -中世ユダヤ教民間伝承におけるキリスト教世界への対抗物語-

11:40 黒岩 三恵(立教大学) 
中世ユダヤ写本の彩色 -独自性・キリスト教社会との共存・迫害の視点から-

12:10~13:30 昼食

13:30 嶋田 英晴(國學院大學)
ゲオーニーム末のイスラーム圏のユダヤ教徒の動向

14:00 三代 真理子(東京藝術大学)
中世のユダヤ礼拝音楽とクレズマー音楽-旋律の旋法的特徴にみられる両音楽の関連性-

14:30 関 哲行(流通経済大学)
中近世スペインのユダヤ人とコンベルソ

15:15 全体討論

西洋中世学会ホームページ
(大会申し込み情報、報告要旨等あり)



2019年5月2日木曜日

日本ユダヤ学会公開シンポジウム「エルサレム——聖都をめぐる政治——」

日本ユダヤ学会
公開シンポジウム
「エルサレム――聖都をめぐる政治――」

2019年5月25日(土)14:00-17:50
学習院女子大学 2号館 222教室

14:00-14:10
開会のあいさつ:市川裕(東京大学)

14:10-14:50
辻田俊哉(大阪大学)
「エルサレムをめぐるイスラエルの政策動向」
イスラエルはエルサレムを「永遠で不可分の」首都と主張し、その目的に向け、様々な政策を実施してきた。本報告では、近年のエルサレムに関するイスラエルの政治、安全保障、経済、科学技術イノベーション面での政策動向と国内における政策課題をみていき、最後に、諸政策が中東和平プロセスに及ぼしうる影響について考える。
(質疑応答10分)

15:00-15:40
臼杵陽(日本女子大学)
「イスラーム的エルサレムの現在」
イスラーム的エルサレムとは、アル・アクサー・モスクおよび岩のドームがあるアル・ハラム・アッ・シャリーフ(聖域)のもつ象徴性によって表象される。本報告ではこの聖域をめぐる争いを、歴史的に重層化された「地層」の観点からイスラーム的エルサレムの現在を踏まえて考察する。
(質疑応答10分)

15:50-16:10 休憩

16:10-17:00
並木麻衣(日本国際ボランティアセンター)
「パレスチナ人住民の立場から:聖都エルサレムが抱える課題と展望」
エルサレム人口の38%を占めるとされるパレスチナ人住民は、ユダヤ系住民とは異なる厳しい境遇の中で暮らし続けている。本発表では、東エルサレムで支援活動を行うNGOスタッフの視点から見えた、現地の人々が直面する問題、暮らしを支える共助の試みや、守られるべき権利を訴え続ける人々の姿について報告する。
(質疑応答10分)

17:00-17:50 全体討議