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2026年6月6日土曜日

日本ユダヤ学会2026年度シンポジウム「中世一神教徒の共生-カイロ・ゲニザから知られる世界」

 日本ユダヤ学会2026年度シンポジウム

「中世一神教徒の共生-カイロ・ゲニザから知られる世界」

日時:2026年7月4日(土)
会場:学習院大学 目白キャンパス 東2号館13階およびオンライン(Teams)

プログラム

14:00 開会の辞 市川裕(本会理事長、東京大学)

14:10-15:00 嶋田英晴(同志社大学)
「カイロ・ゲニザとユダヤ商人の移動性」

19世紀末に旧カイロで発見された「カイロ・ゲニザ」(ゲニザ文書)は、ディアスポラ(離散)のユダヤ史の分野に限っても、見えないその歴史に明確な輪郭を与えた。しかし、ゲニザ文書の有用性はそのことに留まらない。その後もゲニザ文書に基づく歴史研究は今日に至るまで連綿と続けられており、イスラームの社会経済史やグローバルヒストリーに至るまで大きく貢献している。そこで本発表では、ゲニザ文書とは何かについて概観し、それが誰によってどのように研究されてきたかについて簡単に解説する。そのうえで、西はアンダルスから東はインドまでの広い範囲に渡って活動していたユダヤ商人たちの活動地域や移動経路についてゲニザ文書から考察する。最後に、ユダヤ商人たちが、ユダヤを含む少数派に対しても寛容な政策を施行する王朝において活発に活動し、またそうした地域に移住することが持つ意味について改めて考察する。
(報告40分、質疑10分)

15:10-15:50 野口舞子(信州大学)
「ムワッヒド朝におけるユダヤ人政策とカイロ・ゲニザ」

 イスラーム支配下のユダヤ人共同体は、ズィンミー制度のもとで信仰と一定の自治を認められていた。西方イスラーム世界では、後ウマイヤ朝からターイファ期にかけてユダヤ人共同体が発展したとされるが、12世紀にムワッヒド朝(1130-1269年)が成立すると状況は変化し、とりわけその統治下では衰退に向かったと理解されてきた。著名なユダヤ人哲学者マイモニデス(1204年没)がエジプトへ移住したことは、その象徴的事例として知られている。本報告では、まずムワッヒド朝期のズィンミー政策について、アラビア語史料をもとにその実態と研究史を整理する。ついで、カイロ・ゲニザを参照しながら、同時代のユダヤ人共同体がムワッヒド朝支配をどのように経験したのかについて検討する。そのうえで、マグリブとアンダルスの状況を比較しながら、ムワッヒド朝支配下におけるユダヤ人共同体の経験の相違について考察する。
(報告30分、質疑10分)

16:00-16:40 志田雅宏(静岡県立大学)
「アブラハム・マイモニデスにとってのマイモニデス論争—比較による考察―」

マイモニデスの法典『ミシュネー・トーラー』と哲学書『迷える者の導き』は、地域ごとに多様化する中世のユダヤ教文化に大きな衝撃をもたらした。とりわけ南フランスでは、彼の哲学書の受容をめぐって激しい論争が起こり、ユダヤ人共同体の内部で対立が深刻化した。このマイモニデス論争を調停することに従事し、フランス北部のラビたちに対してマイモニデスの哲学の意義を示したのが、カタルーニャの指導者ナフマニデスであった。他方、エジプトでは父の後を継いでユダヤ人共同体の指導者となったアブラハム・マイモニデスがこの論争に応答したが、そこには南フランスとエジプトのユダヤ教文化の違いについての彼の認識が反映されている。本報告では、マイモニデス論争に対するアブラハム・マイモニデスの応答について、ナフマニデスの事例との比較を通じて考察する。また、それによってエジプトのユダヤ教文化を特徴づけているムスリムとの交流についても検討したい。
(報告30分、質疑10分)

16:50-18:00 全体討論

参加方法については学会のウェブサイトで確認してください。
https://jewishstudiesjp.org/2026/06/05/2026symposium/

2026年2月17日火曜日

『ユダヤ・イスラエル研究』第39号(2025年)

 日本ユダヤ学会

『ユダヤ・イスラエル研究』第39号(2025年)

目次

〈論文〉
加藤哲平「ラビ・オカモト―日本人最初のラビの生涯—」(1-16頁)

蓼沼理絵子「『シュルハン・シェル・アルバ』に見るパンの祝福と救済」(17-31頁)

〈翻訳〉
嶋田英晴「ゲニザ文書「T-S 20.37」の解説付き「翻訳」」(32-39頁)

〈研究ノート〉
李美奈「ユダヤ学におけるデジタルヒューマニティーズ―2010年代以降を中心に―」(40-49頁)

〈シンポジウム 内側からのイスラエルとパレスチナ〉
鶴見太郎「解題」(50頁)

犬塚悠太「現代のイスラエルにおける宗教シオニズムの諸相—その歴史と展開を中心に―」(51-63頁)

保井啓志「動物論から見たイスラエル社会の諸相」(64-73頁)

南部真喜子「被占領地エルサレムのパレスチナ人コミュニティにおける逮捕・拘禁とその影響」(74-81頁)

〈書評〉
李美奈:山本伸一著『異端の鎖―シャブタイ・ツヴィをめぐるメシア思想とユダヤ神秘主義』(82-85頁)

長田浩彰:鶴見太郎著『ユダヤ人の歴史—古代の興亡から離散・ホロコースト・シオニズムまで」(86-88頁)

細見和之:二井彬緒著『ハンナ・アーレントと共生の〈場所〉論―パレスチナ・ユダヤのバイナショナリズムを再考する』(89頁)

高尾千津子:ロテム・コーネル編著、滝川義人訳『近代アジアのユダヤ人社会—共同体の興隆、終焉、そして復活』(90-94頁)

櫻井丈:吉見崇一編訳『ユダヤ教の祈り―祈祷文と解説』(95-96頁)

安齋篤人:バーナード・ワッサースタイン著、工藤順訳『ウクライナの小さな町—ガリツィア地方とあるユダヤ人一家の歴史』(97-99頁)

戸澤典子:鈴木啓之・児玉恵美編著『パレスチナ/イスラエルの〈いま〉を知るための24章』(100-103頁)

丸山空大:後藤正英著『不寛容と格闘する啓蒙哲学者の軌跡—モーゼス・メンデルスゾーンの思想と現代性』(104-107頁)

〈大会報告要旨〉
第21回学術大会報告要旨(108頁)

〈英文要旨〉(109-111頁)

第34回西日本ドイツ現代史学会シンポジウム(日本ユダヤ学会共催)

 第34回西日本ドイツ現代史学会

プログラム

【日時】2026年3月28日(土)・29日(日)
【会場】九州大学西新プラザ大会議室(福岡市早良区西新2-16-23)、ならびにZoom
【参加費】無料

第1日目:3月28日(土)

シンポジウム「ナチズム・シオニズム・ユダヤ人―境界と越境」

共催:日本ユダヤ学会、2022〜2025年度科研プロジェクト「都市の中のグローバル・コロニアリズム—住環境の史的変遷にみる二重の不平等と移入民」(研究課題番号22H00708、研究代表者:水野博子)

 13:00-13:05 開会挨拶・諸注意

 13:05-13:10 趣旨説明:今井宏昌(九州大学)

 13:10-13:50 第一報告:長田浩彰(広島大学)

 13:50-14:30 第二報告:穐山洋子(同志社大学)

 14:30-15:10 第三報告:水野博子(明治大学)

 15:10-15:30 休憩

 15:30-15:50 コメント1:鶴見太郎(東京大学)

 15:50-16:10 コメント2:野村真理(金沢大学名誉教授)

 16:10-16:40 リプライ

 16:40-17:10 総合討論

 17:10-17:25 総会

 18:00-20:00 懇親会(対面のみ)


第2日目:3月29日(日)

個別報告(発表40分/質疑応答10分)

 09:30-10:20 第一報告:野中 諒(九州大学)

 「第一次世界大戦後アルザス・ロレーヌにおける傷病兵支援」

  司会:衣笠太朗(神戸大学)

 10:20-11:10 第二報告:峯沙智也(東京大学)

 「帝政期以前のドイツにおける職能代表構想」

  司会:飯田洋介(駒澤大学)

 11:10-12:00 第三報告:大津留厚(神戸大学名誉教授)

 「ヴァーグナ難民収容所を生きる」

  司会:今井宏昌(九州大学)

 12:00-12:10 閉会挨拶

 12:30-15:30 エクスカーション(対面のみ/途中参加・離脱自由)

  ※ 昼食も兼ねます

【参加申込】2026年3月22日(日)締切
下記のいずれかのウェブサイトからフォームで登録
日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/2026/02/11/2026springmeeting/

西日本ドイツ現代史学会ウェブサイト
https://gendaishigakkai2013.hatenablog.com/entry/2026/01/17/023536


2025年11月22日土曜日

日本ユダヤ学会第22回学術大会

日時:2025年11月30日(日) 14:30~17:00 

場所:zoom(*URLは会員および非会員の申込者のみに告知)

非会員の参加方法は学会ウェブサイトに記載
https://jewishstudiesjp.org/2025/11/21/conference2025/

プログラム

14:30 開会のあいさつ

14:35~15:20 志田雅宏(静岡県立大学)
強制改宗と論争文学―プロファイト・ドゥランとハイーム・イブン・ムーサを例に

本発表では、1391年以降のスペイン・ユダヤ社会におけるキリスト教への大勢の強制改宗のなかで、ユダヤ人による反キリスト教論争文学がどのような役割をはたしたかを考察する。具体的には、1390年代のプロファイト・ドゥランによる著作(『汝の父祖のごとくであるなかれ』および『異教徒の恥辱』)と、1456年のハイーム・イブン・ムーサによる著作(『盾と槍』)を比較する。この比較によって、改宗者に対するユダヤ社会の認識の変化やキリスト教を論駁する目的、論争家たちのキリスト教観およびユダヤ教観などを検討する。

(※研究発表は発表30分+質疑応答15分。以下同)

15:25~16:10 保井啓志(同志社大学)
ラヴ・クックにおける動物倫理と菜食主義の解釈

アブラハム・イツハク・ハコヘン・クック(ラヴ・クック)はユダヤ教ラビの立場から1900年代という早い時期から菜食主義と動物倫理の擁護を訴えた人物であり、その論考は、後年に『菜食主義と平和のヴィジョン』としてまとめられている。本報告では、この書籍をもとに、ラヴ・クックの思想において、動物倫理や菜食主義がユダヤ教の範囲内でどのように解釈されていたのかを、その世俗的な動物倫理との対比を踏まえながら論じたい。

16:15~17:00 コヘン シラ(同志社大学)
ヘブライ文学と日本文学におけるキリスト教と暴力:S.Y.アグノンと芥川龍之介を例として

20世紀初頭、ヘブライ文学と日本文学は西洋文化と文学の影響のもとで発展していった。しかし、そのような文化的影響はそう単純に受け入れられていたわけでは無い。その中で、ヘブライ文学と日本文学両方にキリスト教を暴力的に描写する作品が見られていた。1943年、当時ヘブライ文学の第一人者であったS.Y.アグノンが吸血鬼的なキリスト教女性がユダヤ人の行ション人を殺そうとする「貴婦人と行商人」という短編小説を発表した。また、1917年から1927年にかけて、小説家芥川龍之介は日本のキリシタン時代(1549年〜1644年)を舞台とする短編小説、いわゆるキリシタン物を数十編発表した。そのうちの多くの作品はキリスト教徒の弾圧を題材とし、キリスト教を消極的に描写している。この二人の小説家のこのようなキリスト教の描写にはどういう意図があったのか。この発表では、アグノンと芥川がキリスト教とそれぞれユダヤ人及び日本人との歴史的な関係を暴力を軸として捉え直すこと度、自らの時代の西洋に対する不安を表現していたと論じ、さらに、このことが当時の文学情勢について何を示してくれるのかを問う。

2025年8月23日土曜日

日本ユダヤ学会2025年度シンポジウム

 YIVOユダヤ研究所設立100周年記念シンポジウム

2025年10月4日(土)13:00~17:00
場所:東京理科大学 神楽坂キャンパス
主催:日本ユダヤ学会
協力:Martynas Mažvydasリトアニア国立図書館、リトアニア文化研究所、駐日リトアニア大使館

開催方法:対面・オンライン併用。オンラインでのご参加をご希望の方は下記のフォームからお申し込みください。
https://x.gd/GPPLm

使用言語:特別講演・質疑応答のみ英語(通訳なし。ペーパーの事前共有あり)。
その他は日本語。

趣旨:

現在、ニューヨークに拠点をおくYIVOユダヤ研究所(YIVO Institute for Jewish Research)は、1925年にヴィリニュス(当時ポーランド領ヴィルノ)で設立された、中東欧イディッシュ語圏のユダヤ人社会ならびに同地にルーツをもつ世界各地のユダヤ人コミュニティにかんする研究機関です。イディッシュ語やヘブライ語のみならず多言語の史資料を集積し、研究対象とされる地域も中東欧、ロシア、南北アメリカなど多地域にわたります。YIVOの可能性は、ユダヤ研究のみならず、ユダヤ人を内包する地域社会の研究へも開かれているといえます。

本シンポジウムは、YIVO設立100周年を記念し、草創期から第二次世界大戦中の危機の時代、そして現代までのYIVOの歴史を振り返ります。特別講演者として、Martynas Mažvydasリトアニア国立図書館よりララ・レンペルティエネ博士をお招きし、これまで知られることの少なかったリトアニア現地の文脈からYIVOの歴史の一端をご講演いただきます。

ユダヤ研究者はもちろんのこと、YIVOが射程とする諸地域にご関心をお持ちの方々の幅広いご参加を歓迎いたします。

講演者の招待においては駐日リトアニア大使館の多大な協力を得ました。記して感謝申し上げます。

13:00–13:05 開会の辞・趣旨説明:市川裕(本会理事長・東京大学名誉教授)

13:05–13:35 西村木綿(名古屋外国語大学講師)
「YIVOは何を目指したか――設立から両大戦間期まで」

13:35–14:35 特別講演:ララ・レンペルティエネ(リトアニア国立図書館ユダヤ研究センター、博士)
「最終章――ソ連占領期リトアニアにおけるYIVO(1940〜1941年)」 

14:35–14:45 休憩

14:45–15:15 高尾千津子(元東京医科歯科大学教授)
「ニューヨークのYIVOとソ連ユダヤ史関係史料」

15:15–16:00 コメント:重松尚(日本学術振興会特別研究員CPD、ヴィータウタス・マグヌス大学提携准教授)・青木良華(本会会員)・荒井敬史(本会会員、博士)

16:00–16:15 休憩

16:15–17:00 コメントへの応答・質疑応答

【特別講演要旨】

ララ・レンペルティエネ「最終章――ソ連占領期リトアニアにおけるYIVO(1940〜1941年)」

1925年にヴィリニュスに設立されたYIVO研究所と、現在、YIVO Institute for Jewish Researchとしてニューヨークにおいて続くその歴史、そして所蔵される史料の運命については、多くの論文、書籍、回想、辞典で、また、近年ではいくつかのモノグラフにおいて論じられている。しかしYIVOをめぐる主題は尽きるには程遠い。それはYIVOの文化的達成の広大さのみならず、現在もなお、YIVOと密接な結びつきのある新しい文書が発見され続けていることによる。最近ではYIVOに関連する数千ページにわたる文書がヴィリニュスのいくつかの研究所で再発見された。

本報告が焦点を当てるのは、しかし、長年にわたりアクセス自体は可能だった文書である。これらはYIVOについての我々の知識を相当に押し広げるものであるが、これまでの研究において十分に活用されてこなかった。その文書の大半は現在リトアニアにあり、主にリトアニア国立文書館に保管されている。これらは1940年から41年にかけて、すなわちヴィリニュスがソ連の支配下にあった時期のYIVO研究所と関連する文書であり、ナチ占領下で略奪・破壊される直前のYIVOの組織構造、所蔵文書の内容、博物館、図書館の状態を理解するのにきわめて重要である。これらの史料はまた、当時、YIVOが公式には閉館されなかったものの、新統治者〔ソ連〕のもとで停滞し、その間、積極的な展開をわずかにしか遂げなかったことを示している。

これらの史料は完全にアクセス可能ではあったが、国外の研究者によってめったに利用されてこなかった。言語の障壁はさることながら、地域的な障壁もその理由である。すなわち、リトアニアのソヴィエト化についての研究においては、通例、ユダヤ人の研究所の運命は議論されず、その関心はもっぱらリトアニア人やリトアニア人の研究所に置かれていたのである。

 近年、このような史料がリトアニア国立図書館のジュダイカ・コレクションにおいて発見されている。これらは実に数十年の間知られておらず、YIVOの史料集積にかなりの付け加えをなすものである。


Lara Lempert, “The Last Chapter: YIVO in the Years of the First Soviet Occupation of Lithuania (1940-1941)”

Summary:

The history of the YIVO Institute established in Vilnius in 1925 and now continuing its activities in New York as YIVO Institute for Jewish Research, as well as the fate of its collections, has been discussed in many articles, book chapters, memoirs, encyclopaedias and, most recently, several monographs. However, the subject is far from exhausted, and not only because of the vastness of the cultural achievement of YIVO, but also because new documents pertinent to YIVO are continuously being discovered or come to the fore. Speaking of the former group, several thousands of pages of YIVO-related materials were recently rediscovered in several institutions in Vilnius. In this presentation, however, I will focus on documents that were accessible for years, but not sufficiently presented in the scholarship, although they would substantially add to our knowledge of YIVO. The documents that are mostly in Lithuanian and preserved mainly in the Lithuanian National State Archives, are related to the YIVO Institute in 1940 and 1941 – the year when Vilnius came under the Soviet jurisdiction. They are extremely important, supplying the last glimpse on the state of the YIVO structure, the content of its archival collections, the museums and the library immediately before the Nazi occupation and the plundering and looting that accompanied it. At the same time, these documents demonstrate how, although not closed officially, the institute stagnated under the new regime, and only a couple of positive developments happened during this period.

Even though these documents have been fully accessible, foreign researchers seldom use them because of the linguistic obstacle, and the local ones – because in their research of sovietisation of Lithuania they are usually not engaged in discussing the fate of Jewish institutions, being predominantly concerned by the Lithuanian ones and the Lithuanians.

Recently, more of such documents were found in the Judaica collection of the Lithuanian National Library. These were, indeed, not known for decades and make a substantial addition to this corpus.


JSJS symposium commemorating centenary of YIVO

In partnership with:

Martynas Mažvydas National Library of Lithuania, Lithuanian Culture Institute, Embassy of Lithuania in Japan

October 4, 2025, Sat. 13:00~17:00 at Kagura Zaka Campus, Tokyo University of Science.


Aims and scope:

YIVO Institute for Jewish Research, established in Vilnius in 1925 (Wilno in Poland at that time) and now located in New York, is a research institute on East European Jewish civilization holding the largest collection of materials on it. Collections in YIVO’s archives and library are multilingual encompassing not only Yiddish and Hebrew but also languages used in the countries where Jewish communities were/are.

This symposium, celebrating the centenary of YIVO, traces its history from the beginning through the most critical period of WWII to the contemporary era. It also reconsiders the possibility of YIVO to expand the research scope to include regional studies beyond just Jewish studies. Dr. Lara Lempertienė, invited as a special guest from Judaica Research Center, Department of Documentary Heritage at Martynas Mažvydas National Library of Lithuania in Vilnius, will talk on a less known chapter of YIVO in the local Lithuanian historical context.

We welcome both researchers on Jewish studies and those who are interested in countries that YIVO’s collection relates to.

We express our deepest gratitude for cooperation of Embassy of Lithuania in Japan in inviting Dr. Lara Lempertienė.


13:00–13:05 Opening remarks by Hiroshi Ichikawa(President of JSJS)

13:05–13:35 Yuu Nishimura(Lecturer at Nagoya University of Foreign Studies)

“The early history of YIVO and its achievement: from the beginning to 1939”  

13:35–14:35 Lara Lempertienė (Judaica Research Center, Department of Documentary Heritage at Martynas Mažvydas National Library of Lithuania in Vilnius)

Special Lecture:“The Last Chapter: YIVO in the Years of the First Soviet Occupation of Lithuania (1940-1941)”

14:35–14:45 Short break

14:45–15:15 Takao Chizuko (Former Prof. of Tokyo Medical and Dental University)

“YIVO in New York and its documents on Soviet Jewry”

15:15–16:00 Comments by Hisashi Shigematsu (Research Fellow-CPD, JSPS. Partnership Associate Professor, Vytautas Magnus University), Ryoka Aoki (JSJS), and Keishi Arai (JSJS/Dr.) 

16:00–16:15 Short break

16:15–17:00 General discussion

2025年3月8日土曜日

日本ユダヤ学会『ユダヤ・イスラエル研究』第38号目次

 『ユダヤ・イスラエル研究』第38号(2024年)

〈翻訳〉
重松尚『リエトゥヴォス・ジニョス』における杉原千畝インタヴュー記事』(1-5頁)

〈シンポジウム 東欧ユダヤ史研究の過去と現在〉
高尾千津子「解題」(6頁)
安齋篤人「戦間期ガリツィア・ユダヤ人の都市近郊農業とエスニック・マーケティング戦略」(7-15頁)
西村木綿「誰が、なぜ、ポーランドのユダヤ史を書くのか」(16-26頁)
重松尚「リトアニアの歴史書におけるユダヤ人に関する歴史叙述の変遷」(27-38頁)

〈シンポジウム アメリカとユダヤ人―21世紀からの検証〉(承前)
北美幸「アメリカ黒人とユダヤ人―被差別経験の交差性と公民権運動への参加」(39-50頁)

〈書評〉
法貴遊:神田愛子著『マイモニデスにおける神への道程―神の知解と人間の生き方の相関性を巡って』(51-54頁)
西村木綿:野村真理著『ウィーン ユダヤ人が消えた街―オーストリアのホロコースト』(55-58頁)
田村円:高橋秀寿著『反ユダヤ主義と「過去の克服」―戦後ドイツ国民はユダヤ人とどう向き合ったのか』(59-62頁)
上村静:月本昭男著『物語としての旧約聖書―人類史に何をもたらしたのか』(63-66頁)
犬塚悠太:Jonatan Meir & Shinichi Yamamoto, Gershom Scholem and the Research of Sabbatianism(67-70頁)

〈新刊紹介〉
天野優:サヴィヨン・リーブレヒト、ウーリー・オルレブほか著、母袋夏生訳『砂漠の林檎―イスラエル短編傑作選」(71-72頁)
牧野素子:李美奈著『ヴェネツィアのゲットー―商館・共同体・コンタクトゾーン』(73頁)
野村真理:水島治郎著『隠れ家と広場―移民都市アムステルダムのユダヤ人』(74頁)

〈大会報告要旨〉
第20回学術大会報告要旨(75-77頁)

〈英文要旨〉(78-79頁)

2024年10月6日日曜日

日本ユダヤ学会第21回学術大会

日本ユダヤ学会第21回学術大会

日時:2024年10月26日(土) 10:25~17:30 
場所:東京大学本郷キャンパス法文1号館113教室
〒113-0033 東京都文京区本郷7丁目3−1

ハイブリッド形式での開催
詳細は日本ユダヤ学会ホームページにて
https://jewishstudiesjp.org/2024/09/29/conference2024/

プログラム

10:25 開会のあいさつ

10:30~11:15 嶋田英晴(同志社大学)

ユダヤの商業ネットワークと『ラシュート(管轄)』の関わり~ブンダール家の事例から~

ゲニザ文書の書簡と先行研究から、12世紀前半の地中海とインド洋で活動するユダヤ商人達とネットワークを有していた、アデンを拠点とした豪商ブンダール家を中心に、バビロニアのレシュ・ガルータ(捕囚民の長)、エジプトにおけるパレスチナ系イェシヴァのガオン、そしてエジプトのナギッド(ユダヤの長)との関りを明らかにする。これによりユダヤの商業ネットワークとラシュートの関わりについて具体的に解明する。

(※研究発表は発表30分+質疑応答15分。以下同)


11:20~12:05 蓼沼理絵子

R.Bahyaの「食卓」-パンの祝福と世界の秩序

サラゴサのR.Bahya ben Asher(1255-1340)の『シュルハン・シェル・アルバ(四脚の食卓)』は、その名のとおり「食」から道徳と倫理を説く。荒れ野に降ったマナや過越し祭のマツァを含め、パンはすべての食事と生活の基本であり、卓上の食事と作法は世界の秩序を表す。ゆえに、定められた食事は正しい知識の摂取であり、救済の約束につながる。このパンの祝福と表象から、R.Bahyaの説く「食卓」とその世界観を考察する。

12:05~13:30 休憩

13:30~14:15 大澤耕史(中京大学)

ヘブライ語聖書から新約聖書までの呼称とその実体:「ユダヤ人」とその周辺

ヘブライ語聖書の中で「ユダヤ人」を示す言葉は複数存在する(ユダヤ人、ヘブライ人、イスラエルの民等)。本報告ではそれらの呼称と実体を踏まえた上で、聖書外典偽典を経て新約聖書に至るまでの間に、それらの呼称と実体がどのように変化したかを明らかにすることを試みる。特に、話者/著者がキリスト教徒に変わるに際し、神との契約の正統性をめぐる争いの中での変遷に着目したい。


14:20~15:05 李美奈(東京大学大学院)

17世紀理性主義者に対する反駁に見る、モデナの儀礼と法に関する思想

発表者はレオネ・モデナ(1571-1648)『ヘブライ人の儀礼の歴史』(1638)の歴史的な影響力を鑑み、モデナのユダヤ法や儀礼に関する思想を研究している。本発表ではハンブルクのウリエル・ダ・コスタがヴェネツィアのラビに当てた質問状に対するモデナのレスポンサ『盾と大楯』(1616)を用いて、口伝トーラーや戒律の実践に関するダ・コスタとモデナの見解の違いを分析し、モデナのユダヤ法に対する思想を明らかにすることを試みる。


15:10~15:55 加藤哲平(九州大学)

ラビ・オカモト:日本人最初のラビの生涯と思想

本発表は、ラビ・オカモトこと岡本宏(おかもと・ひろし、1926-1981)の生涯と思想を、現存する資料から明らかにするものである。岡本は、戦時中は帝国海軍兵学校にて訓練を受けた軍人であったが、戦後日本の思想的混乱に抗するかのように、永遠の真理をユダヤ教に求めた。米国ヒブル・ユニオン・カレッジにてラビの資格を取得した岡本は、ラビとしての活動の傍ら、英国および米国で、タルグムの研究や比較宗教の教育にも従事した。本発表は、この「日本人最初のラビ」に関する最初の報告である。


15:55~16:15 休憩


16:15~17:30 講演:Jonathan Meir(Ben Gurion University of the Negev)

Historiography, Hasidism, and Forgery: The Case of the Kherson Geniza (On the Historiography of Habad and the Early Hasidic Movement)

In 1918, with the end of the First World War, rumours spread that a huge collection of original writings by the founder of Hasidism, Israel Baal Shem Tov, his disciples, and their followers had been discovered in Kherson. This was major news, as very few known texts by him exist—only a few letters. What prevents modern scholars from uncovering the mystery of these texts’ authenticity? Why are Hasidim still not ready to present these documents to the wider public? What is the significance of these letters in the history of Hasidism?

The lecture aims to highlight the uniqueness of Habad historiography as a case study of historical document forgery, the reinforcement of internal Hasidic consciousness, and the attempts to create a Hasidic modern literary channel in response to the secular neo-Hasidic literature of the early 20th century.

(※本講演はヘブライ語でおこなわれます。英文要旨が付きます)


講演者紹介

Jonatan Meir is a full Professor in the Goldstein-Goren Department of Jewish Thought at Ben-Gurion University of the Negev, and a Member of the Israel Academy of Sciences and Humanities. He serves as a JSPS fellow for 2024-2025 at the University of Tokyo.

Meir has composed seven monographs, edited various anthologies, produced several critical editions, and published over 100 articles. Among the books he has written or edited are included –Imagined Hasidism: The Anti-Hasidic Writings of Joseph Perl (Mossad Bialik, 2014); Joseph Perl, Sefer Megale Temirin, annotated edition in 2 volumes (Mossad Bialik, 2014); Kabbalistic Circles in Jerusalem, 1896-1948 (Brill, Aries Book Series, 2016); Literary Hasidism: The Life and Works of Michael Levi Rodkinson (Syracuse University Press, 2016); Habad Hasidism: History, Theology and Image (Zalman Shazar Press, 2016); Gershom Scholem, History of the Sabbatian Movement (Schocken, 2018); Gershom Scholem and the Research of Sabbatianism (Schocken Institute, 2021); Three Lectures on Bratslav Hasidism, Schocken Institute 2024); Three Lectures on Habad Hasidism (Schocken Institute 2024); Wrestling with the Esoteric: Three Lectures on Yehuda Leib Ashlag and 20th Century Kabbalah (Schocken Institute 2024)

2024年8月2日金曜日

日本ユダヤ学会編『ユダヤ文化事典』

 日本ユダヤ学会編、市川裕(編集代表)
『ユダヤ文化事典』
丸善出版、2024年7月

【内容紹介】
 ユダヤ教は、啓示(超越的な神)がこの世の人間たちに対して現れるという現象を基盤とする一神教であり、ユダヤ民族の民族宗教である。その宗教の独自性ゆえに周囲の異邦人により常に差別され迫害される危険にさらされたが、宗教による絆によって結ばれた一つの民として独自の存在を保持してきた。
 本事典は、近現代のユダヤ(宗教および人)の文化に焦点をあてている。古代から現代まで、領土をもたず、世界中に集団が広がりながらも、ユダヤ教という宗教によってのみ相互の絆を守り、一つの民として独自の存在を保持・生き抜いてきたユダヤ人の文化の営みを網羅的に把握することを目指した。
 ユダヤ教の概念から民族の歴史、世界各地での様相、経済・文化的活動、日本との関わりなど、全16章304項目を執筆者156名による書下ろしで解説。

目次および詳細は下記のウェブサイトにて
https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/b306003.html

文化事典シリーズ
『キリスト教文化事典』『イスラーム文化事典』『ユダヤ文化事典』

2024年6月11日火曜日

日本ユダヤ学会2024年度公開シンポジウム『内側からのイスラエルとパレスチナ』

 日本ユダヤ学会2024年度公開シンポジウム

『内側からのイスラエルとパレスチナ』

日時:2024年7月7日(日)
会場:東京大学駒場キャンパス21KOMCEE West3階K303
・zoomによるハイブリッド形式での開催となります。

*学会の会員以外の方で公開シンポジウムの参加をご希望の方は事前申込が必要です。
学会のホームページにある申込フォームから申し込んでください
https://jewishstudiesjp.org/2024/06/10/2024symposium/

【プログラム】

14:00-10 開会の辞(市川裕理事長)

14:10-50 犬塚悠太(東京大学大学院)
「イスラエル国におけるユダヤ教の諸相:分岐する宗教シオニズムを事例に」

宗教はさまざまな側面から社会・政治的な問題と関わるがイスラエルにおいてもそれは例外ではない。今日のイスラエルにおいては「宗教化」という現象が生じているとされ、軍隊、教育をはじめとした社会の諸側面で宗教の影響が強まってきているほか、2022年の選挙による宗教政党の台頭と司法改革、それに伴う国内の分断という点でも宗教はますます重要なテーマとなってきている。他方でイスラエルにおけるユダヤ教は複雑な状況にあり、一口に宗教と言っても複数の方向へと分岐している。本法国では現代のイスラエル社会における正統派ユダヤ教がどのように人々を分断したり結びつける作用を果たしているのか、そしてそれはどういった歴史的展開を持っているのかを示す事例として、超正統派に近づく宗教シオニズムと、世俗派との積極的な協働を目指す宗教シオニズムという二つの方向性について論じる。(質疑応答10分)

休憩10分 (15:00-10)

15:10-50 保井啓志(人間文化研究機構人間文化研究創発センター研究員/同志社大学研究開発推進機構学術研究員)
「動物論から見るイスラエル社会の諸相」

ガラント国防相の「人間動物」発言に代表されるように、とりわけ10月7日以降のイスラエル社会では、人間と動物の関係が再び政治の表舞台に立っている。この人間と動物の関係を対象にした研究は動物論あるいは批判的動物研究という名で近年日本でも紹介され注目を集めてきた。これらの研究領域は、動物の権利運動、菜食主義の実践、人間-動物間関係や「人間性」の持つ意味など広範な射程を含むものである。そのため、パレスチナ問題をめぐって人間性や権利、倫理性が複雑に絡み合うイスラエルの現在の社会的状況を理解するのに、動物論の果たすべき役割は大きい。本報告では近年の動物論の議論を追いながら、①動物の権利運動の展開、②倫理的な優位性、③人間性とテロリズムの三点を取り上げる。そして人間と動物に関する事柄がどのようにイスラエルの植民地主義とナショナリズムにつながってきたのかを論じることで、イスラエル社会の諸相を明らかにしたい。(質疑応答10分)

休憩10分 (16:00-10)

16:10-50 南部真喜子(東京外国語大学総合国際学研究院特別研究員)
「エルサレムのパレスチナ人コミュニティにおける逮捕と拘禁」

本報告では、占領下エルサレムのパレスチナ人コミュニティ(東エルサレム)における、イスラエル当局による若者の逮捕や拘禁がもたらす影響について考えてみたい。1967年の併合以来、東エルサレムはイスラエルの行政管轄下にある。実際には、イスラエルの入植・植民地政策によって、コミュニティの維持をはじめとする日常のあらゆる生活空間に支配の侵食が進んでいる。若者の逮捕や拘禁は、「セキュリティ維持」の名目以上に、パレスチナ人社会を弱体化するひとつの手段として捉えられるだろう。ここでは、投獄の体験が、「子どもでいること」や「大人になること」といった個人の生のあり方にどのような影響を及ぼしているのか、友人関係や家族関係にどのような差異を生み出しているのか、そしてそれらを乗り越えようとする言説や動きについて検討したい。(質疑応答10分)

休憩10分 (17:00-10)

17:10-50 全体討論


2024年2月17日土曜日

『ユダヤ・イスラエル研究』第37号(2023年)

 日本ユダヤ学会

『ユダヤ・イスラエル研究』第37号(2023年)

目次

〈研究ノート〉

平田文子「ビュイッソンの『初等教育学辞典』におけるジョゼフ・シモン:普遍道徳思想に焦点を当てて」(1-8頁)

野村真理「イギリスにおけるユダヤ人難民の受け入れ 1933~1939年」(9-16頁)

〈研究動向〉

西村木綿「写真パネル展「リフカの日記」とシンポジウム「ウッチから考えるホロコースト」」(17-25頁)

〈シンポジウム アメリカとユダヤ人—21世紀からの検証〉

石黑安里「解題」(26頁)

近藤佑樹「リンドバーグ大統領とフィリップ少年—The Plot Against Americaから読み解く現代アメリカの姿」(27-35頁)

堀邦維「ゲットーからアメリカへ」(36-46頁)

〈書評〉

阿部望:村岡崇光編訳『精選 死海文書』(47-51頁)

大澤香:C.G. シュウェンツェル著、波部雄一郎訳『ヘロデ大王』(52-53頁)

櫻井丈:市川裕著『ユダヤ的叡智の系譜―タルムード文化論序説—』(54-57頁)

鶴見太郎:バシール・バシール+アモス・ゴールドバーグ著、小森謙一郎訳『ホロコーストとナクバー歴史とトラウマについての新たな話法』(58-61頁)

野村真理:ルータ・ヴァナガイテ/エフライム・ズロフ著、重松尚訳『同胞:リトアニアのホロコースト 伏せられた歴史』(62-64頁)

宮崎悠:野村真理著『ガリツィアのユダヤ人—ポーランド人とウクライナ人のはざまで【新装版】』(65-66頁)

藤岡俊博:内田樹著『レヴィナスの時間論:『時間と他者』を読む』(67-70頁)

〈新刊紹介〉

コヘン・シラ・マルカ:ツヴィ・ヴァイル著、母袋夏生・広岡杏子・波多野苗子訳『首相が撃たれた日に』(71頁)

〈大会報告要旨〉

第19回学術大会報告要旨(72-73頁)

〈英文要旨〉(74-75頁)

2023年10月4日水曜日

日本ユダヤ学会第20回学術大会

日本ユダヤ学会第20回学術大会

日時:2023年10月28日(土) 13:00~17:05 

形式:ハイブリッド形式

場所:東京大学本郷キャンパス法文1号館113教室
(〒113-0033 東京都文京区本郷7丁目3−1)

非会員の方でオンライン参加を希望される場合は、事前申し込みが必要です。
申込は下記のフォームからお願いいたします。
第20回学術大会申込フォーム
*対面参加を希望される場合は、事前申し込みは不要です。

13:00~13:05 開会のご挨拶

13:05~13:35 
犬塚悠太(東京大学大学院)
「宗教シオニズム思想における国家像と『民主主義』」

2022年の選挙結果に伴う一連の政治的混乱はユダヤ民族による「民主主義」をめぐる対立の様相を呈している。その中で宗教シオニズムに連なる陣営は司法の権限を弱める「司法改革」によって「民主主義」が守られると主張している。本発表では宗教シオニストの人々がどのようにイスラエル国家やその政体について神学的に理解してきたのかを歴史的に確認し、その変遷を考察することで彼らの思想や現在イスラエルで起こっている現象をより正確に捉えることを目標とする。
13:35~13:50 質疑応答

13:50~14:20
天野優(日本学術振興会)
「20世紀前半イラクのユダヤ・コミュニティとパレスチナ/エレツ・イスラエル:その位置づけの変遷に着目して」

本報告は、イラクのユダヤ・コミュニティにおけるパレスチナ/エレツ・イスラエルの位置づけが20世紀以降どのように変化したのか、同時期のヘブライ語/アラビア語新聞に見られる関連記事などを取り上げ、考察するものである。近年の研究動向を紹介するとともに、パレスチナ/エレツ・イスラエルとの関係にシオニズムがもたらした影響に留意しつつ歴史的・社会的背景を整理し、その変遷の一端を明らかにしたい。
14:20~14:35 質疑応答

14:35~15:05 
アンドリュー・オバーグ(高知県立大学)
「ホセア書12章4-5節:四つの現象学的な読み方」

ホセア書12章4-5節に二つの神を表す神話(theophany)の言及があり(参照:創世記28章10-22節、32章25-29節)、両方ともはヤコブとの関係です。その上にベース・エールで神はヤコブと話をすることも述べています。殆どの英語訳(日本語訳もそう)は七十人訳聖書のあと5節bβの最後に「彼」を使っておりが、ヘブライ語には「我ら」が書いてあります。この発表で先程代名詞の違いから節の意味を考える為にハイデッガーの解釈学的な現象学の「prestructure」を使い、四つの観点から分析します:汎神論的な「我ら」(panentheistic “us”)、異神論的な「我ら」(henotheistic “us”)、公共的な「我ら」(communal “us”)、とアイデンティティ主義「我ら」(identitarian “us”)。
15:05~15:20 質疑応答

15:20~15:35 休憩

15:35~16:05 
李美奈(東京大学大学院)
「17世紀レオネ・モデナの『獅子は吠える』における『戒律の理由』(Ta’amei haMitzvot)論」

17世紀ヴェネツィアのラビ、レオネ・モデナ(1571−1648)は、人間知性によってトーラーや儀礼の内容を完全に理解できると考える一方で、カバラーへの反駁書Ari Nohem(獅子は吠える)においては、戒律の意味や理由については人間知性では理解し得ないとする。モデナの思想における信仰と理性の関係についてより明らかにするために、本発表ではユダヤ社会で展開されてきた「戒律の理由」論とモデナのAri Nohemの議論とを比較し、モデナの思想の特徴を洗い出すことを試みる。
16:05~16:20 質疑応答

16:20-16:50 
大澤耕史(中京大学)
「聖書解釈に見る自他認識――古代末期のユダヤ教とシリア・キリスト教の比較から――」

本発表では、主にタナイーム期・アモライーム期のユダヤ人と、同時代の初期シリア教父(アフラハト)が、ユダヤ人とその他の人々をどのように区別してきたかの一端を、ヘブライ語聖書の「ゴイ」という語の解釈から明らかにすることを試みる。それによって、古代末期のユダヤ人と(シリア地域の)キリスト教徒たちが自他をどのように区別していたのかの解明の一助となることを目指す。
16:50~17:05 質疑応答

2023年6月17日土曜日

日本ユダヤ学会2023年度シンポジウム

 日本ユダヤ学会2023年度シンポジウム

「東欧ユダヤ史研究の過去と現在」

日時:2023年7月1日(土)14:00~17:50
会場:Zoomによるオンライン開催

14:00~14:10 開会の挨拶:市川裕(東京大学名誉教授)

14:10~14:50 安齋篤人(東京大学大学院)
「戦間期ガリツィア・ユダヤ人の都市近郊農業とエスニック・マーケティング戦略」

 本報告は,戦間期のガリツィア地方におけるユダヤ人の都市近郊農業を扱う。近代に至るまで、ヨーロッパのユダヤ人は法的差別のために土地の購入を禁じられ、農業から疎外されていた。中東欧地域において例外的にユダヤ人の農業が発展したのが、19世紀後半から20世紀半ばにかけてハプスブルク帝国及びポーランド第二共和国の支配下にあったガリツィアである。同地域では、19世紀中盤の法的解放の後にユダヤ人が土地を購入し、都市近郊農業という新しい農業ビジネスを展開した。特に戦間期にはユダヤ人の食事規定(コシェル)を満たす乳製品が都市部で販売されると共に、パレスチナなど海外市場への輸出も試みられた。本報告ではこうしたユダヤ農業の特徴を、ポーランド第二共和国におけるガリツィアや諸地域の戦災復興と都市化、国際的な資金支援、固有の食習慣を維持する民族的・宗教的マイノリティを対象としたユダヤ人農家のエスニック・マーケティング戦略の3つの観点から分析する。(質疑応答10分)

14:50~15:00 休憩 (10分)

15:00~15:40 西村木綿(名古屋外国語大学)
「誰が、なぜ、『ポーランドのユダヤ史』を書くのか」

歴史的ポーランドのユダヤ人についての近代的な歴史研究は、19世紀末よりポーランドのユダヤ人自身の手で開始された。WWII後、研究の中心はイスラエルと米国に移るが、他方で1980年代以降のポーランドでは、主要大学を拠点に非ユダヤ系ポーランド人によるユダヤ史研究が盛んに行われている。本報告では、それぞれの時期にどのような動機がポーランド・ユダヤ史研究を促したか、また、戦前と戦後で担い手が変わる中で、研究にどのような変化があったのかを考察する。(質疑応答10分)

15:50~16:00 休憩 (10分)

16:00~16:40 重松尚(日本学術振興会)
「リトアニアのユダヤ人に関する歴史叙述の変遷」

リトアニアの歴史を語る上でユダヤ人の存在は欠かすことができない。しかし、従来のリトアニアの歴史叙述においては、民族的リトアニア人を主体とする歴史叙述のなかでユダヤ人についてはほとんど触れられてこなかった。21世紀に入ると、リトアニアが欧州統合を進めていく上で多文化主義が重視されるようになり、これに伴いリトアニア・ユダヤ人の歴史も再認識されるようになってきている。本発表では、リトアニアにおける主要な歴史書においてユダヤ人に関する歴史叙述がどのように変遷してきたのか、その背景となる政治的動向も含めて論じる。(質疑応答10分)

16:50~17:50 全体討議

日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/2023/06/06/2023symposium/

2023年3月4日土曜日

日本ユダヤ学会『ユダヤ・イスラエル研究』第36号目次

 『ユダヤ・イスラエル研究』第36号 2022年12月 目次

〈論文〉
穐山洋子「戦間期スイスの反ユダヤ主義に対する抵抗―C.A. ロースリと『惨憺たるユダヤ人!』―」(pp. 1-13)
長田浩彰「パレスチナ・ドイツ・ユダヤ人社会(1933-38)と青年移住者エルンスト・レーヴィ:ドイツの父母に宛てた彼の書簡を史料として」(pp. 14-25)
コヘン・シラ・マルカ「文化の狭間の音楽:永井荷風とウリ・ニサン・グネシンの比較考察」(pp. 26-37)

〈シンポジウム コロナ禍のユダヤ人社会〉
市川裕「解題」(pp. 38-39)
アダ・タガー・コヘン「コロナ禍のユダヤ教:超正統派ユダヤ人はなぜ感染防止対策に従うことが出来なかったのか」(pp. 40-45)
天野優「パシュケヴィル(張り紙)から垣間見るイスラエルのハレディー社会とパンデミック」(pp. 46-57)
志田雅宏「コロナ禍での宗教生活―オンライン・レスポンサを中心に―」(pp. 58-68)

〈書評〉
山城貢司:上村静著『終末の起源:二つの系譜 創造論と終末論』(pp. 69-72)
二井彬緒:ハンナ・アーレント著(大島かおり訳)『ラーエル・ファルンハーゲン―ドイツ・ロマン派のあるユダヤ女性の伝記【新版】』(pp. 73-76)
志田雅宏:平田文子著『デュルケーム世俗道徳論の中のユダヤ教―ユダヤの伝統とライシテの狭間で―』(pp. 77-80)
重松尚:菅野賢治著『「命のヴィザ」言説の虚構―リトアニアのユダヤ難民に何があったのか?』(pp. 81-83)
大内宏一:武井彩佳著『歴史修正主義―ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで』(pp. 84-87)

〈新刊紹介〉
大澤耕史:大島力・小友聡・島先克臣編著、飯謙・池田裕・石川立・小林進・高橋洋成・月本昭男・本間敏雄著『ここが変わった!「聖書協会共同訳」旧約篇』(p. 88)
蓼沼理絵子:山尾彩香編、西南学院大学博物館研究叢書『ジュダイカ・コレクション ユダヤ教の祝祭』(p. 89)
鶴見太郎:佐藤唯行著『英国ユダヤ人の歴史』(p. 90)
鈴木重周:ナタリー・スコヴロネク著(宮林寛訳)『私にぴったりの世界』(p. 91)

〈大会報告要旨〉
第18回学術大会報告要旨(pp. 92-94)

〈英文要旨〉(pp. 95-97)

日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/journal/

2023年2月5日日曜日

日本ユダヤ学会 2023年関西例会

日本ユダヤ学会 2023年関西例会

日時:2023年3月11日(土)15時00分~17時00分
場所:オンライン開催(zoom)
*zoomのURLは会員に送付

15:00~15:05 開会の挨拶(市川 理事長) 

15:05~15:45 後藤 正英 会員
「ユダヤのフェミニズム思想 ―その神学的潮流」

ユダヤのフェミニズム思想は、ユダヤ教を構成する様々なカテゴリーの問い直しを通して、ユダヤ思想がもつ可能性を広げてきた。本報告では、特に現代アメリカのフェミニスト神学と呼ばれる潮流に注目する。この分野を代表するフェミニストであるレイチェル・アドラー(Rachel Adler,1943-)とジュディス・プラスコウ(Judith Plaskow,1947-)の古典的業績を改めて考察することで、ユダヤ思想全体の中でのフェミニスト神学が果たしてきた意義について考えたい。

15:45~16:00 質疑応答

16:00~16:40 長田 浩彰 会員 
「パレスチナ・ドイツ・ユダヤ人社会と雑誌Orient (1942-43)」

「信念からからここに来たのか、それともドイツから来たのか」。パレスチナでのジョークだが、正鵠を射ている。1931年時点でそこにいたドイツ出身のユダヤ人は1,181人とほんの一握り。つまり、シオニスト以外のドイツ・ユダヤ人はほぼいなかった。そこに41年までに約55,000人のユダヤ人がドイツから押し寄せた。彼らにとってそこは、新たなディアスポラであった。そこでの彼らの出版文化として、雑誌Orientの内容を分析する。

16:40~16:55  質疑応答

日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/2023/02/05/2023kansai/

2022年9月27日火曜日

日本ユダヤ学会第19回学術大会

 日本ユダヤ学会第19回学術大会

日時:2022年10月30日(日) 13:00~16:25
形態:オンライン(URLは会員に送付済み)

13:00~13:05 開会の挨拶(市川理事長)

13:05~13:35  平田文子(埼玉工業大学)
「Joseph Simon の教育観:フランス第三共和政下のユダヤ史の取扱いを踏まえて」

フランス第三共和政下の世俗学校計画においては、「ユダヤ史」(聖書の「聖なる歴史」)を教育課程に入れるか否かは難しい問題であった。当時の初等教育局長のビュイッソンは、フランス国民の共通の記憶としての「聖なる歴史」の重要性を主張し、ユダヤ史を特別な宗教的後光や選民思想を取り除いた歴史的史実として子どもたちに教えることを提案していた。本発表においては、当時のユダヤ史の取り扱いに関するビュイッソンの施策を踏まえて19世紀に活躍したラビ・ジョゼフ・シモンのユダヤ教育史について、述べる。
(司会:市川裕)
13:35~13:50 質疑応答

13:50~14:20  田村円(共立女子大学(兼任講師))
「ドイツ=ユダヤ共生をめぐるホロコースト後の議論――アルゲマイネ紙(在独ユダヤ人一般週刊新聞)における戦後初期の言論を中心に――」

本報告は「ドイツ=ユダヤ共生」をめぐって、ホロコースト後のユダヤ人世界ではいかなる議論が行われたのか、その当事者であるドイツ・ユダヤ人の戦後初期の言論に着目し、考察するものである。その際、ドイツに留まった者だけでなく、世界各国に在住するドイツ出身のユダヤ人が寄稿したアルゲマイネ紙に掲載された、解放以後のドイツ=ユダヤ共生に関する論説や記事を中心に取り上げる。
(司会:鶴見太郎)
14:20~14:35 質疑応答

14:35~14:50 休憩

14:50~15:20 石井田恵 (同志社大学大学院)
「メシアニック・ジュダイズムの歴史的展開と意義ーーキリスト教シオニズムとの関係を手掛かりに」

メシアニック・ジュダイズム研究は、世界的に見れば一定の蓄積があるが、運動の歴史を体系的に扱った研究の数は限られる。メシアニック・ジュダイズムがキリスト教シオニズムから受けた影響については、これまでも指摘されてきた。一方で、メシアニック・ジューが近年、キリスト教シオニストに与えている影響はあまり注目されていない。本発表では同運動の意義について、キリスト教シオニズムとの関係に注目して運動の歴史を俯瞰することで、明らかにしたい。
(司会:アダ・タガー・コヘン)
15:20~15:35 質疑応答

15:35-16:05  菅野和也ソロモン(京都大学大学院)
「現代カライ派ユダヤ教の実態:エルサレム、ラムレ、カイロでの現地調査に基づいて」

本発表は、2022年夏季にエルサレムとラムレのカライ派共同体、およびカイロのユダヤ地区で行った現地調査に基づき、カライ派ユダヤ教について考察する。カライ派研究においては、中世に書かれた書物の文献研究が主な手法である。そこで本報告では、8世紀のバビロニアに始まり、現代にまで続く宗派として検討することで、現代カライ派の視点から、カライ派とは何であるのか、ラビ派との違いはどこにあるのかを探求する。本発表では写真や動画を用いながら、その実態を具体的に提示したい。
(司会:志田雅宏)
16:05~16:20 質疑応答

16:20~16:25 閉会の挨拶(市川理事長)

日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/2022/09/27/conference2022/

2022年6月2日木曜日

2022年度日本ユダヤ学会公開シンポジウム

 日本ユダヤ学会

2022年度公開シンポジウム

『アメリカとユダヤ人-21世紀からの検証』

日時:2022年7月3日(日) 13:00~17:30

ハイブリッド形式にて実施

会場:学習院女子大学 2号館235教室
(ZoomのURLは会員に送付済み)

14:00-14:10 開会の辞(市川会長)

14:10-14:50 近藤佑樹 氏(滋賀県立大学)
「リンドバーグ大統領とフィリップ少年 ーThe Plot Against Americaから読み解く現代アメリカの姿」

現代アメリカにおける代表的な作家フィリップ・ロスが2004年に発表したThePlot Against Americaは、第二次世界大戦参戦前のアメリカにおいて、ルーズベルトではなく、単独で大西洋横断を達成したリンドバーグが1940年に大統領となるという設定の下、フィリップ少年のファミリーヒストリーが思わぬ展開を迎える物語である。本発表では、裏の顔を持つリンドバーグ大統領がもたらす恐怖や脅威を巡る描写に注目した上で、フィリップ少年の行動がもたらす影響の問題や、それを描く小説家ロスの問題について議論し、そこから浮かび上がる現代アメリカの姿について一考したい。(質疑応答10分)

15:00-15:40 堀邦維 会員(日本大学)
「ゲットーからアメリカへ」

ゲットーという非アメリカ的世界から、アメリカ文化の中枢へ参入していったユダヤ移民の歴史と現在を考える。とくに、ユダヤ人の進出の著しかった知識人社会と大衆文化に光を当てる。(質疑応答10分)

休憩10分 (15:50-16:00)

16:00-16:40 北美幸 会員(北九州市立大学)
「アメリカ黒人とユダヤ人:被差別経験の交差性と公民権運動への参加」

アメリカ黒人とユダヤ人は、ともにマイノリティとして歴史的に差別された経験を持つ一方、もっぱら差別ー被差別の関係にある白人と黒人であることから、連帯感と親近感を抱きつつも反発するという微妙な関係を培ってきたといわれる。1950年代後半以降、アメリカ・ユダヤ人は、公民権運動あるいは黒人の権利獲得に対して比類なき積極的姿勢を見せてきたが、積極的である度合いや参加の動機等は、実はさまざまであった。本報告では、北部に住むユダヤ人と南部ユダヤ人の違い、セキュラー(世俗的)であった学生の参加者、労働運動との関わり等にもに着目しながら、多文化社会であるアメリカにおけるユダヤ人と黒人の関係を公民権運動期を中心に見てみたい。(質疑応答10分)

16:50-17:30 全体討論

日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/2022/06/02/2022symposium/

2022年4月1日金曜日

『ユダヤ・イスラエル研究』第35号(2021年)

 日本ユダヤ学会

『ユダヤ・イスラエル研究』第35号(2021年12月)

目次

〈論文〉
長塚織人「限りなく薄い世界の皮膜―ブルガリア系セファルディのメキシコ人作家ミリアム・モスコナの『タマネギの皮』におけるスペイン語とユダヤスペイン語の複言語使用」(pp. 1-16)
天野優「1920年代イラクの「シオニスト」とその活動:エレツ・イスラエルとの関係を手がかりに」(pp. 17-25)

〈研究ノート〉
牧野素子「イタリアのユダヤ学、その萌芽から現在」(pp. 27-38)

〈翻訳〉
青木良華「ムサル書簡―解説と全訳」(イスラエル・サランターIsrael Salanter)(pp. 39-51)

〈シンポジウム 特集論文「現代ヨーロッパにおける反ユダヤ主義」について〉
鶴見太郎「解題」(p. 52)
大内宏一「ドイツのユダヤ教徒組織の現状―ウェブ情報に基づいて」(pp. 53-58)
宮崎悠「国民民主党の反ユダヤ主義は共有されていたのか:I.J. パデレフスキの思想からの検討」(pp. 59-70)

〈訳者解題〉
村岡美奈・北美幸:マリオン・イングラム著(村岡美奈・北美幸・寺田由美訳)『戦禍の中で』・同著(北美幸・袴田真理子・寺田由美・村岡美奈訳)『平和の下で』(pp. 71-77)

〈書評〉
高尾千津子:鶴見太郎著『イスラエルの起源』(pp. 78-84)
鶴見太郎:今野泰三著『ナショナリズムの空間』(pp. 85-87)
今野泰三:浜中新吾著『イスラエル・パレスチナ』(pp. 88-93)
川端美都子:宇田川彩著『それでもなおユダヤ人であること」(pp. 94-97)

〈新刊紹介〉
細田和江:母袋夏生著『ヘブライ文学散歩』(p. 98)

〈大会報告要旨〉
第17回学術大会報告要旨(pp. 99-100)

〈英文要旨〉(pp. 101-103)

日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/

2021年10月1日金曜日

日本ユダヤ学会第18回学術大会

日本ユダヤ学会第18回学術大会

プログラム

日時:2021年10月31日(日)13:00~16:10
会場:zoomあるいは学習院女子大学

13:00~13:05 開会の挨拶(市川理事長)

13:05~13:35 長塚織人(東京大学大学院総合文化研究科)
「現代におけるユダヤスペイン語(ラディーノ語)の言語および文献研究の展望とその可能性(の中心)——「言語の死」を越えるデジタル・コミュニティの形成を目指して」

本発表は近現代までのユダヤスペイン語(ラディーノ語/ジュデズモ語)の言語学的・文献学的な展望と、その新たな可能性について考察する。ユダヤスペイン語は様々な理由から研究に困難を抱え、話者の言語的同化傾向も強く、「言語の死」の一例となると言われてきた。しかし近年インターネットの発達とデジタルアーカイブ化を通じ、その研究・文化活動が本格化している。本発表はユダヤスペイン語の特徴とセファルディの現況についても概観し、その研究に関する問題を提起し、更なる可能性に向けて考察を行いたい。(司会:武井彩佳)

13:35~13:50 質疑応答

13:50~14:20 保井啓志(東京大学大学院総合文化研究科)
「シオニズムにおける動物性と動物の形象:マックス・ノルダウの近代化論を中心に」

西ヨーロッパの反ユダヤ主義においては、ユダヤ人は、蛇や害虫など、しばしば非人間の動物と喩えられてきたが、シオニズムにおいてこのような動物の表象とユダヤ人の交差性はいかに克服されるものとして位置付けられていたのだろうか。本報告では、初期のシオニストの一人であるマックス・ノルダウやショアーにおける言説を取り上げ、動物性及び動物の形象が、いかにシオニズムを正当化する比喩として用いられてきたかの歴史的変遷について考察する。(司会:鶴見太郎)

14:20~14:35 質疑応答

14:35~14:40 休憩

14:40~15:10 犬塚悠太(東京大学大学院人文社会系研究科)
「エリ・サダンの思想:現代の宗教シオニズムとその特徴」

本発表は「メヒナ」(イスラエル国において兵役前の青年教育を行う教育機関)を設立したエリ・サダンに注目し、彼の思想の特徴を示すものである。彼を取り上げる理由は、「メヒナ」の卒業生の多くがイスラエル国防軍の将校になっていること(社会的影響力の強さ)、加えて彼が「宗教シオニズムの父」とされるアブラハム・クックにより設立された「メルカズ・ハラヴ・イェシヴァ」において学んだこと(宗教シオニズムの思想系譜に連なる)が挙げられる。彼の思想が宗教シオニズムの系譜の中にいかに位置づけられるか、あるいは軍隊や国家といったアクターをどのように捉えているのかという点を軸に、現代の宗教シオニズム思想の特徴を明らかにする。(司会:志田雅宏)

15:10~15:25 質疑応答

15:25-15:55 河合竜太 (同志社大学大学院文学研究科博士後期課程)
「ユダヤ体操連盟(1903-1921)の創設と展開――トランスナショナルな側面に注目して―」

19 世紀後半以降、ヨーロッパではユダヤ系団体の国際的組織網の形成が進展した。国際 的な組織としては、これまでユダヤ人難民の支援を目的とした慈善組織が注目されてきた。 それに対して本報告は、20 世紀初頭に創設された国際組織ユダヤ体操連盟を対象とする。 体操とスポーツの普及を目的とした当連盟は、中欧・東欧諸国において居住者の身体の健康 の改善を目的としていた。当連盟の事例は、同化と解放後のヨーロッパ社会に居住したユダヤ人の間で形成される国境を越えた連帯について、理解を深めることに貢献するであろう。(司会:高尾千津子)

15:55~16:10 質疑応答

日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/2021/10/01/conference2021/

2021年6月17日木曜日

日本ユダヤ学会公開シンポジウム「コロナ禍のユダヤ人社会」

日本ユダヤ学会公開シンポジウム

「コロナ禍のユダヤ人社会」

日時:2021年7月4日(日)14:00-17:30

開催方法:オンライン(zoom)

14:00-14:10 開会の辞(市川会長)

14:10-14:55 アダ・タガー・コヘン(同志社大学)

“Judaism in time of COVID-19: why couldn’t Ultra-orthodox Jews comply with the pandemic restrictions?”「コロナ禍のユダヤ教:超正統派ユダヤ人はなぜ感染防止対策に従うことが出来なかったのか」

本報告では、ユダヤ教における超正統派(Ultra-Orthodoxy)の創出の歴史を簡潔に描写し、近代化された世界とこの共同体がどのように邂逅したのかについて、その主要な論点を説明する。その邂逅は、彼らがひとつの世界観を構築する要因となった。その世界観とは、ホロコースト以後、ヨーロッパの失われたユダヤ人共同体を再建すべく、宗教的な献身とたくさんの子どもを産むことを奨励したラビたちによって指導された閉鎖的な共同体をその中心とするものであった。また、報告の後半では、昨年から今年の前半にかけて、イスラエルのユダヤ教超正統派の共同体がパンデミックに対してどのように反応したのかを見てゆく。*本報告のみ英語にておこなわれる(日本語訳原稿付き)(質疑応答15分)


14:55-15:40 天野優(日本学術振興会特別研究員PD)

「パシュケヴィル(張り紙)から垣間見る超正統派社会とパンデミック」

本報告では、パンデミックが収束に向かいつつあるエルサレムの様子を伝えるとともに、携帯電話やパソコンといった現代技術を忌避する超正統派社会の情報伝達媒体として、未だ重要な役割を果たしているパシュケヴィル(張り紙)を取り上げる。超正統派が多く暮らす地区で2021年2月以降に収集したパシュケヴィルを例に、パンデミックとその影響がどのように言及されているのかを提示したい。(質疑応答15分)

休憩10分 (15:40–15:50)


15:50-16:35 志田雅宏(東京大学)

「コロナ禍での宗教生活:オンライン・レスポンサを中心に」

ユダヤ教世界では、規範(ハラハー)にもとづいた生活を実践するための制度としてレスポンサ(回答書簡)がある。信仰者のさまざまな質問にラビたちが法的見解を示すことで生活を指導するレスポンサは中世以来の伝統的な制度であり、コロナ禍においてもオンライン・レスポンサとして重要な役割をはたしている。本報告ではいくつかの重要な主題についてのレスポンサを紹介し、現在のユダヤ教世界における宗教生活上の問題意識の所在や、「災い」や「生命」に対するとらえ方などを明らかにしていきたい。(質疑応答15分)


16:35–17:30 全体討論

*当シンポジウムは無料です。

*非会員の方は事前申し込みが必要です。申込方法については日本ユダヤ学会ホームページにてご確認ください。

https://jewishstudiesjp.org/2021/06/16/20210704symposium/

2021年4月2日金曜日

『ユダヤ・イスラエル研究』第34号(2020年)

 『ユダヤ・イスラエル研究』第34号

2020年12月 目次

〈論文〉
二井彬緒「「私的な自分の居場所」を持つことと政治―ハンナ・アーレントの労働論におけるキブツ運動の位置づけ」(pp. 1-15)
今野泰三「宗教的シオニズムの構造的基盤に関する歴史的考察―ハ・ミズラヒとハ・ポエル・ハ・ミズラヒの多元的・状況対応的性格―」(pp. 16-30)

〈シンポジウム エルサレム―聖都をめぐる政治―〉
鶴見太郎「解題」(pp. 31-32)
辻田俊哉「エルサレムに関するイスラエルの政策についての一考察―都市の「統一」、「分割(不)可能性」、「分断」をめぐる議論から―」(pp. 33-46)
並木麻衣「パレスチナ人住民の立場から―聖都エルサレムが抱える課題と展望―」(pp. 47-55)
臼杵陽「イスラーム的エルサレムの現在」(pp. 56-62)

〈翻訳〉
安齋篤人「アジアの同胞、ヨーロッパの異邦人:オイゲン・ヘーフリッヒとウィーンの『汎アジア・シオニズム』」(ハナン・ハリフ Hanan Harif)(pp. 63-78)

〈特別書評〉
市川裕:勝又悦子・柴田大輔・志田雅宏・高井啓介編『一神教世界の中のユダヤ教―市川裕先生献呈論文集』(pp. 79-86)

〈書評〉
中田一郎:M・ティリー&W・ツヴィッケル著(山我哲雄訳)『古代イスラエル宗教史―先史時代からユダヤ・キリスト教の成立まで』(pp. 87-90)
李美奈:フランチェスカ・トリヴェッラート著(和栗珠里・藤内哲也・飯田巳貴訳)『異文化間交易とディアスポラ―近世リヴォルノのセファルディム商人―』(pp. 91-94)
保井啓志:ジュディス・バトラー著(大橋洋一・岸まどか訳)『分かれ道―ユダヤ性とシオニズム批判』(pp. 95-99)
川﨑亜紀子:臼杵陽著『「ユダヤ」の世界史―一神教の誕生から民族国家の建設まで』(pp. 100-104)
金城美幸:鈴木啓之著『蜂起〈インティファーダ〉 占領下のパレスチナ1967-1993』(pp. 104-109)
鈴木啓之:山本健介著『聖地の紛争とエルサレム問題の諸相―イスラエルの占領・併合政策とパレスチナ人』(pp. 110-114)

〈新刊紹介〉
加藤哲平:上智大学キリスト教文化研究所編『ユダヤ教とキリスト教』(p. 115)
三代真理子:阪井葉子・三谷研爾編『戦後ドイツに響くユダヤの歌―イディッシュ民謡復興―」(p. 116)
鶴見太郎:臼杵陽著『日本人にとってエルサレムとは何か―聖地巡礼の近現代史』(pp. 117-118)
志田雅宏:キャロル・リトナー&サンドラ・マイヤーズ編(食野雅子訳)『ユダヤ人を命がけで救った人びと―ホロコーストの恐怖に負けなかった勇気』(p. 119)

〈大会報告要旨〉
第16回学術大会報告要旨(pp. 120-122)

〈英文要旨〉(pp. 123-124)