2023年10月4日水曜日

日本ユダヤ学会第20回学術大会

日本ユダヤ学会第20回学術大会

日時:2023年10月28日(土) 13:00~17:05 

形式:ハイブリッド形式

場所:東京大学本郷キャンパス法文1号館113教室
(〒113-0033 東京都文京区本郷7丁目3−1)

非会員の方でオンライン参加を希望される場合は、事前申し込みが必要です。
申込は下記のフォームからお願いいたします。
第20回学術大会申込フォーム
*対面参加を希望される場合は、事前申し込みは不要です。

13:00~13:05 開会のご挨拶

13:05~13:35 
犬塚悠太(東京大学大学院)
「宗教シオニズム思想における国家像と『民主主義』」

2022年の選挙結果に伴う一連の政治的混乱はユダヤ民族による「民主主義」をめぐる対立の様相を呈している。その中で宗教シオニズムに連なる陣営は司法の権限を弱める「司法改革」によって「民主主義」が守られると主張している。本発表では宗教シオニストの人々がどのようにイスラエル国家やその政体について神学的に理解してきたのかを歴史的に確認し、その変遷を考察することで彼らの思想や現在イスラエルで起こっている現象をより正確に捉えることを目標とする。
13:35~13:50 質疑応答

13:50~14:20
天野優(日本学術振興会)
「20世紀前半イラクのユダヤ・コミュニティとパレスチナ/エレツ・イスラエル:その位置づけの変遷に着目して」

本報告は、イラクのユダヤ・コミュニティにおけるパレスチナ/エレツ・イスラエルの位置づけが20世紀以降どのように変化したのか、同時期のヘブライ語/アラビア語新聞に見られる関連記事などを取り上げ、考察するものである。近年の研究動向を紹介するとともに、パレスチナ/エレツ・イスラエルとの関係にシオニズムがもたらした影響に留意しつつ歴史的・社会的背景を整理し、その変遷の一端を明らかにしたい。
14:20~14:35 質疑応答

14:35~15:05 
アンドリュー・オバーグ(高知県立大学)
「ホセア書12章4-5節:四つの現象学的な読み方」

ホセア書12章4-5節に二つの神を表す神話(theophany)の言及があり(参照:創世記28章10-22節、32章25-29節)、両方ともはヤコブとの関係です。その上にベース・エールで神はヤコブと話をすることも述べています。殆どの英語訳(日本語訳もそう)は七十人訳聖書のあと5節bβの最後に「彼」を使っておりが、ヘブライ語には「我ら」が書いてあります。この発表で先程代名詞の違いから節の意味を考える為にハイデッガーの解釈学的な現象学の「prestructure」を使い、四つの観点から分析します:汎神論的な「我ら」(panentheistic “us”)、異神論的な「我ら」(henotheistic “us”)、公共的な「我ら」(communal “us”)、とアイデンティティ主義「我ら」(identitarian “us”)。
15:05~15:20 質疑応答

15:20~15:35 休憩

15:35~16:05 
李美奈(東京大学大学院)
「17世紀レオネ・モデナの『獅子は吠える』における『戒律の理由』(Ta’amei haMitzvot)論」

17世紀ヴェネツィアのラビ、レオネ・モデナ(1571−1648)は、人間知性によってトーラーや儀礼の内容を完全に理解できると考える一方で、カバラーへの反駁書Ari Nohem(獅子は吠える)においては、戒律の意味や理由については人間知性では理解し得ないとする。モデナの思想における信仰と理性の関係についてより明らかにするために、本発表ではユダヤ社会で展開されてきた「戒律の理由」論とモデナのAri Nohemの議論とを比較し、モデナの思想の特徴を洗い出すことを試みる。
16:05~16:20 質疑応答

16:20-16:50 
大澤耕史(中京大学)
「聖書解釈に見る自他認識――古代末期のユダヤ教とシリア・キリスト教の比較から――」

本発表では、主にタナイーム期・アモライーム期のユダヤ人と、同時代の初期シリア教父(アフラハト)が、ユダヤ人とその他の人々をどのように区別してきたかの一端を、ヘブライ語聖書の「ゴイ」という語の解釈から明らかにすることを試みる。それによって、古代末期のユダヤ人と(シリア地域の)キリスト教徒たちが自他をどのように区別していたのかの解明の一助となることを目指す。
16:50~17:05 質疑応答