日本ユダヤ学会公開シンポジウム
「古代後期のユダヤ教研究の諸相:3つの視点から」
日時:2018年5月26日(土)14:00-17:50
会場:学習院女子大学 2号館 237教室
14:00-14:10 開会のあいさつ:市川裕(東京大学教授)
14:10-14:50 上村静(尚絅学院大学教授)
「クムランと死海文書:神殿時代末期のユダヤ社会の同時代史的視点から」
バビロン捕囚を経て神殿再建とモーセ五書の成立があり、ユダヤ教が再確立されたかに見えたが、ヘレニズム時代に入り、ユダヤ教内部は分裂の様相を高めていく。そうした中から生まれてきたのがクムラン共同体であり、彼らの存在を露わにしたのが20世紀最大の考古学的発見と言われる死海文書である。本シンポジウムでは、死海文書の大まかな内容とその古代ユダヤ研究における意義について論ずる。
15:00-15:40 市川裕(東京大学教授)
「神殿とシナゴーグ:ラビ・ユダヤ教への宗教史的視点から」
2016年8月、イスラエル北部ガリラヤ地方の遺跡テル・レヘシュで、日本の発掘隊により発見された西暦1世紀のシナゴーグ遺構の宗教史的意義を考える。エルサレム第二神殿時代末期に、ユダヤ社会が神殿儀礼以外にどのような宗教的要素を備えた文化を形成していたかを明らかにして、神殿崩壊後のラビ・ユダヤ教共同体への展開を宗教史的にたどって、文化の連続性と断続の問題を論じる。
15:50-16:10 休憩
16:10-16:50 中西恭子(東京大学研究員)
「ローマ帝国とユダヤ教:古代ローマ史の視点から」
キリスト教の公認宗教化以後、ローマ帝国の宗教政策は親キリスト教的傾向を深めてゆく。この状況のなかでキリスト教ではない宗教はいかに生き延びたのだろうか。本シンポジウムでは、古代末期のローマ帝国における非キリスト教徒のおかれた状況を紹介し、法典史料にみられる非キリスト教徒対策立法のなかの対ユダヤ人立法の内容とその宗教史的意義について考察する。
16:50-17:50 全体討議