2024年5月28日火曜日

京都ユダヤ思想学会第17回学術大会

京都ユダヤ思想学会第17回学術大会

日時: 2024年6月22日(土)
会場: 同志社大学今出川キャンパス良心館107教室(RY107)およびオンライン(Zoom)

【参加方法】  
参加を希望される方は下記登録フォームから登録をお願いします(登録締切は6月17日(月))。
https://docs.google.com/forms/d/1hu9MtnnjKz-E7VH2FDCuG9OCMQGIaTNLYkQchOJz_ug/edit

ご参加に必要な情報(オンライン参加のURLなど)は、6月20日(木)以降、ご登録いただいたメールアドレスにお知らせいたします。
6月21日(金)17:00までにメールが届いていない場合は、お手数ですが、事務局(hebraicaveritas@gmail.com)までご連絡ください。
なお、総会を除き、非会員の方も参加可能です。

【スケジュール】

 9:00 受付開始(対面会場開場およびZoom開室)

【個人研究発表】(9:10−12:30)

9:10- 9:50 研究発表①
「デリダのレヴィナス論「暴力と形而上学」の再考:ドゥンス・スコトゥスの存在の一義性を背景に」
発表者:長坂 真澄(早稲田大学)
司会:馬場 智一(長野県立大学)

9:50-10:30 研究発表②
「聖書~第二神殿時代までの呼称から考える「ユダヤ人」」
発表者:大澤 耕史(中京大学)
司会:津田 謙治(京都大学大学院文学研究科教授)

10:30-11:10 研究発表③
「初期フロムにおけるユダヤ教についての思索 ―『ユダヤ教の律法』を中心に」 
発表者:五反田 純(京都大学大学院)
司会:佐藤 貴史(北海学園大学)

11:10-11:50 研究発表④ 
「ブーバーとベングリオンによる「理想的な地」の理解―聖書注解を中心に―」
発表者:平岡 光太郎(同志社大学)
司会:小野 文生(同志社大学)

11:50−12:30 研究発表⑤ 
「エリヤ・レヴィータからゼバスティアン・ミュンスターへの書簡(1531年)の和訳及びその背景と考察
発表者:御堂 大師(無所属)
司会:手島 勲矢(無所属)

【シンポジウム】(13:30−17:15)

「シャガールとイディッシュ文化」

13:30-13:50 導入   
吉野 斉志(関西大学)「聖書とユダヤを描いた画家シャガール」

13:50-14:30 発題① 
圀府寺 司(大阪大学)「「ユダヤ人」近代画家としてのシャガールの特異性」

  (休憩)

14:40-15:20 発題② 
樋上 千寿(NPO法人イディッシュ文化振興協会)「アンスキーの『ディブック』と、シャガールの「ユダヤ劇場壁画」」

15:20-16:00 発題③
細見 和之(京都大学)「シュテットルにおけるハシディズム―マルティン・ブーバー『ラビ・ナフマンの物語』から―」

 (休憩)

16:15-17:15 質疑応答

【シンポジウム】 「シャガールとイディッシュ文化」
吉野 斉志(シンポジウム企画担当/関西大学非常勤講師)
マルク・シャガール(1887-1985)は20世紀でもっとも有名なユダヤ人画家の一人であり、大衆的にも高い人気がある。聖書に由来する主題や東欧ユダヤ人の伝統文化を描いたその作品は、しばしば聖書やユダヤに関する書籍の挿画にも使われてきた。
しかし、シャガール作品のユダヤ文化的背景は、よく知られているとは言えない。実際、ロシアのヴィテブスク(現ベラルーシ)でイディッシュ語を母語とするユダヤ人の家庭に生まれてロシア語で公教育を受け、ユダヤの伝統に反して画家となり、フランスで活躍した彼のアイデンティティ自体が、一筋縄ではいかないものである。ましてや、これらの言語と東欧ユダヤ文化までも踏まえて作品を解釈できる研究者が少なかったのも、無理からぬことと言えるだろう。
とはいえそんな中でも、シャガールの作品がイディッシュ語の諺やミドラッシュを踏まえていることを指摘した Amichai-Maisels の研究は、一般向けの美術書などでも断片的ながら引用されており、2003年には Benjamin Harshav によるシャガールの著述・書簡(多くは原文イディッシュ語)の英訳および解説が刊行されている。日本でも2011年に圀府寺司編『ああ、誰がシャガールを理解したでしょうか?』が出版されたのは、大きな一歩であった。
本シンポジウムでは3名の研究者を招いて、シャガールの作品理解を進める予定である。まずは近年の研究によって明らかになってきたシャガール作品の背景と欧米の美術界におけるシャガール像の形成について圀府寺司氏(大阪大学名誉教授)が、ついでクレズマー音楽とシャガール作品の関係について、樋上千寿氏(NPO法人イディッシュ文化振興協会)が論じる。最後にシャガール作品そのものからは離れて、マルティン・ブーバーの『ラビ・ナフマンの物語』に見られるシュテットルとハシディズムの描写を細見和之氏(京都大学)が論じる。