2019年12月26日木曜日

宗教史学研究所 第70回研究会

宗教史学研究所
第70回研究会

日時:2010年1月25日(土) 13:30~17:30
会場:東洋英和女学院大学院 六本木校舎201教室

13:30-14:40:発表1 井関大介 「井上円了の妖怪学と宗教学」
14:40-14:50:休憩
14:50-16:00:発表2 丸山空大 「魂の故郷への越境--近代ドイツ・ユダヤ人とアイデンティティの問題」
16:00-16:10:休憩、参加者自己紹介等
16:10-17:20:発表3 三輪地塩 「キリシタン殉教を物語る行為によって生まれる境界」
17:20-17:30:総括、各種報告

発表1 
井関大介 井上円了の妖怪学と宗教学
明治・大正期の哲学者である井上円了(1858-1919)の妖怪学は、近代科学による迷信撲滅運動としては広く知られているものの、その長大で雑駁な内容の全体を通して円了の意図を読み解くような研究はまだ少ない。もとより円了自身の進歩主義的姿勢は顕著であって、迷信の否定とそれによる仏教の近代化を目指したという一般的な評価は妥当ではある。しかし、妖怪学の実態はそれだけにとどまるものでなく、多様な志向性が関連著作の随所に見られる。一方、姉崎正治に始まるとされる現在の宗教学者の系譜意識からは外れているが、円了は日本における「宗教学」の先駆者の一人でもあった。実践を強く志向していたため、まだ客観的学問ではない護教論の段階であったと評価されがちであるが、円了自身は学問により得られる知見とその応用とを区別していたらしい。そのような応用の一つであったと考えられる妖怪学を読み直すことで、円了の「宗教学」について再検討したい。

発表2 
丸山空大  魂の故郷への越境--近代ドイツ・ユダヤ人とアイデンティティの問題
18世紀末にはじまったユダヤ人解放とともに、ドイツのユダヤ人は、近代化するドイツ社会に順応しようとした。しかし政治的権利の漸次的拡大にもかかわらず、ドイツ社会は彼らを異質なものとみなし続けた。その結果ドイツのユダヤ人たちは、順応を目指すイデオロギーを「同化」とよび、固有性の放棄として批判するようになった。19世紀後半に生まれたユダヤ人はナショナリズムの影響のもと、こうした批判を受け入れたが、それは彼ら自身の心身を形作ったイデオロギーの破綻を認めることにほかならなかった。このようにして抱え込むことになったアイデンティティをめぐる葛藤を、しばしば彼らは「境界」の比喩を用いて表象した。これらの境界は、伝統と近代、世俗と宗教、ヨーロッパとユダヤ、現実と希望といったさまざまな領域を画し、精神と身体を貫く。本発表ではフランツ・ローゼンツヴァイクを例に、ドイツ・ユダヤ人の文化的・宗教的アイデンティティ構築の諸相を、境界の比喩(その跳び越え、抹消、移動)に着目して捉え返してみたい。

発表3 
三輪地塩 キリシタン殉教を物語る行為によって生まれる境界
幕末明治期に起こった浦上四番崩れは、近代日本史最大の宗教弾圧事件であるが、この出来事の顛末はフランシスク・マルナス、浦川和三郎、池田敏雄などのカトリック司祭らによって記録されている。彼らが「通史」として浦上キリシタン史を叙述する一方、フランス、リヨン出身のパリ外国宣教会師A・ヴィリオン(Aimé Villion, 1843-1932)は、現地調査とキリシタン講演会という独自の方法でキリシタン史を掘り起こして叙述した。彼はF・ザビエルに対して深い崇敬の念を抱いており、その崇敬の念が彼自身の内なる殉教像(殉教イメージ)を作りだし、浦上キリシタンたちにその像を投影するようにしてキリシタン史を物語っていると考えられる。本研究では、殉教を物語る際に起こる「ステレオタイプの殉教イメージ」による「記憶の呼び起こし」と、そこから生み出される「記憶の創造」の境界について考察する。

2019年12月24日火曜日

『ユダヤ・イスラエル研究』第33号(2019)

『ユダヤ・イスラエル研究』
第33号(2019年12月)

〈シンポジウム 古代後期のユダヤ教研究の諸相〉
解題(市川裕)1
一神教の二つの流れとその歴史的源流(市川裕)3
クムランと死海文書(上村静)13
ローマ帝国の「キリスト教化」とユダヤ教(中西恭子)26

〈翻訳 ユダヤ啓蒙思想とメンデルスゾーン〉
解題(後藤正英)38
ユダヤの伝統への挑戦(シュムエル・ファイナー)(鳥越覚生・訳)40
モーゼス・メンデルスゾーンの現代性(ミヒャ・ゴットリープ)(加藤哲平・後藤正英・訳)50

〈書評〉
市川裕著『ユダヤ人とユダヤ教』(臼杵陽)70
加藤哲平著『ヒエロニュムスの聖書翻訳』(大澤耕史)75
丸山空大著『フランツ・ローゼンツヴァイク』(向井直己)77
森達也著『思想の政治学ーアイザィア・バーリン研究』(市川裕)81
広瀬佳司・伊達雅彦編『ユダヤの記憶と伝統』(三杉圭子)87
イラン・パペ著『パレスチナの民族浄化―イスラエル建国の暴力』・『イスラエルに関する十の神話』(金城美幸)89

〈新刊紹介〉
村田靖子著『エルサレムの悲哀』(鴨志田聡子)94
エトガル・ケレット著『クネレルのサマーキャンプ』(細田和江)96
エヴァ・ホフマン著『シュテットルーポーランド・ユダヤ人の世界』(宮崎悠)97
立山良司編『イスラエルを知るための62章 第2版』(保井啓志)98

〈大会報告要旨〉
第15回学術大会報告要旨99

〈英文要旨〉101

2019年11月27日水曜日

CISMORワークショップ「シオン/エルサレム/聖地」観の再検討:聖書テキストから今日に至るまで」

CISMORワークショップ
第1回「シオン/エルサレム/聖地」観の再検討:聖書テキストから今日に至るまで」


開催日:2019年12 月21日(土)
会場:至誠館3階会議室(同志社大学、今出川キャンパス)

プログラム
10:30-10:40 司会:石黑安里
挨拶:アダ・タガー・コヘン(CISMOR センター長・同志社大学)
趣旨説明:石黑安里

(発表時間 25 分+質疑 10 分)

Session A: 古代 司会:平岡光太郎
10:40-11:15
北村 徹(同志社大学)
「捕囚における希望の所在 −第二イザヤとエゼキエルにおけるシオンに注目して」

11:15-11:50
加藤哲平(日本学術振興会)
「ヒエロニュムスの聖地巡礼について」

お昼休憩 11:50-13:20

Session B :中世 司会:石黑安里
13:20-13:55
嶋田英晴(國學院大學)
「中世におけるイスラームとユダヤの巡礼紀行文学(リフラ)について」

13:55-14:30
志田雅宏(早稲田大学)
「ナフマニデスのアリヤー:思想・戒律・現実」

休憩 14:30-14:40
Session C: 近現代 司会:加藤哲平
14:40-15:15
平岡光太郎(同志社大学)
「マルティン・ブーバーのエルサレム観−1938 年のヘブライ大学における講演を中心に」

15:15-15:50
石黑 安里(同志社大学)
「アメリカ改革派ユダヤ教のシオン解釈:『コロンバス綱領』(1937 年)に至る背景」

休憩 15:50-16:00

16:00-16:30
コメント (各 15 分) 司会:平岡光太郎
➀市川裕先生(東京大学)
➁竹内裕先生(熊本大学)

16:30-17:55 全体討論

17:55-18:00
閉会の挨拶:アダ・タガー・コヘン(CISMOR センター長・同志社大学)、平岡光太郎

CISMORウェブサイトでの案内


2019年11月3日日曜日

日本ユダヤ学会関西例会

日本ユダヤ学会
関西研究例会

日時:2019年12月1日(日)14時30分~17時45分
会場:同志社大学 扶桑館1階107(今出川キャンパス *地下鉄烏丸線「今出川」駅から徒歩1分)

報告1
14:30~15:30 石黑 安里 会員
「1910~1920年代のアメリカにおける『シオニズム』の多義性」
アメリカのユダヤ人にとってシオニズム運動は『二重の忠誠』を疑われるため忌避されるべきものとみなされてきた。またユダヤ教の論理からすると、シオニズム思想は容認できないものであった。しかし、改革派ユダヤ教のラビの中にもスティーブン・S・ワイズ(1874-1949)などのシオニストが登場する。本報告では、1910年代から1920年代のアメリカ・ユダヤ社会の指導者の「シオニズム」観の多義性に着目し、「シオニズム」をアメリカ・ユダヤ人の統合の原理として解釈しなおそうとした試みについて考察する。
15:30~16:00 質疑応答

16:00~16:15 休憩

報告2
16:15~17:15 北 彰 会員
「パウル・ツェランのブカレスト詩編」 
詩人パウル・ツェランは戦後ドイツ語文学の中で大きな存在とみなされている。現在のウクライナ、かつてのハプスブルク帝国の辺境に位置する街チェルノヴィッツに1920年にユダヤ人の両親のもとに生まれた。両親をナチにより殺されている。自身辛くも命をながらえ、戦後はソ連領となった故郷の街からブカレストへ逃れ、次いでウィーンを経てパリに定住した。1970年に自死している。今まであまり照明を当てられていないツェランのブカレスト詩編について伝記的事実にも目配りしながら報告したい。
17:15~17:45 質疑応答

2019年10月12日土曜日

『ユダヤ教とキリスト教』

上智大学キリスト教文化研究所編
『ユダヤ教とキリスト教』
(リトン、2019年)

高橋洋成
「イエスの時代の言語生活―イエスは何語を使ったか?―」

志田雅宏
「中世ユダヤ教世界におけるイエスー聖書解釈と民間伝承―」

武井彩佳
「ホロコースト後のユダヤ人とキリスト教徒―キリスト教への改宗者の戦後―」

2018年度 聖書講座 シンポジウム
「ユダヤ教とキリスト教」


2019年9月30日月曜日

日本ユダヤ学会第16回学術大会

日本ユダヤ学会
第16回学術大会

日時 10月26日(土) 14:00~18:00
会場 学習院女子大学 2号館222教室 

<学術大会プログラム>
14:00-14:05
学術大会開催のあいさつ (学会理事長:市川裕)

14:05-14:35
①大澤耕史(中京大学)
「古代世界のユダヤ教の境界意識――『異教徒』『背教者』を中心に」
現代世界の「ユダヤ人」を考える際に、国籍や出身地、宗教性の度合いなどで様々な区別がなされることは、もはや周知の事実であろう。しかし古代世界で考えてみると、もちろん資料的制約が大きいという前提はあるものの、「ユダヤ人」というくくりで広大な地域の様々な人々を安易に同一視しているのが実情ではないだろうか。本報告はこの疑問点から出発し、古代世界のユダヤ教文献の中で、何が「ユダヤ人」とそれ以外をわけているのかを単語レベルで分析する。まずは「ユダヤ人」内部の自己認識において、彼らの境界意識の一端の解明を試みるものである。(司会:上村静会員)
14:35-14:50 質疑応答

14:50-15:20
②袁浩春(東京大学大学院)
「モーセをめぐるユダヤの聖書解釈——―出エジプト記2章11、12節を中心に」
今日のユダヤ教は、二重トーラーへの理解と解釈に対するモーセの最高の権威性を認め、「モシェ、ラビヌー(われらの師であるモーセ)」という表現と共に、二重トーラーの最初の教師という位置付けで、ユダヤ教内部に定着させた。しかし、出エジプト記から始まったモーセの生涯、そして彼が引き起こした数々の奇跡など、これらのすべての出来事を法解釈(ハラハー)に帰結することができない。故に、法以外の部分(アガダー)を参照し、「モシェ、ラビヌー」という表現の形成経緯の一面を補いたい。(司会:上村静会員)
15:20-15:35 質疑応答

15:35-16:05
③神田愛子(同志社大学大学院)
「人の創造物語から見たマイモニデスにおける質料と形相の概念」
マイモニデスは『迷える者の手引き』第二部30章において、創世記2章の人間の創造物語に言及し、男と女は同時に創造され、別個であると同時に一体であると主張している。彼は『手引き』第三部8章で、人間の男女の不可分性を質料と形相の不可分性から説明し、『手引き』第一部17章では、プラトン主義者が質料を女性とし、形相を男性と称していると述べている。本発表では、マイモニデスの質料と形相の概念を、『手引き』第二部30章を中心とした、彼の人間創造の理解に基づいて考察する。(司会:市川裕会員)
16:05-16:20 質疑応答

16:20-16:30 休憩

16:30-17:00
④青木良華(東京大学大学院)
「ヴォロジン・イェシヴァ考察――ミトナグディーム揺籃の場」
19世紀初頭に当時のリトアニアの町ヴォロジンに創設されたイェシヴァには、東欧だけでなく欧米各地から数多くの優秀なユダヤ人の若者が集まり、彼らは日々トーラーやタルムードなどの聖典学習に没頭した。本発表では、ミトナグディームと呼ばれるユダヤ教正統派の繁栄の象徴とも言えるこのイェシヴァについて、その背景となる歴史や思想とともに紹介する。どのような歴史的展開を辿ったのか、学生たちがどのような教育を受けていたのかなどについて主に発表する予定である。(司会:鶴見太郎会員)
17:00-17:15 質疑応答

17:15-17:45
⑤平岡光太郎(同志社大学一神教学際研究センター)
「マルティン・ブーバーとゲルショム・ショーレムによる聖性についての論争――ハスィディズム理解を中心に」
本発表では、20世紀の代表的なユダヤ思想家の1人であるマルティン・ブーバー(Martin Buber, 1878-1965)とユダヤ神秘主義研究の大家であるゲルショム・ショーレム(Gershom Scholem, 1897-1982)のあいだに見られる「聖性」に関する立場の違いを、18世紀中頃に起きたハスィディズム(ユダヤ敬虔主義)理解を中心に、明らかにすることを試みる。(司会:鶴見太郎会員)
17:45-18:00 質疑応答

2019年9月15日日曜日

シンポジウム:生きられた古代宗教 Lived Ancient Religion

国際シンポジウム International Symposium
生きられた古代宗教 Lived Ancient Religion

2019年9月21-22日
東京大学本郷キャンパス法文1号館113番教室
Room 113, Faculty of Laws & Letters Building 1, Hongo Campus, University of Tokyo, 2019.09.21-22

2019.09.21 (Sat) 13:30-17:15
シンポジウム「生きられた古代宗教」
Symposium: Lived Ancient Religion

13:30-13:45
趣旨説明 中西恭子(東京大学)
Introduction: Kyoko Nakanishi (University of Tokyo)

13:30-14:45
イェルク・リュプケ(エアフルト大学)
「生きられた古代宗教」
Jörg Rüpke (Erfurt University)
Lived Ancient Religion

15:00-16:00
イスクラ・ゲンチェーヴァ(レイクランド大学ジャパン)
「果敢なる勇気:イェルク・リュプケ教授と歴史上の宗教との対話」
Iskra Gencheva (Lakeland University Japan)
Daring to Dare: Professor Jörg Rüpke and his Dialogues with the Religions of the Historical Past

16:15-17:15
「生きられた古代宗教」理論へのコメント
土居由美(東京大学)・嶋田英晴(國學院大學)・中西恭子(東京大学)
Short Comments on Lived Ancient Religion Theory
Yumi Doi (University of Tokyo), Hideharu Shimada (Kokugakuin University), Kyoko Nakanishi (University of Tokyo)

2019.09.22 (Sun) 13:30-17:00
イェルク・リュプケ教授講演会「生きられた古代宗教」
Professor Jörg Rüpke: Lectures on Lived Ancient Religion

13:30-13:45
趣旨説明 市川裕(東京大学)
Introduction: Hiroshi Ichikawa (University of Tokyo)

13:45-14:45
講演①「宗教的エージェンシー」
Lecture 1: Religious Agency

15:00-16:00
講演②「歴史的視座から見た古代地中海世界の都市宗教と都市」
Lecture 2: Urban Religion and the City in Historical Perspective

16:15-17:00
総合討論 Discussion

主催:科学研究費研究助成金基盤研究A
「イスラエル国ガリラヤ地方の新出土シナゴーグ資料に基づく一神教の宗教史再構築」(代表者:市川裕)


2019年8月13日火曜日

Newsletter: KAKEHASHI Project 2019, Visiting Program to Los Angeles and San Francisco by Japanese Researchers of Jewish Studies

KAKEHASHI Project 2019
Visiting Program to Los Angeles and San Francisco by Japanese Researchers of Jewish Studies
17-23 March 2019

Newsletter
Download PDF version (12 pages, in English)

See also: Newsletter on Kakehashi Project 2018
http://alderekhhaemet.blogspot.com/2018/06/newsletter-kakehashi-project-2018.html













2019年6月26日水曜日

日本ユダヤ学会研究例会

日本ユダヤ学会
7月研究例会

2019年7月27日(土)15時~18時
学習院女子大学 2号館 235教室
(東京メトロ東西線早稲田駅から徒歩8分、副都心線西早稲田駅から徒歩3分)

報告者 
鈴木重周

論題
「ナントのシュウォブ家にみる第三共和政期のユダヤ系フランス人」

概要
国家と宗教とのせめぎ合いのなかで共和主義が覇権を握った第三共和政期(1870-1940)のフランスにおいて、ユダヤ人とはどのような存在だったのか。本報告では、象徴派作家として知られるマルセル・シュウォブ(1867-1905)とその家族を取り上げる。戦争によってアルザスの故郷を追われ、たどり着いたナントで新聞事業を起こした父ジョルジュ、父の事業をさらに発展させナントで地位を築きながらもドレフュス事件の渦に巻き込まれた兄モーリス、その娘でシュルレアリスト写真家として知られる姪リュシー、パリで東洋学者として活動した叔父レオン・カーアン。かれら「ナントのシュウォブ家」の人々に着目することで、普仏戦争から第二次大戦までの激動の時代を生き抜いたユダヤ系フランス人のひとつのあり方を明らかにする。

2019年6月5日水曜日

東京外国語大学オープンアカデミー「ユダヤ教の現在がわかる:宗教と言語の視点から」

東京外国語大学オープンアカデミー
「ユダヤ教の現在がわかる:宗教と言語の視点から」

開催日
2019年08月27日~08月29日 (全3回、火・水・木))

時間 15:00~16:30
会場 東京外国語大学 本郷サテライト
定員 30 名
受講料 4,000 円

講座内容
本講座では現代のユダヤ教について、受講者がその歴史的な発展や多様な文化、宗教的な生活の様子などに触れて、異文化への関心を深め、それを理解することの重要性と面白さを発見することをめざします。現代のユダヤ教は中世に成立したさまざまな制度や習慣、文化の上に成立し、現代世界のさまざまな価値観や枠組みに影響を受けながらその姿を変化させてきています。こうした多様な現代ユダヤ教のあり方について、ユダヤ学や宗教学、言語学の視点からお話します。

講師紹介
鴨志田 聡子 (かもしだ さとこ)
日本学術振興会特別研究員
東京大学でユダヤ人の言語について研究しながら、本学で非常勤講師としてイディッシュ語を教えています。ヘブライ語の児童文学も翻訳しています。博士論文はイスラエルのイディッシュ語の歴史と現状について現地での調査をもとに書きました。今はイスラーム世界出身のユダヤ人の言語とコミュニティについてエジプトやトルコなどでも調査しています。

志田 雅宏 (しだ まさひろ)
早稲田大学 産業経営研究所 招聘研究員
私は中世ユダヤ教および中世のユダヤ人とキリスト教の関係についての研究を専門としています。現代のユダヤ教にとって、中世とはきわめて重要な時代であり、いまでもユダヤ人は中世の賢者たちの言葉とともにトーラー(神の教え)を学ぶことを大切にしています。また、2年間のエルサレム(イスラエル)留学のなかで、現在のアクティブなユダヤ教の姿に触れることができたのも貴重な経験でした。このような学びや経験を受講者の皆様に伝えることで、ユダヤ教という「他者」を知ることの面白さを一緒に見つけていければと思っています。

申し込みはこちらから:
東京外国語大学オープンアカデミーウェブサイト


2019年5月30日木曜日

京都ユダヤ思想学会第12回学術大会(2019)

京都ユダヤ思想学会
2019年度第12回学術大会

日時: 2019年6月29日(土)
会場: 同志社大学(烏丸キャンパス)志高館SK118教室

大会プログラム
9:10 受付開始

【個人研究発表】9:40−12:20
9:40-10:20 研究発表①
 「人工知能と人間的思考 ―ゴーレムの現代的継承者はどこまで人間に近付けるか―」
発表者:吉野 斉志(京都大学非常勤研究員)
司会:小原 克博(同志社大学神学部)

10:20-11:00 研究発表②
「詩篇88編における多様な死者表現とその意義」
発表者:新井 雅貴(同志社大学神学研究科博士後期課程)
司会:岩嵜 大悟(古代オリエント博物館共同研究員) 

11:00-11:40 研究発表③
「上海無国籍避難民指定居住区(「上海ゲットー」)の設置過程―實吉敏郎海軍大佐の未発表文書をもとに―」
発表者:菅野 賢治(東京理科大学)
司会:向井 直己(京都大学特定研究員)

11:40−12:20 研究発表④
「マイモニデスにおける自由意志の概念」
発表者:神田 愛子(同志社大学神学研究科博士後期課程)
司会:志田 雅宏(早稲田大学招聘研究員)

12:20−13:30 昼食

【シンポジウム】
「タルグムの世界 ―聖書翻訳とユダヤの伝統―」
13:30−13:40 司会挨拶:加藤 哲平(日本学術振興会特別研究員PD)
13:40−14:40 基調講演:勝又 悦子(同志社大学)
(休憩:14:40-15:00)
15:00−16:00 コメント:阿部 望(獨協大学)、飯郷 友康(東京大学)、大澤 耕史(中京大学)   
16:00−17:00 質疑応答

17:10−18:00   総会
18:15−           懇親会



<シンポジウム趣旨>   加藤 哲平(日本学術振興会PD/シンポジウム企画担当)
 2017年には「新改訳2017」(新日本聖書刊行会)が、2018年には「聖書協会共同訳」(日本聖書協会)が刊行され、にわかに「聖書翻訳」への関心が高まっている。聖書というあまりにも人口に膾炙した宗教文学を、いかにして新しく翻訳することができるのか。これは困難かつチャレンジングな問いである。この問いに答えるために、たとえば「聖書協会共同訳」は、「スコポス理論」という新しい翻訳理論に基づいて翻訳するという方針を取った。つまり、意訳・逐語訳といった従来の二項対立にとらわれずに、読者対象と目的(=スコポス)に合わせた翻訳を作成することで、教会での礼拝にふさわしい聖書を目指したわけである。
 このように最新の翻訳理論を駆使するという方針は、もちろん有効である。しかしながら、聖書は古来よりさまざまな言語に翻訳されることで多くの読者を獲得してきた歴史がある。そうした伝統に目を向けることは、聖書翻訳に新たな視点を与えてくれるのではないだろうか。前3世紀にエルサレムから招聘された72人の長老たちがアレクサンドリアでわずか72日間でギリシア語に訳したとされる「七十人訳」、その七十人訳に飽き足らなくなったユダヤ人たちがよりヘブライ語テクストに近づけようとして作成したギリシア語訳の「アクィラ訳」「シュンマコス訳」「テオドティオン訳」、そしてベツレヘムの聖書学者ヒエロニュムスがギリシア教父やユダヤ賢者の解釈を学びながら16年かけてラテン語に訳した「ウルガータ」など、ヘブライ語聖書の古代語訳だけでもいくつもの伝統がある。
 これら古代語訳の中で、とりわけ重要であるにもかかわらず、わが国ではほとんど知られていないのがアラム語訳の「タルグム」である。ヘブライ語原典に寄り添い、ときに逸脱しながら聖書の意味を解き明かしてきたタルグムには、ラビ伝承によれば、書記エズラの律法朗読(ネヘミヤ記8章)以来の長い伝統があるとされている。しかもひとくちにタルグムといっても、公認版として比較的原文に忠実な「オンケロス」や「ヨナタン」から、ミドラッシュのように自由闊達にスピンオフを繰り返す「偽ヨナタン」まで多様性に富んでいる。また1956年にスペインの文献学者アレハンドロ・ディエズ・マチョがヴァチカン図書館で発見した「ネオフィティ」の衝撃は、まさに聖書学史上の一大事件だった。
 京都ユダヤ思想学会は、聖書翻訳への関心が高まっているまさに今このときに、タルグムというユダヤの豊穣な世界を多くの人に知っていただきたいと考える。このような問題意識に基づき、基調講演者としてタルグムとラビ文学をご専門とする勝又悦子氏(同志社大学)を、またコメンテーターとして阿部望氏(獨協大学)、飯郷友康氏(東京大学)、大澤耕史氏(中京大学)をお迎えする。聖書を翻訳するとはどのような行為なのか。聖書学やユダヤ学のみならず、宗教学、哲学、古典学、翻訳学といった広いフィールドに開か
れたこの問いを、今こそ考えてみたい。

京都ユダヤ思想学会ウェブサイト

2019年5月16日木曜日

西洋中世学会第11回大会

西洋中世学会
第11回大会
大阪市立大学 杉本キャンパス

2019年6月22日(土)
13:00~13:15 特別展示解説講演(田中記念館 ・ 講堂)
八木健治(羊皮紙工房)「ユダヤの羊皮紙とその周辺」

自由論題報告13:30~17:30(田中記念館 ・ 講堂)
13:30 下園 知弥(西南学院大学) 司会:阿部 善彦 (立教大学)
愛による神化 -クレルヴォーのベルナルドゥスにおける deificatio概念とその源泉

14:15 井上 果歩(サウサンプトン大学大学院)司会:吉川文 (東京学芸大学)
「長い13世紀」におけるコンドゥクトゥス

15:15 野邊 晴陽(東京大学大学院) 司会:山口 雅広 (龍谷大学)
トマス・アクィナス『十戒講話』と、そこでの法(lex)の理解について

16:00 市川 佳世子(慶應義塾大学) 司会:金原 由紀子 (尚美学園大学)
12-13世紀における「聖母戴冠」図像の起源と普及の政治的背景

16:45 桑原 夏子(日本学術振興会) 司会:谷古宇 尚 (北海道大学)
タッデオ・ディ・バルトロ作、ピサ、サン・フランチェスコ聖堂サルディ礼拝堂《聖母のよみがえり》の制作背景

17:50 ユダヤ音楽演奏(田中記念館 ・ 講堂)
東欧ユダヤ人のクレズマー音楽
 -伝統的な結婚式の音楽とアメリカ移民期の音楽

特別展示 シンポジウム連動企画(田中記念館2階 会議室)
22日(土)15:00~17:00/23日(日)9:00~17:00
「ユダヤ教とユダヤ人に関する書物展示」
八木 健治/羊皮紙工房

2019年6月23日(日)
ポスター・セッション(高原記念館1階 学友ホール)

23日(日)9:00~10:45

シンポジウム 「中世のユダヤ人―時空の彼方に―」
11:00~16:30(田中記念館 ・ 講堂)

コーディネーター・司会: 佐々木 博光 (大阪府立大学)
趣旨説明 佐々木 博光 (大阪府立大学)

報告
11:10 志田 雅宏(早稲田大学)
神の名前の使い手 -中世ユダヤ教民間伝承におけるキリスト教世界への対抗物語-

11:40 黒岩 三恵(立教大学) 
中世ユダヤ写本の彩色 -独自性・キリスト教社会との共存・迫害の視点から-

12:10~13:30 昼食

13:30 嶋田 英晴(國學院大學)
ゲオーニーム末のイスラーム圏のユダヤ教徒の動向

14:00 三代 真理子(東京藝術大学)
中世のユダヤ礼拝音楽とクレズマー音楽-旋律の旋法的特徴にみられる両音楽の関連性-

14:30 関 哲行(流通経済大学)
中近世スペインのユダヤ人とコンベルソ

15:15 全体討論

西洋中世学会ホームページ
(大会申し込み情報、報告要旨等あり)



2019年5月4日土曜日

宗教史学研究所 第69回研究会

宗教史学研究所
第69回研究会

日時:2019年6月1日(土)13:00~18:00
会場:東洋英和女学院大学院 六本木校舎 201教室

12:30~ 開場

13:00~ 発表1
久保田 浩
「越境の想像力―境域としての宗教的ユートピア/ディストピア」
「越境」をヒントに宗教史的諸事象を考える際の一つの可能性を、境界の「向こう」の世界を「こちら」にいながらにして如何に構想・想像し得るのかという問いを導きの糸として考究する。(「死後世界」とは異なり)現実の世界と断絶しておらず、時間的・空間的連続性(つまり、到達・実現可能性)を前提とした宗教的な理想世界・ユートピアを想像するという営為を、「向こう」の世界と「こちら」の世界との「境域」形成の試みとして捉え、宗教史における「越境」性の構造の一端を明らかにする。具体的には、1930年代のドイツ語圏において、とりわけ文化的かつエスニック・アイデンティティの確立を希求する社会状況の中で提出された(宗教的)ユートピアの諸構想(母権性社会、アトランティス、アーリア人の原社会、民族教会、見えざる教会等々)を素材として論じ、「向こう」の世界へ「越境」しようとする(「境域」形成の)試みから、「こちら」の世界の特徴を逆照射する。

14:10~ 発表2
鶴岡 賀雄
「「宗教」を越える:ライモン・パニカーの試行」
ライモン・パニカー(Raimon Panikkar, 1918 – 2010)は、インド出身の父親をもつカタルーニャの宗教思想家。哲学、化学、神学を学び、カトリックの司祭となるが、30 才台でインドに渡りヒンドゥー教、仏教を本格的に研究、アメリカの大学で長く宗教学を教える。1987 年、バルセロナ近郊に自身の研究・活動施設Vivarium を設立、同地で没。キリスト教、ヒンドゥー教、仏教、自然科学(近代思想)をともに肯定する世界観の構築、および実践を目指し、複数の言語で数十冊の著作を著す。欧米(とくにカトリック圏)では高名だが、日本ではあまり紹介されていない。一つの宗教伝統を越え、複数の宗教伝統を生きることの可能性を、理論的・実践的に探究したその試みの内容、意義、問題性について、「神-人-宇宙的(cosmotheoandric)経験」、「多元論」、「神話」、「リズム」、「解釈」等、思想構築の鍵概念を検討することで考察する。

14:50~ 発表③
細田 あや子
「メソポタミアのアーシプによる神像の「口洗い」儀礼」
メソポタミアでは宗教儀礼の実践と医術のそれは多分に重複していた。それら双方の領域にまたがる職種に従事していたのが、アーシプ/マシュマシュと呼ばれる職能者である。彼らは神殿や王宮での儀礼のほか、病気の診断、治療、薬の調合、占いや予言など、多方面にわたることに通じていた。そのなかで本発表では、神像の「口洗い」という儀礼を取り上げる。これは、新しく神像が制作されたとき、あるいは破損した神像を修復する際、神像の口を洗うという所作を中心とした儀礼である。儀礼執行者であるアーシプにより、口洗いとともに口開けの行為もなされ、物体としての像に生命が宿ることとなる。とくにアーシプが二日間にわたって、人の手により作られたものを「天において生まれた神」(唱えごと文書4, 23a: Walker and Dick 2001: The Induction of the Cult Image in Ancient Mesopotamia: The Mesopotamian Mīs Pî Ritual, Helsinki, 163, 184)へと変容させる過程に着目する。アーシプは生と死の領域を越境する・越境させる権能をもつと考えられる。本発表では口洗いなどの所作と唱えごとを伴う儀礼文書を検討して、事物に生命を付与し生死をつかさどるアーシプの能力や技について考察する。

15:30~ 休憩

15:50~ 発表4
深澤 英隆
「「芸術宗教」と「宗教芸術」―宗教と芸術の臨界」
ドイツ・ロマン派の周辺で生まれた用語に「芸術宗教」(Kunstreligion)というものがある。それ以来、主として芸術作品や芸術制作を絶対化し、宗教に代わってそれらを聖化しようとする近代の潮流をさして、批評的にこの語が用いられることが多い。これは一見したところ宗教の芸術への越境・転移であるかに見える。その場合、この出来事を実体性ある宗教と実体性ある芸術との相互関係・相互転換とのみ捉えることは不適切であろう。むしろそこでは、宗教の概念と芸術の概念が対照されることによって、両者の領域の境界が新たに引かれ、両者の再定義がなされると見るべきであろう。本発表では、19 世紀末以来キリスト教に反旗を翻したドイツ民族主義宗教運動、とりわけその「美学的」潮流を取り上げ、近代に発する芸術宗教的動向と、新たな実定的宗教の創設というできごとが交錯するなかで、宗教と芸術が再定義され、「宗教芸術」と「芸術宗教」が交差し、相互転換するプロセスを解明することとしたい。

16:30~ 発表5
林 淳
「近代の非僧非俗―鴻雪爪の肉食妻帯論」

17:10~ 発表6
渡辺 和子
「『エサルハドン王位継承誓約文書』(前672年)による越境の諸相」
アッシリア王エサルハドンが前672 年に発行した『エサルハドン王位継承誓約文書』(ESOD)は、当時ほぼ最大版図に達していたアッシリアの領土およびアッシリア支配が及ぶ地域に配布された。その目的はエサルハドンの死後に生じる王権の空白期間に、息子の一人アッシュルバニパルをアッシリアの、また別の息子シャマシュ・シュム・ウキンをバビロニアの王とすることを守らせることであった。そのため、アッシリア内外の要人を呼び出してそれを守ることを誓約させ、その内容を記したESOD の書板を誓約者ごとに持ち帰らせて書板そのものをそれぞれの神として守ることを要求した。ESOD には、軍事力だけでは十分な統治力・抑止力を発揮し得ない広大な領土と、言語、宗教、文化などにおいて多様な背景をもつ人々に対して、王位継承の誓約を守らせるために、様々な境界を越え出る画期的な工夫がなされていた。さらに2012 年に公刊されたESOD の「タイナト版」は多くの新事実をもたらしたと同時に、ESOD 研究の新たな局面を開いた。

17:50~ 総括
(*発表順、発表題目は変更される場合があります)


Excavation Report of Tel Rekhesh 2016 in Hadashot Arkheologiyot 131 (2019)

Hadashot Arkheologiyot
Excavations and Surveys in Israel
Volume 131 (2019)

Tel Rekhesh 2016
by S. Hasegawa, H. Kuwabara and Y. Paz

Preliminary Report (15/04/2019)

2019年5月2日木曜日

日本ユダヤ学会公開シンポジウム「エルサレム——聖都をめぐる政治——」

日本ユダヤ学会
公開シンポジウム
「エルサレム――聖都をめぐる政治――」

2019年5月25日(土)14:00-17:50
学習院女子大学 2号館 222教室

14:00-14:10
開会のあいさつ:市川裕(東京大学)

14:10-14:50
辻田俊哉(大阪大学)
「エルサレムをめぐるイスラエルの政策動向」
イスラエルはエルサレムを「永遠で不可分の」首都と主張し、その目的に向け、様々な政策を実施してきた。本報告では、近年のエルサレムに関するイスラエルの政治、安全保障、経済、科学技術イノベーション面での政策動向と国内における政策課題をみていき、最後に、諸政策が中東和平プロセスに及ぼしうる影響について考える。
(質疑応答10分)

15:00-15:40
臼杵陽(日本女子大学)
「イスラーム的エルサレムの現在」
イスラーム的エルサレムとは、アル・アクサー・モスクおよび岩のドームがあるアル・ハラム・アッ・シャリーフ(聖域)のもつ象徴性によって表象される。本報告ではこの聖域をめぐる争いを、歴史的に重層化された「地層」の観点からイスラーム的エルサレムの現在を踏まえて考察する。
(質疑応答10分)

15:50-16:10 休憩

16:10-17:00
並木麻衣(日本国際ボランティアセンター)
「パレスチナ人住民の立場から:聖都エルサレムが抱える課題と展望」
エルサレム人口の38%を占めるとされるパレスチナ人住民は、ユダヤ系住民とは異なる厳しい境遇の中で暮らし続けている。本発表では、東エルサレムで支援活動を行うNGOスタッフの視点から見えた、現地の人々が直面する問題、暮らしを支える共助の試みや、守られるべき権利を訴え続ける人々の姿について報告する。
(質疑応答10分)

17:00-17:50 全体討議

2019年4月16日火曜日

神戸・ユダヤ文化研究会 第1回文化講座「ユダヤ社会の“いま”――カリフォルニア・ユダヤ社会に飛び込む」

神戸・ユダヤ文化研究会 
第1回文化講座
「ユダヤ社会の“いま”――カリフォルニア・ユダヤ社会に飛び込む」

●日時:2019年5月12日(日)13:00 ~16:45
●場所:神戸市教育会館 203号室
※通例の開催場所とは異なりますのでご注意ください。

●参加費:
一般参加者・維持会員=500円、
正会員・学生=無料(※学生の方は受付で学生証をご呈示下さい)

●報告テーマ:「ユダヤ社会の“いま”――カリフォルニア・ユダヤ社会に飛び込む」

●概要
1848年、米墨戦争の終結によって、カリフォルニアは他の南西諸州と共にアメリカ合衆国に編入される。ほぼ同時期にその北部で発見された金鉱は、アメリカ国内のみならず、中南米、アジア・太平洋、そしてヨーロッパから多数の移民を引き寄せ、いわゆるゴールド・ラッシュと呼ばれる狂騒状態を作り出した。中欧で貧困にあえぐユダヤ人たちの一部はこの波に乗り、他の諸民族と競合・宥和するなかで、開放的で活動的な、特色あるユダヤ社会を構築していくことになる。戦間期のヨーロッパ・ユダヤ難民、第二次大戦後のショアー生存者と国内移住者、そして動揺を続ける中東地域からの移民・難民を吸収し、拡大と多様化を続けてきたこの独自のユダヤ社会の姿は、しかし日本においてさほど語られることはない。

2019年3月、外務省国際交流プロジェクト「カケハシ・プロジェクト」により、10名のユダヤ研究者が当地に派遣され、アメリカ・ユダヤ人委員会(AJC)の協力のもと、現地のユダヤ社会に飛び込む機会を得た。今回の報告においては、アメリカ・ユダヤ社会のなかでも異彩を放つカリフォルニアの歴史について紹介した上で、うち5名からその現在の様態を新鮮な印象と共に報告する予定である。

●講師略歴
・阿部泰士(あべ・たいじ)
同志社大学経済学部卒業、同経済学研究科修了、同ビジネス研究科修了(MBA)、同総合政策科学研究科技術革新的経営専攻修了(Ph.D.)。専門は経営学および経済学。一神教の産業的側面と宗教ビジネス、特にコーシェル認証ビジネスやハラール認証ビジネス等に関心を持つ。2017年より同志社大学研究開発推進機構特別研究員(現職)、2018年より同志社大学一神教学際研究センターリサーチフェロー(現任)。

・石黒安里(いしぐろ・あんり)
同志社大学大学院神学研究科一神教学際研究コース修了。博士(一神教研究)。2011-2012年ハイファ大学に留学。専門は、アメリカ・ユダヤ人女性の歴史およびシオニズム思想。特にアメリカにおける文化的シオニズムの展開とシオニズムの多義的な解釈に関心を持つ。またユダヤ人女性によるユダヤ教の再解釈に着目する。2017年より同志社大学研究開発推進機構特別任用助教(有期研究員)(現職)、2018年より同志社大学一神教学際研究センターリサーチフェロー(現任)

・北村徹(きたむら・てつ)
同志社大学神学部・神学研究科修了。博士(神学)。専門はヘブライ語聖書の一書、『エゼキエル書』で、捕囚という出来事に直面した古代イスラエルの祭司の応答の姿を記すものとしての同書に関心。共訳書に『ビジュアル大百科 聖書の世界』(総監修マイケル・コリンズ、日本語版監修月本昭男、監訳宮崎修二、明石書店、2016年)。現在、同志社大学一神教学際研究センター特別研究員、同志社大学神学部嘱託講師。

・平岡光太郎(ひらおか・こうたろう)
ヘブライ大学人文学部・ユダヤ思想学科および聖書学科卒業。同志社大学神学研究科修了(神学博士)。専門はマルティン・ブーバーであり、特に彼のナショナリズム理解に関心がある。近年は彼のハスィディズム受容に注目している。以下の刊行物などがある。平岡光太郎、第8章「中世ユダヤ思想における「民主主義」理解」『宗教と対話――多文化共生社会の中で』、勝又悦子・小原克博編(教文館、2017年)(231~261頁)、Hiraoka Kotaro, “The Bible and Political Philosophy in Modern Jewish Thought”, 50 Jahre Martin Buber Bibel, Daniel Krochmalnik, Hans-Joachim Werner (ed.), (Lit Verlag, 2014)(pp. 369‐383)

・向井直己(むかい・なおき)
京都大学人間・環境学研究科博士課程認定退学。専門は近代ユダヤ史およびユダヤ思想史。特にユダヤ人の自己理解を形成する基盤としてのユダヤ学の歴史に関心を持つ。共編著に『ユダヤ人と自治』(岩波書店、2017)等。2009-2010年エルサレム、2010-2011年ハイデルベルク留学後、2013年より京都大学特定研究員(現職)

神戸・ユダヤ文化研究会HP
http://jjsk.jp/event/2019/04/12/20190512/

2019年4月12日金曜日

第40回 キリスト教文化講演会:市川裕「ユダヤ人とユダヤ教をめぐる諸々の問い」

第40回 キリスト教文化講演会
市川裕
「ユダヤ人とユダヤ教をめぐる諸々の問い」

期日: 2019年4月20日(土)
時間: 18時~19時半
場所: 教文館9階ウェンライトホール
主催: 教文館
料金: 参加費 500円(定員100名)
事前申し込み必要

詳細は教文館ウェブサイト内のページにて




2019年2月23日土曜日

東京大学南原繁記念出版賞 第9回表彰式,第7回・第8回受賞者講演会

東京大学南原繁記念出版賞
第9回表彰式 ・ 第7回・第8回受賞者講演会

日時:2019年3月15日(金) 15:00-17:30〔開場14:30〕
場所:東京大学 総合図書館別館(B1F) ライブラリープラザ
*当日は、ライブラリープラザは閉館しています。表彰式・講演会に参加の方のみ入館いただけます。

第7回・第8回受賞者講演会 15:10-17:00
第7回受賞
濱田 武志(三重大学人文学部講師)
『中国方言系統論 ――漢語系諸語の分岐と粤語の成立』

第8回受賞
江本 弘(日本学術振興会特別研究員)
『歴史の建設 ――アメリカ近代建築論壇とラスキン受容』

第9回受賞者表彰式 17:00 – 17:30
鈴木 啓之(日本学術振興会・海外特別研究員)
『蜂起〈インティファーダ〉と占領下のパレスチナ(1967~1993年)』

志田 雅宏(日本学術振興会特別研究員)
『ナフマニデスの聖書解釈研究――知の源泉とその彼方』

【東京大学南原繁記念出版賞とは】
東京大学出版会が2011年に設立した賞です。優秀な学術論文に対して授与され、受賞作は書籍として刊行されます。
詳細は以下のサイトをご覧ください。
東京大学南原繁記念出版賞ポータル(東京大学出版会のサイト)

参加希望の方はこちらから(東京大学付属図書館ウェブサイト内)

2019年2月20日水曜日

DICTA: Tools for analyzing Hebrew Texts

DICTA
Free computational tools for analyzing Hebrew texts

DICTA Top Page (English)
http://dicta.org.il/

In DICTA there are:

Search the Bible
https://search.dicta.org.il/

Nakdan
https://nakdan.dicta.org.il/

Tiberias Stylistic Classifier for the Hebrew Bible
https://tiberias.dicta.org.il/

Pasuk Finder
https://pasuk.dicta.org.il/

Synopsis Builder
https://synoptic.dicta.org.il/

Another tool will be coming soon...

2019年2月19日火曜日

市川裕教授最終講義(東京大学)

東京大学
文学部基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野
市川裕教授 最終講義

2019年3月2日(土) 14:00-17:00
東京大学本郷キャンパス 法文2号館1番大教室

演題
「ユダヤ人の歴史を貫くもの」

本講義は公開でおこなわれます。
どなたでもご参加ください。(事前申込不要)

2019年1月24日木曜日

市川裕『ユダヤ人とユダヤ教』

市川裕『ユダヤ人とユダヤ教』
岩波新書、2019年

目次
序 章 ユダヤ人とは誰か
 ポーランドにて/「真正のユダヤ人」

第1章 歴史から見る

第1節 古代のユダヤ人たち
 イエスの出現をどう捉えるか/賢者輩出の時代/啓示法の宗教

第2節 イスラム世界からヨーロッパへ
 忘れられた歴史を補う/イスラムとともに/啓典の民/地中海社会での繁栄/アルプスを越えて/スファラディとアシュケナジ/レコンキスタとスペイン追放/新キリスト教徒の再改宗/安住の地ポーランド/シュテットルの生活

第3節 国民国家のなかで
 メンデルスゾーン/フランス革命の衝撃/われわれは何者か?/ポグロムの恐怖/アウシュヴィッツへ/世界帝国の興亡とユダヤ人/「ユダヤ人」という選択肢

第2章 信仰から見る

第1節 ラビ・ユダヤ教
 ユダヤ教は宗教なのか/ユダイズムとユダヤ教/ユダイズムとは何か/持ち運びのできる国家/二重のトーラー/ラビたちの決断

第2節 ユダヤ教の根本原則
 トーラーに従って生きる/神殿の供犠/シナゴーグの礼拝/シュマアの朗読/十八祈禱文,十戒,六一三戒

第3節 神の時間秩序
 安息日/一年のサイクル/一生のサイクル/祈りの生活/制度化された断食

第4節 「宗教」としてのユダヤ教
 東欧における神秘主義の浸透/近代のユダヤ教再定義/世俗化したユダヤ人と民族主義/二つの定義・三つの集団

第3章 学問から見る

第1節 タルムードの学問
 トーラーの学習/イェシヴァ/タルムードの普及/タルムードのテキスト

第2節 論争と対話
 師匠への奉仕/モーセに基づかせる/矛盾をぶつけることの真意/ラビたちの議論

第3節 ユダヤ哲学
 ギリシア哲学による挑戦/イスラム世界のギリシア哲学/哲学者マイモニデス/律法典の形成/『シュルハン・アルーフ』による統合

第4節 ユダヤ精神の探究
 東欧の肥沃な精神世界/ヴォロジンのイェシヴァ/エリ・ヴィーゼルと二人の師/学ぶことは生きること/正真正銘のラビとの出会い/世俗教育との両立

第4章 社会から見る

第1節 ユダヤ人の経済活動
 商業と金融の民/利子取得の正当化/マルクスの主張/利子取得の二重基準/ロスチャイルド家

第2節 ユダヤ人の人生の目標
 神に選ばれた民/ノアの七戒と十の心得/慈善と慈しみの行い/施しの八段階

第3節 近代メシア論
 二つのメシア論/シオニズム/離散ユダヤ人は捕囚民か/ユダヤ的百家争鳴

第4節 ユダヤ社会の現実
 ヘブライ語の蘇生/混合婚をめぐる議論/二極分化するユダヤ社会/イスラエル社会の現実/イスラエル国家のゆくえ/棄民の視点から

文献解題
 歴史について/ユダヤ教について/ユダヤの宗教思想について/ユダヤ思想史について/トーラー註解について/タルムードについて/ユダヤ百科事典『ジュダイカ』

あとがき

2019年1月21日月曜日

トークイベント「いま宗教に向きあう」

トークイベント「いま宗教に向きあう」

日時:2019年2月17日(日) 10時~12時(受付9時30分~)
会場:上智大学2号館17階 2-1701室
参加無料・要申し込み

2018年に岩波書店より刊行された『いま宗教に向きあう』シリーズ全4巻をテキストに、現代の宗教と社会を、国内・世界の両面から幅広く考えます

登壇者:島薗進(上智大学)、ゲスト1:渡邊直樹(大正大学)、ゲスト2:中村圭志、
池澤優・藤原聖子・堀江宗正・西村明(以上は編者、東京大学)
榎本香織・佐藤清子(執筆者)
司 会:葛西賢太(上智大学)
定 員:120名

申込方法:①WEBからのエントリーとなるので、以下のURLにアクセスしてください。
https://eipo.jp/griefcare/
②画面右上の「申し込み方法」で、予約の手順を確認の上、入力してください。
③申し込みが完了すると、自動返信メールにて「申込完了メール」が届きます。
※1つのメールアドレスで複数人の申込はできませんのでご注意ください。
申込期間:2019年1月23日~2月14日 ※ただし定員に達し次第締切り

※午後は隣の1702室で国際宗教研究所およびグリーフケア研究所主催の公開シンポジウム「支え合う、はぐくむ、宗教の力」があります。
詳細は、国際宗教研究所HP 
http://www.iisr.jp/

主催:上智大学大学院 実践宗教学研究科、上智大学グリーフケア研究所
後援:岩波書店

2019年1月18日金曜日

公開シンポジウム:宗教的実践知の獲得・伝授と教育

公開シンポジウム
宗教的実践知の獲得・伝授と教育

2019年3月16日(土) 13時ー18時
東京大学本郷キャンパス
国際学術総合研究棟 文学部3番大教室
(*2018年9月30日実施予定だったが、台風のため延期になっていた)

13:00-13:10
趣旨説明 市川裕(東京大学教授)

13:10-13:55
土居由美(東京大学博士研究員)
「古代ギリシャ・ローマ世界における教育とキリスト教—「女性と初期キリスト教」を手掛かりとしてー」

14:05-14:50
上村静(尚絅学院大学教授)
「古代ユダヤ教における学びー聖典制定とその教育ー」

15:10-15:55
中西恭子(東京大学博士研究員)
「古代末期の宗教的実践知としての修徳思想ーキリスト教と女性の場合ー」

16:05-16:50
嶋田英晴(國學院大學非常勤講師)
「中世イスラーム下のユダヤにおける初等教育」

17:00-18:00
質疑応答

予約不要・入場無料・一般来聴者歓迎

2019年1月16日水曜日

研究会「リトアニアにおけるユダヤ・ジェノサイド」;「第二次大戦期、東欧正統派ユダヤ教徒会衆の救出作戦」

研究会

日時:
2019年2月6日15:00-18:00(休憩をはさみます)

会場:
東京大学(本郷) 法文1号館1階115番教室 

講演内容:
ルタ・ヴァナガイテ(作家)
「リトアニアにおけるユダヤ・ジェノサイド」

エフライム・ズーロフ(サイモン・ヴィーゼンタール・センター東欧部長)
「第二次大戦期、東欧正統派ユダヤ教徒会衆の救出作戦」

(いずれも仮題。講演後質疑応答)
* 英語による講演に、菅野賢治とジンベルグ・ヤコフによる通訳がつきます。

司会:
ジンベルグ・ヤコブ国士舘大学教授。
コメンテーター:
沼野充義東大教授; 菅野賢治東京理科大学教授; ジンベルグ・ヤコブ



2019年1月13日日曜日

かわさき市民アカデミー2019年度講座:ユダヤ人、ユダヤ教、イスラエル(第1部)

NPO法人 かわさき市民アカデミー
2019年度前期講座
エクセレントIII
ユダヤ人、ユダヤ教、イスラエル(第1部)

【定員】144名
【受講料(税込)】
2年会員 9,240円  
1年会員 10,320 円  
聴講生 13,560 円  
(資料代600円を含みます。)

【時間】
毎回13時00分~14時30分(計12回)

【会場】
川崎市生涯学習プラザ

【概要】
かつて、「流浪の民」、「離散の民」と言われたユダヤ人は、現在イスラエルという国を作って、600万人もの人口を擁するまでに拡大しました。しかし現在でも世界にはそれ以上のユダヤ人が住んでいます。彼らは、2000年も昔に祖国を追われながら民族の絆を守り続けてきました。その秘密はどこにあるのでしょう。教育に秀でて、交易と金融に力を発揮してきたユダヤ人の生き残りの秘密を、彼らの歴史を通して学んでいきましょう。それは、世界史を見通すことでもあります。

①4/8(月)
序論 ―「ユダヤ人」とは誰のことか―
東京大学教授 市川 裕

②4/15(月)
旧約聖書の世界(1) ― 「旧約聖書」とはどのような書物か―
立教大学准教授 長谷川 修一

③4/22(月)
旧約聖書の世界(2)― ヘブライ人の世界像、歴史観、メシアニズム―
立教大学准教授 長谷川 修一

④5/6(月)
アレクサンドロス大王からローマ帝国へ:イエス時代のユダヤ世界
東京大学教授 市川 裕

⑤5/13(月)
「ユダヤ教」とはどのような宗教か: キリスト教と異なる道を歩んだユダヤ教
東京大学教授 市川 裕

⑥5/20(月)
イスラーム世界の形成とユダヤ人の繁栄:地中海とインド洋交易
國學院大学講師 嶋田 英晴

⑦5/27(月)
中世キリスト教世界のユダヤ人:共生と対抗
東京工科大学講師 志田 雅宏

⑧6/10(月)
「ヴェニスの商人」の舞台とその周辺:ルネサンス時代のユダヤ人
東京工科大学講師 志田 雅宏

⑨6/17(月)
オスマン帝国 のユダヤ人とユダヤ神秘主義:ユダヤ社会の変容
東京理科大学講師 山本 伸一

⑩6/24(月)
近代西欧社会へ参入するユダヤ人:ドイツ・ユダヤ人が見た光と影
東京大学大学院博士課程 青木 良華

⑪7/1(月)
近代東欧のユダヤ人:「屋根の上のバイオリン弾き」にみるイディッシュ文学の世界
東京外国語大学講師 鴨志田 聡子

⑫7/8(月)
ユダヤ人、アメリカに渡る:アメリカ移民の20世紀
東京大学准教授 鶴見 太郎

かわさき市民アカデミーホームページ(トップページ)
http://npoacademy.jp/index.html

講座紹介ページ
http://npoacademy.jp/sub2/bosyu19z/bosyu19z2.html#k4

2019年1月4日金曜日

(*1/9更新:会場変更)「現代ムスリム社会における風紀・暴力・統治」2018年度第2回研究会

(注意! 1/9更新:会場変更)
「現代ムスリム社会における風紀・暴力・統治」2018年度第2回研究会

1 日時
2019年1月19日(土曜)14時30分~18時
※開場:14時(14時までは非公開の打ち合わせ)

2 場所(注意! 変更あり!)
東京大学東洋文化研究所 3階 大会議室
(下記に変更)
筑波大学東京キャンパス文京校舎 431会議室
※東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅下車「出口1」徒歩3分程度

3 プログラム
(1)研究報告1
報告題:「愛国・愛教・面子:「剪髪」議論に見る辛亥革命期の華北ムスリム社会」
報告者:海野 典子(日本学術振興会・特別研究員(PD)/中央大学)
概要:本報告は、辛亥革命期の華北ムスリムが展開した辮髪切除に関する議論を分析することによって、愛国・愛教・面子という価値観をめぐるムスリム同士および中国社会との緊張関係を読み解く。

(2)研究報告2
報告題:「コシェル・ミート・ボイコット運動(1902年)再考ー米国ユダヤ人女性アクティヴィズムと変容するJudaism解釈ー」(仮)
報告者:石黑 安里(同志社大学・特任助教)
概要:本報告は1902年にニューヨーク市で起きたコシェル・ミート・ボイコット運動から、公共空間へと活動の場を広げたユダヤ人女性によるアクティヴィズムについて、Judaismの文脈から考察する。

(3)研究報告3
報告題:「戒律なき仏教の規律―近現代日本の場合―」
報告者:碧海 寿広(龍谷大学アジア仏教文化研究センター・博士研究員)
概要:仏教の生活規律である戒律が、日本では歴史的に機能不全である。日本仏教は、代わりに何を規律にしてきたか。近現代を中心に考察する。
※各研究報告の時間は、個別の質疑応答を含めて1時間程度を予定しています。

主催:
文科省科学研究費補助金・基盤研究(B)「現代ムスリム社会における風紀・暴力・統治に関する地域横断的研究」(代表:高尾賢一郎)
共催:
文科省科学研究費補助金・若手研究「近現代イスラームにおける「排除」と知識人に関する研究」(代表:後藤絵美)

日本中東学会HP上の案内(下記リンクより)
http://www.james1985.org/modules/meetings/index.php?content_id=77&fbclid=IwAR2dkbAXaTKy9yXZqyGwWwGJ5p35U-N7APKiU2cZa1CDxISkdNoKL3ePRws#gendai1209