2021年11月12日金曜日

日本ゲニザ学会・設立一周年記念講演会・設立総会

日本ゲニザ学会
設立一周年記念講演会・設立総会

オンライン(zoom)にて開催

日時
2021年11月28日(日)14:00~15:30(記念講演会)/ 07:00~08:30(ISRAEL TIME)
*15:30~16:30(設立総会・設立発起人) *設立総会の時間変更の可能性有
*記念講演会のテーマ:Networking

●開会の挨拶:市川裕会長(東京大学名誉教授)

●講演者:Prof. Phillip Isaac Ackerman-Lieberman 
(Vanderbilt University)

題目: ”From the Sunrise in the East to Sunset in the West: The Rise of the Mediterranean Jewish Community and Its Connections to Babylonia"

要旨 : ”My current book is about the development of long-distance trade in the Medieval Mediterranean, and in this book I argue that the "Islamic commercial revolution" was actually in the 11th-12th C instead of with the rise of Islam, as other scholars such as Henri Pirenne have argued. Since Dr. Ashur has made the general topic networking, I could talk about networking between East and West--the presence of Iraqi and Persian Jews in North Africa and the effect that the migration of these Jews had on the North African community. This would complement other lectures that you might have that would focus on the Maghribis, who represent a network tying the West (Tunisia/Morocco) to Egypt.” 

講演時間:60分 Q&A:30分 使用言語:英語・通訳無し

●閉会の挨拶:市川裕会長

詳細は日本ゲニザ学会ホームページにて
https://sites.google.com/view/jsgs

2021年10月29日金曜日

日本ゲニザ学会「ゲニザ入門講義」

 日本ゲニザ学会

「ゲニザ入門講義」

<日本人研究者によるゲニザ研究の概要の紹介>

11月7日(日)15:00~17:00
オンラインにより実施

● 題目:カイロ・ゲニザ文書と中世地中海世界のユダヤ教文化

  章立て
  1.文書の発見とその意義の「発見」
  2 「Giblews」以前のカイロ・ゲニザ文書収集小史
  3.さまざまな研究:中世地中海世界のユダヤ教文化の諸相
  4.おわりに

  講演者:志田雅宏(東京大学大学院人文社会系研究科専任講師)

●ゲニザを用いた各研究分野の概要とその基本文献の紹介

●ユダヤ・アラビア語(Judaeo-Arabic)テキストの読解法(初級)
 <初級では、ヘブライ語の知識は必要ありません>

  講演者:嶋田英晴(同志社大学一神教学際研究センター共同研究員)

詳細および申し込み方法は日本ゲニザ学会トップページに記載

https://sites.google.com/view/jsgs

2021年10月15日金曜日

Polemical and Exegetical Polarities in Medieval Jewish Cultures Studies: in Honour of Daniel J. Lasker

Polemical and Exegetical Polarities in Medieval Jewish Cultures

in Honour of Daniel J. Lasker

Edited by: Ehud Krinis, Nabih Bashir, Sara Offenberg and Shalom Sadik

De Gruyter, 2021

Table of Contens:

Frontmatter I
Acknowledgement VII
Contents IX

I ON DANIEL J. LASKER AND HIS SCHOLARSHIP

Prof. Daniel J. Lasker – Scholar, Teacher, and Friend
Howard Kreisel 1

Daniel J. Lasker and His Treatment of Jewish Polemics
Shalom Sadik 9

List of Publications
Daniel J. Lasker 19

II JEWISH POLEMICS AND EXEGESIS IN THE ISLAMICATE WORLD

Polemical Logic: Al-Muqammaṣ’s Refutation of Christianity
Sarah Stroumsa 37

The Role of Gog in Daniel al-Qūmisī’s Eschatology
Barry Dov Walfish and Meira Polliack 59

Theological Consideration of the Gift of the Land and the Radical Treatment of the “Seven Nations” in Medieval Judeo-Arabic Exegesis
Haggai Ben-Shammai 77

Epistemology in the Service of Polemic: Yūsuf al-Baṣīr’s Kitāb al-Istiʿānah: Text and Translation
David Sklare 97

Maimonides on the Status of Judaism
Matanel Bareli and Menachem Kellner 135

Abraham Maimonides on Reclaiming Judaism’s Lost “Perfection” from the “Imperfection” of Islam
Mordechai Akiva Friedman 165

III JEWISH AND ANTI-JEWISH POLEMIC AND EXEGESIS IN THE CHRISTIAN WORLD

Abraham bar Ḥiyya (d. ca. 1136) on “The Pure Soul”
Ehud Krinis 201

Asmakhtaʾ and Abraham ibn Ezra’s Exegesis
Martin Lockshin 229

The Finding of the “True Cross” in Judah Hadassi’s Eškol ha-Kofer and the Polemical Parody Toledot Yešu
Miriam Goldstein 251

The Book of Nestor the Priest and the Toledot Yešu in the Polemics of Abner of Burgos/Alfonso of Valladolid
Ryan Szpiech 269

Rashi on Isaiah 53: Exegetical Judgment or Response to the Crusade?
David Berger 301

“The Best of Snakes. . .”: A Polemical Midrash in the Rashi Supercommentary Tradition
Eric Lawee 317

The Discussion of the Messiah in Crescas’s Refutation
Warren Zev Harvey 347

Joshua Ha-Lorki on the Meaning of Emunah: Between Religion and Faith
Yosi Yisraeli 363

Jewish Anti-Semites: The Case of Medieval Apostates
Shalom Sadik 383

Daniel in the Lions’ Den: Jewish-Christian Polemics in Medieval Text and Image
Sara Offenberg 413

IV JEWISH-JEWISH AND JEWISH-CHRISTIAN RELATIONS

Understanding the Uneven Reception of Rabbenu Tam’s Taqqanot
Ephraim Kanarfogel 437

Ritual Imagery Gone Wrong: A Fifteenth-Century Siddur in a Christian Workshop
Katrin Kogman-Appel 467

Transliteration Charts 507
Index of Names 509

2021年10月1日金曜日

日本ユダヤ学会第18回学術大会

日本ユダヤ学会第18回学術大会

プログラム

日時:2021年10月31日(日)13:00~16:10
会場:zoomあるいは学習院女子大学

13:00~13:05 開会の挨拶(市川理事長)

13:05~13:35 長塚織人(東京大学大学院総合文化研究科)
「現代におけるユダヤスペイン語(ラディーノ語)の言語および文献研究の展望とその可能性(の中心)——「言語の死」を越えるデジタル・コミュニティの形成を目指して」

本発表は近現代までのユダヤスペイン語(ラディーノ語/ジュデズモ語)の言語学的・文献学的な展望と、その新たな可能性について考察する。ユダヤスペイン語は様々な理由から研究に困難を抱え、話者の言語的同化傾向も強く、「言語の死」の一例となると言われてきた。しかし近年インターネットの発達とデジタルアーカイブ化を通じ、その研究・文化活動が本格化している。本発表はユダヤスペイン語の特徴とセファルディの現況についても概観し、その研究に関する問題を提起し、更なる可能性に向けて考察を行いたい。(司会:武井彩佳)

13:35~13:50 質疑応答

13:50~14:20 保井啓志(東京大学大学院総合文化研究科)
「シオニズムにおける動物性と動物の形象:マックス・ノルダウの近代化論を中心に」

西ヨーロッパの反ユダヤ主義においては、ユダヤ人は、蛇や害虫など、しばしば非人間の動物と喩えられてきたが、シオニズムにおいてこのような動物の表象とユダヤ人の交差性はいかに克服されるものとして位置付けられていたのだろうか。本報告では、初期のシオニストの一人であるマックス・ノルダウやショアーにおける言説を取り上げ、動物性及び動物の形象が、いかにシオニズムを正当化する比喩として用いられてきたかの歴史的変遷について考察する。(司会:鶴見太郎)

14:20~14:35 質疑応答

14:35~14:40 休憩

14:40~15:10 犬塚悠太(東京大学大学院人文社会系研究科)
「エリ・サダンの思想:現代の宗教シオニズムとその特徴」

本発表は「メヒナ」(イスラエル国において兵役前の青年教育を行う教育機関)を設立したエリ・サダンに注目し、彼の思想の特徴を示すものである。彼を取り上げる理由は、「メヒナ」の卒業生の多くがイスラエル国防軍の将校になっていること(社会的影響力の強さ)、加えて彼が「宗教シオニズムの父」とされるアブラハム・クックにより設立された「メルカズ・ハラヴ・イェシヴァ」において学んだこと(宗教シオニズムの思想系譜に連なる)が挙げられる。彼の思想が宗教シオニズムの系譜の中にいかに位置づけられるか、あるいは軍隊や国家といったアクターをどのように捉えているのかという点を軸に、現代の宗教シオニズム思想の特徴を明らかにする。(司会:志田雅宏)

15:10~15:25 質疑応答

15:25-15:55 河合竜太 (同志社大学大学院文学研究科博士後期課程)
「ユダヤ体操連盟(1903-1921)の創設と展開――トランスナショナルな側面に注目して―」

19 世紀後半以降、ヨーロッパではユダヤ系団体の国際的組織網の形成が進展した。国際 的な組織としては、これまでユダヤ人難民の支援を目的とした慈善組織が注目されてきた。 それに対して本報告は、20 世紀初頭に創設された国際組織ユダヤ体操連盟を対象とする。 体操とスポーツの普及を目的とした当連盟は、中欧・東欧諸国において居住者の身体の健康 の改善を目的としていた。当連盟の事例は、同化と解放後のヨーロッパ社会に居住したユダヤ人の間で形成される国境を越えた連帯について、理解を深めることに貢献するであろう。(司会:高尾千津子)

15:55~16:10 質疑応答

日本ユダヤ学会ウェブサイト
https://jewishstudiesjp.org/2021/10/01/conference2021/

2021年8月14日土曜日

公開講演会:勝村弘也「死海文書研究の現在と論争点」

 同志社大学 一神教学際研究センター(CISMOR)

公開講演会「死海文書研究の現在と論争点」
講師:勝村弘也(神戸松蔭女子学院大学名誉教授)

日時:2021年09月18日(土)14:00~15:30
*オンライン開催(zoom)

クムランで発見された死海文書群は、キリスト教とラビ的ユダヤ教の成立を究明するのに重大な意義をもつ。

「感謝の詩篇」「知恵文書(4QInstruction)」などの研究を通して、現在、ヤハド共同体の歴史に関して何が論争されているのかについて報告する。

プログラム

14:00-14:05 挨拶・講師紹介

14:05-15:05 講演

15:05-15:30 質疑応答

事前申し込みは下記のリンクより
https://www.doshisha.ac.jp/event/2021/0802/event-detail-4381.html

2021年6月17日木曜日

日本ユダヤ学会公開シンポジウム「コロナ禍のユダヤ人社会」

日本ユダヤ学会公開シンポジウム

「コロナ禍のユダヤ人社会」

日時:2021年7月4日(日)14:00-17:30

開催方法:オンライン(zoom)

14:00-14:10 開会の辞(市川会長)

14:10-14:55 アダ・タガー・コヘン(同志社大学)

“Judaism in time of COVID-19: why couldn’t Ultra-orthodox Jews comply with the pandemic restrictions?”「コロナ禍のユダヤ教:超正統派ユダヤ人はなぜ感染防止対策に従うことが出来なかったのか」

本報告では、ユダヤ教における超正統派(Ultra-Orthodoxy)の創出の歴史を簡潔に描写し、近代化された世界とこの共同体がどのように邂逅したのかについて、その主要な論点を説明する。その邂逅は、彼らがひとつの世界観を構築する要因となった。その世界観とは、ホロコースト以後、ヨーロッパの失われたユダヤ人共同体を再建すべく、宗教的な献身とたくさんの子どもを産むことを奨励したラビたちによって指導された閉鎖的な共同体をその中心とするものであった。また、報告の後半では、昨年から今年の前半にかけて、イスラエルのユダヤ教超正統派の共同体がパンデミックに対してどのように反応したのかを見てゆく。*本報告のみ英語にておこなわれる(日本語訳原稿付き)(質疑応答15分)


14:55-15:40 天野優(日本学術振興会特別研究員PD)

「パシュケヴィル(張り紙)から垣間見る超正統派社会とパンデミック」

本報告では、パンデミックが収束に向かいつつあるエルサレムの様子を伝えるとともに、携帯電話やパソコンといった現代技術を忌避する超正統派社会の情報伝達媒体として、未だ重要な役割を果たしているパシュケヴィル(張り紙)を取り上げる。超正統派が多く暮らす地区で2021年2月以降に収集したパシュケヴィルを例に、パンデミックとその影響がどのように言及されているのかを提示したい。(質疑応答15分)

休憩10分 (15:40–15:50)


15:50-16:35 志田雅宏(東京大学)

「コロナ禍での宗教生活:オンライン・レスポンサを中心に」

ユダヤ教世界では、規範(ハラハー)にもとづいた生活を実践するための制度としてレスポンサ(回答書簡)がある。信仰者のさまざまな質問にラビたちが法的見解を示すことで生活を指導するレスポンサは中世以来の伝統的な制度であり、コロナ禍においてもオンライン・レスポンサとして重要な役割をはたしている。本報告ではいくつかの重要な主題についてのレスポンサを紹介し、現在のユダヤ教世界における宗教生活上の問題意識の所在や、「災い」や「生命」に対するとらえ方などを明らかにしていきたい。(質疑応答15分)


16:35–17:30 全体討論

*当シンポジウムは無料です。

*非会員の方は事前申し込みが必要です。申込方法については日本ユダヤ学会ホームページにてご確認ください。

https://jewishstudiesjp.org/2021/06/16/20210704symposium/

2021年6月12日土曜日

神戸・ユダヤ文化研究会2021年第1回文化講座:市川裕「東欧ユダヤ七賢人とショアー後のユダヤ教再建」

 神戸・ユダヤ文化研究会2021年第1回文化講座

市川裕「東欧ユダヤ七賢人とショアー後のユダヤ教再建」

日時:2021年6月26日(土)

14:00~15:30 講演
15:30~15:40 休憩
15:40~16:40 質疑応答
17:00~18:30 オンライン懇親会

開催方法:オンライン
事前申し込み方法については研究会HPを参照のこと
http://jjsk.jp/event/2021/06/07/941/

講演:「東欧ユダヤ七賢人とショアー後のユダヤ教再建」

講師:市川裕(東京大学名誉教授)

講演要旨:

近代に入ってからユダヤ人とユダヤ教は大きな変化をこうむったが、とりわけ、ショアーはユダヤ教の存続が危惧される悲惨な大事件だった。その最大の被害者であった東欧ユダヤ人の中で、ショアーを生き延びたユダヤ知識人、とりわけユダヤ教正統派の衣鉢を継ぐ人々がどのような戦後を生き、ユダヤ教を再建しようとしたか。その足跡を、リトアニアのユダヤ3博士とタルムード4天王と名付けて、業績を紹介するとともに、ユダヤ教の歴史を貫く特徴を考えてみたい。

講師略歴:

1953年生まれ。東京大学法学部卒、大学院人文科学研究科の博士課程を満期退学。1982~85年にヘブライ大学でタルムードの読み方を学び、モロッコ系シナゴーグの礼拝に親しんで帰国。筑波大技官、講師を経て、東京大学教授を2019年に定年退職。著書に『復刻増補版 ユダヤ教の精神構造』東大出版会2020、『ユダヤ人とユダヤ教』岩波新書2019など。 

2021年6月2日水曜日

京都ユダヤ思想学会2021年度公開シンポジウム「誰が「ユダヤ人」とされてきたか ―自意識と他者のまなざしから―」

 京都ユダヤ思想学会2021年度公開シンポジウム

「誰が「ユダヤ人」とされてきたか ―自意識と他者のまなざしから―」

日時:2021年6月19日(土)13:00-17:00
zoomによるオンライン開催(無料・要事前予約)

大澤 耕史《シンポジウム企画担当/司会》

本学会は名称に「ユダヤ」を掲げ、思想のみならず様々な「ユダヤ的」なものを対象とした研究を推進してきました。しかしこれまでに、学会として正面から「ユダヤ」とは何かという問いを発したことはなかったように思います。もちろん、このある意味で大きすぎる問いに対しては、古来より様々な立場や角度から無数の答えが出されてきました。それらを簡単にさらうだけでも大変な作業であり、半日のシンポジウムで終わるほどの量でもありません。そこで本シンポジウムでは、それ以降の時代の議論の立脚点になるような、古代世界に焦点を絞り分析を進めていこうと思います。その中でも「ユダヤ人」自身の定義や意識のみならず、他者から見た自分たちと「ユダヤ人」との境界およびその周縁部にも着目し、導入的な発表に続いて津田謙治氏、櫻井丈氏、山城貢司氏にそれぞれのご専門の見地からご発表をいただきます。

スケジュール

13:00-13:30
趣旨説明と議論の導入「ヘブライ語聖書~第二神殿時代における「ユダヤ人」」
大澤 耕史(中京大学教養教育研究院助教)

本シンポジウムの導入として、ヘブライ語聖書から第二神殿時代までの「ユダヤ人」描写を抽出して分析を行う。現在のような、居住地に因らない集団を指す「ユダヤ人(יהודי)」という名称が比較的新しいもので、ヘブライ語聖書の時代から広く用いられていたわけではないという点はそれなりに知られていると思われる。そこで本報告ではまず、ヘブライ語聖書から「ユダヤ人」のみならず「ヘブライ人(עברי)」や「イスラエル(ישראל)」といった名称を抽出し、それらの意味の違いやそれぞれの使用法などを考察する。続いて、聖書の外典偽典や第二神殿時代のユダヤ人著作家たちの作品内で「ユダヤ人」がどう定義・表記されているかを概観し、ヘブライ語聖書における用法との違いや変遷を分析する。それらの作業によって、現代のユダヤ人について考える際にも参考となるような、「ユダヤ人」理解のための土台を築きたい。

13:30-14:10
発題①「二、三世紀の教父文献に見られる「ユダヤ人」像:同一の神と相違する信仰」
津田 謙治(京都大学大学院文学研究科准教授)

この発表では、ユスティノス『ユダヤ人トリュフォンとの対話』やテルトゥリアヌス『ユダヤ人反駁』などを含む、二世紀半ばから三世紀前半にかけて著された複数の教父文献における、聖書、律法、そして救済者などに関わる議論を手掛かりとして、教父たちの描き出す「ユダヤ人」像を分析する。正典化された文書を未だもたないキリスト教徒が、独自の信仰と教理を確立しようと模索するにあたって、近接領域において共同体をもつ「ユダヤ人」とどのように対峙し、彼らとの相違点をどのように明確化しようと試みたかに焦点を当てたい。

14:10-14:50
発題② 「「新生児」としての改宗者:バビロニア・タルムードにみる民族的出自擬制としてのラビ・ユダヤ教改宗法規再考」
櫻井 丈(帝京科学大学教育人間科学部講師)

本発表では、第一に、バビロニア・タルムードにおいて体系化された「改宗者は新生児として見なされる」(גר שנתגייר כקטן שנולד דמי)という法概念についての考察に焦点を当て、ラビ・ユダヤ教における改宗法規(גיור)とは「異邦人」の民族的出自を「ユダヤ人」のそれへと擬制する法的装置であることを実証する。第二に、同タルムードにおける改宗に関わる法的議論から、ラビ・ユダヤ教が想起するユダヤ民族のアイデンティティの構造とその特徴を露わにすることによって、同民族共同体の民族性を規定する境界線は歴史的、社会的情勢の変化の要請によって常に変化し、又再構築されることを明らかにする。こうした一連の考察から古代後期におけるラビ・ユダヤ教の規定するユダヤ民族性とは流動的且つ可変的な文化的構築物であることを提起したい。

14:50-15:30
発題③「諸種属・異邦人・セクト主義者:古代ユダヤ教におけるminim概念の再考に向けて」
山城 貢司(東京大学先端科学技術研究センター特任研究員)

セクト主義者を意味する一連のヘブライ語語彙の中でも、minimは一種独特の響きを帯びている。ヘブライ語聖書中の使用例からも明らかなように、minの原義は「種・属」であり、したがって同語の複数形であるminimをあえて直訳すると「諸種属」となるだろう。では、セクト主義者を指示する隠語としてのminimの用法は一体いつどのようにして始まったのか?その淵源は何か?そしてそれはいかなる歴史的=神学的背景を前提としているのか?本発表は、minimの意味論的分析を通じて、これらの問いに答えようとする試みである。

15:30-15:40
休憩

15:40-17:00
質疑応答

■大会参加にあたって
オンライン開催(zoom)のため、事前申し込みが必要となります。
詳細は京都ユダヤ思想学会のウェブサイトにてご確認ください。
https://sites.google.com/site/kyotojewish/



2021年5月15日土曜日

日本ゲニザ学会第4回研究会「イスラームに対するユダヤの認識:カイロ・ゲニザからの証拠」by Dr. Elisha Russ-Fishbane

日本ゲニザ学会「第4回ゲニザ・オンライン研究会(勉強会)」

“Jewish Perceptions of Islam: Evidence from the Cairo Genizah”
(「イスラームに対するユダヤの認識:カイロ・ゲニザからの証拠」)
講師:Dr. Elisha Russ-Fishbane (New York University, Assistant Professor)

開催日時:
2021年6月13日(日)19:00~20:30(日本時間)/13:00~14:30(イスラエル時間)/06:00~07:30(EST)

開催方法:オンライン

講演要旨:
 The treasures of the Cairo Genizah shine precious light on Jewish life in medieval Egypt and across the Mediterranean region. But what light do the Genizah documents shine on Jewish perceptions of Muslim society and Islamic tradition? This lecture will explore a range of Genizah sources for what they reveal about how Jews engaged with the majority religious culture.

 We will consider both Jewish attitudes toward Muslims and Jewish interest in Islam – from Quran and traditional Islamic literature to Arabic philosophy and Sufi mysticism. Jewish interest in Sufism takes on special importance as the only known case in which Jews expressed openness to learning from the religious traditions of their neighbors. We will consider what this unique case of Judeo-Islamic spirituality – and conservative reactions to it – reveal about the complex attitudes toward Islam in medieval Jewish society. 

プログラム

19:00~20:00 講演(使用言語:英語、通訳無し)

市川裕会長の挨拶

講演者: Dr. Elisha Russ-Fishbane (New York University, Assistant Professor)

20:00~20:30 Q&A

*エリシャ・ラス-フィシュべーン博士の紹介記事
https://as.nyu.edu/faculty/elisha-reuven-fishbane.html

この研究会はZoomを利用しオンラインにて開催いたします。
ご参加をご希望の方はオンライン登録フォームにて期限内に日本ゲニザ学会事務局までお申し込みください。

(登録フォーム 締切:2021年6月9日・水)
https://forms.gle/xUyYfV3UPiLinV2J8

(参加費:無料・申込手続き:必要)

2021年4月3日土曜日

『京都ユダヤ思想』第11号(2020年)

 『京都ユダヤ思想』

第11号(2020年) 目次

【巻頭言】
手島勲矢「というよりも文字の背中(ポストスクリプト)を追いかけて―カタストロフ雑考」(pp. 1-11)

【論文】
菅野賢治「「上海無国籍避難民指定居住区」の設置過程―實吉敏郎・海軍大佐の未発表文書をもとに―」(pp. 12-39)
神田愛子「マイモニデスにおける人間の自由意志と神の摂理について」(pp. 40-60)

【第12回学術大会シンポジウム タルグムの世界—聖書翻訳とユダヤの伝統―】
加藤哲平〈シンポジウム趣旨〉(pp. 61-63)
勝又悦子〈基調講演〉「金の子牛像事件の解釈から見るタルグム文学の特性」(pp. 64-105)
阿部望〈コメント1〉「タルグムと死海文書」(pp. 106-121)
飯郷友康〈コメント2〉「魔王と偽王あるいは伝道師―タルグム試論―」(pp. 122-139)
大澤耕史〈コメント3〉「「ヨセフは誰に売られたか?」をタルグムから考える」(pp. 140-152)

2021年4月2日金曜日

『ユダヤ・イスラエル研究』第34号(2020年)

 『ユダヤ・イスラエル研究』第34号

2020年12月 目次

〈論文〉
二井彬緒「「私的な自分の居場所」を持つことと政治―ハンナ・アーレントの労働論におけるキブツ運動の位置づけ」(pp. 1-15)
今野泰三「宗教的シオニズムの構造的基盤に関する歴史的考察―ハ・ミズラヒとハ・ポエル・ハ・ミズラヒの多元的・状況対応的性格―」(pp. 16-30)

〈シンポジウム エルサレム―聖都をめぐる政治―〉
鶴見太郎「解題」(pp. 31-32)
辻田俊哉「エルサレムに関するイスラエルの政策についての一考察―都市の「統一」、「分割(不)可能性」、「分断」をめぐる議論から―」(pp. 33-46)
並木麻衣「パレスチナ人住民の立場から―聖都エルサレムが抱える課題と展望―」(pp. 47-55)
臼杵陽「イスラーム的エルサレムの現在」(pp. 56-62)

〈翻訳〉
安齋篤人「アジアの同胞、ヨーロッパの異邦人:オイゲン・ヘーフリッヒとウィーンの『汎アジア・シオニズム』」(ハナン・ハリフ Hanan Harif)(pp. 63-78)

〈特別書評〉
市川裕:勝又悦子・柴田大輔・志田雅宏・高井啓介編『一神教世界の中のユダヤ教―市川裕先生献呈論文集』(pp. 79-86)

〈書評〉
中田一郎:M・ティリー&W・ツヴィッケル著(山我哲雄訳)『古代イスラエル宗教史―先史時代からユダヤ・キリスト教の成立まで』(pp. 87-90)
李美奈:フランチェスカ・トリヴェッラート著(和栗珠里・藤内哲也・飯田巳貴訳)『異文化間交易とディアスポラ―近世リヴォルノのセファルディム商人―』(pp. 91-94)
保井啓志:ジュディス・バトラー著(大橋洋一・岸まどか訳)『分かれ道―ユダヤ性とシオニズム批判』(pp. 95-99)
川﨑亜紀子:臼杵陽著『「ユダヤ」の世界史―一神教の誕生から民族国家の建設まで』(pp. 100-104)
金城美幸:鈴木啓之著『蜂起〈インティファーダ〉 占領下のパレスチナ1967-1993』(pp. 104-109)
鈴木啓之:山本健介著『聖地の紛争とエルサレム問題の諸相―イスラエルの占領・併合政策とパレスチナ人』(pp. 110-114)

〈新刊紹介〉
加藤哲平:上智大学キリスト教文化研究所編『ユダヤ教とキリスト教』(p. 115)
三代真理子:阪井葉子・三谷研爾編『戦後ドイツに響くユダヤの歌―イディッシュ民謡復興―」(p. 116)
鶴見太郎:臼杵陽著『日本人にとってエルサレムとは何か―聖地巡礼の近現代史』(pp. 117-118)
志田雅宏:キャロル・リトナー&サンドラ・マイヤーズ編(食野雅子訳)『ユダヤ人を命がけで救った人びと―ホロコーストの恐怖に負けなかった勇気』(p. 119)

〈大会報告要旨〉
第16回学術大会報告要旨(pp. 120-122)

〈英文要旨〉(pp. 123-124)

2021年3月1日月曜日

『現代宗教2021』(国際宗教研究所)

国際宗教研究所刊行
 『現代宗教2021』
(ISSN 2188-4471)

特集:宗教と感染症

目次
緒言

◆対談
「新型コロナウイルス禍で期待される宗教者の役割」
若松英輔・島薗進・司会:弓山達也(pp.5-31)

◆テーマセッション
「ウィズ・コロナ、ポスト・コロナの信仰のカタチ」
黒﨑浩行・佐藤壮広・君島彩子・司会:西村明(pp.33-53)

◆インタビュー
「文明史的視点から見るコロナ問題―歴史人口学者鬼頭宏氏に伺う―」
鬼頭宏・聞き手:西村明(pp.55-76)

◆論文
濱田陽「パンデミック以降の共存と脅威―宗教、ヒューマニズム、新テクノロジー―」(pp.77-102)

朴炳道「「災害」としての近世日本の「疫病」と宗教的対処―疱瘡・麻疹・コレラからコロナまで―」(pp.103-125)

磯野真穂「コロナ禍において死はいかに消費されたか―新型コロナをめぐる痛ましい死の発生機序―」(pp.127-148)

現代宗教動向
志田雅宏「新型コロナ感染流行とユダヤ教世界」(pp.151-176)

岩崎真紀「新型コロナウィルスがエジプト人の信仰生活に及ぼした影響―ムスリムとコプト正教徒に焦点をあてて―」(pp.177-202)

宮澤安紀・尾角光美「死をめぐる新型コロナウイルス感染症の影響―葬送文化と死別・グリーフサポートの観点から―」(pp.203-234)

佐藤清子「2020年のアメリカにおける宗教―コロナ・BLM・大統領選と信教の自由―」(pp.235-253)

下記の国際宗教研究所ウェブサイトからすべてダウンロード可
http://www.iisr.jp/journal/journal2021/

2021年2月28日日曜日

イスラエル・ウィーク@東大駒場リサーチキャンパス(2021年3月1日ー5日)&Guy G. Stroumsa教授講演

東京大学先端科学技術研究センター・創発戦略オープンラボ(Roles)主催
イスラエル・ウィーク@東大駒場リサーチキャンパス

Dates: 2021年 3月1日(月) 〜3月5日(金)
Venue: オンライン Online via Zoom (URL will be sent to registered participants)
Language: English  一部日本語同時通訳あり (#1, #2, #4, #5)
Registration: 入場無料、事前申込制

「イスラエル・ウィーク@東大駒場リサーチキャンパス」の連続ウェビナーでは、イスラエルの外交、デジタルトランスフォーメーション (DX) の時代におけるセキュリティ、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 対策とデジタルヘルス・エコシステム、STEM教育、科学とデザイン、宗教などに関する多種多様なテーマを取り上げ、これらに関する最近の動向と今後の展開、また、日・イスラエル関係への影響について参加者の皆様とともに考えてまいります。様々な分野での第一線で活躍する研究者や専門家からのアイデアやインスピレーションを共有するとともに、協働の可能性を模索する機会の場を提供することを目指します 。

 Israel Week @UTokyo Komaba Research Campus is organized by ROLES (RCAST Open Laboratory for Emergence Strategies) in cooperation with IIS (the Institute for Industrial Science) of the University of Tokyo and supported by the Embassy of Israel in Japan.

1. Online International Symposium #1:
Israeli Normalization with Gulf and North Africa Arab States
イスラエルと湾岸諸国・北アフリカのアラブ諸国による国交正常化
Date: Monday, March 1, 2021 *日本語同時通訳有り
Time: 16:00-18:00 JST (9:00-11:00 IST (UTC+2))
詳細情報はこちら
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/event/12

2. Online International Symposium #2:
STEM & STEAM Education: The First Step Toward International Collaboration
STEM&STEAM教育:国際協働に向けて
Date: Tuesday, March 2, 2021  *日本語同時通訳有り
Time: 16:00-17:30 JST (9:00-10:30 IST (UTC+2))
詳細情報はこちら
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/event/8

3. Online International Symposium #3:
SCIENCE inspires DESIGN inspires SCIENCE: Mechanism of Emergence 
科学とデザインから考える創発の仕組み
Date: Wednesday, March 3, 2021
Time: 16:00-18:00 JST (9:00-11:00 IST (UTC+2))
詳細情報はこちら
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/event/9

4. Online International Symposium #4:
Emergency Preparedness and Digital Health Innovation Ecosystems: Countering COVID-19
緊急事態への準備とデジタルヘルス・エコシステム: COVID-19への対応を中心に
Date: Wednesday, March 3, 2021 *日本語同時通訳有り
Time: 18:30-20:00 JST (11:30-13:00 IST (UTC+2))
詳細情報はこちら
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/event/10

5. Online International Symposium #5:
Managing Security Risks of Digital Transformation and Emerging Technologies
デジタルトランスフォーメーションと重要・新興技術に関するセキュリティリスク
Date: Thursday, March 4, 2021 *日本語同時通訳有り
Time: 16:00-17:30 JST (9:00-10:30 IST (UTC+2))
詳細情報はこちら
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/event/11


6. Online Special Lecture:
The Comparative Study of the Abrahamic Religions: Heuristic Gains and Cognitive Pitfalls (by Prof. Guy G. Stroumsa)
特別講演「アブラハム一神教の比較研究:ヒューリスティックな利得と認知的陥穽」(ギイ・ストロムザ教授)
Date: Friday, March 5, 2021
Time: 16:00-17:30 JST (9:00-10:30 IST (UTC+2))
ユダヤ教・キリスト教・イスラーム教などは「アブラハムの宗教」としての連続性や類縁性を持っています(これを日本では一般に「セム的一神教」と総称していますが、この呼称・概念には近年に西欧では疑義も出ており、「アブラハムの宗教」はこれを置き換える概念とも言えます)。それらの宗教やコミュニティの間の相互関係は、近代のアラブ・イスラエル紛争の文脈では、同族間の敵対関係の神話的根源や象徴として扱われことがありましたが、近年は、宗教間対話の文脈や、イスラエルとアラブ諸国との国交正常化の文脈で、親和性の根拠として言及されることも多くなりました。このように大きな政治性を秘めた「アブラハムの宗教」という概念は、どのように形成され、研究されてきたか。一神教思想研究の第一人者であるギイ・ストロムザ教授に特別講演をお願いします。
(講演は英語。同時通訳なし)
詳細情報はこちら
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/event/7

イスラエル・ウィーク全体の詳細情報はRolesの公式ウェブサイトより
https://roles.rcast.u-tokyo.ac.jp/news/1


2021年2月16日火曜日

「モノとアイデアの古代宗教世界 シンポジウム第II部」

 「モノとアイデアの古代宗教世界 シンポジウム第II部」

日時:2021年2月28日(日)14:00~17:00 
(Zoom によるオンライン・シンポジウム)

趣旨説明:市川裕(東京大学名誉教授)*時間配分未定

発題:
上村静(尚絅学院大学教授)
「ガリラヤのユダヤ化とその諸相―ハスモン時代からミシュナ時代まで」

山野貴彦(聖公会神学院専任教員)
「紀元後1世紀のガリラヤとユダヤにおけるシナゴーグ共同体の形成」

江添 誠(神奈川大学外国語学部非常勤講師)
「バル・コホバの乱前後のガリラヤ湖周辺都市の社会状況」

発題者によるディスカッション
司会:中西恭子(東京大学人文社会系研究科研究員)

(主催団体)科学研究費研究助成金基盤研究A(海外学術調査)
「イスラエル国ガリラヤ地方の新出土シナゴーグ資料に基づく一神教の宗教史再構築」
(代表:市川裕)

2021年1月3日日曜日

New Books on Moses Nahmanides by Moshe Halbertal [English] & Oded Yisraeli [Hebrew]

Moshe Halbertal, Nahmanides: Law & Mysticism
Yale University Press, 2020

Contents
Introduction
1: Nahmanides's Philosophy of Halakhah
2: Custom and the History of Halakhah
3: Death, Sin, Law, and Redemption
4: Miracles and the Chain of Being
5: Revelation and Prophecy
6: Nahmaides's Conception of History
7: The Reasons for the Commandments
8: Esotericism and Tradition
Conclusion: Nahmanides between Ashkenaz and Andalusia


עודד ישארלי, ר' משה בן נחמן: ביוגרפיה אינטלקטואלית
מאגנס, תשע"א
(Oded Yisraeli, R. Moshe ben Nahman: Intellectual Biography)

תוכן העניינים
מבוא
פרק ראשון: רמב"ן - זמנו ומקומו
פרק שני: ראשית ביכורים - היצירה התלמודית-ההלכתית
פרק שלישי: בעין הסערה - פולמוס הרמב"ם וראשית היצירה ההגותית
פרק רביעי: על פרשת דרכים - ההתכנסות אל פירוש התורה: אפיונים ומגמות
פרק חמישי: מנגלה לנסתר - פירושי רמב"ן "על דרך האמת
פרק שישי: קבלת רמב"ן - התהוות, התגשמות, התחבטות
פרק שביעי: "כוונת כל המצוות" - עבודת האלוהים ןתכליתה בעולמו של רמב"ן
פרק שמיני: בסבך הפולמוס היהודי-הנוצרי - וויכוח ברצלונה ומשנתו המשיחית של רמב"ן
פרק תשיעי: רמב"ן בארץ ישראל - יצירתו ועולמו הדתי באחרית ימיו
אחרית דבר