2017年5月21日日曜日

日本ユダヤ学会公開シンポジウム「現代イスラエルの課題」

日本ユダヤ学会公開シンポジウム
現代イスラエルの課題

日時 5月27日(土) 14:00-17:50
会場 学習院女子大学 2号館 237教室

概要: イスラエル建国から70年近くが経過し、イデオロギーとしてのシオニズムの行き詰まりや、入植地をめぐる宗教右派の拡大など、国の在り方をめぐる諸問題が指摘されて久しい。またトランプ政権誕生で、米国の中東政策に新たな展開の可能性が語られる中、アメリカのユダヤ人社会との関係はどのように変化してゆくのか。現代イスラエルが抱える課題を多方面からあぶりだす。

14:00-14:10 
開会のあいさつ:市川裕(東京大学大学院人文社会系研究科教授) 
趣旨説明:鶴見太郎(東京大学大学院総合文化研究科准教授)

14:10-14:50
「変容/偏在する『他者』イメージ:アラブ人、パレスチナ人、ムスリム」
金城美幸(日本学術振興会特別研究員RPD)

アラブ系住民が多数派であったパレスチナに建国された現代イスラエル。本報告では、イスラエル建国前後の支配的な歴史言説に着目し、「他者」としての先住者が「発見」されていく過程を論じる。「アラブ人」、「パレスチナ人」、「ムスリム」など、中東全体の政治構造の変化とともに生じたパレスチナの民衆たちの重層的アイデンティティとの距離を念頭に置きつつ、イスラエルの歴史言説を考察する。(質疑応答10分)

15:00-15:40 
「『現代イスラエル』の境界はどこに引くべきか――『入植地問題』研究とグリーンラインのイデオロギー」
今野泰三(中京大学国際教養学部准教授)

これまでの現代イスラエル研究では、1967年戦争とグリーンライン(1948年戦争停戦ライン)を時間的・地理的・政治的・経済的な境界線と見なすことが当然視され、「入植地問題」もそれを前提として議論されてきた。しかし近年では、グリーンラインを越えた「占領地」と「ユダヤ人入植地」のみを問題と捉える見方に対して多くの批判が出されている。本発表では、そうした批判を紹介し、「パレスチナ/イスラエル地域研究」の方向性を展望する。(質疑応答10分)

15:50-16:10 休憩

16:10-16:50 
「米国ユダヤ社会で拡大する対イスラエル批判:二つのユダヤ社会は違う方向に歩んでいるのか」
立山良司(防衛大学校名誉教授、日本エネルギー経済研究所客員研究員)

一昔前まで、米国ユダヤ社会はイスラエル支持で団結し、それがイスラエル・ロビーの強さの源泉だった。しかし、米国ユダヤ社会内では若い世代を中心にイスラエル占領政策などへの批判が拡大しており、それに伴い新しいイスラエル・ロビーが活発に活動している。米国ユダヤ社会のイスラエルに対する見方が多様化している背景と、その政治的な意味を検討する。

16:50-17:50 全体討議