Nakdan
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Memorandum on Religious studies and Jewish studies (in English, Hebrew and Japanese)
2018年12月24日月曜日
2018年12月17日月曜日
ユダヤ・イスラエル研究第32号(2018年)
『ユダヤ・イスラエル研究』
第32号(2018年12月)
目次
〈論文〉
長塚 織人「エリヤ・カルモナの自叙伝のトリックスター的特性について」1
天野 優「イラク系ユダヤ人作家から見たファルフード」17
古矢 晋一「フランクル『夜と霧』における「群衆の精神病理学」について」30
牧野 素子「ウンベルト・エーコ『プラハの墓地』出版の背景と問題提起」43
〈シンポジウム 現代イスラエルの課題〉
鶴見 太郎(解題)59
金城 美幸「委任統治下パレスチナにおける「民族対立」の創出の背景」60
立山 良司「福音派ロビーの台頭」77
〈翻訳〉
重松 尚「『セクマディエニス』における杉原千畝インタヴュー記事」88
〈学会参加記〉
宇田川 彩「第8回ラテンアメリカ・ユダヤ学会参加記」95
〈書評〉
志田 雅宏:大澤耕史著『金の子牛像事件の解釈史』100
長塚 織人:Julia Philips Cohen, Becoming Ottomans 104
西村 木綿:Kamil Kijek, Dzieci modernizmu 107
北 美幸:池田有日子著『ユダヤ人問題からパレスチナ問題へ』111
鈴木 重周:イヴァン・ジャブロンカ著(田所光男訳)『私にはいなかった祖父母の歴史』115
内田 樹:アヴィシャイ・マルガリート著(森達也他訳)『品位ある社会』121
〈新刊紹介〉
嶋田 英晴:Mark R. Cohen, Maimonides and the Merchants 123
堀 邦維:ソール・ベロー著(鈴木元子訳)『ラヴェルスタイン』125
〈追悼文〉
市川 裕:追悼 宮澤正典先生126
〈報告要旨〉
第14回学術大会報告要旨128
〈英文要旨〉130
第32号(2018年12月)
目次
〈論文〉
長塚 織人「エリヤ・カルモナの自叙伝のトリックスター的特性について」1
天野 優「イラク系ユダヤ人作家から見たファルフード」17
古矢 晋一「フランクル『夜と霧』における「群衆の精神病理学」について」30
牧野 素子「ウンベルト・エーコ『プラハの墓地』出版の背景と問題提起」43
〈シンポジウム 現代イスラエルの課題〉
鶴見 太郎(解題)59
金城 美幸「委任統治下パレスチナにおける「民族対立」の創出の背景」60
立山 良司「福音派ロビーの台頭」77
〈翻訳〉
重松 尚「『セクマディエニス』における杉原千畝インタヴュー記事」88
〈学会参加記〉
宇田川 彩「第8回ラテンアメリカ・ユダヤ学会参加記」95
〈書評〉
志田 雅宏:大澤耕史著『金の子牛像事件の解釈史』100
長塚 織人:Julia Philips Cohen, Becoming Ottomans 104
西村 木綿:Kamil Kijek, Dzieci modernizmu 107
北 美幸:池田有日子著『ユダヤ人問題からパレスチナ問題へ』111
鈴木 重周:イヴァン・ジャブロンカ著(田所光男訳)『私にはいなかった祖父母の歴史』115
内田 樹:アヴィシャイ・マルガリート著(森達也他訳)『品位ある社会』121
〈新刊紹介〉
嶋田 英晴:Mark R. Cohen, Maimonides and the Merchants 123
堀 邦維:ソール・ベロー著(鈴木元子訳)『ラヴェルスタイン』125
〈追悼文〉
市川 裕:追悼 宮澤正典先生126
〈報告要旨〉
第14回学術大会報告要旨128
〈英文要旨〉130
2018年12月12日水曜日
いま宗教に向きあう(全4巻)
いま宗教に向きあう 全4巻 岩波書店 2018年
第1巻 現代日本の宗教事情〈国内編I〉
責任編集 堀江宗正
巻頭言 島薗 進
序論 変わり続ける宗教/無宗教 堀江宗正
一 岐路に立つ伝統宗教
【争点1】伝統回帰? それとも地方消滅?
第1章 個人化する葬送──墓と寺の後継者問題 村上興匡
第2章 地域社会と神社・祭り──人口減少と地域再生の中で 黒崎浩行
二 新宗教の現在
【争点2】オウム真理教事件後,新宗教は衰退したのか?
第3章 民衆宗教としての新宗教 福嶋信吉/堀江宗正
第4章 模索する新新宗教──聖地と墓地をめぐって 松岡秀明
三 現代人のスピリチュアリティ
【争点3】スピリチュアル・ブームは一過性のものだったのか?
第5章 死後はどう語られているか──スピリチュアリズム的死生観の台頭 堀江宗正
第6章 スピリチュアリティといのちの教育 弓山達也
第7章 現代日本社会での傾聴のにない手たち──医療・福祉・心理分野のスピリチュアルケア 葛西賢太
四 在留外国人と宗教
【争点4】日本人は他宗教に寛容なのか?
第8章 韓国人ニューカマーとキリスト教会の変容──多文化共生の拠点へ 李 賢京
第9章 滞日ブラジル人の急増と宗教的なコミュニティの展開──カトリック教会の場合 星野 壮
第10章 滞日ムスリムと日本の地域社会 沼尻正之/三木 英
(争点執筆・堀江宗正)
第2巻 隠される宗教、顕れる宗教〈国内編II〉
責任編集 西村 明
序論 (ポスト)世俗化論と日本社会 西村 明
一 「政教分離」のポリティックス
【争点1】「国家神道」は復活しているのか?
第1章 宗教が政治に関わるということ 塚田穂高
第2章 召還される「国家神道」──保守政治・宗教右派・象徴天皇の交錯 奥山倫明
第3章 錯綜する慰霊空間──ポスト戦後的状況のなかで 西村 明
第4章 宗教判例の戦後と現在 住家正芳
二 宗教の「公益性」をめぐって
【争点2】金儲け? それとも無私の奉仕?
第5章 大震災後の宗教者による社会貢献と「心のケア」の誕生 高橋 原
第6章 僧侶による“脱”社会活動──自死対策の現場から 小川有閑
第7章 宗教法人の公益性──二つの法人制度の比較から 竹内喜生
第8章 日本におけるキリスト教フェミニズムとその公益性 ミラ・ゾンターク
三 見えない宗教,見せる宗教
【争点3】宗教のメディア露出は、宗教の衰退なのか?
第9章 日本文化論の中の宗教/無宗教 星野靖二
第10章 宗教の社会活動と公共放送──臨床宗教師のテレビ表出を中心に 榎本香織
第11章 心理宗教テクニックと現代日本社会 小池 靖
第12章 ケア・宗教・世俗化における言説とその語り方をめぐって──何が顕れ、何が隠されるのか 古澤有峰
(争点執筆・西村 明)
第3巻 世俗化後のグローバル宗教事情〈世界編I〉
責任編集 藤原聖子
序論 二〇世紀から二一世紀への流れ 藤原聖子
【争点1】 結局、宗教は衰退したのか、していないのか?
一 伝統的宗教の復興/変容
【争点2】イスラームはテロを生む宗教なのか?
第1章 日常生活のイスラーム化──イスラームの政治化に続くもの 八木久美子
第2章 インドネシアの医療とイスラーム復興──再創造された「預言者の医学」 嶋田弘之
第3章 聖と俗の混紡──現代イスラエルにおけるユダヤ教の諸相 志田雅宏
第4章 悪魔祓い騒動からレジオナール運動まで──ルーマニア社会の変動と連続性 新免光比呂
第5章 ロシアにおける伝統宗教の変容──ソ連時代の継承と新しい展開 井上まどか
第6章 気功にみる中国宗教の復興と変容 宮田義矢
二 新宗教運動・スピリチュアリティの現在
【争点3】オルタナティヴか、体制順応か?
第7章 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の歴史と現状──韓国宗教史からの検討 古田富建
第8章 「ゲルマン的ネオ・ペイガン」は何に対抗しているのか──ドイツの「ゲルマン的ノイ・ハイデントゥム」から考える 久保田 浩
第9章 児童文学の中の魔女像の変容とジェンダー 大澤千恵子
第10章 創造論、新無神論、フィクション宗教──非制度的宗教の新展開 谷内 悠
三 グローバル化とダイバーシティ
【争点4】グローバル化は宗教の多様化か、一元化か?
第11章 プロテスタントの爆発的拡大から半世紀──ラテンアメリカにおける宗教地図の変容 大久保教宏
第12章 アメリカの「伝統」の新たな挑戦──多様な宗教・非宗教の共存 佐藤清子
第13章 「超スマート社会」の宗教──電脳化は何をヴァージョンアップするのか 藤原聖子
(争点執筆・藤原聖子)
第4巻 政治化する宗教、宗教化する政治〈世界編II〉
責任編集 池澤 優
序論 公共圏と宗教のせめぎあい
一 ナショナリズムと宗教
【争点】政教関係の多様性
第1章 「セキュラリズム」の用い方―タイムズ・オブ・インディアに見る語彙の変遷 冨澤かな
第2章 上座仏教とナショナリズム―国家主導の宗教的ナショナリズム 矢野秀武
第3章 ポジティブなナショナリズムへの展望―抱合的ボスニア・ナショナリズムの可能性 立田由紀恵
第4章 「解放」後韓国の宗教とナショナリズム―キリスト教を中心に 川瀬貴也
二 世俗・人権・宗教
【争点】公共圏自体の宗教性
第5章 欧州人権裁判所におけるヴェールと十字架―イスラームに向き合う世俗的ヨーロッパのキリスト教的な系譜 伊達聖伸
第6章 イスラーム・ジェンダー論の行方―行動する女性たちへ 塩尻和子
第7章 イタリアの新たな「世俗性」 江川純一
第8章 スカーフにみるポスト・コロニアルの政治と宗教 澤江史子
第9章 「宗教の自由」をめぐるアメリカの分断状況―国内の論争と外交政策 ジョリオン・トーマス
三 宗教の公共化
【争点】公共圏に対する宗教の戦略の諸類型
第10章 見えない宗教の力―現代の生命倫理・環境倫理言説の宗教性 池澤 優
第11章 宗教の社会貢献―宗教的利他主義の実践と共生社会の模索 稲場圭信
第12章 公共圏における宗教の社会参加―世界最大の仏教NGO・慈済会の挑戦と試練 金子 昭
第13章 市民社会と生命現象―弱さと暴力に向き合う場としての〈ラルシュ〉共同体運動 寺戸淳子
(争点執筆 池澤 優)
第1巻 現代日本の宗教事情〈国内編I〉
責任編集 堀江宗正
巻頭言 島薗 進
序論 変わり続ける宗教/無宗教 堀江宗正
一 岐路に立つ伝統宗教
【争点1】伝統回帰? それとも地方消滅?
第1章 個人化する葬送──墓と寺の後継者問題 村上興匡
第2章 地域社会と神社・祭り──人口減少と地域再生の中で 黒崎浩行
二 新宗教の現在
【争点2】オウム真理教事件後,新宗教は衰退したのか?
第3章 民衆宗教としての新宗教 福嶋信吉/堀江宗正
第4章 模索する新新宗教──聖地と墓地をめぐって 松岡秀明
三 現代人のスピリチュアリティ
【争点3】スピリチュアル・ブームは一過性のものだったのか?
第5章 死後はどう語られているか──スピリチュアリズム的死生観の台頭 堀江宗正
第6章 スピリチュアリティといのちの教育 弓山達也
第7章 現代日本社会での傾聴のにない手たち──医療・福祉・心理分野のスピリチュアルケア 葛西賢太
四 在留外国人と宗教
【争点4】日本人は他宗教に寛容なのか?
第8章 韓国人ニューカマーとキリスト教会の変容──多文化共生の拠点へ 李 賢京
第9章 滞日ブラジル人の急増と宗教的なコミュニティの展開──カトリック教会の場合 星野 壮
第10章 滞日ムスリムと日本の地域社会 沼尻正之/三木 英
(争点執筆・堀江宗正)
第2巻 隠される宗教、顕れる宗教〈国内編II〉
責任編集 西村 明
序論 (ポスト)世俗化論と日本社会 西村 明
一 「政教分離」のポリティックス
【争点1】「国家神道」は復活しているのか?
第1章 宗教が政治に関わるということ 塚田穂高
第2章 召還される「国家神道」──保守政治・宗教右派・象徴天皇の交錯 奥山倫明
第3章 錯綜する慰霊空間──ポスト戦後的状況のなかで 西村 明
第4章 宗教判例の戦後と現在 住家正芳
二 宗教の「公益性」をめぐって
【争点2】金儲け? それとも無私の奉仕?
第5章 大震災後の宗教者による社会貢献と「心のケア」の誕生 高橋 原
第6章 僧侶による“脱”社会活動──自死対策の現場から 小川有閑
第7章 宗教法人の公益性──二つの法人制度の比較から 竹内喜生
第8章 日本におけるキリスト教フェミニズムとその公益性 ミラ・ゾンターク
三 見えない宗教,見せる宗教
【争点3】宗教のメディア露出は、宗教の衰退なのか?
第9章 日本文化論の中の宗教/無宗教 星野靖二
第10章 宗教の社会活動と公共放送──臨床宗教師のテレビ表出を中心に 榎本香織
第11章 心理宗教テクニックと現代日本社会 小池 靖
第12章 ケア・宗教・世俗化における言説とその語り方をめぐって──何が顕れ、何が隠されるのか 古澤有峰
(争点執筆・西村 明)
第3巻 世俗化後のグローバル宗教事情〈世界編I〉
責任編集 藤原聖子
序論 二〇世紀から二一世紀への流れ 藤原聖子
【争点1】 結局、宗教は衰退したのか、していないのか?
一 伝統的宗教の復興/変容
【争点2】イスラームはテロを生む宗教なのか?
第1章 日常生活のイスラーム化──イスラームの政治化に続くもの 八木久美子
第2章 インドネシアの医療とイスラーム復興──再創造された「預言者の医学」 嶋田弘之
第3章 聖と俗の混紡──現代イスラエルにおけるユダヤ教の諸相 志田雅宏
第4章 悪魔祓い騒動からレジオナール運動まで──ルーマニア社会の変動と連続性 新免光比呂
第5章 ロシアにおける伝統宗教の変容──ソ連時代の継承と新しい展開 井上まどか
第6章 気功にみる中国宗教の復興と変容 宮田義矢
二 新宗教運動・スピリチュアリティの現在
【争点3】オルタナティヴか、体制順応か?
第7章 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の歴史と現状──韓国宗教史からの検討 古田富建
第8章 「ゲルマン的ネオ・ペイガン」は何に対抗しているのか──ドイツの「ゲルマン的ノイ・ハイデントゥム」から考える 久保田 浩
第9章 児童文学の中の魔女像の変容とジェンダー 大澤千恵子
第10章 創造論、新無神論、フィクション宗教──非制度的宗教の新展開 谷内 悠
三 グローバル化とダイバーシティ
【争点4】グローバル化は宗教の多様化か、一元化か?
第11章 プロテスタントの爆発的拡大から半世紀──ラテンアメリカにおける宗教地図の変容 大久保教宏
第12章 アメリカの「伝統」の新たな挑戦──多様な宗教・非宗教の共存 佐藤清子
第13章 「超スマート社会」の宗教──電脳化は何をヴァージョンアップするのか 藤原聖子
(争点執筆・藤原聖子)
第4巻 政治化する宗教、宗教化する政治〈世界編II〉
責任編集 池澤 優
序論 公共圏と宗教のせめぎあい
一 ナショナリズムと宗教
【争点】政教関係の多様性
第1章 「セキュラリズム」の用い方―タイムズ・オブ・インディアに見る語彙の変遷 冨澤かな
第2章 上座仏教とナショナリズム―国家主導の宗教的ナショナリズム 矢野秀武
第3章 ポジティブなナショナリズムへの展望―抱合的ボスニア・ナショナリズムの可能性 立田由紀恵
第4章 「解放」後韓国の宗教とナショナリズム―キリスト教を中心に 川瀬貴也
二 世俗・人権・宗教
【争点】公共圏自体の宗教性
第5章 欧州人権裁判所におけるヴェールと十字架―イスラームに向き合う世俗的ヨーロッパのキリスト教的な系譜 伊達聖伸
第6章 イスラーム・ジェンダー論の行方―行動する女性たちへ 塩尻和子
第7章 イタリアの新たな「世俗性」 江川純一
第8章 スカーフにみるポスト・コロニアルの政治と宗教 澤江史子
第9章 「宗教の自由」をめぐるアメリカの分断状況―国内の論争と外交政策 ジョリオン・トーマス
三 宗教の公共化
【争点】公共圏に対する宗教の戦略の諸類型
第10章 見えない宗教の力―現代の生命倫理・環境倫理言説の宗教性 池澤 優
第11章 宗教の社会貢献―宗教的利他主義の実践と共生社会の模索 稲場圭信
第12章 公共圏における宗教の社会参加―世界最大の仏教NGO・慈済会の挑戦と試練 金子 昭
第13章 市民社会と生命現象―弱さと暴力に向き合う場としての〈ラルシュ〉共同体運動 寺戸淳子
(争点執筆 池澤 優)
2018年12月8日土曜日
宗教史学研究所 第68回研究会
宗教史学研究所 第68回研究会
日時: 2019年1月26日(土)13:00-18:00
場所: 東洋英和女学院大学 大学院205教室
プログラム
12:30 受付開始
13:00-14:30
発表1 田口博子(白百合女子大学)
「ものをめぐる物語―D. W. ウィニコットの「移行対象」理論について」
【概要】
イギリスの児童精神分析科医 D. W. ウィニコットは、創造性を芸術作品の制作や研究と関連付けるのみならず、「人生は生きるに値する」という気持ちと定義する。そしてその起源を乳児期の心的発達段階に求めた。ウィニコットによれば、対象を主観的に認識する段階から客観的に認識する段階への推移が、生後 4、5 カ月ごろに始まる。この段階で生じる「移行対象」(幼いこどもが持ち歩くぬいぐるみなど)や「移行現象」(お気に入りのメロディーなど)の本質は、決して客観的に解決することはできないパラドックスである。このような内的体験と外的対象についての体験が重なるところに「中間領域」が成立する。中間領域は「遊ぶこと」によって表象され、生涯にわたって人間の精神生活の重要な場を占めるという。
『遊ぶことと現実』(1971)の序論では、精神分析以外の営為も中間領域に対峙してきたことが指摘され、とりわけ哲学では「間主観性」、神学においては「実体変化」に関する論争に集約される。今回の発表では「移行対象」を端緒として、ひととひとの関連(間主観性)と、ひとと超越的なもののかかわり(実体変化)がどのような接点を持ちうるのか、他者を他者として認識することがなぜ絶対者の定立につながるのかを考察したい。
14:30-14:40 休憩
14:40-16:10
発表2 冨澤かな(静岡県立大学)
人と物をこえて―二次元メディアが描く(無-)媒介の世界
【概要】
宗教の多様な役割の中で、人と人、物、世界の関係を示し、時にその間の壁をこえて取り結ぶ「媒介」としてのそれの重要性は、ここ数年の本研究会の蓄積からも見て取れよう。では、宗教学の対象が既存宗教の枠組みを超え、代替宗教やさまざまな「スピリチュアリティ」のあらわれへと拡大する現在、特に日本で、そういった「媒介」の物語がどこで多く生産・受容されているかを考えた場合、アニメ、マンガ、ゲームなどの重要性に着目せざるを得ない。これらのポップカルチャーの宗教性については様々に指摘がなされ、研究も広がっているが、しかし、たとえば神・霊・聖職者・妖怪・輪廻などの宗教的な要素の指摘をこえて、その「宗教性」を論じることは簡単ではなく、方法論が模索されている段階である。その難しさの認識の上で本発表は、宗教的モチーフへの着目から少し距離を取り、異なる存在の接続・変容を重要なテーマとする作品に着目したい。具体的には、アニメを中心に、ウェブ上のユーザー評価を参照しつつ、「擬人化」と、特に「人間と世界の変容」の二つのテーマに焦点をあてる。正直なところ、ここから宗教史学としてどのような分析ができるのか、見通しはたっていない。しかし少なくとも、「人、物、世界の媒介」を語るアニメ作品を何らかの基準で抽出し、宗教史研究者間で共有することで、ポップカルチャーの宗教性という曖昧なテーマに、一つの視角を得る可能性があるものと期待したい。
16:10-16:20 参加者自己紹介
16:20-16:30 休憩
16:30-18:00
発表3 池澤 優(東京大学)
戦国秦漢の墓葬における死者と死後世界の表象―墓・随葬品という媒体
【概要】
墓という媒体は、どの時代、どの文化でも、一定程度は死者と死後世界を表象するであろう。但し、墓は死後にかかわる観念の全てを表すわけではない。というのは、墓は死者に対する儀礼行為の一環であり、死者がその儀礼行為に不満を抱いたら元も子もないため、何よりも死者を満足させるための表象にならざるを得ないからである。ただ、逆に言えば、死者を満足させるという指向性の中に死後に関する一定のイメージを読み取ることもできることになる。本発表では、戦国秦漢時代の中国に題材をとり、墓葬の構造、画像、壁画、随葬品がいかなる死者と死後世界を表しているのかを論じる。
日時: 2019年1月26日(土)13:00-18:00
場所: 東洋英和女学院大学 大学院205教室
プログラム
12:30 受付開始
13:00-14:30
発表1 田口博子(白百合女子大学)
「ものをめぐる物語―D. W. ウィニコットの「移行対象」理論について」
【概要】
イギリスの児童精神分析科医 D. W. ウィニコットは、創造性を芸術作品の制作や研究と関連付けるのみならず、「人生は生きるに値する」という気持ちと定義する。そしてその起源を乳児期の心的発達段階に求めた。ウィニコットによれば、対象を主観的に認識する段階から客観的に認識する段階への推移が、生後 4、5 カ月ごろに始まる。この段階で生じる「移行対象」(幼いこどもが持ち歩くぬいぐるみなど)や「移行現象」(お気に入りのメロディーなど)の本質は、決して客観的に解決することはできないパラドックスである。このような内的体験と外的対象についての体験が重なるところに「中間領域」が成立する。中間領域は「遊ぶこと」によって表象され、生涯にわたって人間の精神生活の重要な場を占めるという。
『遊ぶことと現実』(1971)の序論では、精神分析以外の営為も中間領域に対峙してきたことが指摘され、とりわけ哲学では「間主観性」、神学においては「実体変化」に関する論争に集約される。今回の発表では「移行対象」を端緒として、ひととひとの関連(間主観性)と、ひとと超越的なもののかかわり(実体変化)がどのような接点を持ちうるのか、他者を他者として認識することがなぜ絶対者の定立につながるのかを考察したい。
14:30-14:40 休憩
14:40-16:10
発表2 冨澤かな(静岡県立大学)
人と物をこえて―二次元メディアが描く(無-)媒介の世界
【概要】
宗教の多様な役割の中で、人と人、物、世界の関係を示し、時にその間の壁をこえて取り結ぶ「媒介」としてのそれの重要性は、ここ数年の本研究会の蓄積からも見て取れよう。では、宗教学の対象が既存宗教の枠組みを超え、代替宗教やさまざまな「スピリチュアリティ」のあらわれへと拡大する現在、特に日本で、そういった「媒介」の物語がどこで多く生産・受容されているかを考えた場合、アニメ、マンガ、ゲームなどの重要性に着目せざるを得ない。これらのポップカルチャーの宗教性については様々に指摘がなされ、研究も広がっているが、しかし、たとえば神・霊・聖職者・妖怪・輪廻などの宗教的な要素の指摘をこえて、その「宗教性」を論じることは簡単ではなく、方法論が模索されている段階である。その難しさの認識の上で本発表は、宗教的モチーフへの着目から少し距離を取り、異なる存在の接続・変容を重要なテーマとする作品に着目したい。具体的には、アニメを中心に、ウェブ上のユーザー評価を参照しつつ、「擬人化」と、特に「人間と世界の変容」の二つのテーマに焦点をあてる。正直なところ、ここから宗教史学としてどのような分析ができるのか、見通しはたっていない。しかし少なくとも、「人、物、世界の媒介」を語るアニメ作品を何らかの基準で抽出し、宗教史研究者間で共有することで、ポップカルチャーの宗教性という曖昧なテーマに、一つの視角を得る可能性があるものと期待したい。
16:10-16:20 参加者自己紹介
16:20-16:30 休憩
16:30-18:00
発表3 池澤 優(東京大学)
戦国秦漢の墓葬における死者と死後世界の表象―墓・随葬品という媒体
【概要】
墓という媒体は、どの時代、どの文化でも、一定程度は死者と死後世界を表象するであろう。但し、墓は死後にかかわる観念の全てを表すわけではない。というのは、墓は死者に対する儀礼行為の一環であり、死者がその儀礼行為に不満を抱いたら元も子もないため、何よりも死者を満足させるための表象にならざるを得ないからである。ただ、逆に言えば、死者を満足させるという指向性の中に死後に関する一定のイメージを読み取ることもできることになる。本発表では、戦国秦漢時代の中国に題材をとり、墓葬の構造、画像、壁画、随葬品がいかなる死者と死後世界を表しているのかを論じる。
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