公開シンポジウム:「ユダヤ版『イエス伝』――史的イエスと文学的虚構の間で――」
「キリスト」として知られるイエスは、ひとりのユダヤ人でした。そのユダヤ人の教えは、しかし従来のユダヤ教とは異なる宗教、「キリスト教」として発展を遂げ、やがて地中海からヨーロッパにかけての地域を席巻します。一方、この過程でキリスト教社会に取り囲まれることになったユダヤ社会には、長らくイエスについての別の伝承が息づいてきました。歴史的証言と後代の想像とが入り混じるこの伝承のなかで、イエスはどのように描かれてきたのでしょうか。
きたる3月、ユダヤ版『イエス伝』とでも言うべきテクスト、תולדות ישו (Toledot Yeshu)を主題としたシンポジウムを、以下の要領にて開催いたします。キリスト教社会との緊張のなかで生じた論争文学としてのその特性、文献としての成立過程やユダヤ固有の特徴、世俗化の進む近代以降のその評価のありようなどを、俯瞰的に再考する試みです。いまださほど知られていないユダヤ文献の世界に直接触れる、またとない機会になることと思います。
皆様のご来場をお待ちしております。(※参加費無料・事前申し込み不要)
日時: 2017年3月11日(土) 13:00-17:30
場所: 東京大学 法文一号館215教室
(http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_01_01_j.html)
プログラム:
13:00 - 13:10 趣旨説明 勝又 直也 (京都大学 准教授)
13:15 - 14:00 志田 雅宏 (日本学術振興会 特別研究員PD)
「『トルドート・イェシュ』におけるイエス物語の論争性」
14:00 - 14:45 山城 貢司 (ヘブライ大学 Ph. D.)
「תולדות ספר תולדות ישו : 猶太的反福音調和」
(休憩)
15:00 - 15:45 向井 直己 (京都大学 特定研究員)
「歴史・伝記・物語――Leben JesuとToledot Yeshu」
15:45 - 16:15 コメント 矢内 義顕 (早稲田大学 教授)
(休憩)
16:30 - 17:30 全体討論
主催: 科学研究費補助金 基盤研究(A)
「ユダヤ文献」の構成の領域横断的研究――伝統文献概念の批判的再構築に向けて
(研究代表者: 勝又 直也 (京都大学))
問い合わせ:京都大学 人間・環境学研究科 勝又研究室 (担当:向井 直己)
Tel: 075-753-6752 mail: mukai.naoki.6a@kyoto-u.ac.jp