2014年5月9日金曜日

研究会:宗教史研究会

宗教史学研究所第59回研究会

日時:2014年6月7日(土) 13:00-18:00

場所:東洋英和女学院大学大学院201教室

プログラム

12:30 会場

13:00-14:30
発表1
佐藤清子(東京大学大学院)
「19世紀合衆国における回心のための「手法」の問題
――チャールズ・G・フィニーの新手法擁護論とその批判を中心として――」

<概要> 19世紀、第二次大覚醒と呼ばれる宗教熱の時代の合衆国において、説教師チャールズ・G・フィニーは、「新手法(new measures)」と呼ばれる斬新な手法を用いて人々を回心へと導き、信仰復興を成功に導いた。しかし手法に依拠したフィニーの信仰復興には批判も多く、賛否をめぐる様々な議論が戦わされた。本発表はフィニーの『信仰復興講義』とその批判をとりあげ、手法の使用がどういった形で擁護され、また、批判されたのかを検討する。「呪術」という言葉はこの議論の中で使用されることはなかったが、フィニーらの手法使用の擁護は、彼ら19世紀の合衆国のプロテスタントもまた呪術的な関心と無縁ではなかったことを示すと考えられる。


14:40-16:10
発表2
宮坂清(名古屋学院大学)
「科学と呪術のあいだ――雪男学術探検隊、林寿郎がみた雪男――」

<概要> 本発表は、1959〜60年にかけ日本からエヴェレスト山麓に派遣された「雪男学術探検隊」を事例に、科学と呪術という古典的な問題を検討する。探検隊が旗印にしていた「学術(科学)」とはどのようなものであったかについて整理したうえで、探検隊は現地人シェルパの「呪術」的なイエティ像に触れそれをどのように解釈したか、自らの科学的視点と現地の呪術的視点の関係をどのように捉えたかについて考える。事例の考察にあたっては、探検隊が残した唯一の詳細な報告である、動物学者・林寿郎の著作を取り上げる。


16:30-18:00
発表3
鶴岡賀雄(東京大学)
「「呪術」論のために」

<概要> 「宗教」についての反省と同様のことを「呪術」にかんして行うことは有意義と思われる。これを意識して編纂されているであろう「呪術」論集のために、この言葉自体、およびこの言葉で言われている事象についての基礎的な確認を行うことを本発表の目的とする。ただし発表者の準備不足および知識の偏向から、以下の三分野についての断片的な報告を並べるに留める。(1)西洋宗教史中でのmagic, magiaないし関連語彙についての事典レベルの知識の確認(とくに古代~中世)。(2)神秘主義と呪術・魔術・マギアの関わりの一典型としての新プラトン主義におけるテウルギア思想の概説(一次文献に基づかない)。(3)可能ならば、十六世紀スペインの民衆的magia世界の簡単な紹介(同上)。