2018年6月21日木曜日

NEWSLETTER: KAKEHASHI Project 2018, Visiting Program to Boston and New York by Japanese Jewish Studies Researchers

NEWSLETTER

KAKEHASHI Project 2018
Visiting Program to Boston and New York by Japanese Jewish Studies Researchers, 18-24, March 2018

Newsletter (PDF, 8 pages, in English)

See also: Newsletter on Kakehashi Project 2019 (update:2019/08/14)
http://alderekhhaemet.blogspot.com/2019/08/newsletter-kakehashi-project-2019.html








2018年6月15日金曜日

京都ユダヤ思想学会第11回学術大会

京都ユダヤ思想学会
第11回学術大会

日時:2018年6月23・24日
会場:同志社大学烏丸キャンパス志高館 SK112 教室

公開シンポジウム
■シンポジウム企画趣旨
「ヘルマン・コーエンにおけるユダヤ教――倫理・政治・科学」

合田正人(第11回学術大会シンポジウム企画者/本学会会長)
2018年は、ドイツで活躍した二人のユダヤ人哲学者の没後100年にあたる。ヘルマン・コーエン(Hermann Cohen)とゲオルク・ジンメル(Georg Simmel)である。京都ユダヤ思想学会ではぜひともこれら二人の哲学者をめぐるシンポジウムを開催したいと考えているが、2018年6月23日開催予定の学術大会ではヘルマン・コーエンをまず取り上げる。
コーエンはアンハルト=ベルンブルク侯国のコースヴィヒに1842年7月14日にシナゴーグの先唱者の息子として生まれた。幼少期からブレスラフの神学校でラビになるための学習を開始するが、ラビになるという計画を放棄して、ブレスラウ大学およびベルリン大学で哲学を学び、1865年にハレ大学で博士号を取得。1876年から1912年までマールブルク大学で教鞭を執り、マールブルク学派と呼ばれる新カント派の学派の生みの親となった。退官後はベルリンの「ユダヤ教学高等学院」(Hochschule für die Wissenschaft des Judentums)でユダヤ教を講じた。
西田幾多郎や田辺元の著述を見ると、明治末期から大正前半にかけてコーエンがこれら日本の哲学者たちにとって極めて重要な存在であったことが分かる。だが、現象学の興隆と共にコーエンは忘却されていった。ジル・ドゥルーズ『差異と反復』(1968年)での微分の哲学をめぐる考察、1988年ジャック・デリダがエルサレムで行った講演Interpretatios at war : Kant, the Jews, the Germanに触発されて、近年、コーエンを語る若干の論者が現れたとはいえ、コーエンという哲学者の全体像に迫る研究者はまだ本邦にはなく、また、『ユダヤ教論考』全三巻(Jüdische Schriften, 1924)、『ユダヤ教を典拠とした理性の宗教』(Religion der Vernunft aus den Quellen des Judentums, 1919)の邦訳もまだ存在しない(後者については本学会員の村岡晋一氏による翻訳が進行中である)。このような状況のなかで、本シンポジウムでは、6名の発表者によっていわば多面体としてコーエンを捉え、それぞれの視点から、過去の哲学者としてではなく未発掘の哲学者としてコーエンを甦らせることをめざす。
Wissennschaft des Judentumsと呼ばれる学的運動が1820年代に始まったことはよく知られているが、それと併行して、「ユダヤ人問題」をめぐるバウアー、ヘス、マルクスらの考察が展開され、スピノザの弟子を自認するヘスの場合、それはシオニズムに行き着くことになる。まず、このような多重の動きとコーエンはどのように係わったのか。コーエンは一貫して反スピノザ、反シオニズムを唱え、ドイツとユダヤとの相乗的共生の可能性を信じ、「共にある人間」(Mitmenschen)という観念をもって倫理的社会主義とも言うべき立場を主張したが、それはどのようなものだったのか。
このようなコーエンの姿勢と彼のカント解釈はどのように関係しているのか。このカント解釈は微分ないし無限小分析となぜつながったのか。「ユダヤ教は宗教でさえない」と断じたカントの教説が、コーエンにあって「理性の宗教」としてのユダヤ教解釈に貢献したのはどのようにしてなのか。20世紀のドイツ・フランスでのユダヤ教ルネサンスとも呼びうる現象は、いずれもコーエンの思想との対話から生まれたと言っても決して過言ではない。フランツ・ローゼンツヴァイクは、レオ・シュトラウスは、そしてエマニュエル・レヴィナスはコーエンのうちに何を見たのか。また、どこでコーエンと袂を分かったのか。
これら数々の問いが交錯するなかで、ヘルマン・コーエンの生ける遺産が参加者各人のなかに様々な波紋を作り出すことを願うばかりである。

■大会プログラム
6 月23 日(土)
9:50 受付開始

【個人研究発表】
10:10-10:50 研究発表①「ゴーレム創造の歴史的変遷」
発表者:松浦翔子(京都府立大学他非常勤講師)
司会:向井直己(京都大学特定研究員)

10:50-11:30 研究発表②「日本軍政下の上海にユダヤ絶滅計画は存在したか(続)」
発表者:菅野賢治(東京理科大学)
司会:細見和之(京都大学) 

11:30-13:00 休憩(昼食)

【シンポジウム】「ヘルマン・コーエンにおけるユダヤ教――倫理・政治・科学」
13:00-13:50 会長基調講演「ヘルマン・コーエンのユダヤ教理解とその波紋」
合田正人(明治大学)19, 20世紀フランス・ドイツ思想、近代ユダヤ思想史
13:50-14:00  質疑応答
14:00-14:10  休憩

14:10-14:30 コメント①「「回帰」は現代の苦境を超えゆく処方箋たり得るか?」
石崎嘉彦(摂南大学名誉教授)政治哲学
14:30-14:50 コメント②「人間の哲学的発見 ―コーエンとローゼンツヴァイク―」
佐藤貴史(北海学園大学)ドイツ・ユダヤ思想史
14:50-15:10 コメント③「若きコーエンの哲学的出発点 ―『カントの経験の理論』以前の心理学的研究のもつ意味」
後藤正英(佐賀大学)思想史、宗教学
15:10-15:30 コメント④「京大田辺文庫における二冊のPrinzipについて」
林晋(京都大学)歴史学(思想史)、歴史社会学
15:30-15:50 コメント⑤「『ユダヤ教の源泉からの理性の宗教』における「理性の宗教」とは?」
村岡晋一(中央大学)ドイツ・ユダヤ思想、ドイツ観念論
15:50-16:05  小休憩
16:05-17:00  討議と質疑応答

17:05-17:50  総会
18:15      懇親会(芙蓉園:烏丸今出川の交差点から西に約20メートル)

6 月24 日(日)
9:50 受付開始

【個人研究発表】
10:10-10:50 研究発表③「ヘブライ語聖書における貯水穴בורの埋葬地としての役割」
発表者:新井雅貴(同志社大学神学研究科博士後期課程)
司会:勝村弘也(神戸松蔭女子学院大学名誉教授)

10:50-11:30 研究発表④「民話のなかのナフマニデス:神の名前の使い手」
発表者:志田雅宏(日本学術振興会特別研究員)
司会:平岡光太郎(同志社大学) 

11:30-13:00  休憩

13:00-13:40 研究発表⑤「ユダヤ教とキリスト教の自己認識とその境界 ―古代末期のシリアを中心に―」
発表者:大澤耕史(中京大学)
司会:手島勲矢(日本学術会議連携会員)

13:40-14:20 研究発表⑥「レヴィナスにおける彼性と主体の関係ならざる関係 ―ロジェ・ラポルトによる解釈との関連」
発表者:犬飼智仁(明治大学大学院文学研究科仏文専攻博士後期課程)
司会:藤岡俊博(滋賀大学)

14:20-15:00 研究発表⑦「構想される無限とその痕跡 ―カント『判断力批判』のデリダによる読解から」
発表者:長坂真澄(群馬県立女子大学)
司会:合田正人(明治大学)

京都ユダヤ思想学会公式ホームページ
https://sites.google.com/site/kyotojewish/