2018年1月15日月曜日

Vladimir Levin氏講演会「東欧におけるシナゴーグ:建築を超えて」

Vladimir Levin氏講演会
「東欧におけるシナゴーグ:建築を超えて」開催のお知らせ

日時:2月12日(月・祝)15:00-18:00
場所:東京大学駒場Ⅰキャンパス2号館3階308会議室
(目黒区駒場3-8-1)

このたび、エルサレム・ヘブライ大学ユダヤ芸術センターより、
ヴラディーミル・レヴィン氏をお招きし、
ロシア東欧地域におけるシナゴーグに関するご講演をいただきます。
レヴィン氏は20世紀初頭のロシア帝国における、
宗教勢力を含むユダヤ政治に関する研究で
博士号(ヘブライ大学)を取得されており、当該地域の歴史的文脈の中で、
ユダヤ教における物理的中心であるにもかかわらず、
ほとんど研究がないシナゴーグに関してお話しいただきます。
使用言語は英語ですが、質疑応答時には簡単な通訳が可能です。

2018年1月14日日曜日

宗教史学研究所第66回研究会

宗教史学研究所
第66回研究会

日時: 2018 年 1 月 20 日(土) 13:00-18:00
場所: 東洋英和女学院大学大学院201 教室
(港区六本木 5-14-40、国際文化会館向かい側)、

プログラム

12:30 受付開始
13:00-14:30
 発表1 土井 裕人(筑波大学人文社会系助教)
「プロクロスにおける「媒介するモノ」としての魂の乗り物」
<概要>
「媒介するモノ」について考える場合、「モノ」と「モノならざるもの」をめぐって長く探究を続けてきた西洋哲学に目を向ける意味があるのは言を俟たないだろう。とりわけプラトンやその系譜に属する思想において、知的対象たるモノならざるものと感覚対象たるモノとの架橋がいかになされるかは、極めて重要な問題として長年議論されてきた。
本発表が取り上げる西洋古代哲学末期の新プラトン主義者プロクロス(412-485)において、こうした問題について興味深い一局面を見ることができる。イアンブリコス(245-325)以降の新プラトン主義においてはプラトン以来の「神に似ること」というテーマの宗教的実践が具体化していくが、その際に問題になったのが物体と非物体の境界にあって両者をつなぐ「魂の乗り物」である。実はこれはキリスト教思想において有名な「プネウマ」(新プラトン主義の文脈では「霊」の意味ではなく古代ギリシア語の原義に即した「気息」)でもあり、拙稿「西洋古代の宗教思想と「スピリチュアリティ」の問題」(鶴岡賀雄・深澤英隆(編)『スピリチュアリティの宗教史』下巻、2012 年に収録)でも取り上げている。
本発表では、この魂の乗り物について「媒介するモノ」として再考を試みる。特に、諸天体を視野に入れた「祈り」とそれによる浄化という具体的な諸実践が、「媒介するモノ」としての魂の乗り物に焦点を結んでいくことに注目してみたい。

14:30-14:40 休憩

14:40-16:10
発表2 藤原 達也(東洋英和女学院大学非常勤講師)
「祇園精舎の図像学―buddhabhâva「ブッダの存在」の媒介としての仏像と仏寺空間」
<概要>
2015 年 J. クリブの古銭学論文により最古の仏像はビーマラーン舎利容器のそれとほぼ確定したが、クリブ自身は気づいていない。2012 年の拙稿は最初期仏像が「従三十三天降下」場面で宝階の上に立つ仏陀の姿であったはずだと論じたが、まさしくビーマラーンの仏像がそうであり、仏像誕生の原理に関する見解を再 提示したい。ガンダーラではまた、仏塔や仏像を擁する僧たちの居住空間としての仏寺も誕生した。それら仏寺が祇園精舎を理念モデルとして造られたという発表者の仮説にとり、近年公刊カナガナハッリの無仏像時代の仏教図像群は大きな援けとなる。誕生時の仏像が「祇園」のどの「精舎」に置かれたのかを手掛りに、仏典の言う「ブッダの存在」の媒介としての仏像と仏寺を考える。

16:10-16:20 参加者自己紹介

16:20-16:30 休憩

16:30-18:00
発表3 津城 寛文(筑波大学教授)
「和歌の宗教学―2つのポリティックスと2つのメディテーション」
<概要>
「和歌は真言陀羅尼」という名言は、室町時代の僧・心敬が、「仏道歌道一如」「歌道はひとへに禅定修行の道」「和歌は隠遁の源、菩提をすすむる直路」など、先人のさまざまな歌論をとりまとめた上で、「本より歌道は我が国の陀羅尼なり」と断言したもののスローガン化である。さらに早くは俊成が「天台小止観」に基づく「空仮中」の三諦の思想によって、和歌の「形而上学的なストラクチャ」を定式化したことが、歌人による最初の「仏道・歌道一如」の自覚として指摘される。またのちの茶=禅の達人は、「茶の本心」「無一物の境界」を、これらの「歌の心」と等しいものと考えた。しかし、「歌の心」が、禅的な境地だけに限られるわけではない。折口信夫・釈迢空の歌論は鎮魂説に基づいており、それによれば「万葉集は鎮魂歌集」とされる。しかしこの「鎮魂」には、古代的な言霊思想によるものと、「瞑想的」等々といわれる、かなり異質な二つの意味がある。ここでは和歌を、(一)政治的儀礼、(二)政治的呪術、(三)瞑想的自然観照、(四)仏教的真理実践、(五)詩学プロパーの 5 つに、論じ分けてみたい。

2018年1月8日月曜日

シンポジウム「ユダヤ共同体とその指導者たち——古代から中世へ——」

シンポジウム
ユダヤ共同体とその指導者たち―古代から中世へ―

2018年1月21日(日)13:00-18:00
東京大学本郷キャンパス法文1号館113教室

13:00-13:15
趣旨説明 市川裕(東京大学教授)

13:15-14:00
「古代ユダヤ共同体における指導体制の変化」
上村静(尚絅学院大学教授)

14:10-14:55
「中世イスラーム支配下のユダヤ共同体の変遷 10-11世紀」
嶋田英晴(國學院大學非常勤講師)

14:55-15:10
コメント 高井啓介(東京大学大学院人文社会系研究科研究員)

15:40-16:50
Maimonides and Jewish Communities in Cairo-Fustat and the Relationship with Islamic Authorities
(マイモニデスとカイロ・フスタートのユダヤ人共同体、およびイスラーム政権との関わり)
Amir Ashur アミール・アシュール(ベングリオン大学上級研究員)

16:50-17:10
コメント 亀谷学(弘前大学講師)

17:30-18:00
全体討論




2017年11月7日火曜日

第6回宗教的価値国際学術大会The 6th International Conference on Values in Religions

第6回宗教的価値国際学術大会 
The 6th International Conference on Values in Religions

同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)、カイロ大学東洋学研究所主催
日時:2017年12月02日(土)9:30-17:10
場所:同志社大学今出川キャンパス 良心館RY305教室
(京都市営地下鉄烏丸線「今出川駅」下車3番出口徒歩3分)

講師:
Naglaa Rafat Salem (Cairo University)
Gamal Abd elsamia Elshazly (Cairo University)
Mohamed Ahmed Saleh ( Cairo University)
Mohamed Hawary (Ain Shames University)
Mohamed Fawzy Dief (Menoufia University)
Etsuko Katsumata (Doshisha University)
Sik-ping Choi (Bible Seminary of Honk Kong)
Abdulla Galadari (Khalifa University/ Al-Maktoum College)
Caren el-Chawa (Independent Researcher)
Masaki Nagata (Independent Researcher)
Norimasa Fujimoto (Doshisha Univeristy)
Chikako Ikehata (Doshisha University)
S. Jonathon O'Donnell (Aoyama Gakuin University)
Masahiro Shida (Post-Doctral Fellow, Japan Society for the promotion of Science)
Hiroshi Tone (Doshihsa University)
Rehab Abuhajiar (Dosihsha University)

【プログラム】 

9:30-9:40 OPENING
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Session 1  9:40-11:15
Title: Holy Times in Prayer
Chair: Gamal Abd elsamia Elshazly

9:40-10:00 Gamal Abd elsamia Elshazly - "Prayer in Judaism"
10:00-10:20 Hiroshi Tone - "Christ Child as Holy Times in Islam - On the reception of Paidika in the Koran -“
10:20-10:40 Caren El-Chawa - "Holy Time in the Qur’an"
10:40-11:00 Sik-ping Choi - "The Holy Time of Boaz - Meeting God in Solitude"
11:00-11:15 Q&A
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Session2 11:15-12:50
Title: Prayer in the Holy Day
Chair: Naglaa Rafat Salem

11:15-11:35  Naglaa Rafat Salem - "Sabbath in Judaism”
11:35-11:55  Abdulla Galadari - "Qur’anic Concept of “Waqt”"
11:55-12:15  Chikako Ikehata - "Transnational Faith: Early Japanese Free Methodists"
12:15-12:35  Mohamed Ahmed Saleh - "Using the Pesah rituals in achieving the Palestinian-Israeli rapprochement, a study in "Rachel and Ezekiel" novel by Almog Behar”
12:35-12:50 Q&A
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12:50-13:50  Lunch Break
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Session3 13:50-15:25
Title: Holy Times as Festival
Chair: Mohamed Hawary

13:50-14:10  Mohamed Hawary - "Yom Kippur - Day of Atonement in Judaism "
14:10-14:30  Masahiro Shida - "Beyond the Age of the Torah: Nahmanides (1194-1270) and Two Polemical Contexts"
14:30-14:50  Masaki Nagata - "Islamic Rituals in Holy Times"
14:50-15:10  S. Jonathon O’Donnell - "Overcoming Jezebel: The 2016 U.S. Election as Sacred Time in American Neo-Charismatic Evangelicalism"
15:10-15:25 Q&A
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Session4 15:25-17:00
Title: Holy Times in the Religious Calendar
Chair: Etsuko Katsumata

15:25-15:45 Etsuko Katsumata - "Interactions among Three Monotheistic Religions through Calendars"
15:45-16:05 Rehab Abuhajiar - "Autonomy and Biomedical Ethics in Islamic Medical Practice: Comparative Case Studies of Jordan and Turkey"
16:05-16:25 Norimasa Fujimoto - "The Problem of the Interreligious Praying in the Grief care"
16:25-16:45 Mohamed Fawzy Deif - "Fasting time in Judaism and Islam"

16:45-17:00 Q&A
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17:00-17:10 CLOSING

英語発表、通訳なし。
一般の方も来場可。事前申込み不要。

京都ユダヤ思想学会創立10周年記念東京大会

京都ユダヤ思想学会創立10周年記念・東京大会

12月2日(土)・3日(日)
慶應義塾大学日吉キャンパス・来往
https://www.keio.ac.jp/ja/maps/hiyoshi.html

①記念シンポジウム「いま倫理(エティカ)とはなにか スピノザを考える」
12月2日(土)13:00- 来往舎・シンポジウムスペース

13:00-13:10 開会挨拶 勝村弘也(京都ユダヤ思想学会前会長・神戸松蔭女子学院大学)
13:10-13:20 司会趣旨説明 藤岡俊博(滋賀大学)
13:20-14:00 朝倉友海(神戸市外国語大学)「スピノザ・ヘーゲル関係再考 数理思想的観点から」
14:00-14:40 手島勲矢(日本学術会議連携会員)「名前の思想について スピノザとヘブライ語文法の考察」
14:40-14:50 休憩
14:50-15:30 國分功一郎(高崎経済大学)「スピノザにおける〈永遠であること〉の感覚と経験について」
15:30-16:10 合田正人(京都ユダヤ思想学会会長・明治大学)「論争のなかのスピノザ ベールからレヴィナス」
16:10-16:20 休憩
16:20-17:20 全体討議
17:20-17:30 閉会挨拶 渡名喜庸哲(慶應義塾大学)

②ワークショップ「ユダヤ思想と現代思想」
12月3日(日)10:30-12:05/13:00-14:30 来往舎・大会議室

10:30-10:35    司会挨拶 小野文生(同志社大学)
10:35-11:20  藤岡俊博(滋賀大学)「レヴィナスとロレンス 異教的超越」(質疑含む)
11:20-12:05  馬場智一(長野県短期大学)「コーヘンとマイモニデス」(質疑含む)
12:05-13:00  休憩 
13:00-13:45  丸山空大(東京外国語大学)「現代ユダヤ思想における律法 ローゼンツヴァイクとヘシェル」(質疑含む) 
13:45-14:30  佐藤香織(神奈川大学)「ローゼンツヴァイクとレヴィナス 聖書を「読むこと」と「対話」」(質疑含む)

③菅野賢治氏『フランス・ユダヤの歴史』合評会
15:00- 来往舎・大会議室

15:00-15:05   司会挨拶   後藤正英(佐賀大学)
15:05-15:15   自著紹介   菅野賢治(東京理科大学)
15:15-15:50   コメント1 渡名喜庸哲(慶應義塾大学)
15:50-16:25   コメント2 伊藤玄吾(同志社大学)
16:25-17:00   コメント3 臼杵陽(日本女子大学)
17:00-17:30   質疑応答



2017年11月2日木曜日

ユダヤ教の事典・データベース(Ver.1)

ユダヤ教 

近年、良質なユダヤ教の入門書が、しかも翻訳書ではなく国内のユダヤ教研究の第一人者による書籍があいついで出版されている。これらの日本語書籍の最大の特徴は、日本におけるユダヤ教理解の現状と問題点を著者自身がよく認識していることである。用語解説や参考文献も充実しており、調べ物をするうえでも重宝する。ユダヤ教入門の優れた翻訳書もたくさんあるが、ここでは割愛する。

市川裕『宗教の世界史7 ユダヤ教の歴史』(山川出版社、2009)
ユダヤ教の歴史を概観した概説書。「ユダヤ教の歴史」というテーマの書籍はこれまでもあったが、聖書時代の「古代イスラエルの宗教」に記述の多くが割かれていた従来の傾向とは明らかに一線を画し、エルサレム第二神殿崩壊後の「ラビ・ユダヤ教」の歴史(中世および近現代)の記述を中心とする。巻末の付録が充実している点も魅力。

勝又悦子・勝又直也『生きるユダヤ教 カタチにならないものの強さ』(教文館、2016)
ユダヤ教の宗教的な特徴や重要な人物についての説明を主眼とし、実際の生活の諸相に迫ることをテーマとする。巻末には日本語で読める主要なユダヤ教関連の文献が列挙されている。

山本伸一『総説カバラー ユダヤ神秘主義の真相と歴史』(原書房、2015)
ユダヤ教の神秘主義(カバラー)についての概説書。テーマは限定的だが、カバラーをユダヤ教の枠にとらわれない広がりを持った現象として描いており、現代のカバラーについても言及している。巻末にユダヤ教の用語解説がついている。



事典
翻訳書も含めて、日本語で読める事典はあるが、『岩波キリスト教辞典』や『岩波イスラーム辞典』に比肩するような、包括的で参照しやすいユダヤ教事典はまだない。『(岩波?)ユダヤ教辞典』を作ることは、日本のユダヤ教研究者が共有すべき使命である。
以下、英語の代表的な事典を挙げる。

Encyclopaedia Judaica, Second Edition 
(22 vols., Macmillan Reference, 2006)
一般にEJと略される、ユダヤ教研究の最も重要な事典。現在は第二版(基本的には初版への加筆だが、記述が訂正されている箇所も)。

The Oxford Dictionary of the Jewish Religion
(Oxford U.P., 1997、2011)
一冊でまとめられたポピュラーなユダヤ教事典。EJでは情報が多すぎる場合にはこちらがおすすめ。

Jewish Encyclopedia
(KTAV Pub. House, 1906)
http://www.jewishencyclopedia.com/
オンラインで全文無料公開されているので便利(書籍媒体の方には挿絵や図版あり)。ユダヤ教関連のWikipediaに転載されているケースもある。

The Encyclopaedia of Judaism, Second Edition
(4 vols., Brill, 2005)
さまざまなテーマの論考を集めたタイプの事典。例を挙げると「Astrology and Ancient Judaism」や「Orthodox Judaism」などの項目が並ぶ。特定のテーマについて論文を書くときには特に重宝する。

(注記)
*ヘブライ文字をローマ・アルファベットに翻字するとき、「Johanan」と「Yohanan」のように、表記方法が異なるケースが多々ある。目当ての用語が見つからない場合は、お手数ですが索引を見てください。
*日本語表記も一定ではない。「カバラー/カバラ/カッバーラー(やや古)」など、カナ表記も揺れがある。日本ユダヤ学会のHPではカナ表記について標準表記方法が提案されているが、これは表記の統一を義務づけるものではない(http://www.jewishstudiesjp.org/hebrew.html)。カタカナを使うのか訳語を使うのか(「トーラー」/「律法」)、どの訳語が適切なのか、という問題は残されており、やはり『ユダヤ教辞典』の企画と完成が望まれる!


データベース
ユダヤ教研究では研究上のデータベースや資料のオンライン化が進んでいる。ここでは特にポピュラーで使いやすいものを挙げていきたい。

Rambi
http://aleph.nli.org.il/F?func=find-b-0&local_base=rmb01&con_lng=eng
(上は英語ページ)
ユダヤ教研究の論文検索エンジン。ヘブライ語と英語で検索可能。

Merhav
http://web.nli.org.il/sites/NLI/English/Pages/default.aspx
(上は英語ページ)
イスラエル国立図書館(The National Library of Israel)の検索エンジン。

The Responsa Project
バル・イラン大学(イスラエル)企画のユダヤ文献データベース(有料)。オンライン版とUSB版がある。

Sefaria
https://www.sefaria.org/?home
ヘブライ語聖書、ラビ文学をはじめさまざまなユダヤ教のテクストが読めるオンラインデータベース(無料)。すべてではないが英訳つき。アプリもある。

Ktiv
http://web.nli.org.il/sites/nlis/en/manuscript
(上は英語ページ)
2017年に開始されたばかりのイスラエル国立図書館の写本データベースで、ユダヤ教研究者のあいだで話題になっている。デジタル化されたさまざまな写本をオンラインで閲覧することができる。

HebrewBooks.org
http://www.hebrewbooks.org/
ニューヨークのSociety for the Preservation of Hebrew Booksが運営するサイト。印刷版の膨大なヘブライ語文献をPDFでダウンロードすることができる。ヴィルナ版バビロニア・タルムードも閲覧、ダウンロードが可能。すべて無料。

The Bezalel Narkiss Index of Jewish Art
http://cja.huji.ac.il/browser.php
ヘブライ大学(イスラエル)のThe Center for Jewish Artが運営するユダヤ美術の最大のオンラインアーカイブ(無料)。古代から現代までのさまざまなユダヤ教美術や写本を閲覧することができる。

ヘブライ語の辞書・事典(Ver.1)

ヘブライ語

ヘブライ語は歴史的な時代区分に照らして主に四つに分類される。
聖書ヘブライ語Biblical Hebrew (やや広義の用語としてClassical Hebrew)
ラビヘブライ語Rabbinic Hebrew(Mishnaic Hebrew)
中世ヘブライ語Medieval Hebrew
現代ヘブライ語Modern Hebrew
この項目では、主にタルムードなどのアラム語(Arc)を読むための辞書の紹介も期待されていると思われるので、勝手ながらそれも含めることにする。他のユダヤ系の言語(ユダヤ・アラビア語、ユダヤ・スペイン語、イディッシュ語など)については含めない。
辞書の言語については、ヘブライ語―日本語(Heb-Jap)、ヘブライ語―英語(Heb-Eng)、ヘブライ語―ヘブライ語(Heb-Heb)に限定する。本稿はヘブライ語辞書を網羅することを目的とするものではなく、入手しやすく、現在広く使われている辞書を紹介するものである。

事典
Encyclopedia of Hebrew Language and Linguistics
G. Khan ed., Brill, 2013、宗教学研究室所蔵
全4巻、850以上の項目からなるヘブライ語についての言語学の事典。オンライン版もある。

参考となる論文
Tsvi Sadan, “The Lexicography of Hebrew,” in International Handbook of Modern Lexis and Lexicography (P. Hanks & G.M. de Schryver eds. Springer, 2017)
----, “Hebrew,” in Oxford Bibliographies in Jewish Studies
 (http://www.oxfordbibliographies.com/obo/page/jewish-studies)



辞書

ヘブライ語全般
מילון אבן שושן (Even-Shoshan Dictionary)
M. Azar ed., New Dictionary, 2013
Heb-Heb. 全6巻(版によって巻数変動あり)。Milon Even-Shoshan ha-Merkazという一巻本の形態もある。

Ma’agarim (מאגרים)
Heb-Heb. イスラエルのAcademy of the Hebrew Languageが運営するオンライン・コンコーダンス。第二神殿時代のヘブライ語、ラビヘブライ語、中世ヘブライ語の文献を広く網羅している。
http://maagarim.hebrew-academy.org.il/Pages/PMain.aspx


聖書ヘブライ語
聖書ヘブライ語については、歴史的に権威のある英語の辞書がふたつあり、それらを使うのがよい。また、聖書以外の当時のヘブライ語文献の読解に使える本格的な辞書もある。

A Hebrew and English Lexicon of the Old Testament: With an Appendix Containing the Biblical Aramaic
F. Brown, S.R. Driver & C.A. Briggs, , Clarendon, 1907
Heb-Eng. 三名の著者の名前の頭文字を取って、通称BDBと呼ばれる古典的な聖書ヘブライ語辞典。いまも最もポピュラーに使われており、聖書テクストを読むための辞書として最初に勧めたい。

The Hebrew and Aramaic Lexicon of the Old Testament
L. Kohler & W. Baumgartner, Brill, 1994-2000
Heb-Eng. 全5巻。現在入手可能な聖書ヘブライ語辞典のなかで最も権威のあるもの。

A Concise of Hebrew and Aramaic Lexicon of the Old Testament
W.L. Holladay ed., Brill, 1988
Heb-Eng. 上のレキシコンの簡潔版。

『旧約聖書ヘブル語大辞典』
名尾耕作、聖文舎、1982
Heb-Jap. 聖書新改訳の翻訳主事による日本初のヘブライ語辞書。さまざまな動詞の活用形や前置詞付の名詞のかたちで調べることができる。ただし、そのせいで見出し語が多すぎて、訳語が少なく、説明もないという問題点もある。

The Dictionary of Classical Hebrew
D.J.A. Clines ed., Sheffield Phoenix, 1993-2011
Heb-Eng. 全8巻。聖書ヘブライ語Biblical Hebrewに限定されない「古典ヘブライ語Classical Hebrew」の包括的な辞書。死海写本をはじめとする、第二神殿時代のヘブライ語を網羅する。

קונקורדנציה חדשה לתורה נביאים וכתובים (A New Concordance of the Bible)
A. Even-Shoshan ed., Kiryat Sefer, 1984
Heb-Heb. ヘブライ語聖書の現代ヘブライ語コンコーダンス。


ラビヘブライ語、ラビ文学
ラビヘブライ語の包括的な辞書はいまだに完成していない。ミシュナはヘブライ語だが、タルムードやその他のラビ文献にはアラム語も多く使われている。ここでは、これらのラビ・ユダヤ教の文学を読むための辞書を紹介する。

ספר מלים Dictionary of the Targumim, Talmud Babli, Yerushalmi and Midrashic Literature
M. Jastrow ed., Judaica Press, 1971
Heb (Arc)-Eng. 聖書アラム語(タルグム)、タルムード、ミドラシュ文学を読むための古典的な辞書。2巻本や1巻本など、いくつかの形態がある。

A Dictionary of Jewish Babylonian Aramaic
A Dictionary of Jewish Palestinian Aramaic, Second Edition
M. Sokoloff ed., Bar-Ilan U.P. & The John Hopkins U.P., 2002
Arc-Eng. タルムードをはじめとするラビ文学の包括的なアラム語辞書。バビロニアのアラム語とパレスチナのアラム語に分かれている。

Ariel’s Practical Guide to the Talmud (The Practical Talmud Dictionary and Grammar for Gemara)
Y. Frank ed., Ariel United Israel Institute, 1995
Heb (Arc)-Eng. タルムードのテクニカルタームについての辞書とタルムード・テクストの文法書がセットになった1冊。タルムードを読むときに重宝する。それぞれが個別に出版されている形態もある。

קובץ ראשי תיבות וקיצורים לתלמודים למדרשים למפרשים
A.D. Melamed ed., Sifryati, 1991
Heb-Heb. ラビ文学に見られる短縮表現(ヘブライ文字の頭文字をとってつなげた表現。אם כן=א"כなど)についての辞書。短縮された表現が一覧表になっており、元の語句が表記されている。

中世ヘブライ語
時代的にも地域的にもきわめて広大な中世ヘブライ語の包括的な辞書はない。Even-Shoshan DictionaryMa’agarim、それぞれ時代の異なるヘブライ語の辞書で対応することになる。


現代ヘブライ語
たんに単語の意味を調べたい場合には一般辞書を、現代ヘブライ語の学習を進めたい場合には学習辞書を使うことをおすすめする。

Oxford English-Hebrew Hebrew-English Dictionary
Y. Levi ed., Kernerman and Lonnie Kahn, 1995
 Heb-Eng, Eng-Heb. ヘブライ語―英語の最もポピュラーな辞書。

רב-מילון: מילון דידקטי דו-לשוני Multi Dictionary: Bilingual Learners Dictionary
L. Weinbach & E. Lauden eds., AD, 2006
Heb-Heb-Eng, Eng-Heb. 最もポピュラーなヘブライ語英語学習辞書。ヘブライ語の単語が現代ヘブライ語で説明され、対応する英単語もついている。会話表現一覧や動詞の活用変化表など、ヘブライ語学習のための付録も充実している。

『現代ヘブライ語辞典』
キリスト聖書塾、1984、2006、宗教学研究室所蔵
Heb-Jap. イスラエルでヘブライ語を学ぶ日本人留学生による手作りのポケット辞典を前身とし、17,000語におよぶ辞書として完成。文法やさまざまな専門用語をまとめた付録も充実しており、学習辞書としても非常に使いやすい。

『日本語‐ヘブライ語小辞典』(1993)
『現代 日本語‐ヘブライ語辞典』(2013)
ミルトス・ヘブライ文化研究所
日本語から現代ヘブライ語を引くための辞書。日本語の見出し語はローマ字転写されたさいのアルファベット順となっている。1993年の『小辞典』が初版で、2013年に改訂版が出た。

מילון עברי-אנגלי שלם The Complete Hebrew-English Dictionary
R. Alcalay, 2 vols., Massada, 1990
Heb-Eng. ヘブライ語-英語の辞書としてはいまもなお最も包括的な辞書。

רב מילים: המילון השלם לעברית החדשה (Rav-Milim: A Conprehensive Dictionary of Modern Hebrew)
Y. Choueka ed., Center of Educational Technology, 1997
Heb-Heb. 全6巻。現代ヘブライ語の最も包括的な辞書。

他、オンラインの現代ヘブライ語辞書には以下のようなものがある。
Morfix
http://www.morfix.co.il/ (ヘブライ語トップページ)
http://www.morfix.co.il/en/ (英語トップページ)
Heb-Eng.

מילון ספיר (Sapir Dictionary)
http://www.milononline.net/
Heb-Heb. 同名の冊子版辞書のオンライン版。


文法書
学習用のテキストブックも含めて、ポピュラーなヘブライ語の文法書をいくつか挙げておく。

山田恵子『ニューエクスプレス 古典ヘブライ語』(白水社、2013)
山田恵子『ニューエクスプレス 現代ヘブライ語』(白水社、2014)
CD付きの初学者向けのテキストブック。(調査したことはないが)おそらく最も広く使われているもののひとつと思われる。「古典ヘブライ語」とあるが、ほとんど聖書ヘブライ語のみを扱っている(最後の章で聖書時代に書かれたヘブライ語の碑文が登場)。それぞれ全20課の構成で、各課で順々に文法が説明されていく形式。簡潔にまとめられており、入門書として十分な内容になっている

片山徹『旧約聖書ヘブライ語入門』(キリスト教夜間講座出版部、1972)
筆者が学部生の頃にヘブライ語初級の授業で使用した文法書。手書き(!)の様式で味わいがあり、文法説明も簡潔でわかりやすい。現在ではやや入手しづらい。

キリスト聖書塾『ヘブライ語入門』(日本ヘブライ文化協会、改訂版、2004)
日本語の『現代ヘブライ語辞典』をつくったキリスト聖書塾による本格的な文法書。文法説明が体系的に構成されている。全3部からなり、第1部では発音に重点が置かれている点も特徴的といえる。第2部は「現代ヘブライ語」、第3部は「聖書ヘブライ語」を扱う。