2018年12月12日水曜日

いま宗教に向きあう(全4巻)

いま宗教に向きあう 全4巻 岩波書店 2018年

第1巻 現代日本の宗教事情〈国内編I〉
責任編集 堀江宗正
巻頭言  島薗 進
序論 変わり続ける宗教/無宗教  堀江宗正

一 岐路に立つ伝統宗教
【争点1】伝統回帰? それとも地方消滅?
第1章 個人化する葬送──墓と寺の後継者問題 村上興匡
第2章 地域社会と神社・祭り──人口減少と地域再生の中で 黒崎浩行

二 新宗教の現在
【争点2】オウム真理教事件後,新宗教は衰退したのか?
第3章 民衆宗教としての新宗教 福嶋信吉/堀江宗正
第4章 模索する新新宗教──聖地と墓地をめぐって 松岡秀明

三 現代人のスピリチュアリティ
【争点3】スピリチュアル・ブームは一過性のものだったのか?
第5章 死後はどう語られているか──スピリチュアリズム的死生観の台頭 堀江宗正
第6章 スピリチュアリティといのちの教育 弓山達也
第7章 現代日本社会での傾聴のにない手たち──医療・福祉・心理分野のスピリチュアルケア 葛西賢太

四 在留外国人と宗教
【争点4】日本人は他宗教に寛容なのか?
第8章 韓国人ニューカマーとキリスト教会の変容──多文化共生の拠点へ 李 賢京
第9章 滞日ブラジル人の急増と宗教的なコミュニティの展開──カトリック教会の場合 星野 壮
第10章 滞日ムスリムと日本の地域社会 沼尻正之/三木 英
(争点執筆・堀江宗正)


第2巻 隠される宗教、顕れる宗教〈国内編II〉
責任編集 西村 明
序論 (ポスト)世俗化論と日本社会 西村 明

一 「政教分離」のポリティックス
【争点1】「国家神道」は復活しているのか?
第1章 宗教が政治に関わるということ 塚田穂高
第2章 召還される「国家神道」──保守政治・宗教右派・象徴天皇の交錯 奥山倫明
第3章 錯綜する慰霊空間──ポスト戦後的状況のなかで 西村 明
第4章 宗教判例の戦後と現在 住家正芳

二 宗教の「公益性」をめぐって
【争点2】金儲け? それとも無私の奉仕?
第5章 大震災後の宗教者による社会貢献と「心のケア」の誕生 高橋 原
第6章 僧侶による“脱”社会活動──自死対策の現場から 小川有閑
第7章 宗教法人の公益性──二つの法人制度の比較から 竹内喜生
第8章 日本におけるキリスト教フェミニズムとその公益性 ミラ・ゾンターク

三 見えない宗教,見せる宗教
【争点3】宗教のメディア露出は、宗教の衰退なのか?
第9章 日本文化論の中の宗教/無宗教 星野靖二
第10章 宗教の社会活動と公共放送──臨床宗教師のテレビ表出を中心に 榎本香織
第11章 心理宗教テクニックと現代日本社会 小池 靖
第12章 ケア・宗教・世俗化における言説とその語り方をめぐって──何が顕れ、何が隠されるのか 古澤有峰
(争点執筆・西村 明)


第3巻 世俗化後のグローバル宗教事情〈世界編I〉
責任編集 藤原聖子
序論 二〇世紀から二一世紀への流れ 藤原聖子
【争点1】 結局、宗教は衰退したのか、していないのか?

一 伝統的宗教の復興/変容
【争点2】イスラームはテロを生む宗教なのか?
第1章 日常生活のイスラーム化──イスラームの政治化に続くもの 八木久美子
第2章 インドネシアの医療とイスラーム復興──再創造された「預言者の医学」 嶋田弘之
第3章 聖と俗の混紡──現代イスラエルにおけるユダヤ教の諸相 志田雅宏
第4章 悪魔祓い騒動からレジオナール運動まで──ルーマニア社会の変動と連続性 新免光比呂
第5章 ロシアにおける伝統宗教の変容──ソ連時代の継承と新しい展開 井上まどか
第6章 気功にみる中国宗教の復興と変容 宮田義矢

二 新宗教運動・スピリチュアリティの現在
【争点3】オルタナティヴか、体制順応か?
第7章 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の歴史と現状──韓国宗教史からの検討 古田富建
第8章 「ゲルマン的ネオ・ペイガン」は何に対抗しているのか──ドイツの「ゲルマン的ノイ・ハイデントゥム」から考える 久保田 浩
第9章 児童文学の中の魔女像の変容とジェンダー 大澤千恵子
第10章 創造論、新無神論、フィクション宗教──非制度的宗教の新展開 谷内 悠

三 グローバル化とダイバーシティ
【争点4】グローバル化は宗教の多様化か、一元化か?
第11章 プロテスタントの爆発的拡大から半世紀──ラテンアメリカにおける宗教地図の変容 大久保教宏
第12章 アメリカの「伝統」の新たな挑戦──多様な宗教・非宗教の共存 佐藤清子
第13章 「超スマート社会」の宗教──電脳化は何をヴァージョンアップするのか 藤原聖子
(争点執筆・藤原聖子)


第4巻 政治化する宗教、宗教化する政治〈世界編II〉
責任編集 池澤 優
序論 公共圏と宗教のせめぎあい

一 ナショナリズムと宗教
【争点】政教関係の多様性
第1章 「セキュラリズム」の用い方―タイムズ・オブ・インディアに見る語彙の変遷 冨澤かな
第2章 上座仏教とナショナリズム―国家主導の宗教的ナショナリズム 矢野秀武
第3章 ポジティブなナショナリズムへの展望―抱合的ボスニア・ナショナリズムの可能性 立田由紀恵
第4章 「解放」後韓国の宗教とナショナリズム―キリスト教を中心に 川瀬貴也

二 世俗・人権・宗教
【争点】公共圏自体の宗教性
第5章 欧州人権裁判所におけるヴェールと十字架―イスラームに向き合う世俗的ヨーロッパのキリスト教的な系譜 伊達聖伸
第6章 イスラーム・ジェンダー論の行方―行動する女性たちへ 塩尻和子
第7章 イタリアの新たな「世俗性」 江川純一
第8章 スカーフにみるポスト・コロニアルの政治と宗教 澤江史子
第9章 「宗教の自由」をめぐるアメリカの分断状況―国内の論争と外交政策 ジョリオン・トーマス

三 宗教の公共化
【争点】公共圏に対する宗教の戦略の諸類型
第10章 見えない宗教の力―現代の生命倫理・環境倫理言説の宗教性 池澤 優
第11章 宗教の社会貢献―宗教的利他主義の実践と共生社会の模索 稲場圭信
第12章 公共圏における宗教の社会参加―世界最大の仏教NGO・慈済会の挑戦と試練 金子 昭
第13章 市民社会と生命現象―弱さと暴力に向き合う場としての〈ラルシュ〉共同体運動 寺戸淳子
(争点執筆 池澤 優)